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(25.7.31) 金融危機の責任者はどこだ。 サブプライムローンの実に簡単なトリック


(トシムネさん撮影 妙高山)

 どんなに複雑に見えるトリックでも種を明かせばいたって簡単なものだったことが分かるが、サブプライムローンのトリックもそうした類の一つだ。
そのことをアメリカのWGBHという放送局が放映していた。

 当時サブプライムローンを証券化した商品に最上位の格付がついて安全で高利回りが歌われ、世界中の投資家がこぞってこの証券化商品を購入した。
一般に高利回りならば高リスクなのだが、なぜこのようなトリックができたかを、「金融危機の責任者はどこだ」という番組で当事者にインタビューしていた。

 アメリカでは2008年まで住宅価格は上昇の一途をたどっていたので、住宅金融会社は誰にでも住宅ローンを販売することにした。
これは本当に「人間であれば誰にでも」であり、それが可能なのは住宅資金申込書に意図的に事実を記載させないようにしたからだ

 たとえば4500万円の住宅資金借入のために、所得が毎月100万円必要という要件があったとする。そうなるとすべての借入人が100万円以上の収入があることになった。
たとえば学校教師もウェイトレスもコンビニのパート従業員も書類上は100万円以上の所得があることにする。

注)住宅金融会社は借入人に融資条件に合う記載をするように求め、その証拠書類は要請しなかった。

 住宅金融会社はこうしておいて住宅融資をするのだが、なぜこれで住宅金融会社が損失を被らないかというと、すぐに融資を大手金融機関やヘッジファンドに販売するからである
そしてここからが本当のトリックになる。
大手金融機関はこの融資が適切かどうかを判断して購入するのだが(当然評価基準がある)、その評価員にこの不適切な記載を見逃すように指導した。

注)金融機関には融資審査部という組織があるが、住宅金融のような小口のローンの評価は部外の評価会社に評価させている。

 なぜ大手金融機関が正確な記述がされていない書類の記載に目をつぶるように指導したかというと、これをディリバティブと称する証券化商品に変えて世界中の投資家に販売するためで、当時は商品を組成しさえすればどこにでもすぐに完売できた。
なんでもいいから早く評価してOKにしろ。あとは俺たちがお化粧を施して世界中に売りまくっておお儲けだ!!」

 実際この証券化商品をもっとも多く購入したのは欧州だったが、そのためにリーマン・ショック後欧州経済は全く立ち直れない状態になってしまった(アメリカのベア・スターンズやリーマン・ブラザーズは売りそこなった証券化商品を大量に持っていたため倒産した)。

 当時と言ってもリーマン・ショックの直後だが、なぜディリバティブ商品が高格付になったのか世界中で問題になった。
当時の説明では優良な債権とサブプライムローンのような不良債権を混ぜて、確率統計学を駆使すると倒産確率は低下し、優良債権になると説明されていた。
本当かい? 確率統計では不良物件が一躍優良物件になって高格付になるのかい?」
とても不思議だった。
数学は純粋論理の学問で意図的に不良債権を優良債権にする学問ではないからだ。

 実際はサブプライムローンが評価員の評価ですべて優良物件になっていたので(何しろ全員が高所得者ということになっていた)、それを集めて統計処理すればできた証券化商品が優良物件になるに決まっている。
バカバカしいほどのトリックで、オール5の生徒を集めて平均すればオール5になると言っているに等しい。
これは高等数学の問題ではなく、四則演算の世界の問題であり、高等数学を使ったのは投資家をだますためのお化粧だったというわけだ。

 住宅金融会社はすぐさま融資債権を金融機関に販売し、金融機関はこれを証券化商品に変えて投資家に販売し、その投資家はさらに他の投資家に販売を繰り返す。
なぜそうするかというと、この商品が毒まんじゅうであることをみんなしっており、したがってババ抜きのババのように早く売り抜けた者が勝というゲームを行っていたからだ。

注)最終的にこの商品を保持していた金融機関や投資家はこれがババ抜きのババであったことをしらなかったか、ゲームに負けたことになる。

 こんなひどい詐欺が行われていいのだろうか。まるでマルチ商法だ。
サブプライムローンは評価員によってすべて優良物件として評価されており、その評価を示唆したのが大手金融機関やヘッジファンドだったということだ。
この番組ではそのようにな示唆を行った大手金融機関幹部が訴追されないのはおかしいと追及していたが、実際司法省は刑事事件にするには決定的な証拠がないとして訴追をしていない。

注)正確にいうとこれはアメリカが世界に仕掛けた毒餃子で、アメリカ政府もそうした事実を知っていて目をつぶっていたといえる。何しろウォール街はアメリカの心臓の一つだからだ。
なお、アメリカ経済がたどったその後の措置については以下に記載してある。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/22124-d7d9.html

http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-6dbb.html

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評論 世界経済 アメリカ経済」カテゴリの記事

コメント

いつも貴重な情報、思慮深い洞察力に基づく分析をご教示いただきありがとうございます。いつも私が起きてまずすることは山崎さんのブログを拝見することで、仕事柄宵っ張りの朝寝坊なので5時間の時差にもかかわらずほとんどの場合山崎さんのブログのアップのほうが先で既にアップロードされており、私の生活のルーチンになっております(笑)

さて、今回の情報も衝撃的でした。私もデリバティブという面妖なトリックがローン不適格者へのローンをしても最高格付けならしめているとばかり思っておりましたが、最初っから不適格者の評価を評価員の恣意的判断で高めておいてあったんですね。それで金融界のトップがだれもつかまらないというのは60年代までのマフィアが野放し状態にあった状況をほうふつとさせますね。

さて、放送元を教えていただいたのでさっそくググってみたところこの放送局はPBS(日本のEテレに当たる)の系列局らしくネットで放送動画を見ることができます。下記にURLを張り付けておきます。英語なのですが、すこし覚えのある方でしたらPBSのすばらしいところとしてCC(字幕)が使えます。(画面右下にでてくるCCをクリックすればOKです)
Untouchable:
http://www.pbs.org/wgbh/pages/frontline/untouchables/

PBS動画は最近流行りのTEDとともにこのほかにも有益な情報がたくさんあり、まさに情報の宝庫ですので、お時間がありましたら是非サーフしてみてください。きっと山崎さんの触手に引っかかるものがたくさんあると拝察します。

日本はとても暑いと聞きますがどうぞ山崎さんにおかれましてもご自愛いただき、末永く有益なブログをお続けいただけますよう祈っております。

(山崎)海外で読んでくださっていると思うとブログの国際性を感じます。またPBSに関する情報ありがとうございます。

投稿: めんたい | 2013年8月 1日 (木) 07時55分

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