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(25.6.22) BS歴史館 「江戸のスーパースター 関孝和」 江戸は数学のメッカだった

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 私はこうした種類の人がとりわけ好きだ。江戸時代の天才数学者と言われた関孝和のことである。
関は甲府藩勘定方の御賄頭という役職の武士だったが、今でいう経理部係長程度の役職だ。
武士としては全く出世とは無関係で、ただひたすら甲府藩士の給与計算や土地台帳の面積の検算をしていたサラリーマン武士だった。
そしてもっぱら趣味で数学研究にいそしんでいたとう。

注)私は現役のときに人間はどこまで肉体を鍛えられるのかがテーマでそのことに熱中していた。目標は違うが関孝和と私は同じメンタリティーを持っている。

 その関の研究による数学が当時(江戸初期にあたる17世紀後半)の世界的レベルに達し、その業績はニュートンライプニッツに比肩されるいうのだから驚いてしまう。
江戸時代は関の功績もあり世界最高水準の数学王国だったのだが、残念なことに明治維新でヨーロッパの数学が導入され江戸時代の和算は顧みられることはなくなった。

 私も今回のBS歴史館江戸のスーパー日本人、関孝和」を見るまでは和算についても関孝和についても詳細は知らなかったが、現在関の業績は世界では広く認められ始めているという。
和算は現在数学とはだいぶ趣が違い、私たちは算用数字(0.1.2.3.4.・・)を使って計算を行っているが、関の和算は傍書法という記号(一見するとローマ数字に近いが内容は算用数字と同じ)を使用して計算をしている。

 これによってそれまで解くことができなかった未知数が二つ以上の数式の回答を出せるようになった。今流の言い方をすれば行列式の多元一次式が解けるということで、行列式を研究したライプニッツとほぼ同時期に行列式の一般的解法に近い状態まで到達していたという。
また円周率を小数点以下11桁まで正確に計算していたし、特に素晴らしいのはベルヌーイ数の発見で、ベルヌーイと同時期にこの数を発見している。
最も私にはベルヌーイ数と言われても全くぴんと来ないが、番組に出席していた専門家はΠパイ)と同じ程度に数学にとって基本となる数だと説明していた。

 日本は開国とともに欧米からの新技術を取り入れ、数学についても西洋数学を取り入れたが、なぜ日本人がこの西洋数学洋算)をいとも簡単に理解できたかの最大の理由がこの和算の隆盛にあったという。
日本は江戸時代世界最先端の数学王国で、今のインドのような国だったと言えばイメージがわくだろうか。

 当時は互いに難しい問題を絵馬として奉納し(一般公開し)それを解くのがブームになっており、知的レベルの高い人の娯楽になっていた。
日本では昔から「芸の前の平等」という原則があり、身分制度を超えて芸事の天才を素直に認める風習がある
たとえば「和歌の前の平等」では関東や東北の防人(農民)の歌でさえ万葉集に収録されていたし、平安朝の貴族社会では殿上人でなくても(身分の低い貴族や僧侶でも)、天皇や高級貴族のサロンに入ることができた。
また茶の湯では千利休が信長と秀吉の茶の師匠になって入る。

 和算の社会でも同じで、関の門人は能力があれば身分を問われなかったし、実際多くの和算塾があったがそこには女性や商人や少年少女が自由に出入りをして、能力だけで互いに競い合っていた。
一見固定的に見える身分制度も芸事の世界和算、俳諧等)では四民平等の自由競争社会だった。

 この平等性こそが和算を発達させる最大の契機で、知的レベルの高い人々はこの数学にのめりこんでいった。
何とも不思議な感じがするが、関孝和が現れる前にこの数学ブームの火付け役がいて、それは1627年に塵劫記じんこうき)を著した吉田光由である。この本には数詞、そろばんの計算の仕方、日常生活の問題とその解決法、能力のある人に対する難題の出題と、現在の良質の教科書に負けない教科書であったという(研究者が今読んでもとても面白いと言っていた)。

 優れた数学の教科書、関という世界的数学者の出現、それに関数学研究所と言ってもよい関門グループの形成により、日本の数学和算)は芸事の領域を超えて江戸時代の基礎を支える学問になっていった。
その結果が伊能忠敬の世界的レベルの地図の作成(伊能忠敬の地図作成メンバーに関グループのメンバーがいた)につながっていったという。

 私は本当に感心してしまった。昔の教科書では江戸時代は士農工商の身分制度でがちがちに縛られたとても窮屈な時代で、農民は年がら年中一揆をおこし、それを武士が弾圧していたと教えられた。
しかし実際は芸の前の平等が確立されたとても知的な社会だったようだ。

注)何度も言って恐縮だが私の高校時代の日本史は唯物史観に彩られていたため、民衆の権力に対する闘争史として描かれていた。

 江戸時代日本は世界最先端の数学王国だったが、それにしては現在はそうした評判をインドにとられてしまっている。
何とも口惜しく関孝和の偉業を少しでも見習ってこの日本に再び数学ブームを起こしたいものだとひそかに思っている。

なお数学教育についての記事は以下にまとめて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat51314868/index.html
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat8793778/index.html


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