« (25.5.13) アベノミクスに対する庶民の対処方法 その2 こうして資産を守ろう How to deal with common people against Abenomikusu. "Part 2". Thus to protect the assets | トップページ | (25.5.15) NHK メイド・イン・ジャパン(2) 新成長戦略 その2 3Dプリンターの攻防 NHK "Made in Japan", new growth strategy, "Part 2", offense and defense of the 3D printer »

(25.5.14) NHK メイド・イン・ジャパン 新成長戦略 国家の攻防 その1

Dscf6130

 現在NKHが放送している「メイド・イン・ジャパン」(2)新成長戦略 国家の攻防を見ながら、日本はつくずくアメリカの実質的な保護国だとの感を強くした。
この番組では国家の攻防の失敗例成功例を放送しているが、日本にとって最も悔やまれる失敗例はアメリカとの半導体交渉だ。

 半導体と言えば私が現役でシステムを担当していた1980年代は、日本製品が世界を席巻していた。
ジャパン・アズ・NO1と言われたり、次の大国は日本だと言われていた時期だが、この時期に繰り広げられたアメリカとの半導体戦争で日本はアメリカに敗北し、その後の失われた20年の一要因を作っている。
もしあの時勝利していれば、日本企業はその後も世界のリーディング・カンパニーでいられたし、失われた20年から素早く立ち直っていたかもしれない。
だが実際はアメリカに蹴落とされ、現在の二流国家に押し込められた。すべてはあの時の国家戦略の失敗だという。

注)私は今まで半導体交渉の失敗が今の日本を作っていたという認識はなかったが、今回この番組を見てアメリカにしてやられたとの感を強く持った。

 日本がアメリカを半導体シェアで抜き去ったのは1985年だが、このころからアメリカとの間で日米半導体交渉が繰り広げられた(日米貿易摩擦の一環としての半導体交渉)。
アメリカとしては産業のコメと言われた半導体市場で日本に敗北することは何としても避けるために、アメリカ政府の戦略目標は日本の半導体産業の成長をストップさせることにあった

 アメリカの交渉団の代表だったプレストウィッチ氏は当時を振り返って次のように述べている。
アメリカは日本に対し特定産業(半導体産業)をターゲットにした育成策は公正な競争のルールに反すると主張したが、個人的にはこの方法は正しいと思っていた。日本に対しては半導体の育成策を止めさせ、その間にアメリカでは官民挙げての半導体育成に取り組み、1993年までにシェアを抜き返すのがアメリカの戦略だった

 1986年日米半導体協定を結んだのだが、この趣旨は① アメリカに対して販売する半導体の価格を上げること(ダンピング輸出の禁止)、および 自主的にアメリカにおける日本メーカーのシェアを引き下げること、さらに 日本市場での外国製品の割合を20%以上にするという協定だった。
なんてことはない、公正な競争を止めて日本メーカーは自主的に販売を自粛しろという内容だった。

 1990年には日本の半導体シェアは50%だったから、この半導体協定がなければその後の日本は半導体王国として世界に君臨していたはずだ。
NECや東芝や日立はインテルやサムスンやテキサス・インスツルメンツを全く寄せ付けないガリバーになっていただろう。

 しかしこの協定のため日本の半導体産業はその後設備投資を控え研究開発を怠ったために(作っても売れないのでそうせざる得なかったのだが)急激にシェア落とし、2012年には17%にまで低下してしまった。
今残っているのは東芝ルネサスNECと日立と三菱電機が出資)だけになり、その中でルネサスは8期連続の赤字企業で倒産直前まで追い込まれている。

 この間大躍進したのがサムスン電子で、日本が半導体協定で縛られてアメリカ市場でのシェアを低下させている間に、設備投資を大々的に行いインテルに次ぐ半導体メーカーに成長した。
日本が動きが取れなかったから大チャンスだったのです」とサムスンの半導体部門の責任者が言っていた。

 さらに世界ではもう一つ劇的な変化が起こっていたという。それまで半導体の生産には開発・設計・製造・販売という工程があり、ほとんど一社の中で完結していたが、台湾のtsmcはこのうち製造部門だけに特化して、世界の半導体の製造の大部分を引き受けてしまった。
製造では量が問題なのです。多くの生産ができればそれでコストが引き下がます。量の拡大こそがコスト引き下げのキーなのです

 1980年代、日本は世界の中心だった。しかしアメリカとの日米半導体戦争に負け、自主的に生産も研究も自粛している間に、アメリカ、韓国、台湾に半導体市場を奪われてしまった。
今残っている日本企業のうち東芝はまだしも、ルネサスは実質倒産会社で、官民ファンドから1400億の資本を導入し、トヨタと日産が後押しをしてかろうじて生き残っている。
それも通産省が、日本から半導体産業を消滅させてはならないという危機感で無理やり官民共同で支えているというのが実態だ。

 半導体産業が危機に陥った理由は整理すると以下のようになる。

① 日米半導体協定でアメリカ市場での販売を自粛し、研究開発投資も縮小した。

② その間アメリカは日本式官民協力による半導体産業の立て直しに成功し、韓国は日本メーカーのシェアを奪い、台湾は製造に特化して価格競争力を増した。

③ 日本の税体系は法人税率が高く企業の競争力をそいだが、日本は競争力強化よりも法人税の確保に重点を置いてきた。


注)法人税率 日本35.6%、ドイツ 29.5%、韓国 24.2%、シンガポール 17.6%

④ 韓国と日本の為替レートを比較すると日本は円高が進み、一方韓国はウォン安が進んだために日本製品の輸出競争力がなくなった。

 
 戦略で失敗し、法人税引き下げ競争でも敗北し、さらに円高では日本の半導体産業が生き残るすべはない。

 半導体であれ自動車(トヨタバッシングのいかさまを思い出してほしい)であれ、日本はアメリカを凌駕する直前になるとアメリカからの圧力でその成長の芽を摘まれてしまう。
アメリカは自国の産業を保護するためにそうした戦略をとるのだが、なぜ日本が常に敗退しアメリカの要請を受け入れざる得ないかは、悲しいことに日本がアメリカの実質的な保護国だからだ。

 正式の交渉の場ではアメリカは、「ターゲット政策による産業育成は不公平だ」との自由貿易の論理を展開し、裏では「日本をアメリカが核兵器で守っているのをよもや忘れはしまいな」と脅しをかける。
石原慎太郎氏が「日本はアメリカのめかけ」とかなり下品に日米関係を表現したが、国の独立をアメリカ軍に保護してもらっている限り、日米交渉で勝利がないというのが実態だろう。

 日米半導体交渉トヨタバッシングも同じ)とその結果を見るにつれ、日本がどうしてもアメリカを抜き去ることができない現実を感じる。アメリカが許す範囲内の経済活動でしか日本できず、日本が永遠に世界のトッププレーヤーになれない。
第二次世界大戦に敗北してすでに70年近く経っているが、いまだに日本はアメリカの保護国でアメリカが押し付けた憲法すら変えることもできない。

注)ドイツも同じく第二次世界大戦で敗北したが、こちらはEUという枠組みを作り、戦勝国フランスを取り込むことで戦後の桎梏から逃れることができた。

 日本は復活できるのだろうか。復活ができてもアメリカが許す範囲内(今回の日銀の金融緩和もアメリカの許可のもとに行っている)の復活だから、日本は永遠に二流のプレーヤーというのが、悲しい歴史の現実のようだ。

なお経済成長に関する記事は以下にまとめて入っています。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43696146/index.html


 

|

« (25.5.13) アベノミクスに対する庶民の対処方法 その2 こうして資産を守ろう How to deal with common people against Abenomikusu. "Part 2". Thus to protect the assets | トップページ | (25.5.15) NHK メイド・イン・ジャパン(2) 新成長戦略 その2 3Dプリンターの攻防 NHK "Made in Japan", new growth strategy, "Part 2", offense and defense of the 3D printer »

評論 日本の経済 経済成長」カテゴリの記事

コメント

>>注)ドイツも同じく第二次世界大戦で敗北したが、こちらはEUという枠組みを作り、戦勝国フランスを取り込むことで戦後の桎梏から逃れることができた。

アメリカが黙って見過ごすはずは無い。ユーロは崩壊するでしょう。

投稿: A | 2013年5月14日 (火) 09時25分

日本はアメリカの保護国ではなく、アメリカの属国です。
次の米中戦争では、最前線基地となるでしょう。

投稿: 小宮  | 2013年5月25日 (土) 21時25分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (25.5.13) アベノミクスに対する庶民の対処方法 その2 こうして資産を守ろう How to deal with common people against Abenomikusu. "Part 2". Thus to protect the assets | トップページ | (25.5.15) NHK メイド・イン・ジャパン(2) 新成長戦略 その2 3Dプリンターの攻防 NHK "Made in Japan", new growth strategy, "Part 2", offense and defense of the 3D printer »