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(25.4.15) BS歴史館 もう一つの外圧Ⅱ 露寇事件 その2

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これは「その1」の続きです

 私は司馬遼太郎氏「菜の花の沖」で描かれた高田屋嘉兵衛の活躍には非常に感銘したが、当時の日露関係史についての知識がなかったため、なぜこの時期に日露関係が緊迫したのかわからなかった。

 ロシアが太平洋に現れたのはもっぱらラッコ等の毛皮を捕獲するのが目的だが、残念なことにロシア沿岸には冬も凍結しない良港は存在しない。
水にも食料にも不足をきたし、それを日本から調達できればロシア艦隊にとって非常に好都合だった(アメリカが捕鯨船団の水と食料を求めたのに似ている)。

 1792年アダム・ラックスマンは漂流者大黒屋光太夫を日本に帰還させることを口実に日本に開国を迫った。
ラックスマンは非常な紳士だったので、江戸幕府が示した長崎入港許可書を得ただけて帰国したが、その許可書とロシア皇帝の親書をもって1804年日本を再訪したレザノフに対しては、幕府はけんもほろろの対応をした。

注)アダム・ラックスマンと大黒屋光太夫については井上靖氏が「オロシャ国酔夢譚」という小説を書いている。

 レザノフについては(その1)で記載したが、レザノフが切れて1806年から07年にかけて樺太や択捉のアイヌとの交易所を襲った露寇事件が発生した。
そしてその後日本とロシアは交戦状態にあって、特に露寇事件では日本はロシアに歯が立たなかったため、日本は汚名挽回に躍起となっていた。
何しろ日本は武家政権でその武家政権が簡単に負けては面目が立たない

 日本にとっては幸運に一方ロシアにとっては不運だったことは、その後ロシアは強硬政策をやめて再び友好政策に切り替えていたことである。
すっかり戦争気分から抜けて千島列島を測量していたディアナ号の艦長ゴローニン中佐は、1812年国後島で汚名挽回に燃えていた松前藩士によって拿捕され松前に幽閉されてしまった(ゴローニンは友好を示そうとして捕まってしまった)。

 これに収まらないのは副艦長で運よく逃れたリコルドで、さっそく日本船を拿捕しその船長を捕獲してゴローニン中佐との捕虜交換に船長を利用することにした。
この船長が高田屋嘉兵衛である。
当時高田屋嘉兵衛は幕府の御用商人として特に国後・択捉島方面での海産物取引を一手に取り扱っており、この地域の第一人者といってよかった。

 今でもアフリカや中東地域で戦乱が収まらない場所では正式な外交官よりも、熱血商人商社員)の活躍が目立ち、情報もこうした人が独占しているが、それは今も昔も変わりがない。
高田屋嘉兵衛は蝦夷地、それも国後・択捉方面の実質的な幕府の代表者だった。

 1813年、リコルドは高田屋嘉兵衛を伴い、ゴローニン中佐との捕虜交換交渉に松前にやってきたが、信じられないことに幕府の公式な代表松前奉行との交渉をこの高田屋嘉兵衛が行っている。
捕虜でありながら日本の外交官としてふるまうのだからまことに不思議だが、高田屋嘉兵衛は実質的にそうした立場の人間だった(当時は近代的意味の外交官は存在していない)。

 結局高田屋嘉兵衛の説得(ロシアは領土的野心がなく、ただ通商を求めているだけ)を松前奉行も認め、ゴローニン中佐と高田屋嘉兵衛の捕虜交換は順調にすすみ、ここにロシアとの戦闘状態は終結した。

 もし高田屋嘉兵衛がいなければ当然リコルドはロシアの名誉にかけて松前を急襲し日本との戦端が切られた可能性が高いのだから(第二次露寇事件になる)、高田屋嘉兵衛の尽力は大きく評価されていい。
もっともゲストに出ていた東京大学の名誉教授は、「高田屋嘉兵衛は実際よりも高く評価されすぎており、政商として幕府の意向がわかっていたのでうまく立ち回っただけだ」と言っていたが、外交とはうまく立ち回って戦争をせずに問題を解決する方法だから、私は彼を高く評価したい。

 しかし今回のBS歴史館を見て初めて18世紀の後半から19世紀の前半にかけて日露交渉史というものを知った。
江戸時代史を知れば知るほどそのダイナミックな動きに驚く。
徳川260年の平和もこうした日々の努力によったのか」という感動だ。

 ペリーが来航する50年前から日本はロシアとの間で開国か鎖国かの選択を迫られ、結局は鎖国体制を強化したのだが、そうしない選択も当然あった。
何か日本とロシアは常に敵対してきたようなところがあるが、少なくともこの時期のロシアは日本に友好的でアメリカのペリーのような強硬策(露寇事件はあったがすぐに友好交渉に切り替えたためゴローニンが捕虜になってしまった)はとっていない。

 ロシアとの間で通商条約を結べば徳川幕府による近代が始まってしまうがそれは明治維新と相当異なったものになっただろうと思う。

なお日本史に関する記事は以下にまとめてあります。
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