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(25.2.3) インフラの維持管理は可能か? 老朽化するインフラの現状

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  NHKのクローズアップ現代が時宜を得た放送をしていた。
問われる維持管理」という番組で、今回の安倍内閣の当初予算公共工事費7.7兆円の使途が適切かを問うていた。

 7.7兆円のうち維持管理費として計上された額は2.2兆円で、残りの5.5兆円は新規の公共事業費となっており、ここには二つの問題が存在している。
一つは維持管理費2.2兆円で十分なのかという問題と、もう一つはまた不要な新規投資を行って将来にツケを回すのが適当かという問題である。

 維持管理については最近までほとんど無視されてきていて、はっきり言えば作りっぱなしの状態だった。
しかし日本では高度成長期に建設してきた道路や橋やトンネル等の老朽化が今一斉に始まっている
昨年それが誰の眼にも明確になったのが中央高速笹子トンネルの天井の落下で、この事故で9人の命が失われた。

 事故の後笹子トンネルを点検をした結果では1200箇所にのぼる不具合が発見されている。
笹子トンネルだけでなく首都高速などは橋げたがボロボロになってきており、第二の笹子トンネル事故が起こるのも時間の問題だ。

 なぜこのように維持管理が無視されてきたかというと、一番の原因は政治家も行政も企業も関心がなかったからだ。
なんといっても新規に橋を作ったのはわしの政治力のおかげだ」と政治家は選挙民に吹聴するし、行政は維持管理のようなちまちました仕事ではまともな天下りもできない。
そのため公共事業費に占める維持管理費は数%に留まり、こうした仕事は企業も儲けが少ないためやりたがらないという。

 さらに維持管理問題を複雑にしているのが高度成長期の公共建設物については設計図がほとんどないのだという。
そんな、メンテ用の設計図をちゃんと作っていたら時間はたらないし、費用がかさみます。どうせメンテは数十年先の話だから手抜きをしましょう」ということだったが、不幸にしてその数十年先が来てしまった。

注)現行の道路や橋やトンネル等の公共物の約87%は詳細な設計図が存在しない。

 私もかつてシステム開発を長く行ってきた経験から言うと、一番の苦痛は維持管理のための書類を整備することだった
稼働日が決められており、ぎりぎりの日数で昼夜兼行で働いてようやく稼動するというのが実態だからとても書類整備までは手が回らない。
橋やトンネルや道路の建設でも同じことだ。
放送では自治体が橋の補修をしようとしてまず3ヶ月かけて設計図を作り直している様子が映し出されていた。これがないと補修の見積もりもできないのだという。

 自治体は現状の施設をメンテするだけで四苦八苦しており新規に道路など作ると更なる苦労が重なってくる。
人口120万のさいたま市では、毎年155億円もの補修費の不足が見込まれるため、学校を公民館等との複合施設にしたり、整備が予定されていた道路の5分の1を取りやめようとしたりしていた。
馬鹿げている。維持管理もままならないのに新規に道路など作れるか」ということだ。

注)番組に出ていた専門家は本当に必要な維持管理費は毎年10兆円と試算していた。

 一方で長野の山村の村長が新規の道路建設を陳情していたが、これは道路が必要なのではなく道路建設の仕事が必要だからだ。
第一山村の人口は毎年のように減少しており、そこに新たに道路を建設しても利用する人がいない。
人口減少を食い止めるために仕事が必要でそれは道路建設が一番手っ取り早い。

注)こうした作った道路も維持管理が必要になるので、誰も通らない道路の補修をすることでさらに職場を確保する事ができる。それが過疎の村の村長の仕事になっている。

 客観的に見て日本のインフラは飽和状態で、もはや維持管理が不可能なレベルになっている。
コメンテーターとして出ていた大学j教授が以下のような処方箋を提案していた。

 政治家は新規にインフラを作るのではなく維持管理の時代になったことを認識すべき。
② 自治体は道路・橋・トンネルの老化の状態と実際にそれが利用されている実態について正確な資料を作成して重点的に対応を行う。
③ 企業は新規建設でなく維持管理にビジネスチャンスを見つける。
④ 住民はただ闇雲に公共施設をほしがるのではなくその必要性を正しく認識する。

 
 どれも正しい指摘だが、安倍内閣の公共事業政策はその反対の方向に動いている。
政治家は土建業者に大工事を発注して政治献金を期待し、行政は正確な資料作りをする時間がなく、企業は大きな仕事をほしがり、住民は過疎対策として公共事業をほしがる。

 公共工事は麻薬だ。一時的にはカンフル効果があるがすぐにその副作用で苦しむ。これでは日本の再生はとてもおぼつかない。

注)なお安倍内閣の政策については以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat52551955/index.html

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