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(25.1.15) NHK 北の英雄 アテルイ伝 エミシと呼ばれた人々

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  私がどうしても理解しがたい日本史の謎は平安遷都を行った桓武天皇蝦夷討伐である。
桓武天皇は古代の天皇の中でも天智天皇天武天皇とともにいかにも天皇らしい天皇だったが、それにしてもなぜあれほど東北地方蝦夷の地)を簒奪しようとしたのだろうか。
平安遷都を行って資金的に苦しかったはずなのに、何を無理してエミシの討伐に乗り出したのだろうか。

注)私には桓武天皇の蝦夷討伐は安倍首相のアベノミクスのように見える。どちらも財政的には逼迫していたのに無理に拡大路線(領土拡大、公共工事の拡大)をとっている。

 こう思っていたときにNHKがドラマで「北の英雄 アテルイ伝」を放映し始めた。高橋克彦氏の原作で氏は自分の出身地(岩手県釜石市)である東北に深い思いを持っている。
アテルイとは桓武天皇の意を受けた征夷大将軍坂上田村麻呂を苦しめた蝦夷の族長の名である。
私の日本史の知識ではアテルイは10年以上の抵抗の後、最後は田村麻呂に破れて降伏し、平安京につれてこられて斬首されている。

 田村麻呂との停戦条件が「降伏すればアテルイの生命は保障する」だったからこれは明らかにヤマト側の違約だが、斬首を命じたのは桓武天皇で「野性獣心」だからという理由だった。
田村麻呂は懸命にアテルイの助命を嘆願したが聞き入られなかった。
獣との約束は存在しない」というのだからひどい話だ。

 ヤマト政権は東北地方の経営を行うためにまず柵(さく)を設けたが、それはとりでのようなもので、その防御をさらに強化したものを)と称していた。そしてこの城の周りにヤマトに従順なエミシやヤマトの民を住まわしている。
アテルイが反乱を起こした時期には秋田城(き)、多賀城、伊治(これはり)城があったから、かなり東北経営は進んでいた。

注)最初に反乱を起こしたのは大和に投降してその手先になっていたアザマロというエミシでアテルイはそれに協力して反乱に加わった。

 アテルイが住んでいた場所は北上川の中流域にある胆沢(いさわという場所で、彼らは山の蝦夷と呼ばれていた。なお番組では蝦夷えみし)と発音していて蝦夷えぞ)とは言っていなかったのでアイヌとは別民族の古代のマツロワヌ民ということになる。

注)アテルイがエミシかアイヌかはいつも問題になるが、当時のアイヌの本拠地は北海道で東北地方にいたのは縄文時代人の末裔だと私は思っている。
アイヌは川べりや海を生活の根拠としており、あまり山には住まない。アテルイの住んでいた地は北上川中流域だから山の中で、このような環境を好むのは縄文人だ。


 それにしてもと私は思う。なぜ桓武天皇は東北の経営(はっきり言えば侵略)にあれほど熱心だったのだろうか。

 この東北地方へのヤマトの侵略はちょうどアメリカの西部開拓史を彷彿とさせる。次々にエミシたちの生活圏にヤマトが入り込んで土地を奪い、抵抗するものは殺戮したので仕方なしにエミシが抵抗運動を始めたという感じだ。
西部開拓史との違いはアメリカの西部は農耕地や牧場地として適していたが東北はそれほど魅力のあった農耕地ではなかったことだろう。
東北地方は江戸時代でさえしばしば飢饉に見舞われる農作業に適しなかった場所だから、平安初期にこの場所が農耕地に適していたとはとても思われない。

 そんな場所にわざわざ軍団を差し向ける理由はなんなのだろうか。
考えられる回答は砂金である。陸奥の国で最初に砂金が発見されたのが749年といわれており、それで奈良の大仏の金箔を完成することができたのだから、目的は砂金の獲得だったのではないかと思う(聖武天皇はこの砂金の発掘で「ようや盧遮那仏を金箔で覆える」と狂喜していた
アメリカでも西部開拓が一気に進んだのはカリフォルニアで金鉱が発見されたからだ。

 今回のアテルイ伝はそうした話はまったくでず、もっぱらエミシが野蛮人だから懲らしめようというような話になっている。
だが経済的利益もなしに東北経営に乗り出すことがあるだろうか?
私は砂金だと思っているが、今のところ番組では経済的な目的はまったく触れられていない。

なお日本史に関する時事は以下に纏めて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat47308511/index.html

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歴史 日本史」カテゴリの記事

コメント

寒い日が続いておりますが、山崎様もどうかお身体を御自愛下さい。
ここ数日は風邪を拗らせ臥せっておりましたので、失礼ながら何日分か纏めてコメント入れさせて頂きます。

先ずは二日前の記事にありました「擬似金本位制」と言う造語は、まさに的を得た言葉ですねGood!。経済用語として使っても、この言葉の意味を理解出来る人ならば十分皆納得出来るのではないでしょうか。
国家の信用に拠って成立する通貨は国家と同意語と呼んでも良い物だと考えています。
その国家が金融(ファイナンス)と言う怪物を御す事が出来なくなった(=信用の喪失)現状を経済の側面から端的に言い表した言葉だと感じました。
恐らくこれからの十年若しくは数十年、世界はこの怪物と格闘しなくてはいけない時代となるのでしょうが…果たして御し切れるでしょうか?
是非また山崎様の御意見伺いたいと思います。

昨日のネットに拠る自費出版の記事の中で私的に意外だったのは、ソフト環境の設定が想像していたよりも煩雑そうな点でした。
今時ならてっきりホームページビルダー的なソフトが有り、企画に合わせたファイルに変換さえすれば後はペーストしてちょっと修正すれば一丁上がり位に思っておりました(笑)
山崎様は「私は技術的な部分は拙い」と謙遜されていますが、一般の我々にとっては未だ敷居が高い状況ですね。(まぁ恐らく数年後にはもっと扱い易いソフトが出てくるのでしょうが)
それと記事の中で「体系だてて書いている訳ではないので一度電子書籍という形で整理しておきたい」旨の事が書かれておりましたが、形式としては今のままの散文と言いますかエッセイ的な形で十分かと思います。電子書籍ならば今と同様にページのリンク等も可能でしょうしね。後は時事的なネタを題材にされている事が多いですから、時系列的な目次とカテゴリー的な目次の両方があれば助かると思います。
現在の形式で私的には読物として十分に楽しませて頂いております。
(恐らく山崎様は個人的な欲求として記事の整理を望まれているのだとは思います。読み返しますと高飛車な文章になっている事に気付きました(汗) どうか一読者の希望として読み飛ばして下さいm(_ _)m)

最後にアテルイ伝に関してですが…
個人的に中世より以前の歴史は余りにも資料的に乏しい為に、どうしても興味が持てません。「そこにロマンがあるんじゃないか!」と言う批判の声も聞こえてきますが(笑)
今も大手を振って罷り通っている叙情に過ぎる日本の歴史観(驕る平氏久しからず、本能寺の変の動機は光秀の私怨等々)に懐疑的な私は、批評も検証も出来ないアテルイ伝の様なお話にはどうしても興味を持つ事が出来ません。
ただ奈良の大仏と砂金との関連性に関しては、私も何年か前に何かで耳にして「確かに年代的にもかなり信憑性があるな」と感じておりました。(勿論山崎様は独自のお考えに拠ってこの結論に達せされたのだと思っております)
平氏の勃興及び衰退がほぼ対宗貿易の隆盛と衰退に符合する様に、歴史の推移と言う物にもっと経済的な観念を取り入れてしかるべきだと思っております。
私の勝手な思い込みですが、山崎様もこの様な事柄にはきっと一家言お持ちかと思いますので何かの折にお話頂けましたら幸いです。

長々と駄文を並べ申し訳ありません。
久々に体調が良かったので調子に乗ってしまった様です、お許し下さいm(_ _)m

(山崎) 風邪はくれぐれもこじらせないことが大事です。
特に私のように歳をとると風邪で一気に老衰してしまいます。
いつもコメントしてくださってありがたく拝聴しています。今年もよろしくお願いいたします。

投稿: アル | 2013年1月15日 (火) 16時44分

勿論、菌おっと、金の産出は確かに魅力だったのでしょうが、当時の東北は温暖化のために非常に農業生産力があった、山の幸が豊富だったとの見解がありますね。
文明の根拠は食料の確保です。気候変動によって、世界でも実に多くの文明が滅亡の道をたどっています。

投稿: バイオマスおやじ | 2013年1月15日 (火) 21時25分

大和朝廷が東北の支配に熱心だったのは、私も砂金に目をつけたからだとおもう。

投稿: ありこ | 2013年1月22日 (火) 00時46分

やっぱり砂金は見逃せないファクターだと思いますね
奥州藤原氏も朝廷に金を献上することで半独立を保っていたわけですし。

ただ、江戸時代に東北地方で飢饉が頻発したのは北半球を覆った小氷期のためだったようですし。
アテルイの時代の東北地方はそれなりに生産性の高い土地だったのかもしれませんね。

投稿: ロク | 2013年1月26日 (土) 04時33分

東北の英雄はほとんど畳の上じゃ死ねない法則・・・・・
東北の英雄には常に悲劇がつきまとうんだよね・・あるいはいいとこまで行くけど今一歩で終わったとか、いやとにかく滅亡ばっかりだな
東北生まれ 
アテルイ(滅亡、英雄第一号だな)、安倍貞任(滅亡)、藤原秀衡&奥州藤原氏(滅亡)、伊達政宗(生き延びた)、九戸政実(滅亡)
東北で育った
源義経(滅亡)

親が東北
山本五十六、東条英機、米内光政(大日本帝国滅亡!)
個人ではないけど
会津藩&奥羽列藩同盟+土方歳三と新選組(お約束どおり滅亡!)

なんか栄光と挫折、滅亡ばっかりな気が・・・

(山崎)とても斬新な指摘ですが、私は東北地方が平安時代までは一種の植民地(化外の地)だったからではないかと思っています。その独立運動を朝廷側が押さえつけてきた歴史ではないのでしょうか。
さらに言うと平安以降も中央とは異なった場所という意識が残っていたのではないでしょうか。

投稿: llll | 2013年2月 1日 (金) 00時12分

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