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(25.1.3) NHKスペシャル 2013年 日本は世界とどう向き合うか

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トシムネさん撮影 外房の浜辺

 例年正月にはNHKスペシャルプロジェクト・ウィズダムで世界の知性の意見を聞いていたが、今回はそんな悠長なことが出来ないほど近隣情勢が逼迫しているので日本人の識者だけになった。
今回の正月のテーマは「2013年 日本は世界とどう向き合うか」だったが、この場合の世界とはもっぱら中国尖閣諸島問題が最大の懸念材料として取り上げられていた。

注)かつてウィズダムで多くの識者が登場したが、本当の意味で日本の政治・経済を熟知していたのはフランスの経済学者ジャック・アタリ氏だけだった。
他の人は日本の専門家でないので一般論を開陳するだけで日本人にとって有益な提言とはいいがたかった。


 今回は多くの識者といわれる人が登場していたが、実際の識者は外交評論家の岡本行夫氏孫崎亨氏、それと大学教授の興梠一郎.だけであり、他の四人はレベルが違いすぎて刺身のつまに過ぎなかった(ただしローソンの副社長の新波氏の話は少しだけ興味が持てた)。

 議論は真っ向から主張が対立している岡本氏孫崎氏の議論に、興梠氏が割ってはいると言う構図になっていた。

 岡本氏の主張は以下の通りだった。

・中国は尖閣諸島で日本の実効支配が及んでないことを世界にアピールするために漁業監視船や航空機の領空侵犯を繰り返している。

・なぜここに来て中国が尖閣諸島の領有を強く主張したかは、海軍力の増強により第一列島線内(
これは台湾を太平洋側から攻撃できる領海を含んでいる)を中国の内海にしたので、第2列島線内(フリッピンを太平洋側から攻撃できる領海を含んでいる
)の確保に乗り出したため。

・太平洋に出るには尖閣諸島の航路が絶対に必要(
反対に日本に確保されると太平洋に出られない)なため、全力を挙げて尖閣諸島の領有に乗り出した。


注)列島線の詳細な説明は以下を参照
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%88%97%E5%B3%B6%E7%B7%9A 

 一方孫崎氏は岡本氏に反論して以下のように述べた。

・中国政府の最大の課題は国民の生活向上で、そのために対外的に問題を起こしたくないと考えている。

・今回の尖閣諸島問題でも日本が尖閣諸島を国有化したから反発したので日本側が静かにしていれば中国は紛争を起こそうとはしない。

・中国政府内部にも強硬派と穏健派があり、日本はこの穏健派と連携して東アジアの発展に尽くすべきである。


 興梠氏の意見は岡本氏と孫崎氏の中間のような意見だった。

・短期的には中国は安定と経済発展をもとめてあえて日本とことを起こしたくないと考えている。

・しかし中長期的には中国の仮想敵国はアメリカで、そのためにアメリカが支配している西太平洋を中国の内海にするのが中国の基本的戦略だ。

・そのため尖閣諸島周辺海域を中国領にしなければ太平洋に自由に出られない。

・尖閣諸島問題は中国とアメリカのパワーバランスのせめぎあいの最前線になっている。

 さてこのような三者の発言を聞いてどのように判断したらよいだろうか。
結論から言えば私は孫崎氏の意見は間違いで、岡本氏が正しいと考えている。

 思い出してほしい。尖閣諸島問題で最初に手を出したのは中国で、2年前の中国漁船当て逃げ事件がその端緒だ。
この当て逃げは中国側の意図的な仕業で日本政府がどのような対応をするかためしたものだった(船長はプロの煽動家だった)。
当時の菅内閣は慌てふためいて那覇地検の判断として船長を釈放した。

 孫崎氏の主張は常に日本が先に中国を刺激していると言うのだが、これも日本の海上保安庁が意図的に漁船に監視船をぶつけたと言うのだろうか。

注)当時の菅内閣の対応については以下の記事参照。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/22117-271e.html

 孫崎氏は非常に特有のキャラクターを持っている。もともと外務省の上級職員だったが当初はロシア課に配属されてロシアンロビーだったようだ。
鳩山内閣の時代に鳩山氏のブレーンになって普天間基地の海外移転等を進めようとしたが見事に失敗した。
氏の言説は「(どんなに中国人が日本企業を打ち壊そうとも常に悪いのは日本で中国は正しい」と言うことで、さらに言うと「アメリカの支配下にある日本の現状は正しくない」としばしば表明している。
アンチアメリカ派なのだが、それがなぜ中国のエージェントのような言説になるのか私には分からない。

 氏は中国の軍拡は常に防衛的なもので(実際は2000年を100とすると中国は480、日本は96の軍事費の増大になっている)、アメリカと日本の防衛力強化は反対に侵略的なものとみなしている。
中国宥和派でちょうど第二次世界大戦前のイギリス首相チェンバレンヒットラーのナチスドイツに常に融和策をとっていた)のようだと言うとイメージがわくだろう。

 昨今の中国政府の戦略は明確に日本を脅して戦争に引き込もうとしているのであり、弱い国はすべて中国の支配下におこうとしている。
だから孫崎氏のような言説に迷わされずに、日本は中国が膨張政策を取っていることを認識し、アメリカとの共同防衛に努力するのが正しい態度だろう。
日本は中国と違って言論が自由な国だからどのような言論も許されるが、流言飛語に近い孫崎氏の言論には(鳩山元総理と同じように)注意が必要だ。

注)中国の戦略的意図は以下の記事に纏めておいた。
 http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/241231-d09b.html


 
 

 

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