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(25.1.11) フランスから金持ちが逃げだした。 オランド政権の所得税増税法案の波紋

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 日本からはアベノミクス資本資金)が逃げていくが、フランスではオランド大統領増税法案を嫌って金持ちが一斉に国外に逃げ出している。
オランド大統領社会党の大統領らしくさっそく金持ちをターゲットにした法案を提出し、13年度から100万ユーロ(約1億円)以上の所得がある人の税率を現行の41%から75%に引き上げると発表した。

 このためフランス人のベルギー国籍申請者が過去一年間で126名に登り、いづれも高所得者ルイ・ビトンの会長もいる)だったのでフランス政府が目を向いた。
愛国心のかけらもない売国奴め!!!」
さらに追い討ちをかけたのが、有名な俳優のドパルデュー氏で「オランド大統領は成功、創造性、才能を罰すべきだと考えている」と言う捨て台詞を残して、ロシア国籍を取得したものだからこれにはフランス人もびっくりした。

 ロシアの所得税率一律13%なのがその理由だが、もちろんドパルデュー氏はそのようなはしたないことは言わない。
国籍取得の理由はロシアが偉大なる民主国家だからだ」と言ったのでプーチン大統領が泣いて喜んでわざわざロシア国民を証するパスポートを自ら手渡した(ロシアではこのパスポートがないと何もできない。かつては所持していないとスパイとして逮捕された)。

 フランス経済リーマン・ショック以降超低迷が続いている。経済成長率は11年度1.7%、12年度0.2%、そして13年度も0.4%と想定されているので、日本と同様成長が止まった社会だ。
理由はこれも日本と同様、安い労賃を求めて企業が国内生産を諦めEU圏の安価な労働力を求めて外国(といってもEU内の国)に転出しているからだ。

注)フランスの労賃はヨーロッパ屈指の高さでドイツより高い。
1時間当たりフランス34.2ユーロ、ドイツ30.1ユーロ。


 さらにフランス独自の問題として労組が非常に強い力を持っているため海外からフランスに投資をしようとする企業がない。
自動車大手のプジョーが工場閉鎖を図ろうとして組合ともめており、オランド政権が組合に肩入れしているため合理化もままならない。
失業率は10%程度に高止まりして、若者だけで言えば23%程度だから4人に一人は失業者だ。

 かつてEUの盟主と言えばフランスドイツだったが、今やフランスはそうした力はなく、国債の格付けが最高位から一ランク引き下げられ、何時ドイツやIMFから支援を受けるか分からないような状況になっている。

 最近はカタール資本がパリの主要な建築物や絵画を買いあさっているため、危機感を持った人たちが「カタールは自国に帰って自分たちの国に投資をしろ」と叫んでいたが、投資をしてくれるだけでも本当はありがたいことなのだ。

 フランスと日本はある意味で非常に似ている。どちらも成長が止まった社会で、出生率は非常に低いし(ただし最近はフランスの出生率は上向き始めた)、既得権益団体の労組農業団体が非常な力を持っているし、そして官僚支配が貫徹していることなど日本と瓜二つだ。

 こうした社会構造になるとほとんど経済成長はままならず、国家が残された富を収奪しようとすると金持ちは国家を捨ててしまう日本でもマレーシアで生活することがはやりだしている)。
グローバル社会では人も資本も物も自由に国境を越えて移動するから、一国が極端な税制や経済政策を採用すると人も資本も逃げ出してしまう。
国家が人と資本を支配できたあのこよなき国家の時代は終ってしまった。

注)こうして多くの国家の税制や経済制度や法律が同じように収斂していくが、それがグローバル社会と言うものだ。

なお、フランス経済については以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat49313359/index.html



 
 

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