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(24.12.8) NHK BS歴史館 「ミッドウェイ海戦 敗北が語る日本の弱点」 その1

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 太平洋戦争で日本はアメリカに大敗したのだが、なぜ日露戦争のようにイーブンに持ち込めなかったかととても不思議に思っていた。
特にミッドウェイ海戦は日本が必勝の態勢で臨み、軍備も日本が圧倒的に優勢だったのに(日本の空母4、アメリカ3、他に日本軍は戦艦大和等主力艦をすべて投入していた)、日本の連合艦隊の空母は日露戦争時のバルチック艦隊になり海の藻屑と消えてしまった。
アメリカ空母の待ち伏せ作戦にものの見事にひっかかったからだ。

 当時山本五十六連合艦隊司令長官はこの戦争を短期決戦で終結しようとしていたし、1941年12月真珠湾攻撃で大勝利を収めていたのだから、戦争を有利に終結できる条件は整っていた。
山本司令長官は「ミッドウェイをたたけば必ずアメリカの空母が出てくる。アメリカで残っている戦力は空母だけだ(戦艦は真珠湾攻撃でほぼ全滅していた)。ここで勝利すればアメリカは戦意を失うから戦争終結に持ち込める」と言うビジョンを描いていた。

 それが1942年6月のミッドウェイ海戦の敗北ですっかりシナリオが狂ってしまい、その後3年以上も無駄な戦争を続けたのだが、それから後はただアメリカのサンドバックになっただけだった。
なぜ山本五十六東郷平八郎でなく、ロシアバルチック艦隊司令長官ロジェストヴェンスキーになってしまったのだろうか。

 今回「歴史秘話ヒストリア」「ミッドウェイ海戦 敗北が語る日本の弱点」と言う番組でその原因を探っていた。

 日本は真珠湾攻撃の半年後には大敗北を喫し、主力空母4隻が撃沈され、航空機300機将兵3000人が戦死したが、これは日本の虎の子の空母と最も良く訓練されていた航空機の乗員だった。
番組では東京大学大学院教授の加藤氏が以下の原因を述べていた。
なお(  )の中の説明は私が加えたものである。

① 国力判断の誤り(GDPの差は開戦時約20倍の差があった。したがって日本は一度戦力を失うとアメリカの20分の1程度の回復力しかなかった

② 情報軽視(
日本は情報戦略をほとんどとっていなかった。スパイを摘発することには熱心だったが暗号文の解読と言う当時の戦争の常識を身につけていなかった

③ 兵站軽視(
戦闘重視で兵站は二流の仕事と考えられていた。占領すれば食料は現地調達できると簡単に考え戦線拡大に走った

④ 命令系統の不統一(
海軍は軍令部が作戦指令を出すことになっていたが、実際は連合艦隊司令部が作戦を遂行してた。日本では現地司令部が中央の言うことを聞かないのは常識で陸軍の関東軍、海軍の連合艦隊という相似形をしていた

 上記の中で「情報軽視」こそが日本軍の最大の弱点と指摘していたのは、防衛省防衛研究所主任研究員小谷氏だった。
氏によれば日本の情報の取り扱い方は、作戦遂行を行うための説明理由に使われるだけで、作戦を行うための判断材料ではなかったと指摘していた。
日本海軍は作戦重視・情報軽視が徹底していて、情報は上司の裁可を仰ぐための補助材料だったと言う(だから都合の悪い情報は伏せられた)。

 一方アメリカは真珠湾の敗北後新たに任命されたニミッツ太平洋艦隊司令長官は徹底的な情報作戦を展開し、日本軍の暗号電文の解読に150名の優秀なスタッフを配置していた(日本でもこうした要員はいたが人数も能力もはるかにアメリカに劣っていた)。

 日本軍の暗号電文5桁の数字を乱数表で暗号化したものだが、陸軍はこの暗号文が暗号として解読可能なことを実際に実証して見せた。
陸軍あんた、この暗号文では敵に情報が筒抜けになる。もっと複雑な暗号にしなければアメリカに作戦を読まれてしまう
海軍いや、日本語は特殊でアメリカ人は日本語を読めないからこれで大丈夫だ。陸軍さんが余計な心配をしなくていい

 実際は1942年5月珊瑚海開戦(空母対空母の始めての戦闘)ではアメリカは暗号解読に成功していたが、作戦の失敗から日本海軍の小差の勝利になっている。
ニミッツは真珠湾、珊瑚海の敗戦を教訓にさらに解読の精度をあげて日本軍を待ち伏せして壊滅する作戦(当時の戦力比ではアメリカはこれ以外に勝利する手段を持っていなかったをとることとしていたが、ついに日本軍の決定的な暗号文を入手した。
それは兵員輸送船五州丸に対する暗号文「基地設備と兵員を乗せAFに進出せよ」で、日本軍の攻撃目標がAFであることが分かった。

 ただしアメリカはこのAFがどこか判断できなかった。
そこでわざと暗号文でない平分で「ミッドウェイは水が不足しているので注意」とのおとり電文を打ったところ、日本の艦船から日本本国に「AFは水が不足との情報あり」との電文を打電したことを傍受した。
このあたりになるとまさにスパイ映画そのものだが、アメリカは情報戦略こそが勝利への道だと確信していたことが分かる。

 こうしてアメリカは日本の連合艦隊がミッドウェイ攻略に乗り出したことを察知し、その後の暗号解読で日本軍の戦力と行動をほとんど100%把握することに成功していたと言う。
一方日本はアメリカが日本の動きを察知して待ち伏せを行っていることはまったく想定していなかった。

アメリカ軍は日本海軍を恐れて空母をハワイに隠しているので、日本が空母に待ち伏せを受けることなどありえない」そう判断していたと言う。
なぜこれほどまで日本は作戦重視・情報軽視でいられたのだろうか。今から考えると信じられないような失態だが、それが日本軍だと小谷氏はいう。

なお、長くなるので今回の記事は2回に分けて掲載します。

日本史シリーズは以下にまとめて掲載してあります

http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat47308511/index.html
 

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コメント

とってもおもしろいです。二回目を楽しみにしています。歴史物、いいです。

(山崎)謙さんに期待していただいてとても嬉しいです。

投稿: 謙 | 2012年12月 8日 (土) 11時05分

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