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(24.12.28) BSドキュメンタリー 「プーチンの野望 古いロシアの復活」 その4

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 今思うと2008年から2012年まで続いたメドベージェフのロシアはプーチンの傀儡だったのか、それともそうでなかったのか、いま一つ判然としない。
ロシアでは外交は大統領の先決権限で、一方内政は首相(プーチン)の先決権限になっている。

 表面的に見る限り外交ではメドベージェフはプーチンが冷え込ませた米ロ関係を好転させたが、一方内政ではプーチンが思うがままに振舞っていた。
相変わらずプーチンは改革派の記者を暗殺したり、またプーチンの宿敵でかつての石油王ボドルコフスキーを刑期が終る直前に訴追しさらに7年の刑を言い渡したりした。

注)これは独裁国家では反対者は墓場か監獄にいるという最適な例。

 ボドルコフスキーの件ではメドベージェフは中立を保ったが(プーチンの自由にさせたが)、プーチンは裁判に圧力をかけて判決文を書き直させ、さらに裁判長が判決を下す前に定例会見で言い放った。
ボドルコフスキーは泥棒で、数十億ルーブルの詐欺を働いている。このような者を監獄の外に出すわけにはいかない
このときの映像は私も見たが何とも不思議な光景だった。プーチンは首相でかつ裁判官だったからだ。

 結局メドベージェフの4年間プーチンに国内政治を任せる代わりに、外交で若干の自由度を確保したと言うのが実態だろう。
ロシアにはアメリカと協調して経済を立て直さなければならない緊急事態に陥っていたからだ。

 メドベージェフが大統領に就任した直後の2008年9月リーマンショックが世界経済を奈落の底に落とし、それまで1バーレル137ドルだった原油価格が34ドルに暴落した
ロシア経済は石油と天然ガスに頼った原材料輸出経済だったからこの影響はすさまじく、それまで溜め込んでいた準備金6000億ドルの取り崩し以外に対処する方法がなかった。
ロシアの株式市場は暴落し1兆ドルの損失が発生し、ロシアの主要企業が倒産の危機に追い込まれた。

注)当時のロシア経済の危機の状況は以下の記事で記載しておいた。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/201124.html

 メドベージェフにとってアメリカのオバマ大統領との間で新たな核軍縮交渉を締結し、少しでも軍事予算を削減して民生に振り向ける必要があった。
STARTⅠ(第一次戦略兵器削減条約)は2009年12月に失効するので新たな削減条約の締結が必要だったが、アメリカのミサイル防衛計画がロシアの喉に刺さったとげになっていた。
ロシアは絶対にポーランドとチェコにアメリカがミサイルを配備することは許せない。アメリカがこの計画を放棄するなら新たな戦略核兵器削減条約を締結していい

注)アメリカにとってもロシアにとっても核兵器の製造とその運搬手段をこれ以上保有しても仕方のない段階に達しており特にオバマ大統領は核兵器の廃絶に積極的だった(その功績でノーベル平和賞を授与している)。
しかし双方で同時に削減をしなければ安全保障上の問題があるため合意が必要だった。

 結局オバマ大統領がポーランドとチェコへのミサイル防衛計画を延期したことと交換に、2010年4月7年以内にミサイルの数を2分の1、核弾頭を3分の1に削減し、その確証のために査察を相互に受け入れる条約が締結した。

注)STARTⅠでは両国の核弾頭の数を6000個、ミサイルを1600機にすることが決められていた。しかしこんなに多くの核弾頭があっても使用する場所がないので無駄なことは両国で十分すぎるほど分かっていた(日本の公共工事と同じで無駄でも軍需産業維持のために作り続けている)。

 メドベージェフは明らかにプーチンより開明的な政治家だが、実際はプーチンの傀儡と言う側面が強く自由に外交政策を決定することができなかった(メドベージェフが了承した内容を何度もプーチンによって覆させられている)。
そして国内政治はプーチンの思うままだったので民主化勢力はことごとく暗殺されるか監獄に追いやられてしまった。

 2012年プーチンが再び大統領に返り咲き、「強いロシア」ではあっても民主化運動が完全に押さえ込まれた「古いロシア」が出現している。
やはり「ロシアはロシア」なのだろうか。この国に民主主義が根ずくことは永遠にないのだろうか?
それがこの番組を見終わった印象だ。

なお「プーチンの野望」シリーズは以下に纏めて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat52349785/index.html 

 

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