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(24.11.10) クローズアップ現代 中国最高指導部交代と地方の反乱 動乱の時代が始まりそうだ

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 11月8日に放送されたNHKクローズアップ現代の映像には驚かされた。
そこには上海の近郊にある南通市工場排水問題で、住民1万人が市役所に押しかけ、市の責任者を引っ張り出して工場排水工事の撤回を勝ち取った、まさにそのときの映像が映し出されていた。
何か昔の紅衛兵運動時代走資派のつるし上げのような感じだった。

 中国ではしばしばトラブルが発生しているが、そうした映像が外部に漏れることはまれだ。
ほとんどの映像が当局の手で握りつぶされているから、今回NHKで放送した住民蜂起の映像には心底度肝が抜かれた。

 実は昨年1年だけで地方政府と住民とのトラブルは20万件程度発生していると言われている。
今までは武装警官を派遣して住民を片っ端から逮捕したり、主要なメンバーを金で籠絡するのが中国の常套手段だったが、昨今のインターネットの情報伝達の早さがこうした武力による弾圧が段々としにくくなっている。

 その一番いい例が2011年7月に温州市で発生した高速鉄道事故で40名の死者が出た大惨事だったが鉄道当局は破壊された車両を土に埋めて事故の隠蔽工作を行った
これがインターネットで中国はおろか世界中に広がったため、鉄道省のトップが引責辞任をした。

注)高速鉄道の事故のときの隠蔽工作については以下の記事参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/23727-93d5.html


 中国当局はインターネット監視網を整備して都合の悪い情報を削除しているが、すべての情報の削除は無理だ。
この世界ではネット監視とそれをすり抜ける技術はいたちごっこだから、とうとう地方政府が根を上げた。
もう無理だ。いくら住民を弾圧してもその映像が全世界に流れれば、面子を重んじる北京政府は地方の担当者の責任を追及してくる。
それなら住民と話し合いを行ってトラブルがない形で物事を収めよう

 こうして従来は強盗まがいの行為で住民の土地を取り上げては地方政府のトップが経営するディベロパーに土地を払い下げていたことができなくなってきた。
住民もネットで情報を入手してはtwitter等で情報発信するので、ほとんどただ同然で収用できた土地価格が急激に上昇している。

 中国の発展のメカニズムはこのただ同然の土地と農民工の安い労賃だったが、土地の地上げには相当の費用がかかるようになり、農民工の賃金も上昇してくれば成長エンジンにかげりが出てくる。
実際12年度に入ってから中国経済はノックダウンと言っていいほどの停滞局面に入り、ますます地方の混乱に拍車がかかってきた。

長い間中国は8%の成長がないと社会が混乱すると言われていたが、ほとんどを地方政府や中央政府の幹部が賄賂で懐に入れるため、低成長だと一般住民におこぼれが回ってこないからだ。

注)なぜ中国のGDP成長に8%が必要かの説得的な説明は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/21117-9417.html

  時あたかも中国の最高首脳部の変更が今行われようとしている。
胡錦濤国家主席が引退し、次は習近平氏が国家主席になると言われているが、誰がなっても中国の経済運営は難しそうだ。
当面は金融緩和と財政出動で乗り切ろうとしているが、地方の騒乱がこれほど大きくなるともはや8%の成長は無理だろう。

注)中国のGDP伸び率の数値はいかさまだから、表面的な数字としては8%の数字が挙がるかもしれない。しかしそれを信じるのは愚かだ。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-7dc6.html


 中国の地方の反乱北京政府が失敗すればそれこそ動乱の時代に入るので、一時も中国情勢に目が話せない状況になってきた。
これから中国投資を行おうとしている企業は尖閣諸島問題以上の手痛い痛手を覚悟したほうがよさそうだ。

なお中国経済についての記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43974941/index.html

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