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(24.11.21) NHK「がんワクチン 夢の治療薬への格闘」 副作用のない治療法の開発最前線

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 どうやらがん治療の最前線では副作用のないがん治療法が実用化寸前まで来ているようだ。
NHKが放送した「がんワクチン 夢の治療薬への格闘」を見た感想である。

 一般的にがん治療は癌化した部分を外科的に摘出して、その後抗がん剤の投与を行ったり放射線治療をすることが多い。
だがこの抗がん剤や放射線療法には非常な副作用があって癌で苦しんでいたほうがましだと思えるほどのひどい状態になる。

 私の会社の同僚は50歳半ばで癌で他界したのだが、抗がん剤の投与をした後はほとんど意識が朦朧として身体を動かすこともできなくなっていた。
抗がん剤はがん細胞だけでなく正常細胞も攻撃するからだが、その姿を見て「抗がん剤の投与だけはしないようにしよう。あっさり死んだほうがましだ」と私は決心したほどだ。

 現在開発が進んでいるすい臓癌ワクチン療法はいわゆる治験の最終段階に入っており、ここで成果が確認されれば厚生労働省の審査承認を得て新薬として発売されることになる。

注)新薬が承認されるまでには、研究開発段階、治験段階(安全性、有効性、投与しなかった場合との比較実験)を経て、厚生労働省の審査承認後新薬として認められる。
研究開発段階は長く10年単位の年数がかかり、治験段階も数年、そして審査承認段階では厚生労働省のスタンスにより早まったり遅れたりする。


 なぜこのワクチン療法に副作用がないかというともともと人間の体内に備わっている癌を攻撃するキラーT細胞を活性化させたり増殖させたりする方法で、いわば自力で癌を消滅させる方法だからだ。
人体には常にがん細胞が発生しているがそれが癌化しないのはこのキラーT 細胞が癌を攻撃して死滅させているからで、一方癌化するのは癌細胞がキラーT細胞の攻撃を跳ね返した状態を言う。

 ワクチン療法とは具体的にはペプチドという癌細胞の突起と同じたんぱく質を体内に注射し、キラーT細胞に「すわ、癌が大発生している」と誤認させて大出動させる方法である。

注)なおこの放送(あさイチ)の詳細については以下参照
http://www.nhk.or.jp/asaichi/2012/02/06/01.html

 私がこの放送を見てもっとも関心があったのは、このワクチン療法は特にアメリカと日本との間で開発にしのぎを削っているのだが、日本の治験体制がアメリカに比較して明らかに見劣りがすることだ。
アメリカでは研究開発から治験まで政府を挙げて支援をしているが、日本の場合は治験は製薬会社任せで、いきおい治験の件数がアメリカに比較すると圧倒的に少ない。

注)治験には膨大な費用がかかるので確実に成果が上がると思われる新薬の治験以外は製薬会社は行えない。

 アメリカはこの製薬産業を成長産業と明確な位置づけにしており、戦略的に官民一体となって取り組んでいるのに、日本ではせいぜい研究開発段階の支援に留まっている。
日本では安倍自民党総裁のように不要な公共事業を拡大することには熱心だが、こうした成長産業を育成することには非常にケチる。
その理由はまだ成長していない産業からは政治献金が来ないからだが、これでは日本はいつまでたっても成長はおろかただ衰退するだけだ。

 放送では日本の医薬品の輸入量が急拡大しており一方輸出が停滞し、赤字幅は1兆4千億規模になっていると言っていた。
新薬の開発競争でアメリカの後塵をはいしているからだ。

 日本は研究開発段階では世界でトップクラスの業績を誇るのに、治験から新薬製造段階になると製薬会社任せになって常にアメリカに負ける。
日本の研究段階がいかに優れているかは京都大学山中教授のiPS細胞の研究を見ても分かる。
必要ない道路やダムを作っては財政赤字を拡大するだけで成長産業への支援はおろそかなのだから、日本が衰退するのは当たり前だ。

注)山中教授のiPSの研究は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post-54bc.html


なお医療分野を成長産業として位置づけるべきと言う私の主張はいかにまとめて掲載してある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat48360072/index.html

 

 

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