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(24.10.4) 政治家はなぜ円安がいいと思うのだろうか  前原経財相の発言とすでに金融立国になっている日本の実態

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 どうしてこんな発想しかしないのか残念でならない。
前原経財相の「日銀に外債を購入させる」との発言のことである。
日銀が外債(特にドル債)を購入すれば外為相場は円安に動くから日本輸出産業の輸出環境が好転すると言う。
現在為替介入は財務省の先決権限で外為特別会計を通じて外債の購入を行ってきたが、それに日銀を参加させようとの案だ。

 日銀はすでに80兆円資金枠を設けて国債の購入等をしてきたが、「日本国債だけでは駄目で、ドル債も購入しろ」というのが前原経財相の発想で、FRBやECBと競争して金融緩和を行い、それには何でもありだということのようだ。

 しかしこうした金融緩和策とその結果の円安誘導は日本の経済になんらメリットも及ぼさず、かえって日本経済に害をもたらす。
日本経済は昨年から貿易立国でなくなり投資立国に変わっているからだ。

注)日銀の金融政策については以下の記事を参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post-4da3.html

 数字を見れば明らかだが、日本は昨年の東日本大震災以降年ベース半期ベースで見ると貿易収支は大幅な赤字が続いている。
赤字の原因は輸出産業が崩壊して輸出が減少していることと、一方で原発の代替燃料としてLNGを中心とする火力発電用燃料を大量に輸入し始めたからだ。

 赤字幅は23年度全体で2.6兆円だったが24年上期はすでに2.9兆円半期で前年の赤字幅を凌駕してしまった。
単純計算で24年度は6兆円規模の貿易赤字が予想される。
日本の経常収支の構造は所得収支の黒字年間14兆円規模)で貿易収支の赤字年間6兆円規模)を埋めると言う典型的な成熟経済そのものに変わってしまった。

 日本はすでに投資立国で貿易立国ではない。
前原氏は円安にしさえすればかつての貿易立国に戻ると考えているようだが、すでに日本の輸出産業は海外に出てしまっており、政府の円安政策をまともに信じたシャープなどは倒産の危機に陥っている。
トヨタも国内300万台死守と言いながら、カローラなどは海外で生産する体制を整えた。

注)製造業が日本を見捨てている実態は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/23112-99d4.html

 投資立国とは又の名を金融立国といい実際製造業においてすら金融部門の利益が製造部門の利益を凌駕している。
たとえばトヨタは12年3期の収益構造は自動車部門216億円の黒字、金融部門3064億円(自動車ローンや投資)の黒字で、トヨタはすでに自動車製造会社ではなく金融業者だ。

 そしてこの傾向は過去輸出で十分稼いだ企業はすべて同様で、日本は金融機関だけでなくかつての輸出産業も金融業に変わってしまった
それならばものを作って貿易で稼ぐのではなく、お金に稼いでもらったほうがはるかにいいし、そのためにはお金の価値が上がる円高のほうが好ましい。

 円高にさえなれば悩みのLNGの価格上昇にも耐えられるし、穀物価格がいくら上がっても食料品の価格は安定する。
かつてレーガン政権は「強いドルこそがアメリカの経済に資する」と言っていたが、なぜ前原経財相が「強い円こそが日本経済に資する」と言わないか不思議でしょうがない。
政治家とは一世代前の遺物のままなのだろうか・・・・・・

なお、経済成長の考え方については以下の記事に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43696146/index.html

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