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2012年10月

(24.10.31) なぜ日本人はいつも悲観ばかりしているのか? 円高とM&Aの隆盛


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(ブログ 「ちば公園のベンチから」に掲載された銚子の海。)

  私は日本人の最大の欠点はすべてを悲観的に見ることだと思っている。
バブル崩壊以前日本企業の業績は世界を席巻していたが、私が所属していた金融機関の職員に対する決算報告のトーンは「厳しい経済情勢の中、なんとか○○億円の経常利益を計上できた。しかし来期の決算は予断を許さない」と言うようなものであった。
しかし客観的に見てその頃の収益はわが世の春を謳歌しており、毎期増収増益で、その後のバブル崩壊後は決算報告の説明すらしなくなった(最高の状況下では悲観的な話をして、本当にピンチになると説明する言葉を失った)。

 円高や円安に対する評価も同じで、円高になっても円安になっても悲観的な言辞が幅を利かす。
たとえば円高になるとトヨタなどは「1円の円高で400億円の営業利益が吹っ飛ぶ」なんて記事が新聞やテレビで盛んに吹聴される。
私などは「ならばトヨタ車をアメリカで生産して日本に逆輸入すればドル安の恩恵400億円と、日本で生産したと仮定した損失の400億円、合わせて800億円の営業利益が出るのじゃないか。こんな絶好の機会はまたとないのではないか」と思ってしまう。

 実際にニッサンのゴーン社長などは最も輸出環境のよい場所で生産を行うと公言しており、日本が駄目なら中国、中国で不買運動が発生すれば今度はタイやインドに生産拠点を移そうとしている。
日本の大企業はグローバル化されており、グローバルの最大の利点はどこでも生産できるのだから、日本に留まって円高を嘆くのは愚の骨頂だ。

注)ニッサンのゴーン社長の日本に対する決別の辞は以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/2468-179a.html

 また円安になれば今度は火力発電所用LNG石炭の価格が上がって貿易収支の赤字幅が増大し、今にも日本が崩壊しそうな話になる。
実際は円高であれば輸入品価格は抑えられて燃料代や穀物を安く入手でき、円安になれば輸出産業が一息つけることになる。
物事には常に両面があり、一方的に悪い面だけを強調するのは日本人の悪い癖だ。

注)穀物価格はリーマンショック前とほぼ同じ価格になっており、化石燃料も高止まりしている。もし円高でなければリーマンショック前の狂乱物価が再発していた。

 今回の円高で実は海外企業のM&A海外企業の合併・買収)は過去最高の件数になっており、特に商社のM&Aが活発だ。
三菱商事はカナダの資源会社、丸紅はアメリカの穀物会社、住友商事は石油ガス開発会社、伊藤忠商事はアメリカの食品会社を買収しており実に活発に動き回っている。
商社は輸出入を手がけており為替相場に対して弾力的に対応できるので、円高であればM&Aに積極的に乗り出すことができる。
また最近ソフトバンクの孫社長が米携帯電話大手のスプリント・ネクステルを1兆6千億円で買収して話題をまいたばかりだ。

注)孫社長の買収劇については以下の記事を書いておいた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-d81f.html

 良く日本人は中国資本が席巻して日本のハイテク産業を支配下に置こうとしていると警戒しているが、日本のM&Aも相手国から見たら同様の危惧を持つはずで、「日本が円高を利用して世界の優良企業を買い捲っている」と言うことになっている。
中国のM&Aが悪く、日本のM&Aが良いなどと言うことは経済的には言えない。

 あらゆる事象には必ず両面があり、円高が悪で円安が良いなどというのは輸出産業の言い分で輸入産業は円高が良く、円安は悪になる。
M&Aを仕掛ける立場からは円高が最良で、反対に企業を売ろうとしている立場からは円安でないと売ることもできない。

 こうした悲観世論を操作している一番の責任者は報道関係者だから、報道関係者もいい加減悲観的なトーンでばかり話すのは止めて、バランスの取れた報道をしてもらいたいものだと思っている。

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(24.10.30) ちはら台走友会の美ヶ原登山 頂上の牧場を走った

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 走友会の秋山登山で今回初めて長野県の美ヶ原を走った。
登山と言っても走友会の登山だから走れる場所はすべて走ることになる。
美ヶ原には過去に一度職場の慰安旅行で訪れたことがあるが、記憶がまったくなかった。

 職場の慰安旅行は親睦が一番の目的だからもっぱら旅館での飲食と宴会にすべてのエネルギーが注がれ、観光は二の次ではっきり言えばどこであってもいいと言うのが実情だ。
せっかくの美ヶ原もバスで頂上に行ってガスの中を少し歩いて「こんな寒いところはいやだ」と早々に帰っただけだった。

 今回の走友会の登山は岳の湯と言う場所から、物見石山の稜線を登り、牛伏山近くにある山本小屋からは高原のJOGを行った。
私ははじめてここが牧場になっていて散策路が整備されているのを知った。
標高は
2000m程度でこの時期は霧と風が舞うと非常に寒い。走っている間は気持ちがいいが休むとたちまちのうちに体温が低下する。

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 山本小屋から王の頭王の鼻という場所まで往復10kmのJOGを楽しんだ。
王の鼻からは北アルプスが晴れていればくっきりと見えるはずだったが、この日は雲に隠れ北アルプスはみえないもののなかなかの絶景だ。
私はいつも感じるのだが景勝地は歩いたり走ったりして身体で確認しないとその場所の記憶が残らない。
単に自動車で頂上まで行ってちょっと景色を見るのと麓からそこまで登ってくるのとでは大変な違いだ。

 翌日は蓼科山2500m)に登る予定だったがあいにくの雨模様になったので取りやめ、甲府のサントリーのワイナリーを見学して帰宅した。
このあたりの事情は幹事のマッスルさんの報告を読んでほしい。

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 秋山登山、お疲れさまでした。


 美ケ原をもう一度走りたいというご要望に、企画幹事として手を挙げましたが残念ながら、天候には恵まれず、拙い幹事で済みませんでした。それでも山は秋色一色で、紅色、黄金色に包まれて、大変幸せな気分に浸りました。
山奥の寂れた場所の宿でしたが、とても親切で食事も美味しく素晴らしかったと思います。
美ケ原では、霧もあって物見石山からの大眺望は望めませんでしたが、王ヶ頭や王ヶ鼻周辺の景色や、あの延々と続く牧場の柵の道を気持ちよく走ることができました。

 蓼科山登山は、天候不良を配慮して、私の独断で中止をさせてもらいましたが、初心者もおられて、寒い雨にぬれて、足をひねったり動けなくなったら、即遭難の憂き目に合いますので、無理を承知で断念しました。

 ひょっとすると、それほどの強い雨ではなかったかもしれませんでしたがお許し下さい。

なおちはら台走友会の記事は以下にまとめて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44088639/index.html

 

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(24.10.29) 学校淘汰の時代が始まった。 堀越学園への解散命令

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 とうとう学校の倒産が始まった。これまでも学校が自主的に廃業することはあったが、文部科学省から解散命令をだされたことはなかった(正確には来年3月までに解散命令を出すと言う決定をだした)。

 今回倒産しようとしているのは堀越学園群馬県高崎市、東京の堀越学園とは別なので注意)が経営する創造学園大学専門学校2校、および幼稚園2である。

 堀越学園06年4月高崎医療技術福祉専門学校を開校したが、校舎の建設費や教育機材購入で多額の経費がかかり、一方入学者数が予想を下回ったため赤字経営に悩んでいた。
教職員の給与の遅配が常態化して最大1年間支払われていなかったから教職員は次々に退職し、まともな授業ができなくなっていた。
さらに電気料金も支払わなかったので電気を止められる寸前で、これでは学校教育ができない。

 文部科学省は見かねて改善命令法的な拘束力はない)を出したものの、堀越学園の経営者は前理事長の堀越氏と現理事長の大島氏法廷闘争で泥仕合をするだけで、まったく解決のめどが立たなかった。
現在在学生は大学に220人、専門学校に70人、幼稚園に185人475人が在学しており、このままでは教育はおろか卒業もままならない状況にあった。

 さらに問題を複雑にしたのは決算数字をごまかしており、預貯金額の正確な報告も文部科学省にできない状態が続いていたため、とうとう文部科学省はさじを投げた。
駄目だ、これでは何をしてもこの学校は復活できない。早いうちに解散させるのが学生のためだ

 こうして初めて在校生が残っている学校法人が解散させられることになったが、これは今後始まる大学や専門学校の倒産の序曲に過ぎない。
日本では少子化が進んでますます子供が少なくなる一方、親の家計もひどく痛んでいる。
たとえば高崎医療技術福祉専門学校の授業料は年間2百万円だそうだが、そのような金額を支払える家庭は少なくなりつつある。

注)日本の貧困率は年を追うに従って増加しており、2009年で16%程度。可処分所得の中央地は250万円程度だから、ここから200万円を支払ったら生活ができなくなってしまう。

 日本の大学の水準は極度に低く、大学生は勉強をせずバイトをしたり遊んでいても大学を卒業できるのが普通だった。
大学も専門学校も卒業したと言う資格を得る場所で勉強をして実力を得る場所とはいえない。
これでは親が教育投資をする意味はないし、実際に不可能になりつつある。

 今大学も専門学校も世界的な規模で競争時代に入っており、費用対効果があらわれなければ倒産するのも仕方がないと私は思っている。はっきり言えば無駄な組織なのだ。

 こうして日本の大学や専門学校も淘汰の時代が始まった。

なお、日本の大学が世界的レベルで非常に低い状況は以下に記述しておいた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-fcd3.html

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(24.10.28) 女性が日本を救う ラガルドIMF専務理事の提言

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(熊野奥駆け  2週間かけて熊野山中を縦走した

 先日クローズアップ現代で日本を代表するトップレディーの国谷裕子さんと、世界のトップレディー、ラガルドIMF専務理事の対談があり、「日本の女性の労働参加率が低く、さらに女性の地位が低いことが日本のGDPを押し下げている原因だ」との趣旨の発言をしていた。

 日本と世界のトップレディーがそう言っているのだからその通りだと思ったが、現実はなかなか労働参加率が上がらず、また上級管理職の登用もままならない。
統計では日本の女性の労働参加率62%程度で、これをG7並みの70%にすればGDPが0.25%上昇し、北欧並みの80%にすれば0.5%上昇するとIMFはレポートで提言していた。

 日本の女性の労働参加率はある特色があって、結婚して子供を生むと子育てのために退職し(それまではほとんどが正社員)、子育てが終って再び労働市場に復帰するとパート労働者になって労働市場に復帰していると言う。
子育て期間に子供の養育を第三者に委託することが難しいので退職するのだが、一旦退職すると過去の積み上げた実績がすべてパーになって、復帰したときにははるかに低い給与時間給)で働かなくてはならないのが日本の実情だ。

 これは正社員の新規採用は学卒者と言う日本の労働慣行に原因があり、それでも最近は技能を持った職員を正社員として中途採用することがあるが、日本の多くの女性は一般職で技能を持っていないことがパート労働者になる最大の理由だろう。
あまりの給与の低さにかつて高給を得ていた女性は働く気力を失ってしまうほどだ。

 もう一つの管理職への登用が少ないのも、この育児期間があるためでその間男性は働いているのでどうしても男性が有利で管理職になってしまう。
又日本の労働慣行は長時間労働が普通だから、子供を持った女性がこの長時間労働に耐えることは不可能だ。
私が勤めていた金融機関でも、女性は残業をせずにさっさと帰っていたが、男性は夜の10時ごろまで(愚だ愚だと)仕事をしていたものだ。

 そして昇進の基準が能力より会社適合性に重点が置かれているのも女性を不利にしている。
上司との飲み会やゴルフをすることで、「あいつはいいやつだから次は管理職にしてやろう」なんて感じで決まっていくので、育児を持った時間的余裕のない女性は圧倒的に不利だ

 こうした日本の労働慣行が重なって女性の労働進出が遅れているので、解決は一筋縄ではいかない。
管理職などの登用は法律で○○%まであげることを義務付けて、そうしなかった場合は相当の金額のペナルティーを課さない限り不可能と思われる。
しかし昨今の経済情勢は日本企業に不利で収益率はドンドン低下しているので、株式会社にそれを求めるのは難しいかもしれない。

 結局能力ある女性は教員や官庁やジャーナリストや外資産業のような基本的に男女差別をしない職場にいくか、医者や弁護士や公認会計士のような資格で働ける職場に流れていくだろう。
そして不幸にして日本で希望した職場が得られなければ海外に働きに行くのではなかろうか。

 日本の株式会社は新興国の企業に追い上げられて青息吐息で、派遣労働者以外の労働力を必要としていないし、それも日本女性と言うよりは低開発国の意欲もりもりの男性を雇うだろう。

 結局有能な女性はそれなりの職場を得られるが、通常の女性は派遣社員以外の職場を見つけるのは不可能で、国谷裕子さんやラガルドIMF専務理事の希望(日本全体の底上げ)は残念ながらかなえられそうもない。

 なお経済成長に関する私の提案は以下にまとめて入っておりますhttp://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43696146/index.html

 

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(24.10.27) スマートフォンよりタブレット端末か? キンドル・ファイアにしようか!!

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(私の登山はいつもテント生活だ。北海道大雪山系縦走 2000年

 最近スマートフォンタブレット端末で魅力的な製品が次々に発売されるようになった。
アップルからスマートフォンiPhone5が出たときに興奮したが、こんどはアマゾンキンドル・ファイアというタブレット端末を発売すると言う。

注)iPhone5で興奮した様は以下のブログに詳述した。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-03c8.html


 アマゾンのキンドルはもともと電子書籍を閲覧するための端末だが(だからスマートフォンより大きく、文庫本程度の大きさ)、キンドル・ファイアではWeb検索もメール送授信も可能だと言う。
そうか、それなら入力で苦労するスマートフォンより、タブレット端末のほうが大きいだけ入力がしやすそうだ

 ほぼ2年前からドコモのスマートフォン、ギャラクシーを使用しているが、私は基本的に電話をかけないし、また携帯することもまれなのでまったく無駄だった。
たった一つの利用法はマラソン等のイベントがあったときにTwitterを発信しているぐらいで、これで毎月8千円から9千円の通信料を支払うのは費用対効果の薄い道具だ。
2年経ったから契約拘束期間が切れるので、端末を変えてしまおう

注)私の聴力は極度に低く、電話でよく聞き間違いをする。そのため電話での通信はできるだけさけE- メールを多用している。

 当初はiPhone5にするつもりだったが、キンドル・ファイアが発売されると聞いて気持ちが揺れている。
最近私は小さな文字の活字がまったく見えない。仕方なしにルーペを購入して本を見ているがなんとも見にくいのだ。
特に古い本になると「何でこんな小さな活字で本ができているのだ」と驚くほど活字が小さい。無理してみているとすぐに頭痛がしてくる。
パソコンのように活字を自在に拡大できないものだろうか・・・・・・・」悩んでいた。

注)昔の書物の活字が相対的に小さいのは紙の使用を減らしたかったのと読者層が若者中心だったからだと想像している。

 ようやく気持ちが固まってきた。
私は電話をかけるよりも本を読むことのほうに多くの時間を使っているのだから、スマートフォンより電子書籍の方が必要で、さらにWeb検索メール機能さえあれば十分だ。

 もっともアマゾンが提供する本の冊数は現在5万冊程度で圧倒的に少なく、価格も紙の本よりはやや低いと言う程度だ。
価格が思ったより下がらないのは出版社が抵抗しているからで、電子書籍が紙の書籍より圧倒的に安くなると誰も紙の書籍を購入しなくなって、日本から本屋と紙屋と印刷屋とディリバリー業者が消えてしまう

 そうした面があって誰に価格決定権があるかでもめていた。ようやく妥協が成立して、2種類の契約が可能で ① アマゾンに価格決定件を持たせる契約と、 出版社が代理店となって出版社に価格決定権を残す契約である。

 アマゾン・ストアの本の値段が紙の値段よりやや低い程度なのは出版社が価格を決める契約が多いからだろう。
しかし一旦この流れができれば大手はともかく中小の出版社はアマゾンの価格決定権を認める方向に動く可能性が高い。

 電子書籍になれば何しろ出版社は在庫を持たなくても済むようになるのだから、価格を低く設定して多くの読者をつかむ戦略のほうが大量に印刷して書店から送り返されてくるたびに廃棄するより効率的だ(返品率は4割程度)。
最もこの方法が根付くとアメリカのように大手の書店が倒産するがある意味で時代の流れでいたし方ない面がある。
価格を安くして多くの読者を獲得する方が、読まれないで捨てられるよりは合理的だ。

 どうやら今年は本格的な電子書籍の元年になりそうだ。私もアマゾンのキンドル・ファイアを購入して紙の本から脱却したいと思っている。

 

 

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(24.10.26) 経済は相互依存 中国人には分かるだろうか? 中国レアアース企業の惨状

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(北海道 トムラウシの近く 当時はいくら荷物を背負っても平気だった

 当たり前のことだが経済は相互依存の関係にあり一方的に一国が敵対する他国を追い込めるものではない。
経済制裁はするほうもされるほうも痛手をこうむるのだが、その影響は長い眼で見るとほぼイーブンと言える。

 2年前中国は尖閣諸島問題(漁船当逃げ事件で対日制裁を発動すると言ってレアアースの輸出を禁止したが、今中国ではレアアース関連企業が倒産したり赤字経営に陥っている。
温家宝首相の輸出停止の公式な発言は「環境問題を解決すること」だったから今懸命に環境改善をしていることになっているようだ。

注)日経によると現在最大手の内蒙古包鋼集団が1ヶ月の操業停止をしたり、300社と言われるレアアース関連企業の約25%が操業を停止しており、動いている企業も操業率が3割から4割で赤字を垂れ流している。

 制裁後一時レアアースは高騰しジスプロシウムなどはそれまでの10倍の価格まで上昇したので日本メーカーは大騒ぎになった。
しかしその後日本メーカー各社が他国からの輸入拡大やレアアースをできるだけ使用しない技術開発に成功して、中国からの輸入量をピーク時の半分まで減らし、さらに現在レアアースそのものを使用しない技術開発に取り組んできた。

 こうなるといくら中国がいきまいても需要がないのだから価格は暴落し、ピーク時の3割程度まで落ちてきており、さらに低下して制裁前の水準になるのも時間の問題になっている。

注1)中国の希土類の生産量は06年のピーク時の約半分に落ち込んでいる。日本が輸入をしなければ売る相手はいない。

注2)第二次尖閣諸島紛争では中国はレアアースの制裁に出られなくなった。その事情については以下の記事に詳述してある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-f658.html


 
 経済は相手あってこそ成り立つのに、一方的に自分だけで経済が成り立っていると勘違いするところがいかにも中国的だ。
最も経済人はそのことに気がついていて、レアアース生産会社の幹部が「市場の実勢を無視したレアアース政策が無用の混乱を招いている」と述懐しているが政治家や頭に血が上った若者にそのことを教えるのは至難の技だろう。

注)レアアースの生産はもともと民間で行っていたのだが、尖閣諸島問題を契機に国有化を計った。国有化とは北京の要人集団の利権になることで、このレアアース産業は胡 錦濤氏や温家宝氏が所属する共青団派の利権に組み込まれた。

 もう一つ経済が相互依存にあることを教えてくれているのは、今回再び発生した尖閣諸島問題で日本製品、わけても日本製ブランドの自動車の不買運動が中国経済に及ぼしている影響である。
頭に血が登った若者は知らないだろうが、日本ブランド車と言ってもその9割は中国国内で生産しており、部品の供給率もほぼ9割が中国製だ。

 中国では東風汽車や広州汽車が日本メーカーとの合弁で日本ブランド車を生産しているのだから、日本車の不買運動はほとんど中国生産車の不買運動と同義語だ。
自動車生産は中国のGDPのほぼ10%相当(そのうち日本車のウェイトは約2割だからまったく売れなければGDPを2%引き下げるだから、中国経済に急ブレーキがかかるのは当然だ。

注1)中国の自動車メーカーは第一汽車、東風汽車、上海汽車がビッグスリーだが、いづれもアメリカ、ドイツ、日本、フランス等の自動車メーカーと合弁会社を設立して海外ブランド名で車を販売している。
自社ブランドも在るがコピー製品で外国ブランド車に比べると品質が劣る。

注2)中国産の日本ブランド車をいくら打ち壊してもそれは中国製品を壊していることは以下に詳述した。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-3e0c.html

 中国では「愛国無罪」と言って日本の中国進出企業を放火したり、日本車に乗っている中国人に暴行を加えたりしているが、そうすることで中国の経済力を弱体化させている。
経済では一方的に相手を追い詰めることなど所詮できない。
そのことをレアアースの輸出規制と日本ブランド車の不買運動で中国人は身にしむだろう。

なお第二次尖閣諸島紛争の記事は以下にまとめて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat51088450/index.html

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(24.10.25) 文学入門 辻原登 夫婦幽霊 円朝芝居噺




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  私は読書会のテーマ本はどんなことをしても読むことにしているが、本によっては非常に苦戦をすることがある。
今回のテーマ本「夫婦幽霊 円朝芝居噺」がそれで、歯を食いしばって読むことになった。

 そもそも円朝と聞いても誰のことかわからなかったが、落語界では伝説上の人物で江戸末期から明治33年まで生きて新作落語を演じ、当代随一と言われた落語家だと言う。
そのあまりのうまさに師匠が嫉妬し、先に円朝が演ずる演目を先回りしてしてしまうため(これはトリが師匠でなく円朝だということだから嫉妬するのも無理ない)円朝は已む無く新作落語を演じることになったという。

 「夫婦幽霊」はたまたま円朝の落語の速記録が残っていたので(当時はテープレコーダーはなかった)、その速記録を元に辻原登氏が現代語訳したもので、落語と言うより講談に近い。
辻原登氏芥川賞作家だそうだが、私は知らない。
夫婦幽霊」はちょうど瀬戸内寂聴さんが「源氏物語」を現代語訳して誰にでも読める作品にしてくれたが、それと同じようなものだ。

 だが実際に読み始めると非常にイメージがつかみがたい文章が続く。
登場人物は大工の棟梁であったり、花街の花魁だったり、浪人者であったりして江戸時代の庶民階級の生活を描いているのだが、特に主要な舞台となる花街のことがさっぱり分からない。
日本では戦後売春防止法が制定され、それまでどこにでもあった花街が消えてしまったので、そこの風俗や風習も消えてしまい私などは使われる言葉が何のことか分からないのだ。

 たとえば「床の上では、無数の床しきお床入り、襖、唐紙障子、屏風たてきったる座敷、床割りは、睦言、お勤め、あい入り乱れ、かりょうびんがの楽の音は」なんて表現が随所にあらわれるのだがイメージがさっぱりわかない。
江戸時代の常識が現在の常識とあまりに離れているため当時の人(明治時代の人)には簡単に理解されたことが辞書や注釈がないとさっぱり分からないのだ。

 さらにこの舞台は江戸の下町なのだが私は下町の地理に不案内なのでこちらもイメージがわかない。
京橋川が三つまたに分かれて高橋から霊岸島に渡ります。北新堀で永代橋にとりついて・・・・」
一体どこをどう通っているんだい?????」

 落語の筋は幽霊話で、江戸城の御金蔵の4千両を奪った藤十郎と言う浪人と富蔵と言うもと無宿者が互いに欲がくらんで金子を独り占めにしようとし諍いを起こすと言う筋立てで、そこに安政の大地震が起こり、富蔵は隠した金子を掘り出そうとして地震にあってあえなく死んでしまう。
その結果金子藤十郎のものになったのだが、富蔵からこの事実を聞きだしていた大工の棟梁菊治が今度は藤十郎を脅して金をせしめようとしたが、返り討ちにあってしまう。

 それを探索していた南町奉行の与力佐久間長敬が役者に富蔵とその女房の幽霊を演じさせ、藤十郎を自白に追い込むと言う筋立てである。
それだけの話だが、なんとも言葉が難しいのだ。以下は幽霊のせりふだが分かるだろうか。
悪いという悪いことは二三の水出し、やらずの最中、野天丁半の鼻張りだ。河原の小石と富蔵が歌に残せし大工うた、種はつきねえ大利根無宿、・・・・」

 本当に読みきるのに疲れきってしまった。この本は古典落語に興味を持っていたり、江戸の庶民生活の研究者には格好の本だが、それ以外の人には読むのが難しい本だ。

 まことに「降る雪や明治は遠くなりにけり」だ。

大事な注)私はこの「夫婦幽霊」の速記録が実際に存在し、それに基づいて辻原登氏が現代語訳していると解釈して上記の記事を書いたが、一方で速記録などなくすべては辻原氏の創作であるという説もある。
現状ではいづれとも断定しかねるので上記の記事はそのまま残しておく。


なお、文学入門の記事は以下に纏めて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43898465/index.html

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(24.10.24) 日本と中国のチキンレース 最初にくたばるのはどっちだ

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 尖閣諸島問題がこじれて日本と中国はチキンレースの様相を呈してきた。両国は一歩もあとにひかない姿勢だからこれはチキンレースと同じで気の弱いほうが負けだ。
一般的には中国は強気一辺倒で最近は海軍まで出動し、一方日本は経団連の会長が「中国と尖閣諸島問題で話し合いをしろ」なんて弱気発言を繰り返しているのでチキンは日本になりそうだが、かならずしもそうはならない。

 日本と中国の関係は一衣帯水で日本から見たら第一の貿易相手国で、中国から見たら第三の貿易相手国である。
互いに相手を必要としているがチキンレースをすればするほど両国の貿易収支に影響を及ぼす。

 さっそく日本の統計では12年上半期4月~9月)の貿易収支は約3兆円の赤字でこれは過去最高であり、主因は中国への輸出の鈍化だと言う。
原因は尖閣諸島問題だと思われているがそれは違う。尖閣諸島問題の発生は9月の中旬でそれまでも中国への輸出は鈍化していた。

注)9月の貿易赤字は5600億円で、日本はここ半年毎月5000億円規模の貿易赤字を計上している。9月の対中国輸出の対前年比伸び率は▲14.1%だが、8月も▲9.9%であり中国経済は尖閣諸島問題より以前から減速している。

 中国の統計では12年7~9月のGDP伸び率が対前年同期比7.4%増になったとされ、かつての高成長が終ったことが明らかになってきたが、実態はさらに悪そうだというのが海外のエコノミストの見方だ。

 中国の統計数字は二つの意味でいつも怪しい
一つGDP国家資産投資のような地方政府からの報告数字の集計では地方政府のバイアスが必ずかかると言う傾向がある。
いわばその数字で地方の共産党幹部の出世が決まるのだから、人間ならば数字をいじりたくなるものだ。
もう一つ統計制度そのものが未整備で多くのデータを集めることができず、国営企業や一部の大企業からあがってくる数字で全体を推定しているため誤差が大きい。

 次期首相に内定している李克強氏は過去に「中国のGDP統計を見ても何も分からないから、電力量の推移で景気を判断している」と公言している。
その電力量は8月+2.7%増、9月+1.5%増でGDPの公表数字+7.4%とは乖離が大きすぎる。中国経済に急ブレーキがかかったことは確実だ。
中国経済は12年度に入って大失速しており、とても日本とチキンレースをしているような余裕はない。

注)中国経済に急ブレーキがかかっていたことはかなり前から常識になっていた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-7dc6.html

 最も9月の統計数字はやや中国経済が持ち直し始めたと言う兆候があり、中国派のエコノミストが盛んに中国経済が底を打ったと喧伝しているが、これは11月の共産党大会を控えた超金融緩和と数字操作と思ったほうがいい。
何でもいいから金をばら撒いて経済が好転した数字を並べろ!!!」

注)中国人民銀行はここに来て不動産融資を緩和して、資金供給を行っている。これによって本来倒産するはずの不動産関連の企業が息を吹き返した。

 日本に関して言えば貿易赤字は完全に定着して日本は貿易立国の時代が終った
体制派エコノミストの間では東日本大震災の生産縮小が終れば貿易収支は黒字に転換するとの主張をしていたが、そうはならなかった。
これは当たり前で日本が円高と災害で輸出産業の立地としては最悪な場所になり、多くの輸出産業が生産拠点を日本から海外に移してしまったからだ。

 前原国家戦略担当相は何を思ったか日銀に乗り込み、約20兆円規模の資金供給を要請しインフレ政策(と言うことは円安政策)を推進するように強要したが、日本は輸出立国でない以上インフレ政策は害悪で、デフレであればあるほど生活がしやすくなっている。

 円高は日本経済が強いからではなくアメリカのFRBとEUのECBが競争して金融緩和を行っているからで、日銀がいくら緩和をしても相手が更なる緩和をすればまったく効果がない。
そのような愚かな競争に参加するのではなく日本は貿易収支赤字、経常収支黒字国所得収支で貿易収支の穴を埋める構造)として、強くなった円を使用して海外の優良企業の買収に乗り出すのが一番合理的だ。
円は最強だ。だから何でも買える。LNGがいくら高くなっても屁でもない

 そうして中国とのチキンレースを制するのが本当の戦略だが、どうしてこういう態度を前原戦略担当相が採れないのか不思議でならない。

なお中国経済の現状については以下に記事を纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43974941/index.html

 

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(24.10.23) NHK「中国文明の謎」 中華の源流 幻の王朝を追う

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 このところ中国には虐められっぱなしだから、日本人の間ではすっかり中国嫌いが蔓延している。
そうなると日本人は「坊主にくけりゃ袈裟までにくい」となって、中国製品も中国の文化も、そして歴史についても中国とつくものは何でも無視しようとするが、これは正しい態度ではない。

 第二次世界大戦で日本の軍部はアメリカやイギリスを「鬼畜米英」(鬼や家畜)とヒステリックにわめき、その結果両国の文化や政治姿勢のまともな分析をせずにものの見事に敗戦をした。
相手がにくければにくいほど研究分析するのがアメリカ流なら、存在そのものを無視するのが日本流で、この日本の態度ではいくら戦争を行っても勝てない。

 今回NHKで「中国文明の謎」と言うシリーズ番組を開始したが、中国分析には格好の番組でその第一回目は「中華の源流 幻の王朝を追う」だった。
幻の王朝とは「夏王朝」のことだが、私が学生時代だった半世紀前までは「夏王朝」とは単に伝説上の王朝で実際には存在していなかったと教わった。

注)もともとは「中華」と言う文字は「中夏」だったと言う。夏王朝の子孫が中国人という意味に使う。

 しかし近年中国考古学会の発掘調査で、4000年の昔河南省二里頭の地に、夏王朝の宮殿跡が発掘され、その人口規模は約2万人で当時としては屈指の巨大さを持った都市であることが確認された。
河南省二里頭と言っても日本人にはどこだか分からないと思うが、地図で確認したら黄河の南で現在の洛陽が近い
中国の原点はやはり黄河周辺で揚子江周辺でない。

 この夏王朝が中国と言う4000年の歴史を持った大帝国を支えるソフトウェアを初めて発明したと言う。
なぜ中国はヨーロッパのように分裂国家にならず、統一国家になったかの謎を教えてくれるソフトウェアだ。

注)この番組では中国は統一方向にベクトルが働くとの主張になっていた。もしこの説が正しいと隣国に実に厄介な大国がいつまでも居座ることになる。

 発掘調査の結果二里頭には特別な形態をした宮殿跡が見つかっている。
まず南に大きな門(南大門)があり、そこを入ると広大な広場が広がり、その奥に王の住まいの宮殿がそびえていると言う構造である。
イメージの沸かない人は映画ラストエンペラーで最後の皇帝溥儀(そのときは幼児)の皇帝就任式で群臣が拝謁する儀式があったが、あの紫禁城の広場や宮殿と同じ構造である。

 この場所で行われる儀式を宮廷儀式と言われるが、これこそが中国4000年の統一国家のノウハウという。
ポイントは皇帝と臣下が直に向き合って皇帝の権威を認める儀式で、中国特有のものだ。

 通常神権政治と言われたエジプトメソポタミアそしてヨーロッパのキリスト教国も)では王は神の代理人であり、神から王権を授かっている形式(王権神授説という)をとり、王の権威は神が担保してくれる。
臣下は神に対して拝謁しているので王に拝謁しているのではないが、一方中国は神なき社会であり、人間が人間に向き合い皇帝に対して拝謁をする。
 

 最もそれだけでは権威が高まらないので、夏王朝では当時中国東北部の精霊であった龍を取り入れ、その化身が国王であるとし、すべての文様に龍をあしらった。
衣類や王が座る椅子や手に持ったシャクにもこの龍の文様が描かれている。

注)龍は自然の象徴ではあるが神でないので国王を凌駕する存在ではない。国王が龍と一体化して人間力と自然力を兼ね備えていると言う感じだ。

 中国ではこの宮廷儀式こそが力のシンボルなので、現在の中国政権でも胡 錦濤が皇帝に擬せられ、各国政府要人が胡 錦濤にあうときは拝謁の儀式が強要される。

注) 誰が見ても不思議なのは胡 錦濤は一歩も動かずまた表情を変えず、各国要人は胡 錦濤のところまで行って「拝謁至極」なんて言っている。
他国であれば両者が近づき場合によったら肩を抱き合うのだが、それは中国流でない。


 中国は分裂しては統一を繰り返してきたのだが、ベクトルはあくまでも統一にあり一時的な分裂が終ると再び中央集権国家として力強く蘇るとこの番組は言いたいようだ。

 こうした番組は中国との共同なくしては制作できないから中国的な統一思想を紹介しているが、私にはいささか異議がある。
あまりに中国の覇権主義が眼に余るので、チベットやウイグルや蒙古はソビエト・ロシアと同じように分裂してもう少し静かな国家になってほしいと思っている。
しかし番組ではますます中国は中央集権国家として周辺諸国を飲み込んでいくと言のでは、隣にヤクザが住んでいるのと同じで日本には立つ瀬がない。

 何とか覇権国家中国を分裂させる手段はないだろうか。そうした視点でこの番組をトレースしていくことにした。

なお、世界史の記事は以下に纏めて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat49743035/index.html

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(24.10.22) 歴史秘話ヒストリア 尾張藩主徳川宗春の経済思想 キツイ時ほどドハデにいこう

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(トシムネさん 撮影)

 私は長い間名古屋と言う町をまったく理解していなかったことをNHKの「歴史秘話ヒストリア」と言う番組を見て気付かされた。
正直言って今まで私は名古屋になんら興味を持っていなかった。
名古屋城を見てもどこにでもある城の一つだと思っていたし、札幌のように碁盤の目のような街並みも第二次世界大戦の復興時に区画整理をしたものだと思っていた。
又名古屋と言えばドハデな結婚式が有名だが、なぜそのような無駄なことをするのかも理解できなかったし、名古屋にトヨタがあるのも良く分からなかった。

 今回この番組を見て名古屋徳川家康によって対豊臣対策として人工的に築かれた城郭都市で、そのときに碁盤の目のような現在の道路網が整備されたことを知った。約400年前の話だ。
また名古屋城は大阪城をはるかに凌駕する規模の城で、かつ天守閣には金のしゃちほこが飾られていたが、すべて豊臣方に対するデモンストレーション効果を狙ったものであることを始めて知った。
大阪城はもはや天下第一の城ではない。すでに天下は徳川のものでその証拠がこの城と金のしゃちほこだ。城は大阪城の二倍で金のしゃちほこは8億円もするんだぞ!!!」
徳川家康は大の倹約家だったが、対豊臣政策では資金を惜しげもなく使っていた。

注)名古屋城のキンシャチは金の延べ板を張ったもので金メッキのようなちゃちなものではなかった。
「天下さまでもかなわぬものは 金のしゃちほこ 雨ざらし」と歌われていた。


 今回のテーマは城郭都市名古屋の成立史と、徳川時代を代表する8代将軍徳川吉宗と尾張藩7代藩主徳川宗春のバトルを紹介していたが、その内容は経済政策の相違によるバトルである。
一般の人は徳川宗春の名前はほとんど知らないはずだ。私はたまたま井沢元彦氏の「逆説の日本史」を読んでいたので徳川宗春の経済政策を知っていたが、その内容は一言で言えばケインズ政策である。

 当時飢饉が続き日本中が困窮のさなかにあったが、こうしたときに徳川宗春が行ったのは名古屋藩主導の規制緩和と財政政策だった。

① 遊郭を3箇所に増やして武士も町人も遊ばせる。
② 芝居はそれまで年1回であったのを100回程度まで増やし、大衆文化を広げる。
③ 東照宮祭を盛大に催してイベントで活性化する。
④ 町人のダンスコンテストを行って徳川宗春が賞を与える。
⑤ 毎日花火を打ち上げる。

 何か現在の閉塞した社会で石原都知事が行っていることとよくにていると思われないだろうか。
石原都知事はカジノの誘致に熱心だし(宗春の遊郭に対応)、東京マラソンやオリンピックの誘致に実に熱心だ(東照宮祭やダンスコンテストや芝居の振興に対応)。

 当時日本全国どこも倹約令でひっそりとしていたが名古屋だけはバブル経済で沸いて、日本中から町人や職人が職を求めて集まってきた。
特に東照宮祭で使用される山車からくり人形については、全国から集まった職人が技を競い合ったため日本一の技術と言うことは世界一)が磨かれたと言う。

 このからくり人形の職人の技術の伝統がその後世界初の豊田の自動織機につながり戦前の日本経済をリードし、さらに現在のトヨタ自動車につながるものづくりの伝統なのだと言う。
そうなのか、徳川宗春のケインズ政策が名古屋にものづくりを定着させてきたのか」初めてこの事実を知った。

 しかし徳川宗春ケインズ政策は時の将軍徳川吉宗緊縮財政政策と真っ向から対立した。
吉宗の享保の改革とは幕府財政立て直しのために倹約一辺倒だったし、産業は農業一辺倒だったから、幕府財政は立て直っても日本国の景気はさらに落ち込んでしまった

 ちょうど現在のヨーロッパのギリシャ・スペイン・ポルトガル・イタリアで緊縮政策を採れば採るほど経済は停滞するのと同じだ。
実は経済政策は放漫財政と緊縮財政がどちらが正しいかは一概に言えない。
私は個人的には生活がつつましいから徳川吉宗の倹約政策が好きだが、これは程度問題で、あまりにバブルった放漫財政のあとでは緊縮財政が必要だし、一方財政が立ち直ればそこそこ財布の紐を緩めないと景気が回復しない。
すべてはバランスの問題で一方が常に正しいと言うことはなく、現在の日本の状況はあまりに放漫財政が行過ぎているだけだ。

 徳川宗春と徳川吉宗のバトルは吉宗の勝利に終り(尾張藩に裏から手を回し宗春にたいする家老等のクーデタを起こさせた)、徳川宗春は25年間も蟄居謹慎させられ、69歳でこの世を去っている。
しかし徳川宗春のドハデ政策はその後も名古屋の伝統として残り、名古屋友禅や名古屋名物のドハデ結婚式として今も受け継がれ、また職人の技術はトヨタ自動車に受け継がれていると言う。

なお日本史に関する記事は以下に纏めて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat47308511/index.html

 

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(24.10.20) 今日はアクアラインマラソンだ。 お祭りだ!! 体調不良でも走ってみよう

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(トシムネさん撮影

 今日はアクアラインマラソンだ。千葉で行われる第一回目の都市マラソンで東京湾の海底トンネル、アクアラインをそのコースの一部にしているのが売りだ(走る場所は海ほたるまでだからここは海上の橋げた部分)。
確かに普段は自動車しか通ないのだから海風を受けて颯爽と走れるのはなんとも気持ちがいいだろう。

 私の所属しているちはら台走友会でも9名のメンバーがエントリーしている。
私も初物好きだからこの大会に応募したが、体調は最低の状況だ。
ここ3週間左足の膝に痛みが続いていてなかなか抜けない。
それでも出場するのは走り始めると気分がハイテンションになって一時痛みを忘れるからで、走った後はひどく後悔するがそれはいつものことだ。

 森田知事がここ木更津市を基点とした都市マラソン実際はかなり田舎町でのマラソン)を企画したのは、アクアラインもあるがそれよりもこの地区の衰退をいくらかでも緩和したいとの希望があったからだろう。

 何しろここ木更津市の歴史はバブルとその崩壊の歴史といえる。
人口こそ13万人でほぼ停滞しているが、1997年アクアラインの開通木更津市に裏目に出てしまった。
バブルは当にはじけ、一方料金が馬鹿高かったため、利用者は最初想定した1日2万5千台をはるかに下回って1万台約4割の利用率になっていた。

 利用者はもっぱら千葉県側の住民で、今まで木更津で消費活動をしていた人々が川崎や横浜に行って買い物をするようになり、それまで閉じられていた千葉県側の37万人の商圏が3分の1の12万人程度になってしまった。
木更津には住民をひきつける商業施設がなかったからだ。

注)当初の計画では木更津は川崎・横浜圏の一部になり、多くの住民が住みつき背後のかずさアカデミアパークと一体となって文化の中心都市になるはずであった。

 駅前にあったそごうダイエーが赤字経営で撤退したため、木更津の商店街は閑古鳥が鳴いていた。
一方アクアラインの経営は赤字もいいところだが管理会社は料金を下げるそぶりがなかったため森田知事が激怒した。
料金を下げなきゃ誰も利用しないだろ、川崎や横浜から人が来ないじゃないか!!

 森田知事は千葉県の予算措置で普通車3000円を800円に、大型車4950円を1320円に引き下げて、これでようやくアクアラインが川崎や横浜の住民からも受け入れられた。
この12年4月に大規模なアウトレットパークが木更津に開店して多くの顧客をひきつけるようになってほっとしているところだ。

 だが料金引き下げアウトレットパークだけではインパクトが小さい。
今や都市の再生はイベントしかないことを日本中の自治体の長に教えたのが東京マラソンを成功させた石原知事で、石原氏はさらに余勢をかって東京にオリンピックを誘致しようとしている。
私は石原氏の新銀行東京のような金融政策はまったく買っていないが、一方都知事のイベントの企画力は大いに買っている。

注)石原知事がなぜイベントに固執するかの理由は以下のブログで取り上げた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-6cf4.html

 森田知事アクアラインマラソンはその二番煎じだがよいものはまねるのが一番だ。
何しろ参加人数が15000名で参加費用が10000円だから、それだけでも1億5千万円を集めたことになり、経済効果はさらに大きいだろう(35000名の東京マラソンの経済効果はどう計算したのか知らないが400億円とはじかれている)。

 まあしかし、こうしたマラソンは一種のお祭りだから大いに楽しんで走ろう。市民ランナーの鑑、川内選手も出場するから川内選手だけはいつものように死に物狂いで走るだろうが、私などは海ほたるで大いに写真を撮ってこようと思っている。

なおマラソン関連の記事は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44014135/index.html

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(24.10.20) ネット社会の闇 遠隔操作ウイルス事件  あなたはいつでも犯人にされる

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(トシムネさん 撮影

 えらいことになってきた。これではいつ何時警察に誤認逮捕されるか分からない。
例の遠隔操作ウイルス事件で4名が誤認逮捕され、その後警察庁長官が誤認逮捕の可能性を認めた事件である。

 逮捕された4名はいづれも自宅のパソコンから脅迫や爆破等の予告を送りつけたとされ、たとえば19歳の明治大学の学生は「御茶ノ水女子大付属小学校の幼児を襲撃する」とのメールを送付したとして逮捕された。
当初は犯行を否認したがその後認め、家裁で保護観察処分になり明治大学を退学している。

 
 決め手とされたのはネット社会の住所氏名に相当するIPアドレスで、今まのコンピュータ犯罪の検挙はこのIPアドレスを特定することで犯人逮捕に繋がっていた。
通常犯人はこの痕跡を消すために海外の多くのサーバーを経由して犯行声明を送りつけるのだが、今回は信じられないことにそうした手段をとらず直接脅迫文を送ってきたので警察は呆れた
これでは住所氏名署名入りで犯行を行っているようなものだ。なんて馬鹿な犯人だ

 犯人はすぐに逮捕され尋問されたが当初はいづれも犯行を否認し、最後には(2週間程度拘留されたあと)犯行を認める供述をしている。
警察としてはすぐさま犯人を検挙したと鼻高々だったが、真犯人と名乗る人物から「逮捕した4人はいづれも冤罪で、警察も警察庁も愚かだ」とあざ笑う犯行声明分がTBSに送られてきて大騒ぎになってしまった。

 今回犯人は上記の4件だけでなく14件のパソコンをウイルス感染させそこから脅迫文を送っていたのだが、犯人しか知りえない具体的な内容が犯行声明文に記載されてあった。
この内容を見て警察も警察庁も真っ青になった。
しまった、誤認逮捕をしている!!!!」

 なぜこのような誤認逮捕が行われたのだろうか。

 一つはネット社会の指紋と言われるIPアドレスがすぐに判明したからだが、実は反対にすぐにIPアドレスが特定されるような脅迫文(住所氏名明記の脅迫)を犯人が送るだろうかとの疑問がなぜ警察に起こらなかったかと言うことだ。
これでは現場に指紋がいくらでも残されていた状況と変りがない。

 もう一つは容疑者が犯行を認めたことだが、誤認逮捕でも2週間程度拘留されてネチネチ絞り上げれば、大抵の人が犯行を認める供述をするということを意味している。

 
 日本では冤罪が良く発生するが警察が供述を得るまで容疑者を釈放しないことが大きい。
数週間も留め置かれて「あんた、証拠は挙がってんだよ。あんたのIPアドレスだろ。いつまでも黙止なんてしてると一生お天道様を拝めないぞ!!」なんて脅かされれば「早く何でもいいから認めてこの苦痛から逃れたい」と思うのが人情だ。

注)日本でなぜ冤罪が発生するかについてブログ「梅爺閑話」にとても興味深い話が掲載されている。
http://umejii.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-f3fb.html


 特にこの明治大学の学生なんかは可哀想に大学を退学し(大学からの示唆があったかどうかは分からない)、さらに家裁から保護観察処分まで受けている。
まったく無実なのに一生お天道様を拝めない裏社会に押し込められてしまっていた。

 どう考えてもこの種の事件に巻き込まれたら犯人にされてしまうことは確実で、そうならないように一般的な注意として、
① セキュリティーソフトを最新のものに更新しておくことと(セキュリティーソフトがないのは論外)、
② しばしば送られてくるジャンクメールの添付ファイルを開かないことと(
私の場合は一日に30通ぐらい来る)、
③ 信頼できない無料ソフトをダウンロードしないことだろう。


 
 しかしどんなに注意しても災難が降りかかってくる可能性は排除できず、座頭の市さんせりふではないが「いやな渡世になったもんでござんすね」なんて感じになってきた。

なおコンピュータ関連の犯罪としてはウィニーの問題があるが、それは以下の記事を参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat47164854/index.html

 

 

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(24.10.19) トランス・アルプス・ジャパン・レースには驚いた。

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(トシムネさん 撮影

 日本には驚くべき山岳マラソン大会があるがその中でトランス・アルプス・ジャパン・レースは最も過酷なレースだ。
何しろ日本海の富山湾を出発して北アルプス剣岳を登り稜線伝いに槍ヶ岳まで走って上高地におり、次は中央アルプスの縦断、最後は南アルプスを縦断して駿河湾まで行く制限時間8日間で415kmのレースだ。

 こんなレースをよくも考え付いたものだと感心したが2002年に初めて開催したときの参加者は4名で完走者は1名だった。
私がこのレースを知ったのはマラソン仲間の高橋香さんから教わったのだが、10年位前のことだ。
その頃は本当に特別なランナーだけのマイナーなレースだった。
そんな無理な大会に出られる選手は日本全体でも5名前後だろう」誰もがそう思っていたものだ。

注)高橋さんは2006年のレースで完走したが、その後他のレースの途中で心不全でなくなられた。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/20125_c25f.html

 今年の8月、第6回トランス・アルプス・ジャパン・レースが開催されNHKが放送したので見てみたが、その出場者の多さに眼を見張ってしまった。なんと28名にも参加者が増えていた(調べてみると参加者が加速度的に増えたのは2008年の第4回大会からだった)。

 今回のレースでトップになった選手は昨年も優勝した静岡の消防署員で山岳救助員をしている望月将悟選手34歳)だったが、望月選手はこのコースを5日と6時間ちょっとで駿河湾に到着していた。
映像をみていると望月選手はほとんど睡眠をとらないで走っていた。
私にはとても信じられなかったが、ほぼ丸1日で富山湾から槍ヶ岳の直下まで到達している。

 私もほぼこれと同じコースを歩いたことがあるが(ただし山岳部分だけ2泊3日をかけている。それを丸一日で走破するとは驚きだ。
もともとこのレースの参加要件は厳しく、たとえばフルを3時間20分以内で走りきる能力が必要とされる。
私も20年ほど前だったら3時間20分以内で走れたが、今では4時間を切ることもできないので最初から参加資格がない(ただし参加条件は厳密なものではなく他の要因も考慮して決定されているようだ)。

 このレースでは必要な用具を肩に背負って走っていたが、上位選手の荷物は非常にコンパクトで軽そうだった
私もこの種の山岳レースに出たことがあるので分かるが、荷物は軽ければ軽いほどよい。
番組では5kg程度と紹介されていたが、5kgは重いほうだ。
トップの望月選手などは寝るための用具はシートだけのようでおそらく荷重は4kg以下のように見えた。

 もう一つ大事なポイントはレース中はほとんど眠らないことだ。もっとも数日間眠らないのは不可能で出場した選手の平均は一日4時間の睡眠だそうだが、望月選手は3日間で6時間の睡眠しかとっていなかった。
一日2時間だからちょっと仮眠しては走っており、当然テントや寝袋はもっていない。
2位に入った坂田選手が望月選手との時間差を聞いて「そんなことはありえない、望月さん、まったく寝てないのと違うかしら・・」と言っていたが、後続の選手から見ると望月選手不眠不休で走っているように見えるのだろう。

 このレースでは結果的に28人中18人が8日間の制限時間内に完走していた。完走率64%だから100kmマラソン並みの完走率だ。
2006年の3回大会までは10名以下の参加で数人だけが完走していたのとはえらい違いだ。
この間多くのランナーがこのレースの研究を行って、「どうすれば完走が可能か」研究してきたのだろう。

 それにしてもすごいレースを日本人は考え付くものだ。日本で最も過酷なレースだが、世界的に見てもその過酷度は群を抜いている。
登山とマラソンが大好き人間が挑戦しており平均年齢は40歳で、上位の選手は30歳代の選手が多かった。
やはり高年齢では無理と言う感じで50歳以上の選手はいなかった。
若くて体力が充実しフルマラソンも3時間以内程度で走れなければ無理のようだ。
一瞬「私も出てみようか」との幻想を持ったがこれは幻想に終りそうだ。

なおウルトラマラソンについての記事は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43568225/index.html

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(24.10.18) 株式投資の時代の終わり  株は持っていても値上がりしない

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 今や世界の株式市場は散々だ。長期的に見ると株は持っていればいるほど値下がりをする
日本株なんかはその典型でバブル時4万円近くしていた日経平均が今や9000円前後で4分の1の価値しかない。

 それでもリーマンショックまでは欧米や新興国の株式は順調に上昇していたが、リーマンショック後は欧州株新興国株もピークからはるかに下回っている状況で日本株と同じ様相を呈してきた。
わずかにアメリカの株式アップルのようなIT産業の活況でリーマンショック以前の株価まで回復しているだけだ。

 直近でも12年7~9月の株式の売買代金は激減しており、ニューヨークもロンドンも東京も7~8年前の水準まで落ち込んでしまった。
株式市場から急速に資金が逃げ出しており、逃げた資金は債券投資のようなより安全な資産に向かっている。

 このように長期的にも短期的にも株式市場に流入する資金は激減しているが、その最大の理由は儲からないからである。
たとえばここ数年アメリカでは農地投資不動産投資)では平均10%ヘッジファンドへの投資は平均6.5%の利回りを確保してきたが、株式投資S&P500種株価指数)は5.0%の利回りだった。

 そのため欧米の年金マネーは株式投資を諦めアメリカだけでも08年から今までに37兆ドル約3000兆円)の資金が株式市場から逃げた。
年金マネーの株式のシェアは10年前は60%程度だったのに今は40%程度で、一方代替投資商品投資、不動産投資、ヘッジファンドへの投資)はこの間ほぼ0%から20%に上昇させている。
日本株やヨーロッパの株はまったく駄目、アメリカ株はIT部門だけです!!」なんて感じになっている。

注)アメリカの公的年金基金の年金給付には7.7%の利回りが必要だが実績は5.3%。基金を取り崩して給付している。このため利回りの高い投資に資金が移動させている。

 一体何が起こっているのだろうか。
日本を見てみれば分かるが企業の収益が激減していることが大きい。特に輸出産業は散々でシャープなどは倒産寸前に追い込まれ、パナソニックやソニーは赤字経営に苦悶している。
新規に上場する企業はJALのように「昔の名前で出ています」という企業ではっきり言えば日本では生きのいい成長企業がまったく見当たらない。
これで株式市場が活性化するはずがない。

 これはヨーロッパもまったく同じで、しばらく前まで日の出の勢いだったノキアでさえスマートフォンに席巻されてリストラを余儀なくされている。
右を見ても左を見ても企業は死屍累々でござんす」と言った状況で、欧州にも成長産業が見当たらず、欧州株が日本株を追うのはほぼ確実だ。

 中国経済もインド経済もブラジル経済もここに来て急ストップを始めたが、日本や欧州(そして程度は軽いがアメリカ)がこれほどの不況になれば新興国も輸出先がなくなって経済減速するのは当然だ。
かつては新興国が株式市場を牽引すると考えられていたが、新興国には新興国の問題がありそうは問屋が卸さない。

 たとえば中国は本来なら倒産するはずの赤字の国営企業を多く抱え(国が資金繰りの面倒を見ている)、インドは大停電に見られるようにインフラが未整備だし、ブラジルは鉱物資源価格に経済が左右される。

 先進国は成長限界に達し、新興国は成長の足を引っ張る要因に悩まされている。これで株式投資が活況を呈すると思うほうがどうかしている。
株式は短期の変動を無視すれば持てば持つほど減価していく資産で、素人はまず持たないことが一番安全と言える。

 なお日本の証券市場ではインサイダー取引でしか収益を得ることができない実態は前に記載した。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/24610-87f1.html

(別件)「おゆみの四季の道 新」に「おゆみの四季の道」のカウンター10000を加算しました。

 

 

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(24.10.17) 日本のメガバンクの大復活 金融機関の時代が始まった


(ブログ「バイオマスおやじの日々」に掲載されている「恐怖の猫写真」)

 日本の大銀行の復活が続いている。バブル崩壊から20年、「不良債権の隠蔽体質」と揶揄されて世界中の嘲笑の的だった日本の銀行がここに来て不死鳥のような復活を始めた。

 この10月日本でIMF・世界銀行の総会が開催されたが、こちらは中国の財務相や中央銀行総裁が欠席して散々の会議になった。
しかし同時に開催されたメガバンクとアジアの各国銀行との会議は、相互の提携(債券市場をアジアに作ろう等)を強めるなど日本の金融機関の積極姿勢がひどく目立った。

 リーマンショック後特にヨーロッパの金融機関が域内問題に忙殺されアジアから撤退しているのに対し、その穴を日本の金融機関が埋めるケースが目立ている。
ヨーロッパの金融機関はリーマンショック前に約25兆ドル2000兆円)規模の海外債権を保有してきたが、12年には約18兆ドル1440兆円)規模まで激減している。
一方で日本のメガバンクは、海外投資を08年の2兆ドル160兆円)から3兆ドル240兆円)に拡大している。
最も拡大しているといっても1兆ドル程度だからこれでは到底ヨーロッパの金融機関の穴を十分埋めているとまではいえないが、今後ともこの傾向は続きそうだ。

注)IMFの推定ではヨーロッパの金融機関は13年末までにさらに4.5兆ドル(360兆円)規模の資産圧縮を計ることになり、その穴を日本のメガバンクが埋めることに期待している

 いままで日本の金融機関は国内では大企業からまったく相手にされず、一方海外進出しようにもヨーロッパ勢が強敵だったので(旧植民地の場合はその頃からのつながりがあってなかなか食い込めなかった)、仕方なしに日本国債の購入でお茶を濁していた。
政府にとってはいくらでも国債を購入してくれるのでいくら放漫財政をしても平気と言うありがたい状況だったが、さすがにIMFが苦言を呈した。

現在の金融機関の国債の資産に占める割合が24%、これが今後とも拡大し17年には30%になる可能性がある。(これでは金融機関は政府の財布と変わりないから)共倒れの危険性が高い

注)日本の大企業は社債やCPでの資金調達が可能だったので金融機関からの借り入れを減らしていた。

 しかしここに来てIMFの懸念は杞憂になりつつある。
海外では日本の金融機関の融資を待ち望む声が続出し、一方国内では輸出産業が業績悪化に伴う格付け低下で社債やCPでの資金調達が不可能になってきたからだ。
シャープなどは格付けが投機的になって社債もCPも発行できなくなってしまい、パナソニックも赤字経営が続いて手許資金が急速になくなってピーク時の3分の1程度のかつかつの状況になってきた。

 こうなると今まで無視してきた金融機関だけが最後の頼りになる
まったくご無沙汰して申し訳ありませんでした。これからは二人三脚で融資をお願いいたします
お宅はいくらでも資金は集められるのではなかったですか。いや私どもでは海外から融資の申し込みが引っ切り無しでお宅に回す分はなかなか・・・・」なんて金融機関はいやみの一つも言えるようになり、ようやっと国債依存から脱却できる目処が立つようになった。

注)パナソニックは約5000億、シャープは約1800億のコミットメントライン(この金額を上限にいつでも金を借りられる契約)を設定した。

 こうなると今度は財務省があわてだす番だ。今までは他に運用機会がなかったので黙っていても国債の購入をしてくれたが、これからはそうはいかなくなって押し付け販売が始まるだろう。
メガバンクの資金を海外と国内の輸出産業それに政府が奪い合いになる構図になりそうだ。

注)かつて国債販売はシンジケート団が結成されて、自動的に購入させる体制があった。それを復活させるかも知れない。

 こうして今メガバンクの大復活が図られようとしている。円高の世界では(商品を売るのではなく)円こそが最大の輸出商品になる。
金融が思わぬ形で今日本の成長産業になろうとしている


なお、日本の金融機関の世界進出については以下に纏めてあります
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat45467292/index.html

またNHKスペシャルの「灼熱アジア」にも「みずほ」の奮闘振りが出ていた。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/221119-nhk.html

 

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(24.10.16) ちはら台走友会のオクトーバーラン 白熱の戦いが始まっている

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 えらいことになってしまった。ちはら台走友会オクトーバーランのことである。私の所属しているちはら台走友会では毎年この10月走りこみ月間を設けて走行距離を競っている。
しばらく前までは走りこみ月間と言っても300kmから400kmのいたって常識的な線で落ち着いていた。
ところが昨年から急にまっちゃんというお祭りにはめちゃくちゃに強いランナーが入会してから、トップの優勝距離が600km台に跳ね上がってしまった。

 昨年はまっちゃんが競り合って鼻の差でかろうじて私がトップだったのだが、今年はさらにヒートアップして最近急激にスピードと持久力をつけたしまちゃんまっちゃん死のデットヒートを繰り広げだした。
何しろ10日で300km走るのだから月刊では900kmに到達するかも知れない。
何か実業団の選手と同じような走行距離だ。

 私はと言えばまったく戦線にも入れない。このところ胃や腸が極度に具合が悪く走ると吐き気に悩まされていた。
ついに俺も神様のお迎えが来たか・・・・・・」なんて悩んでいたが、原因は熱湯の紅茶を日に何回も飲んで喉と胃の粘膜をただれさせていたことに気がついた。
数日前から熱い紅茶を飲まないようにしたら吐き気は嬉しいことにおさまった。

 だがもう一つの心配事があって、この夏に人間ドックに入ったら、左の肺に影があるので経過観察を行うので3ヶ月に1回、MRIで確認するように言われている。
以来「左胸に影があるんだ・・・・」と思うたびにしくしくと痛みが発生する。
近くの家庭医のかない内科を訪れてかない先生にみてもらったが「精神的なものですね」と笑われた。
そういわれるとしばらくは精神が安定するのだが、又しばらく経つと再び胸に違和感が発生する。私は人に言うのがいやだが気が弱いのだ。

 そんなことでまったく走る気力を失っている。10日現在で200km程度でこれが精一杯だ。
さらに信じられないことに左足の膝の下に痛みまで発生した。
大して走ってもいないのに膝痛かい、これではどうにもならないな・・・・・」

 それでも気力を振り絞って何とか距離を稼いでいる。走りはスピードを上げると膝が痛むので超スローペースだ。
時速6km~7km程度で走っているので女性ランナーに軽々と抜かされてしまう。
見ると悔しさがこみ上げてくるので下を向いてランナーを見ないようにしている。

 しかしどう努力してもしまちゃんまっちゃんの距離には届きそうはない。
相手は40才台の若手だしこちらは66歳の老人なのだから、どだい競争するのが無理なのだが、一旦走り出すとランナーの性で年齢も体力も怪我のことも忘れてしまう。
誰に話しても「無理をしないほうがいい」とのサジェスチョンをもらうが、満身創痍になっても走ろうとするのがランナーなのだ。
今日もなんとかかろうじて走っている。

ちはら台走友会の記事は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44088639/index.html

またちはら台走友会の公式ブログは以下参照
http://chiharadaisoyukai.cocolog-nifty.com/blog/

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(24.10.15) タムさんのサンチャゴ巡礼 ポルトガル道走破  最も良くできた案内書だ!!

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  世の中にはものにつかれた様な人がいるものだとつくづく思ってしまった。
私の元の会社の同僚のタムさんがその典型である。タムさんは私よりほぼ10才程度年上だが現役の頃から登山に取り付かれ、日本100名山を登り切ると、海外の各大陸の最高峰に登る決心をした。

 モンブラン、キリマンジャロ、マッキンリーを登坂し南米のアコンカグアはもう少しのところで登頂を断念したが、最後はエベレストに登ろうと決心した。
山崎さん、二人でエベレストに登らないか。しっかりしたサポートさえつければ絶対に登れる
私は確かに登山好きではあるがそのときは日本の山しか登ったことがなかったので丁重に断った。

 タムさんもその後体力の限界を感じたのだろう。登山を諦めて今度はサンチャゴ巡礼に切り替えた。
サンチャゴとはスペインの大西洋側にある聖ヤコブの墓がある聖地でヨーロッパでは中世の昔から巡礼の旅が行われていた。この巡礼を成し遂げれば今までの罪が許されると言うのが売りで、当初は罪深い人々が多く巡礼の旅に旅立ったという。

 タムさんが始めてサンチャゴ巡礼に旅だったのは2003年のことで、このときはスペインの東の端(実際はフランスのサン・ジャン・ピエド・ポー)を出発してスペインの北部を横断する約800kmの巡礼路だった。
この道のことは最近テレビ等で何回か報道されているので日本でも良く知られており、日本人の巡礼者も多くなっている。
道も良く整備され巡礼宿もあるのでまったく危険なことはなく後は体力勝負なところがいい。
タムさんはこの道を32日間かけて走破している。一日40kmは歩いた事もあると言っていたから当時はすこぶる健脚だったわけだ。

 タムさんが二回目のサンチャゴ巡礼を思い立ったのは2009年のことで、今度はフランスからスペインの国境まで歩く計画だった。
中世の巡礼道は遠くドイツやフランスやスペインやポルトガルから聖地まで延びており、当時は現在のEU と同様カソリック教徒ならば自由にキリスト教国を行き来できた。

 このときは私もタムさんに誘われたので巡礼の約半分を付き合って歩いている。このフランス道はフランスの南部にある聖地ル・ピュイを出発点としていたがフランス南部の高原地帯を歩く実に快適なコースだった。

注)このときの旅日誌は「ロドリゴ巡礼日誌」として記載した。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat34790419/index.html

 こうしてタムさんはスペイン道フランス道を走破してしまったために今度はポルトガル道の巡礼を思い立ち今年の5月23日間かけて歩きとおした。
タムさんの年齢が76歳程度正確には知らない)だと言うことを考えると驚異的な体力だ。何か再びエベレスト登頂を目指している三浦雄一郎のような人だと思う。

 このたびその旅の記録がタムさんのブログに上梓された。とても丁寧な案内書になっているのでサンチャゴ巡礼に興味のある人は必読のブログになっている。
ここにはサンチャゴ巡礼のスペイン道なぜかフランス人の道と言われている)、フランス道、そして今回のポルトガル道の詳細な記録が掲載されており旅のノウハウが詰まっている。

 いかなるサンチャゴ巡礼の案内書よりも役に立つことは一緒に旅をした私が請け負うので、サンチャゴ巡礼を目指す人はぜひ読むことを勧める。

タムさんのブログは以下の通り。最新の情報はポルトガル道だが、スペイン道、フランス道の旅の報告もこのブログに記載されている。
http://takesitamura.cocolog-nifty.com/blog/

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(24.10.14) 中国元の不思議な値下がり 何が中国に起きていたのだろうか?

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タムさん撮影 サンチャゴ巡礼の途中

 中国元の推移についてとても不可思議な動きが起こっていた。
今年に入り中国元の為替相場が対ドルで元安に振れたのだ。実際は5・6月ごろから始まって8月ごろまで元安で推移し、その後再び元高に戻ってきた

 数ヶ月の間ではあったが私には信じられない思いだった。なぜなら中国政府はアメリカとの間で段階的に元高を是正していくことを約束していたし、実際それまでは約束どおりの推移をたどっていたからだ。
一体どうしたんだ。中国の為替管理は政府の思いのままだったのではなかろうか・・・・・それなのになぜ元安になるんだ????

 正確に言うと中国の為替管理は「管理された変動相場制」と言う内容で、中国銀行が指定したレートを中心に上下に変動幅の上限と下限を設け、それを超える場合は中国銀行が為替に介入して変動幅の範囲内に抑えると言う制度である。
いわば当局の強い意思が働き、間違っても当局の意図に反して元高になったり元安になったりはしない。
ところがこの5・6月から8月ごろまでは糸の切れた凧のように元安に振れていた

 とても不思議に思っていたら最近読んだ「2013年の中国を予測する」という宮崎正弘氏石平氏の対談の中にとても興味深い指摘があった。
両氏の指摘では「中国経済は不動産バブルの後始末のために倒産しそうなディベロッパーに多額の資金を融資し、その資金は単に輪転機を回しただけの通貨膨張だった」と言うのである。
その通貨膨張の結果元の価値が下がりそれが元安に振れたという。

 中国では世界的規模の開発ラッシュが10年近く続いてきたが、開発先行で需要が追いつかずそれでも開発をやめないため死屍累々の開発業者が全国規模で発生し、それを放置できない状況にあるという。

注)毎年の固定資産投資の伸び率が25%30%だった。なお開発業者とは地方の共産党の幹部が経営している。

 中国の不動産は日本と異なりすべて国家所有だからまず使用権の譲渡が必要で50年とか75年とかの使用権が売買される(実際は地方政府の土地の切り売り)。
この使用権の譲渡は地方政府の権限で、その土地を開発公社に譲渡し、さらにその土地がディベロッパーに譲渡される。
なぜそうなるかというと地方政府は法的に金融機関から融資を受けることができないため、地方政府がダミーで作った開発公社に融資を金融機関から受け地方政府はそこから譲渡金を回収する。

 一方デベロッパーは開発公社から使用権を購入しアパートやビルを建設してその販売資金で購入した使用権の返済を行うが、実際はアパートもビルも日本のバブル崩壊時と同じようにまったく売れないため開発公社に返済ができない。
何しろ人民日報に載った数字で約5兆元約60兆円)もの不動産が販売できず塩ずけになっていると言う。

 日本ではバブル崩壊に伴い地方自治体の第3セクターが次々に倒産したが、その中国版がこの開発公社である。
返済が滞っているため約99%の開発公社が赤字に苦しみだした。
問題は本来なら死屍累々の開発公社がなぜ倒産もせずに存続し続けているかと言うことだが、ここに中国政府の金融緩和策が実施され大規模の資金供給が行われたという。

開発公社がつぶれれば地方自治体がつぶれる。そうなると中国経済が崩壊する。何でもいいから開発公社を救え

 実際は金融機関がディベロッパーに融資し、その金で開発公社への返済にまわしているのだが、問題はこの資金供給が中国銀行が輪転機を回しただけだと宮崎氏は指摘する。

 本当だろうか? 経済が崩壊過程に入るとどこの政府も輪転機を回していた。最近ではロシアのエリツィン大統領が 地方遊説するときは刷ったばかりのルーブルを飛行機に乗せてそれをばら撒いていたことは有名だ。

 だが中国は世界最大の外貨準備を誇る金持ち国だ。そこが地方政府を救うために輪転機経済に走るだろうか。
宮崎氏の指摘に疑問の余地がないわけでないが、一方でこの夏場の元安についての適切な説明がつかない。
国家管理が行き届き値上がりを公言してきた元が突然値下がりしたのは確かに中国経済の闇を垣間見た気がした。

なお中国経済についての記事は以下のカテゴリーに纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43974941/index.html

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(24.10.13) がんばれ ソフトバンク孫社長 「今M&Aをしないで一体いつするのだ!!」

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 やはり日本の企業家の中で最もアグレッシブな企業家だとつくづく思ってしまった。
ソフトバンク孫正義氏のことである。
新聞報道によるとソフトバンクはアメリカ3位の携帯大手スプリント・ネクステルT・O・B(株式公開買付)で買収する検討に入ったと言う。
スプリント・ネクステルの株式の時価総額は1兆2000億程度だが、このニュースが発表されるとスプリントの株価は約14%値上がりした。

 ソフトバンクスプリントの株式の3分の2の取得を目指し、買付に要する金額は1兆円を越えると思われている。
スプリントはアメリカ第3位の携帯事業会社だがアメリカではAT&Tベライゾンの二強が圧倒的なシェア(3分の2)を持っていて、スプリントのシェアは約2割程度だ。
アメリカの自動車メーカーで言えばクライスラーのような立場で赤字に苦しみ常に買収の噂が絶えることがなかった会社である。

 孫氏は実にアグレッシブだ。過去に英ボーダフォンの日本事業を約2兆円で買収して携帯事業分野に進出したときも驚いたが、つい先日もイー・アクセスを買収したばかりだ。
それなのに今度はアメリカの携帯会社の買収かい!!!!良く金が続くものだ・・・・・・・

 スプリントのT・O・Bはスプリントの株価が上昇するとそれに合わせて投入する資金も多額になる。市場では「スプリントの株は買いだ」とはしゃぎだしたので必要金額は1兆円をはるかに越え2兆円近くになるかもしれない。

注)T・O・Bでは通常株価をかなり上回る金額で購入金額を決定する。したがって株式を持っているだけでも利益が期待できるがさらに株価を上げておけば更なる利益が期待できる。

 ソフトバンクは金融機関からの融資を期待していてみずほ等3メガバンクは1兆5千億円程度の融資に応じると言う。
日本の金融機関は日銀の金融緩和でジャブジャブの資金を持っているが、融資先に苦慮していたので渡りに舟というところだろう。
また孫氏が強気になったのはソフトバンクの有利子負債が一時の2兆円から5500億円まで圧縮されたことが大きい。
二兆円が何だ。俺の経営手腕ですぐに返済してやる
最も市場は懐疑的でソフトバンクの株価は12日17%も下がってしまった。
孫さん、危ないんじゃないかい・・・・」と言うところだ。

 だが客観的に見ればソフトバンクのスプリント買収は時宜を得ている。
何しろリーマンショック前120円前後だったドルが80円前後と3分の2に減価しているのだから、円さえあれば何でも買えるという状況だ。

 日本の伝統的な大手企業はこうしたときでも石橋をたたいて渡ろうとするが、孫氏は即決即断のワンマン経営者だ。
一般に日本人はワンマンを否定的な意味で使うが日本企業が束になっても勝てないサムスン李会長に対抗するためには、李会長に負けない即決即断が必要だ。

 日本で現在そうした決断力を持っている経営者は孫氏とユニクロの柳井氏しかいない。
歴史的円高の時代、物を売るのではなく外国企業を買収するのがもっとも合理的な選択であることを孫氏が教えてくれている。
日本企業の新しいスタイルとして私は孫氏を応援している。

過去にソフトバンクに関して書いた記事は以下のとおり。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/07/2278-sim.html

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(24.10.12) 復活なるか 液晶王国日本 シャープとジャパン・ディスプレイの戦略

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 10月4日に放送されたクローズアップ現代のテーマは「復活なるか 液晶王国日本」だった。ほぼ10年ほど前の液晶の世界シェアは日本が圧倒的で、特にテレビ用液晶の80%をシャープが抑えていた。
シャープ以外に液晶なしと言う状況が様変わりしたのはリーマンショック以降で、日本以外の世界市場では韓国台湾のメーカーが席巻してしまった。

 サムスン(韓国)、LG電子(韓国)、奇美電子(台湾)、友達光電(台湾)と言ったメーカーが上位を占め、シャープの世界シェアは10%に落ちてしまった。凋落と言ってよい。
最大の理由は価格競争に負けたからで、リーマンショック後の円高で韓国ウォンが約45%台湾ドルが約25%値下りしたため、シャープはテレビ用液晶を日本以外で販売することができなくなってしまった。
何しろサムスンシャープ半値なのだ。

 さらにシャープの経営を追い詰めたのは大型液晶パネル(60インチの生産拠点として4300億円の巨費をかけ堺工場を稼動させたことで、これもリーマンショックの景気低迷で大型テレビの販売が極度に不振になり工場建設が裏目に出た。
今年の初めには稼働率は3割程度まで落ち、堺工場は作れば作るほど赤字が膨らむ体質になってしまった。
経営全体で12年3期は3760億円の赤字13年度も同様の赤字が見込まれることから、シャープは1万人規模のリストラと堺工場を台湾のホンハイ共同経営するところまで追い込まれた。

注)シャープが作るテレビは海外で売れないため、ホンハイのテレビで液晶を使用してもらう計画。

 シャープとしては大型テレビについては経営資源を投下するのを諦め、もっぱらホンハイの資金力と販売力に頼ることとし、シャープ本体の経営資源は中小型の液晶部門に特化しようとしている。
この分野はまだシャープが世界シェア2位の位置にいるが、この液晶はテレビ用ではなくスマートフォンタブレット型端末の液晶で、現在アップルサムスンが激烈な競争をしている分野だ。

 日本メーカー(ジャパン・ディスプレイやシャープ)はこの中でアップル陣営の部品の供給を行っており、アイ・フォーンアイ・パッドの液晶として使用されていて、技術力は現在世界一を誇っている。
ただしこの部門でも台湾や韓国の追い上げが激しい。

注)シェアNO1は日立とソニーと東芝が共同で設立したジャパン・ディスプレイであり二番目がシャープになっている(両者で35%程度のシェア)。

 この中小型液晶の生産・研究はシャープの亀山工場でなされており、従来よりはるかに細密で消費電力が5分の1程度の新製品の開発が最終段階に達していた。
この技術があればシャープは必ず復活できる」と担当の技術者は言っていたが、それほどことは簡単でなさそうだ。

 かつては日本の液晶メーカーは自社のテレビ用液晶として生産してきたが、テレビそのものが売れなくなってこの戦略は失敗した。
今は液晶専門の部品メーカーとなって生き残りを図っていくことにしたが、問題は術力が円高をカバーできるかどうかだ。
唯一無二の独占的製品であったらいかようにも生き抜くことができるが、サムスンLG電子もシャープほどは高品質でないが実務上まったく支障のない商品を半分程度の価格で提供できる。

 今回の番組では部品メーカーとして特化すること、技術力で差をつけること、意思決定を迅速に行うことが復活の条件だと話していたが、やはりそれだけでは円高の影響を緩和するのは無理ではなかろうか。
問題はリーマンショック後約半値に下がった韓国商品との戦いで、そのためには日本に製造拠点があるのはなんとしてもつらい。

 シャープはホンハイと堺工場の共同管理までは同意したが、亀山工場は死守しようとしている。
しかしそれでは海外に輸出する場合は円高の影響をもろに受ける。
ホンハイの郭会長当と提携し、技術開発は日本、生産は海外とするようなドラスティックな対応をしないと、シャープジャパン・ディスプレイもこの中小型液晶部門でもサムスンとLG電子にすぐに追い上げられてしまうだろう。

注)国内生産の規模は日本市場向けだけに限るように生産規模を圧縮する必要がある。

 なおシャープ問題は以下のカテゴリーに纏めて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat50580440/index.html

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(24.10.11) 中国における日本車の不買運動  トヨタが半減しているが本当に問題か?

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  中国での9月の日本車の販売が激減していると言う。たとえばトヨタは対前年同月比▲49%、ニッサンが▲35%、ホンダが▲40%で、尖閣諸島問題で中国が不買運動をしている結果だと言う。
日本車の購入をやめた顧客はVWフォード現代に流れているらしい。
この不買運動は相当長く続きそうだから日本メーカーの中国戦略の見直しが必要だと言うのが新聞やテレビの論調だ。

注)VW +20%、フォード +35%、現代 +10%。ただし中国全体の9月の出荷台数は▲1.8%の162万台。自動車産業は中国GDPの約1割を占めているから全体としても消費の落ち込みが激しかった。

 確かに日本で生産され輸出された自動車の不買運動であれば日本国内への影響は大きいが、昨今はほとんどが現地生産に切り替わっており、ニッサンなどはグローバル戦略を明確にしている。
日本はすでに輸出拠点としては最悪の環境であり、日本から自動車を輸出すればするほど赤字が累積される構造になっている。

 
 中国人に販売する車は中国で生産できる体制を日本メーカーはすでに整え、中国全体の生産能力の約2割を日本のメーカーが占めている。
だから中国人の日本車不買運動は中国で現地生産されている日本車の不買運動と言うことになるが、これが本当に不買運動なのだろうか。
単に中国のGDPを押し下げるだけではないのか

 グローバルな世界においては企業は国籍を持たない。生産環境が整い、市場に近く、利益を生み出せる場所で生産しているだけで、その車を作っている従業員は中国の場合は中国人だ。
当然税金は中国政府に支払うし地代も同様だし、又企業進出によって周りの関連産業も潤う。最近は部品メーカーとして中国企業も参入しているので、中国に進出した自動車メーカーは中国の会社となんら変わらない。

 日本の過疎地の企業誘致を思い浮かべてほしい。工場が進出してくれると雇用が生まれて人口の減少に歯止めがかけられるし、地方の財政は地方税固定資産税が期待でき潤う。工場の周りにはコンビニや飲食店が集まるし、弁当屋も繁盛する。
だからこそ過疎地の首長は工場誘致に熱心なのだ。

 これと同じことが中国に進出した自動車メーカーにもいえるのだが、せっかく誘致をした企業の生産する商品の不買運動をして企業を追い出してしまったら何のために誘致したのか分からなくなってくる。
グローバルな時代には雇用を提供してくれる企業がいい企業で国籍は関係ない。

 中国人の一般的な教養はマルクス経済学だから、外国企業に対しあいも変らない帝国主義論資本による収奪と言う概念がこびりついているのだろう。
中国人の中でも鄧小平は「黒い猫でも白い猫でもねずみを捕る猫がいい猫だ」というグローバリズムの発想を身に着けていたが、中国指導者の多くはマルクス毛沢東の弟子だ。

 一方日本人でも中国進出企業が暴徒に襲われたり焼き討ちに会うとあたかも日本が焼き討ちにあっているような感覚に襲われる人が多いが、実際は中国人の資産を中国人が壊しまわっているに過ぎない
グローバル企業には国籍がなく、生産している場所が国籍なのだから、トヨタニッサン現地法人は中国の企業であり、そこでの付加価値は中国のGDPにカウントされる。

注)正確に言えば現地法人が稼いだ利益のうち配当や利息分については日本のGDP(所得収支)となるが、それ以外はすべて中国のGDP にカウントされる。

 だから中国人の日本車不買運動は中国人の問題で日本人の問題ではないと私は思っている
そしてグローバル企業はその性格上中国の立地条件が悪化したと思えば他のよりよい条件の場所に移ればよいのであって、焼き討ちにあってまで止まる理由は何も無いのだ。

なお、グローバル企業は国籍がないことについては以下の記事(なぜ中国は自国の財産を破壊するのか)でも言及しました。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-3e0c.html

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(24.10.10) おめでとう山中教授 日本人の誇りだ

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 思わず手をたたいてしまった。山中伸弥京都大学教授iPS細胞の研究ノーベル医学生理学賞を受賞したテロップがテレビに流れたからである。
山中教授iPS細胞の発見は世界的な業績であることはすでに広く知られていたので、後はいつノーベル賞を受賞するかにかかっていた。

 06年のマウスの皮膚細胞からiPS細胞を作成してから6年間でノーベル賞を受賞したのだがとても早い受賞になった。
従来の受賞者がどちらかと言うと第一線から引退して歩くのにもおぼつかなくなった頃受賞するのとえらい違いだ。
何しろ山中教授は50歳で現役のパリパリの研究者で京都大学iPS細胞研究所長でもある。

 世界にある賞のうち最も伝統があり権威があるのがこのノーベル賞だから、この賞を受賞することは世界の第一人者と認められたことになる。
受賞したのは山中教授だが「日本人て頭がいいんだな・・・・・・」なんて自分もそうであるような錯覚にしたれるのがこの賞のいいところだ。

 新聞もはしゃいでいて過去のノーベル賞の国別ランキングを掲載していた。それによると圧倒的に受賞者が多いのはアメリカで次がイギリス、そして日本はロシアに次いで8位だった。
ほれ見ろ、日本は人類に多大な貢献をしているじゃないか。近くで威張ってばかりいるニイ・ハオおじさんとえらい違いだ」つい言ってみたくなる。

 今回の受賞理由は「成熟した細胞を多様性を持つ状態に初期化できることの発見」と説明されている。
この中でキーなる言葉は「初期化」である。従来成熟した受精卵は一方通行で心臓になるものは心臓、腎臓になるものは腎臓と決められ、途中から心臓が腎臓になるようなことは絶対にないとされていた。

 それはそうだろう。目玉ができつつあるときに急に心臓になんかに変ったら、心臓のある目玉になってしまう。だからこの分裂は一方通行しかないと思われていた。
だがそれは「通常の状態であれば」と言う限定つきで、山中教授はマウスの皮膚細胞に4つの遺伝子を組み込むことで初期化に成功してしまった。

 皮膚から心臓でも腎臓でも骨格でも筋肉でもできるのだからすごい。
細胞が初期化するのだが、私たちはコンピュータを使用し始めてからこの「初期化」に慣れている。
最近でこそ少なくなったが従来コンピュータは理由が分からないが何かの原因でウンともスンとも言わなくなる。
こうなるとテコでも動かないから仕方なしにOSの再インストールをしたものだ。
なんて壊れやすいコンピュータだ。しっかりしてくれよ」ブツブツ・・・・
あれが初期化だが人間の細胞もコンピュータと同じだとは知らなかった。

 山中教授が発見したiPS細胞は自分の細胞を使用しているので拒絶反応が少なく、又実際に難病の細胞を作り出して治療法を研究するのに役立つ。
そして受精卵を使用しているわけでないから倫理的な問題もクリアーされた。
何はともあれ実に立派な研究だ・・・・」細部は良く分からないが、私は嬉しくてはしゃいでいる。

 これからも日本人の受賞者が増えていくことを期待したい。何しろオリンピックではニイ・ハオ組アニョン・ハセヨ組に負けっぱなしだから、頭で勝たないことには東アジア地域の級長にもなれない。

なお山中伸弥教授がクローズアップ現在に出場して国谷裕子キャスターと対談したときの模様は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post-54bc.html

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(24.10.9) ドキュメンタリーWAVE 頭脳の流失がとまらない ポルトガルの落日 そして日本

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 ポルトガルと言っても一般の日本人はほとんどこの国のことを知らない。かつて日本に種子島と言う鉄砲を伝えたとか、エンリケ航海皇子が大航海時代のさきがけとしてアフリカ航路を開拓したとか、バスコ・ダ・ガマインド航路を発見したとかの過去の知識しか持ち合わせていない。
最近のことはまるっきり知らないのが実際だ。

 今回NHKがドキュメンタリーWAVEで放送した「頭脳の流失がとまらない ポルトガルの落日」はまさに最近のポルトガルの実情を教えてくれた貴重なレポートだ。

 ポルトガルはほとんどギリシャに似ている。人口も1000万人程度だし、GDPはギリシャのほうがやや大きいと言う程度だし、国土もさして変わらない。
そして何よりもヨーロッパの金融危機の荒波に襲われて緊縮財政を政府はとっているが、国民が大反発している姿も同じだ。
ギリシャと同様若者が商店や自動車を打ち壊している。

 ポルトガルの失業率は15%だが、若者に限って言えば36%3人に一人は失業していることになる。
若者の失業が多い理由はヨーロッパの労働者が勝ち得てきた一種の労働ギルド制があり、職種ごとに組合ができていてその組合員でないと職に就けない。
そして組合は現に職を持っている労働者の味方だから(特に職場が縮小している現在は)若者の入り込む余地がないのだ。

 このため現政権のコエーリョ首相は国民に「ポルトガルで職を得ると思うな、ポルトガル語が通じる旧植民地に行ってそこで働け」と公言している。
ポルトガルは首相が自国に見切りをつけた稀有な国家だ
実際ポルトガルでは増税、社会保障費の削減、公務員の首切りが日常茶飯事だから、手に職を持った人々や若者はアンゴラ、ブラジル、モザンビークと言った旧植民地に大挙して職を求めて移動している。

ポルトガル経済の基本的問題は以下のブログに記載してあります。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat42499781/index.html

 特にねらい目はアフリカのアンゴラでここは石油やダイアモンドと言った鉱物資源の宝庫だがその鉱物資源をめぐって2002年まで内戦状態にあった。
アンゴラの人々は戦争には慣れ有能な兵士だが経済を運営するノウハウがほとんどないため、アンゴラ政府はポルトガル人の誘致を積極的に進めている。

 建設・石油・IT・金融のスペシャリストは特に引く手あまたで、最近では公認会計士や大学教師もアンゴラに職を求めて移住してきている。
治安は御世辞にもいいとはいえないが給与はポルトガルのように遅延もないし高給だから現在10万人のポルトガル人がアンゴラで働いているという。

 番組では識者と思われる人がポルトガルの国家を支えてきた有能な人材の流失がとまらないことを危惧していたが、当のコエーリョ政権は「ポルトガルに職がないのだから有能な人は海外で職を見つけてほしい。ポルトガルに留まっても無駄だ」といたって割り切っていた。

 笑ってしまったが、そうしてばかりしていられないのは日本がおかれている状況と酷似しているからだ。
日本の半導体液晶と言ったかつて世界を席巻した技術者が今大挙して旧植民地だった韓国や台湾や中国満州国は日本の植民地だった)で高給で仕事をしているが、それに似ている。
日本では輸出産業が崩壊しシャープソニーパナソニックと言った日本をリードしてきた産業の技術者が馘首されていて、そうした技術者は今旧植民地で働いている。

 日本に新たな産業が育たないからで、金融や医療は最も可能性の高い産業だが、残念ながら政府にはこうした産業を次世代産業に育てようとする本当の戦略がない。
ポルトガルを笑ってばかりいられない事情がここにある。

なお日本の成長戦略に関する私の提案は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat48360072/index.html





 

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(24.10.8) BS歴史館 伊能忠敬 日本を知らしめた男

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 今回のBS歴史館伊能忠敬を扱っていた。私は伊能忠敬のファンだから楽しみにしてこの番組を見た。
おそらく日本の歴史上最も魅力のある老人伊能忠敬である。ほとんど年寄りの鏡といってもよい。
伊能忠敬が北海道の測量に出発したのは56歳のときで、その後72歳まで日本全国を測量しまくって当時としては世界的レベルの日本地図を作成した。

 彼が活躍したのは今からおよそ200年前で西洋が最も輝いていた時代だが彼の日本地図を見てイギリスを始め当時の先進国が度肝を抜いた。
こんな正確な地図を作成してしまう日本人はなんと優秀な人種だろう
日本が幕末西洋の植民地にならなかった理由の一つにこの伊能忠敬の作成した地図がある。

 地図とは国民国家を築くための最も大事な手段であり、地図を見ることによって初めて国家意識が芽生える。
しかし幕府はこの正確な地図を国家機密とし、為政者のみが知ればよいとしてトップシークレットにした。
世に言うシーボルト事件はこの忠敬の地図の写しをそっと国外に持ち出した事件だが、現在のイメージで言えば防衛省のトップ機密が中国のサイバー部隊によって盗まれたようなものだ。

 私は伊能忠敬は最初から地図を作るために蝦夷地に向かったと思っていたがこれは誤解だった。地図作りは内職のようなもので、本当は地球の大きさを測量したかったのだと言う。
当時地球が丸いことは知識人の間では常識になっていたが、その大きさを測ることはなかなか難しかった。

 方法論としては2地点の緯度を測り(たとえば1度差のあるニ地点)、さらにその2地点間の距離たとえば111km)を測ればその360倍が地球の大きさになるこの場合は4万km)。
伊能忠敬は幕府天文方のトップ高橋至時よしとき)のサジェスチョンで、蝦夷地までの正確な距離を測り、さらに緯度の測定に成功すれば地球の大きさが分かることを教えられた。

 伊能忠敬の海岸線の正確な測量はこの地球の大きさを確認するために行ったので、副産物として日本地図が出来上がった。
最初の蝦夷地の測量はほとんど伊能忠敬のポケットマネーで行ったが、このあまりの正確さに驚愕した幕府は次に東日本の地図作成を命じさらに西日本の地図作成を命じるほどになった。
当初は伊能忠敬の個人的な知識欲を満足させるための行動が、結果的に幕府直轄の国家事業になってしまったことになる。

なんてすごい男だ」と思うが、人に命じられたわけでなく個人的趣味で始めた測量が日本国最大の国家事業になった訳は、当時の幕府の差し迫った危機意識があったという。
南からはイギリスがそして北からはロシアが通商を求めて日本近海に現れていたが、当時の幕府は日本の領域と言うものを知らなかった
竹島や尖閣諸島や北方領土なんて意識は当時はまったくなく、何しろ日本と言う領土はどこからどこまでかまるで分かっていなかった。

おのおの方、これでは国防もへったくれもないではないか」時の老中松平定信が危機意識を持って正確な日本地図(幕府と藩という狭い領域でない日本全体)の作成を後押しした。
あの有能な男を幕臣にして幕府直轄の国家事業とせよ

 伊能忠敬は当時としてはまったくの老人である。何せ人生50年の時代で平均寿命はもっと短かったはずだ。その老人が隠居仕事として日本全国を歩き回って日本地図を作ってしまった。
私もかつて忠敬を真似て北海道の東海岸を歩いてみたが、波が強く岸壁が海にせり出した危険極まりない場所だった。
今では黄金道路と言う良く整備された道路が開通しているがそこから一歩海側に降りると荒磯と言っていいような場所だった(当時はまったく道路はなく獣道しかなかった)。

 私は伊能忠敬のような先人がいたことに誇りを感じて、北海道の東海岸の海に向かって涙を流したほどだ。
日本の歴史上最高の老人と言っていいと思う。

なお日本史の記事は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat47308511/index.html
 

 

 

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(24.10.7) 高校受験の数学の問題にはまってしまった トリッキーで推理小説なみだ

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 私が中学3年生の少年にボランティア数学英語を教えていることはこのブログで何回か記載している。
当初は中学生の数学と英語などはどのようにしても教えられるとタカをくくっていたが、実際に教え始めてそれが誤解であることに気がついた。

注)ボランティア教師の奮闘記は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/24722-bc54.html


 私が中学生だったのは今から50年以上も前で半世紀が経っており、すでに歴史的な過去のことだ。
当時は確かに優等生だったがそれが今も同じだと思ったのが間違いだった。
数学などはそれでも趣味で数学の古典書、たとえばE・Tベルの「数学を作った人々」のような本を読んでいたので感度だけはあったが、英語などは完全にさび付いてしまい正確な英文法などは忘却のかなたと言った具合だ。

 これでは少年に申し訳が立たないのでここ数ヶ月数学と英語の受験用参考書を購入し問題を解くトレーニングをしている。
私がかつて通った高校は都立高で当然受験は東京都の高校入試を受けたが、都が行う入試は特別にひねったわざと受験生を落とそうと言うようなところはなく素直な問題ばかりだった。

 だから私は私立の有名高の入試も都立高の入試問題とさして変わりがないのだろうと思っていたが、これはまったくの誤解だった。
数学などはいたるところにわなが仕掛けられていて特殊な訓練でそのわなを抜けられる生徒だけが入学できるようになっている。

 少年が受験する高校は著名高の次ぐらいのレベルだが、それでもやたらと難しい問題が並んでいる。当初私は手も足も出なかったが数学の過去問を丹念にといていくうちに一種の傾向のようなものがあり、どこにわなが仕掛けられているか分かるようになった。
何かアメリカの特殊部隊員の訓練のようなもので、火薬の扱いがやけに上手になっていく隊員に似ている。

なるほどね、有名私立高の受験問題は推理小説の謎解きレベルだな・・・」
感嘆した。
あまりにトリッキーなので何か高校数学の問題を解くのがミステリー小説を読んでいるのとさして変わりがなくなってきた。

まあ、それなら難関と言われている灘高の問題を取り寄せて解いてみるか
先日過去問を取り寄せてさっそく解こうとしたが、信じられないことに第一問からまったく歯が立たない。
一般にどこの入試でもそうだが最初は簡単な計算問題なんかがならんでおり、難しいと言っても体力勝負で解ける問題ばかりのはずだ。
それが最初からトリッキーなのでまったく歯がたたない。
なんということだ、これでは灘高の数学は〇点じゃないか・・・・・・」

 いやはや驚きだ。これでは受験産業が隆盛するのは当然と思われる。
塾で特殊な訓練を受けた学生だけが超有名高校に入れて、又そこで特殊な訓練を受けた受験生が超有名大学に入れる仕組みが成り立っていることを肌で感じてしまった。
受験生は本当に特殊部隊の隊員のようなスペシャリストに仕立て上げられている。
これでは親は子供の塾費用捻出のために働かされているようなものだな・・・・・・」受験生を持つ親には同情する。

 話は異なるが、私は先月からさらにもう一名受験生の指導をしようとして募集をしてみたが今のところ反応はさっぱりだ。
私の能力を見抜いて声がかからないのかもしれないが、私自身は受験生と一緒になって勉強するのが楽しいのだから気楽に声をかけてくれたらと思う。

なお、募集内容については以下のブログに記載していますが、気楽に相談に乗りますのでブログの条件に合わない場合でも結構です。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-f027.html

 

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(24.10.6) オーストラリア経済の曲がり角 中国経済の裏鏡の悲しさ

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 最近まで好調を維持してきたオーストラリア経済が曲がり角に差し掛かった。
オーストラリア経済は中国経済の裏鏡といっていいほど中国経済と関係が深く、中国経済の変調をまともに受ける。
それが顕著に現れているのが貿易収支で、10年、11年と絶好調であった貿易収支が12年に入り赤字基調になり、特に8月に入り急速に赤字幅が拡大し始めた。
原因は中国への鉄鉱石と石炭の輸出が減少したからだ。

注)12年8月の貿易収支 輸出 246億オーストラリアドル、輸入 266億オーストラリアドル、▲20億オーストラリアドル

 オーストラリア経済はリーマンショック前までは貿易収支所得収支も赤字で海外からの投資を呼び込むことでかろうじて成り立っていた弱者の経済だった(だからオーストラリア預金の金利は高かった)。
それがリーマンショック後中国が景気対策を強化し、オーストラリアから鉄鉱石と石炭の輸入を急拡大させたことから、信じられないような鉱物資源の採掘ラッシュが始まり、貿易収支の黒字が定着した。

注)11年度貿易総額のウェイト。中国20%、日本12%、アメリカ6%でオーストラリアとって中国が最大のお得意様になっている。

 私の息子は仕事で日常的にオーストラリアに出張しているがそのたびに「オーストラリアはなんて景気がいいんだ。何しろ鉱山会社の募集が引っ切り無しで、大型トラックを運転すれば年収1000万は軽く稼げる。だからみんな鉱山に働きに行ってしまった」と驚いていた。
オーストラリアのGDPの伸び率はここ数年2%~3%だが、鉱山業だけに限ればバブルと言っていいような状況だった。

 しかし12年度に入り鉄鉱石価格はジリジリと値下がりをはじめピーク時の半額になりつつあり、また石炭価格も同様の動きを始めた。
中国のインフラ投資にかげりが出ていることと、民間の建設投資が一気に冷え込んでいるからだが、その影響がオーストラリアの貿易収支にはっきりとした形で現れている。

鉄鉱石価格の推移グラフ
http://ecodb.net/pcp/imf_usd_piorecr.html#index01

石炭価格の推移グラフ
http://ecodb.net/pcp/imf_usd_pcoalau.html#index01

 RBA(オーストラリア準備銀行)もオーストラリア経済が下降局面に入ったことを認め政策金利を0.25%引き下げて3.25%にしたものの、問題は単なる景気減速に留まるかどうかだ。

 中国の経済実態は統計数字がそもそも粉飾が施されているので良く分からないが実際はひどい景気後退に見舞われハードランディングの可能性が高い。
そうした兆候はいたるところにあり、製造業の景気指数は2ヶ月間にわたって50を下回っている。
中国国内での日本車の販売も極度に不振だが、これは尖閣諸島問題の影響もあるがそれ以上に中国の消費が冷え込んでいるからだ。

注)中国のハードランディングの可能性については以下の記事に記載しておいた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-b492.html

 
 中国の景気後退の様子は中国との貿易関係が強いオーストラリアの貿易収支の動向を見ていったほうが分かりやすく、それによれば12年度に入って中国は景気下降局面に入り、8月からその傾向が一層激しくなっている。

注)貿易収支の推移は以下のグラフ参照
http://gogogofx.com/contents/usadata/au_tradebalance.html

 中国特需で潤っていたオーストラリア経済もこの辺が限界で、鉄鉱石も石炭も中国需要が減少しかつ価格が低下してしまえばまた昔のか弱い経済に戻らざる得ない。
今中国の景気後退が世界に確実に広がっている。

なおオーストラリア経済に関する以下の記事も参考にしてください。

① 昨年までの好調な経済についての記事
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/2367-9566.html

② オーストラリア経済の基本構造の分析記事
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/211010up-0c83.html


 


 

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(24.10.5) レアアース輸入先の多角化と技術革新は大成功 中国は輸出規制に出られなくなった

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 笑ってしまった。あれほど日本政府の尖閣諸島国有化に憤っていた中国が、レアアース輸出規制をしていない。
当初は日本に対する「あらゆる手段をとる」と言っていたので、又2年前と同じレアアースの規制をするものとばかり思っていたが、今回は見送るようだ。
どうして振り上げたコブシをおろしたのだろうか。

 調べてみると2年前は日本はほぼ全量に近い量を中国から輸入をしていたが、前回の輸出禁止措置に懲りて輸入先の多角化を計った結果、現在中国からのレアアース輸入は5割を割り込んでいる
フランスやベトナムからの輸入が劇的に拡大しており、さらに各企業が技術革新によって中国のレアアースを使わなくても済む様にした。

 その結果、中国からの輸入量は半減しさらに価格はピーク時よりも7割も低下して暴落していた。
これじゃ、規制もへったくれもあったもんじゃないな、かえって購入してくれと頼まなければならない状況じゃないか・・・・・・

 希土類は大別して軽希土類重希土類があり、前者はどこからも産出し後者は主として中国で産出している。
特にジスプロシウムというようなHV(ハイブレッド)車の燃料電池で使用している希土類は中国産だから完全にくびきから逃れたわけではないが、それにしても2年足らずで中国の規制を無力化したのだから日本の技術力はたいしたものだ。

 中国は政治リスクが極端に高い国で政治的要請がすぐに経済を圧迫する国だ。何かと言うとジャスコ平和堂を打ち壊し、パナソニックの工場を焼き討ちするがその責任は「あげて日本にある」平然と言う国である。
そんなヤクザな中国に希土類を押さえられていると日本経済は首根っこを押さえられたも同然だ。
今後とも技術革新を進めて中国の希土類をまったく使用しないでも済むようにしてもらいたいものだ。

 首根っこと言えばもう一つの首根っこは石油で、日本ではまったくと言っていいほど石油の産出はなかったが、ついに秋田県鮎川油ガス田シェール・オイルの産出に成功した。
私は日本にはシェール層がないのでシェール・オイルシェール・ガスはないと思っていたが、例外的に秋田県の周辺にはこのシェール層があるという。
最も現在の石油輸入に代替できるほどの量はなく、せいぜい日本が使用する1年分の1割程度の埋蔵量だそうだからすぐに枯渇してしまいそうだ。
しかしそれにしてもシェール・オイルが産出するとは心強い。

注)アメリカはこのシェール・ガスとシェール・オイルの産出で一挙に海外からのLNGの輸入を激減させている。その内容は以下参照。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/221022.html


 さらにもう一つ愛知県渥美半島沖の海底からメタンハイドレートの試掘に成功したとのニュースも入っている。
メタンハイドレートとは、海底に浮遊しているメタンの塊でイメージは北海道の阿寒湖にあるマリモみたいな感じだ。
この商業化はまだされていないがJOGMEC資源機構)によれば18年度から商業化が可能と言う。
日本近海の海中には無尽蔵のメタンハイドレートがあるといわれているので日本は一挙に資源大国になる可能性すらある。

 レアメタルにしろ化石燃料にしろ日本はそれを止められると一挙に危機に陥る経済構造をしていた。そのため善隣友好外交を繰り広げてきたが、中国のようなヤクザな国家を相手にこの善隣友好外交は通用しないし、機会があれば資源の輸出規制をされてしまう。
だから日本はレアアースの場合のように代替品の開発に成功するか、シェール・オイルメタンハイドレードの採掘に成功して、せめてイギリスやアメリカ並みのエネルギー自給率60%日本は現在4%)を確保する必要があるだろう。

なお中国との尖閣諸島問題の記事は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat51088450/index.html

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(24.10.4) 政治家はなぜ円安がいいと思うのだろうか  前原経財相の発言とすでに金融立国になっている日本の実態

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 どうしてこんな発想しかしないのか残念でならない。
前原経財相の「日銀に外債を購入させる」との発言のことである。
日銀が外債(特にドル債)を購入すれば外為相場は円安に動くから日本輸出産業の輸出環境が好転すると言う。
現在為替介入は財務省の先決権限で外為特別会計を通じて外債の購入を行ってきたが、それに日銀を参加させようとの案だ。

 日銀はすでに80兆円資金枠を設けて国債の購入等をしてきたが、「日本国債だけでは駄目で、ドル債も購入しろ」というのが前原経財相の発想で、FRBやECBと競争して金融緩和を行い、それには何でもありだということのようだ。

 しかしこうした金融緩和策とその結果の円安誘導は日本の経済になんらメリットも及ぼさず、かえって日本経済に害をもたらす。
日本経済は昨年から貿易立国でなくなり投資立国に変わっているからだ。

注)日銀の金融政策については以下の記事を参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post-4da3.html

 数字を見れば明らかだが、日本は昨年の東日本大震災以降年ベース半期ベースで見ると貿易収支は大幅な赤字が続いている。
赤字の原因は輸出産業が崩壊して輸出が減少していることと、一方で原発の代替燃料としてLNGを中心とする火力発電用燃料を大量に輸入し始めたからだ。

 赤字幅は23年度全体で2.6兆円だったが24年上期はすでに2.9兆円半期で前年の赤字幅を凌駕してしまった。
単純計算で24年度は6兆円規模の貿易赤字が予想される。
日本の経常収支の構造は所得収支の黒字年間14兆円規模)で貿易収支の赤字年間6兆円規模)を埋めると言う典型的な成熟経済そのものに変わってしまった。

 日本はすでに投資立国で貿易立国ではない。
前原氏は円安にしさえすればかつての貿易立国に戻ると考えているようだが、すでに日本の輸出産業は海外に出てしまっており、政府の円安政策をまともに信じたシャープなどは倒産の危機に陥っている。
トヨタも国内300万台死守と言いながら、カローラなどは海外で生産する体制を整えた。

注)製造業が日本を見捨てている実態は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/23112-99d4.html

 投資立国とは又の名を金融立国といい実際製造業においてすら金融部門の利益が製造部門の利益を凌駕している。
たとえばトヨタは12年3期の収益構造は自動車部門216億円の黒字、金融部門3064億円(自動車ローンや投資)の黒字で、トヨタはすでに自動車製造会社ではなく金融業者だ。

 そしてこの傾向は過去輸出で十分稼いだ企業はすべて同様で、日本は金融機関だけでなくかつての輸出産業も金融業に変わってしまった
それならばものを作って貿易で稼ぐのではなく、お金に稼いでもらったほうがはるかにいいし、そのためにはお金の価値が上がる円高のほうが好ましい。

 円高にさえなれば悩みのLNGの価格上昇にも耐えられるし、穀物価格がいくら上がっても食料品の価格は安定する。
かつてレーガン政権は「強いドルこそがアメリカの経済に資する」と言っていたが、なぜ前原経財相が「強い円こそが日本経済に資する」と言わないか不思議でしょうがない。
政治家とは一世代前の遺物のままなのだろうか・・・・・・

なお、経済成長の考え方については以下の記事に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43696146/index.html

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(24.10.3) 中国経済のハードランディングの可能性 政治優位が経済を崩壊させる

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 ここに来て中国経済の減速がますますはっきりしてきた。中国物流購入連合会が発表したPM I(製造業購買担当者景気指数)が8月と9月の二ヶ月にわたって50を下回ったからだ(指数は9月まで11ヶ月連続で減少)。

 中国の統計数字の見方は難しい。たとえば地方から上がってくる数字は政治的脚色が施されているのでまったく実態を反映していない。
GDPなどは特に顕著な例で党中央が10%と言えば10%と言う数字があがってくるし8%と言えば8%になる。
もともとまともな集計をしてないから、報告数字は鉛筆をなめているだけで「何が党中央が喜ぶか」だけの数字に過ぎない。

 そうした中でPM Iは中国の大手企業820社の経営部門の担当者が自分の所属する企業の景況感を反映させた報告で、中国製造業の実態を最もナウな感じで捕らえることができていると市場では判断している。
今回の数字を見ると中国の製造業、特に素材関連の金属や製鉄部門の企業は在庫の増加に悲鳴を上げているようだ。

 それはそうだろう。
中国の最大の貿易相手国だったEUは景気減速に悩んでおりマイナス成長に陥っている。
国内では不動産投機熱のあまりの広がりに不動産融資を絞ったため不動産価格の暴落が起こっている。かつて日銀が不動産融資を徹底的に抑えて日本の不動産バブルを崩壊させたがそれと同じだ。

注)中国の不動産価格暴落の実態は以下の記事を参照。http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/231127-834b.html

 さらに9月に入って日本との間で尖閣諸島問題が発生し、中国政府は日本企業に対する嫌がらせのために、日本からの部品の輸入を全品検査の対象にしたり、日本に対する素材の輸出規制をし始めた。
確かに日本企業にとってはピンチだが、在中の日本企業のGDPは日本のGDPでなく中国のGDPだから、日本企業を締め付ければ締め付けるほど中国国内の生産を締め付けることになる。

注)中国が自らの首を絞めている有様は以下の記事に記載しておいた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-3e0c.html

 すっかり世界の資金は中国を諦め、上海総合指数は低下の一途をたどっている。中国から足の速い投機資金が逃げ出しているのだ。
中国中央銀行もこのままでは中国経済が減速することは明白なので、今までは物価上昇を恐れて吸い上げていた資金を急遽大量に放出し始めた。

注)上海総合指数の推移は以下のチャートで確認できます。
http://stock.searchina.ne.jp/data/chart.cgi?type=chart_mon&code=SSEC

 日銀の白川総裁が中国経済について「過剰設備の廃棄が進まない中、在庫調整圧力が増している」とコメントしていたが、今まで行け行けドンドンで生産設備を増やし増産してきたが、生産物(鉄鋼等)が売れなければ生産調整(設備の廃棄)をして減らすより他に手はない。

 
 今までの高成長期には隠れていた中国リスクがこのところ目立つようになっている。
一人っ子政策による高年齢化と労働力不足は日本と同様に経済の活力を阻害するし、水不足は年がら年中深刻だし、今までは垂れ流しだった公害問題が表面化し始めた。
そして尖閣諸島問題で日中間の表面的な友好関係が崩れて本音の敵対関係になってきており、日本の資本が中国から逃げ出した。

注)日本の資本が中国を見切り始めた内容は以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-8165.html

 私はしばらく前まで中国の景気減速はソフトランディングして、日本で言えば石油危機とそのあと程度の影響10%程度のGDP成長率が4%程度に落ちた)だと推測してきたが、どうやらハードランディングの様相を呈してきた。
その一番の理由が日本との経済戦争で、現在のようなグローバルな社会では経済戦争は仕掛けたほうも仕掛けられたほうも互いに消耗してしまう。
日本は経済中心の国だが中国は政治中心の国で、経済実態を無視しても政治的な立場を重視する。
日本と戦争だ
」人民解放軍が敵意を煽っている。

 しかし冷静になって考えれば、中国の日本企業は中国人を1000万人規模で雇用して、しかもEUやアメリカへの輸出の稼ぎ頭だ。その日本企業の生産をストップさせる措置は蛸が自分の足を食べるのとなんら変わらない。
それでも政治優先の戦略を中国は取り続けるだろう。
これでは中国が成長を続けることは不可能で長年続いてきた高度成長は一気に奈落の底に落ちてしまいそうだ。

なお、中国経済については以下のカテゴリーに纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43974941/index.html







 

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(24.10.2) 羽根木プレーパーク等の見学 おゆみ野にプレーパークが設置できないか?

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(木の上の見晴台。登るのはかなり大変。羽根木プレーパーク

 私は世の中にプレーパークというものがあるのを知らなかった。言葉としては聞いていたがまったくイメージがわかなかった。
公園とどう違うのだろうか?」いつもそう思っていたものだ。

 今回おゆみ野で開催されている円卓会議(おゆみ野の街の緑を守る会議で、世田谷にあるプレーパーク先進事例をみんなで見に行くことになりバスをしたてて9月29日(土)に一日がかりで出かけた。
参集人員は約30名である。

 世田谷には羽根木プレーパーク羽根木公園に隣接して設置されていた。
行ってみるとそこでは子供たちが木登りをしたり、ロープ遊びをしている傍らでお母さん方がかまどで煮物のようなものを作っていたり、若いお兄ちゃんが何かせっせと建造物を製作していた。

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(本格的な大工仕事だった。木材は寄付が多い。羽根木プレーパーク

 みんなが自由に何かをして遊んでいると言う雰囲気だったが、昨今の公園ではまったく見られなくなった光景だ。
日本の公園は安全性の観点から管理が極端に厳しくなっており、を使うなどはもっての他で、ブランコ滑り台も古くなればとりはずされたりして、何もない原っぱに近づいている。
前に公園の管理者から「かあったら裁判で追求されるし、予算がなくてメンテができないので、問題がありそうな施設はどんどん撤去しているのです」と言う話を聞いたことことがある。

 何もない原っぱでベンチだけの場所ベンチも後ろにもたれがないと子供がひっくりかえり、その子供の両親が公園管理者を相手に裁判を起こしていた)は老人にとっては憩いの場だが、子供たちにとってはなんともつまらない場所になりつつある。
私たちが子供の頃はロープで川の中に飛び込んだり、泥んこ遊びは日常茶飯事で木にもいくらでも登っていた(当時は人の家の屋根に登る子もいた)。

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(手作りの滑り台とプール。 羽根木プレーパーク

 管理が行き過ぎるとその反作用が出てくるのは当然で、「なら公園でなければいいのだろう」と言うことになってきた。
ドイツやオランダでは子供を自然の場所で遊ばせることが日常的に行われているが、日本のプレーパークはその日本版で、「ここは公園でないので、何でも自由に遊んでください。ただし怪我等をしても自己責任です」と言うのが基本的なコンセプトになっていた。

 最も完全に自由にすると何が起こるか分からないのでプレーリーダーという遊び方の指導者をプレーパークには配置している。
昔だったら年長者がこうした遊びを若年者に教えるのだが昨今はそうした伝統が途切れているのでやはりプレーリーダーがいる。

 ここ羽根木プレーパークにも数人の若いプレーリーダーが配置されていた。私は知らなかったがこうした活動に詳しいSさんによると「プレーリーダーの給与は常勤で最大でも20万円くらいで、とても生活が不安定なのだ」と言う。
そのためにプレーリーダーはすぐに転職してしまい、日本ではプレーパークがなかなか広がらないのだと言う。
一方プレーパークの管理そのものは地元住民がNPO法人を作って管理しており、広報や予算獲得や行事のスケジュール管理をしていた。

 それにしてもプレーパークの主人公は子供でそれをサポートするのがプレーリーダーだから、日本ではこのプレーリーダーの人員確保で躓くらしい
円卓会議ではここおゆみ野にもおゆみ野の森プレーパークを設置したいと思っているが、プレーリーダーを雇うだけの資金がない。

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(泥んこ遊びをしていた。野沢テットー広場

 役員のOさんから「どうだろうか、明徳短大の保育課程の学生に実習としてプレーリーダーなってもいたいのだが、山崎さん、明徳短大の理事長さんに話して置いてもらえないだろうか」と言われている。
なかなか面白い試みだし、私としては一度話し合いを持つ機会を理事長さんにお願いするつもりだ。

なお円卓会議の模様については以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post-0e16.html


 

 

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(24.10.1) 意外にJALの株価は堅調だ  facebookの二の舞にはならなかった

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 9月19日に再上場されたJALの株価は私の予想をこえて健闘している。私はfacebookと同様にたちまちのうちに半値程度になると思っていたがそのようなドラスティックな動きはしていない。
尖閣諸島問題で中国への航空路のキャンセルが相次いだ9月26日には一時3210円売出価格対比▲15%)になり「すわ暴落か」と思ったが株価は持ち直し先週末時点で3650円売出価格対比▲4%)だからなかなかのものだ。
株式を値上がり期待で購入した人には不満だろうが、私のようにどう見ても値下がりすると思っていたものからするとこの株価の動きは底堅く見える。

 JALfacebookと異なり虚業でないからそれなりの顧客があれば業績が維持できるのでこうした動きをするのだろうと考え直した。
最も現段階は株主はいづれも様子見と言うところで取引は極度に少ない。

注)私の当初の予想は「JALの再上場 売り出し価格3790円はfacebookの二の舞」と言う記事を参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/10-5ce4.html

 しかし少し長期的な眼で見るとメガ・キャリアの将来は非常に厳しい。
今回の尖閣諸島問題でも明らかなように、少し政治情勢が緊迫すると観光客は激減する。
また国内では日本の人口は減少するので人口増の恩恵はない。
さらにLCC(格安航空会社)の追い上げもあって、観光客LCCに流れており、一方メガ・キャリアの重要な顧客であるビジネス客は出張を取りやめてテレビ会議で代替するようになってきた。

 私が勤めていた会社でもニューヨークとロンドンとシンガポールの間でテレビ会議システムが設置されていて、ほとんどの会議をこのテレビ会議で済ましていた。
このシステムを使用する時はニューヨークの場合など時差の関係で利用時間が夕方から夜半になることが多かったが出張するよりははるかに便利だ。

 どうやら短期的な視点ではJALの経営は稲盛名誉会長がいる限りは安泰のようだ。
廃止された航空路の復活を求める政治家の圧力を跳ね返し、国交省の職員の子弟をJALに入社させるごり押しを認めず、JAL職員の賃上げ要求を抑え込むだろう。

 だが来年3月に予定されている稲盛氏の退任後はかなり情勢は流動的だ。
又昔の放漫経営のJALに戻ればたちまちのうちにLCCとの競争に負かされて赤字会社に転落するだろう。
稲盛氏だのみの株価は来年の3月までは、(上がり下がりはあるもののジリジリと値下がりしていくのだろうが)ドラスティックな値下がりは突発事故がない限り起こりそうにない。

 JALの株価は私の予想を裏切って健闘していると言えそうだ。

なお航空行政については以下のカテゴリーに纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat48077031/index.html

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