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(24.10.24) 日本と中国のチキンレース 最初にくたばるのはどっちだ

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 尖閣諸島問題がこじれて日本と中国はチキンレースの様相を呈してきた。両国は一歩もあとにひかない姿勢だからこれはチキンレースと同じで気の弱いほうが負けだ。
一般的には中国は強気一辺倒で最近は海軍まで出動し、一方日本は経団連の会長が「中国と尖閣諸島問題で話し合いをしろ」なんて弱気発言を繰り返しているのでチキンは日本になりそうだが、かならずしもそうはならない。

 日本と中国の関係は一衣帯水で日本から見たら第一の貿易相手国で、中国から見たら第三の貿易相手国である。
互いに相手を必要としているがチキンレースをすればするほど両国の貿易収支に影響を及ぼす。

 さっそく日本の統計では12年上半期4月~9月)の貿易収支は約3兆円の赤字でこれは過去最高であり、主因は中国への輸出の鈍化だと言う。
原因は尖閣諸島問題だと思われているがそれは違う。尖閣諸島問題の発生は9月の中旬でそれまでも中国への輸出は鈍化していた。

注)9月の貿易赤字は5600億円で、日本はここ半年毎月5000億円規模の貿易赤字を計上している。9月の対中国輸出の対前年比伸び率は▲14.1%だが、8月も▲9.9%であり中国経済は尖閣諸島問題より以前から減速している。

 中国の統計では12年7~9月のGDP伸び率が対前年同期比7.4%増になったとされ、かつての高成長が終ったことが明らかになってきたが、実態はさらに悪そうだというのが海外のエコノミストの見方だ。

 中国の統計数字は二つの意味でいつも怪しい
一つGDP国家資産投資のような地方政府からの報告数字の集計では地方政府のバイアスが必ずかかると言う傾向がある。
いわばその数字で地方の共産党幹部の出世が決まるのだから、人間ならば数字をいじりたくなるものだ。
もう一つ統計制度そのものが未整備で多くのデータを集めることができず、国営企業や一部の大企業からあがってくる数字で全体を推定しているため誤差が大きい。

 次期首相に内定している李克強氏は過去に「中国のGDP統計を見ても何も分からないから、電力量の推移で景気を判断している」と公言している。
その電力量は8月+2.7%増、9月+1.5%増でGDPの公表数字+7.4%とは乖離が大きすぎる。中国経済に急ブレーキがかかったことは確実だ。
中国経済は12年度に入って大失速しており、とても日本とチキンレースをしているような余裕はない。

注)中国経済に急ブレーキがかかっていたことはかなり前から常識になっていた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-7dc6.html

 最も9月の統計数字はやや中国経済が持ち直し始めたと言う兆候があり、中国派のエコノミストが盛んに中国経済が底を打ったと喧伝しているが、これは11月の共産党大会を控えた超金融緩和と数字操作と思ったほうがいい。
何でもいいから金をばら撒いて経済が好転した数字を並べろ!!!」

注)中国人民銀行はここに来て不動産融資を緩和して、資金供給を行っている。これによって本来倒産するはずの不動産関連の企業が息を吹き返した。

 日本に関して言えば貿易赤字は完全に定着して日本は貿易立国の時代が終った
体制派エコノミストの間では東日本大震災の生産縮小が終れば貿易収支は黒字に転換するとの主張をしていたが、そうはならなかった。
これは当たり前で日本が円高と災害で輸出産業の立地としては最悪な場所になり、多くの輸出産業が生産拠点を日本から海外に移してしまったからだ。

 前原国家戦略担当相は何を思ったか日銀に乗り込み、約20兆円規模の資金供給を要請しインフレ政策(と言うことは円安政策)を推進するように強要したが、日本は輸出立国でない以上インフレ政策は害悪で、デフレであればあるほど生活がしやすくなっている。

 円高は日本経済が強いからではなくアメリカのFRBとEUのECBが競争して金融緩和を行っているからで、日銀がいくら緩和をしても相手が更なる緩和をすればまったく効果がない。
そのような愚かな競争に参加するのではなく日本は貿易収支赤字、経常収支黒字国所得収支で貿易収支の穴を埋める構造)として、強くなった円を使用して海外の優良企業の買収に乗り出すのが一番合理的だ。
円は最強だ。だから何でも買える。LNGがいくら高くなっても屁でもない

 そうして中国とのチキンレースを制するのが本当の戦略だが、どうしてこういう態度を前原戦略担当相が採れないのか不思議でならない。

なお中国経済の現状については以下に記事を纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43974941/index.html

 

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コメント

前原氏は隷米型と批判されていますので、これに倣って見ると日本が米より有利になるような行動を採らないのに納得できるでしょう。
もちろん日本が中国と親しくなる事も、米は嫌っていることも。

投稿: 横田 | 2012年10月24日 (水) 12時35分

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