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(24.9.16) 反日デモの暴徒化と中国の苦悩  不買運動は効果がないし反日デモは反政府運動に転化する

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 ここにきて世界中が大騒ぎになっている。
アメリカでは預言者ムハンマドを冒涜したと言われている映像が流れて、アメリカのリビア大使や特殊部隊員計4名が武装集団に襲われ殺害されている。
エジプトやイエメンやモロッコ等でもアメリカに対する怒りのデモが頻発して収拾が着かない。
日本を含めた西欧社会では表現の自由が認められているが、イスラム社会では宗教的タブーが強く、特にムハンマドに対する冒涜はすぐに暴動に発展してしまう。

 アメリカだけかと思っていたら日本でも尖閣諸島を国有化したとたん中国は反日キャンペーンを始めた。
海監の中国公船6隻が尖閣諸島の日本側領海に侵入して示威行動を始めている。
日本側の退去命令に対して中国側は「日本の監視船は中国の領海から退去せよ」と逆に命令している有様だ。

 さらに中国当局は、① 日本製品の不買運動の容認や、② 中国漁船の尖閣諸島周辺での操業再開、③ 日本と中国の人的交流を中止をする旨の通知を日本側にしてきた。
何か日清戦争前の日中関係に酷似してきて一触即発の雰囲気だ。
状況は日を追って激化し本日(15日)の北京からの映像を見ていたら中国の学生が北京の日本大使館におしよせいつものように生卵を投げていた。

 中国各地では日本製品の不買運動が始まったが、しかしその効果は限定的だろう。100年前とは違って世界はグローバルに結びつき特に日本製品の不買運動は同時に中国労働者の職を奪うことになる
 
 何しろ日中間の貿易収支は常に日本側が赤字で毎年200億ドル約1.5兆円)程度の赤字を出している。
日本からの輸出品は工作機械や半製品が主で、これを使用して中国で完成品を作っては日本やアメリカ、EUに完成品を販売している。
工作機械や半製品を購入しなければ中国製品ができないのだから自分で自分の首を絞めているようなものだ。

 さらに言うと完成品を輸入しているのは日本だから不買運動は日本でこそ効果がある。私のかみさんは今日電気掃除機を買い換えたが「もう中国製品は買わない。日本製品を買ってきた」と不買運動を始めていた。
ブランドは日本ブランドでも衣類や電気製品はほとんどがメイドイン・チャイナだから、中国人の作った日本製品のオンパレードで、メイドイン・ジャパンを見つけるのは至難の業だ。

 かくして不買運動をすればするほど中国国内の労働者が困るだけだけで(日本の現地メーカーも困るが)、日本としては中国が不買運動をすることを大いに奨励するのが得策だ。
がんばれ、不買運動だ。日本に鉄槌をくだすために中国から職をなくそう!!!」

 現在の世界経済は国家の枠を超えて結びついているので、経済を愛国心で締め上げようとしても実際は無駄なのだ。
特に中国は世界最大の貿易黒字国で、貿易黒字国が不買運動をするなんて論理矛盾もはなはだしい。
俺は販売者だ。だから作ったものの不買運動をしよう


 中国政府としては当面中国公船を尖閣諸島の日本側領海に遊弋させ強気なところを見せることと、2年前の中国漁船当て逃げ事件のように運動家を煽って海上保安庁の船に漁船をぶつけることぐらいだ。
尖閣諸島周辺ではきな臭い事件が起こるだろうが、大使が殺されるアメリカのことを思えばたいしたことはない。
日本の海上保安庁は実に優秀だから中国公船とのバトルでも負けないだろう。

 一方で政府の意図を越えて中国国内で日本に対するデモが広がっており、50箇所を越す都市で反日デモが燃え盛っている。
今はインターネットの時代だから煽ればすぐに燃え盛る。
通常中国のような独裁国家はデモは許されないが、反日デモだけはガス抜きとして許されるし、政府公認のヤクザが反日デモを意図的に煽っている。
しかしこの反日行動はじきに反政府行動になる可能性が高い

 考えても見てほしい。尖閣諸島問題は中国にとって最重要の課題ではない。中国では貧富の差が拡大して共産党のボスやその周辺の政商たちはますます富み、いっぽうで農民工は貧困のままうちすてられている。なにかロマノフ王朝の末期のような格差社会だ。
中国では格差是正こそが緊急の課題だ。

 政府に不満を持っている大衆にとってデモが許されるのは反日デモだけだから、これを利用しない手はない。
当初は反日デモでも日本が対応を変えなければ(実際は変えようがない)、怒りの矛先は共産党指導部に転化する。
弱腰の胡錦濤政権を倒せ中国動乱の始まりだ。

 日本は不買運動をされても(中国に進出している企業を除けば)痛くもかゆくもないし、日本が中国の脅しに屈しなければ勝手に中国がひっくり返る可能性が高い。
こんなチャンスは願ってもないことだ。
野田政権は中国の騒乱がますます広がるように意図的に中国を刺激するのが日本にとって最も国益になる行動と言える。
ようやく独裁国家にほころびが出ようとしている。喜ばしいことだ。

なお、中国の社会問題については以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat48428075/index.html

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コメント

中国や中東での反日・反米(欧)運動の高まり(暴動と言ってもいいかな?)について、私は何か政治的な臭いを感じています。
中国でもアメリカでも日本でも、政権の交替期にさしかかり、権謀術策が繰り広げられております。こういう時には「ナショナリズム」を煽るのが、一番効果があり、一時的には為政者に対して、大きな打撃を与えることができます。このことは、古今東西の歴史を見れば山ほど実例があります。
大体、中国でもアメリカでも日本でも、現政権に対する不満は大きく、マッチ一本で火がつく条件は整っていました。まして、世界の火薬庫である中東で暴発するであろうことは、誰にでも容易に想像できます。
何故、この時期に?日本政府は尖閣諸島の国有化に踏み切ったのか?アブラハムを冒瀆する映像が流されたのか?
しかし、ナショナリズムを煽ることは両刃の剣でもあります。大体、煽った側の想像を越え炎は燃えさかり、最後には多くの犠牲を生み、煽った側まで大きな被害を受けることも、古今東西の歴史を見れば山ほど実例があります。
ナショナリズムを政治的に利用することは、最後に自らの首を締めることになる。このことを政治に携わるものは良く理解して欲しいものです。

投稿: 信天翁 | 2012年9月17日 (月) 06時54分

戦後何十年暗黙の了解でとうしてきた現状をなぜこの時期こういう状況で国は示したのでしょうか。ナショナリズムを煽るということは国と国にとって良いことなどないように思います。日本も中国も過去の歴史を乗り越えていい関係を築いていましたね。昨今の状況を関係する方々はどのように収拾してゆかれるのでしょうか。日本はあらゆる面で韓国中国との友好関係は大事なのではないでしょうか

投稿: Y | 2012年9月17日 (月) 08時26分

中国との貿易について考えるならば、香港も考える必要があると思います。
香港を通して、迂回貿易をしていますから。
日本 対 香港+中国で考えると、かなりの黒字が日本に出ています。
ご参考までに。

(山崎)11年度の香港に対する黒字は約1.8兆円ですので、香港・中国を一体として考えると日本側の黒字です(1.8-1.5=+0.3)。
香港はいわば中継貿易の基点で輸入の約98%が再輸出されその約5割が対中国向けですので、大雑把に香港経由の日本の対中国貿易は輸出入の半分と推定すると、対中国の黒字は0.9兆円規模と推定しました。
香港と中国を分けて考えるか、一体として考えるかはそれぞれの状況によって異なりますが、香港で日本製品の不買運動がj始まれば一体として記事の内容を再チェックします。

投稿: shiro | 2012年9月17日 (月) 17時46分

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