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(24.9.2) 世界の物笑い 東京地裁でのサムスンの勝利 「サムスンに特許権侵害はない」

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 なんとまあ、どこまで日本人はお人好しなのだろうかとあきれかえってしまった。
アップルサムスンの間で争われている特許権侵害訴訟で8月31日東京地裁がサムスンの特許権侵害はないとした判決を出したことについてである。

 争われた内容はアップルの音楽や映像をパソコンとスマートフォンでデータ共用させる技術で、アップル側が特許権侵害を受けたとして1億円の損害賠償を求めていた裁判だ。

 アップルとサムスンは世界の10カ国で特許権侵害訴訟を争っているが、この8月24日にはアメリカのカリフォルニア州の連邦地裁でサムスンの特許権侵害を認め、10億5千万ドル約840億円)の支払いをサムスンに命じたばかりだから、その相違に驚く。

 アメリカと日本の裁判での争点が完全に一致しているわけではないが、アメリカではアップルのiPhoneの牙城を守るためにアップルに味方し、日本では何の戦略も持たずサムスンに軍パイを上げた。

 サムスンは現在では世界最大のスマートフォンメーカーで世界のシェアの32%を占め、アップルの17%を大きく引き離し、もちろん日本メーカーはまったく太刀打ちできない。
いまや日本のソニーもパナソニックもシャープもサムスン(とLG電子)の快進撃の前に赤字の垂れ流しになっている。

 一方でイ・ミョンバク大統領は「日本は弱くなったのでいくらたたいても良く、竹島は韓国の領土で、日本人は慰安婦問題でまったく反省しない(どうしょうもない)国民だから教育してやる」と豪語している。
こんな時に韓国そのものといえるサムスンに勝利の祝杯を挙げさせた東京地裁の政治センスのなさに驚くのだ。

 問題は純法理論的に見てサムスンが特許権侵害をしているかどうかではない。サムスンが韓国の代表的メーカーであり韓国そのものである限り、日本は戦略的にこの裁判を利用して韓国のイ・ミョンバク政権に揺さぶりをかける必要があった
あまり日本を馬鹿にするとサムスンのスマートフォンを日本で売れなくなりますよ」と言うサインだ。

 考えても見てほしい。日本は昨年から貿易収支が赤字になる輸入大国になっている。日本の輸出産業は崩壊して束になってもサムスンに勝てない。
スマートフォンは日本でもアップルとサムスンが席巻しており、日本に残された力はアメリカと同様のバイイング・パワーで、「そんなことをいうと買ってやらないぞ」という脅しだけだ。

 日本人は裁判に政治力を働かせるのは三権分立の立場からあってはならないとナイーブに考えているが、ジャングルの掟がまかり通る国際関係でそんなことを言っていては日本はいつまでたっても敗者のままだ。
ロシアや中国は自由に裁判を操り、アメリカでは愛国心に訴えて裁判を誘導している。

 私がとても残念に思うのはトヨタバッシングの教訓をまったく日本は忘れていることだ。
トヨタ車は世界最高の性能で世界を席巻して、08年度の営業利益は約2兆円という今のサムスンと同じ立場だった。
当時オバマ政権は倒産したGMクライスラー約7兆円の政府資金を投入しててこ入れをしたがまったく業績が回復しなかった。

 そこで世界最大のメーカーでアメリカ車を駆逐していたトヨタに眼を付け、レクサスの事故を最大限に利用してトヨタバッシングを繰り返した。
最初はマットの問題として、次にブレーキペダルが怪しいといい、最後は電子制御装置の問題ではないかとラフード運輸長官が執拗にトヨタバッシングを繰り返した。
一方でリコール隠しの疑いで大陪審に調査を命令して行政と司法とマスコミをあげてトヨタをたたいて、とうとうトヨタを世界企業から並みの会社に引きずり落とした。
その結果アメリカ市場でGMとクライスラーの劇的な復活になったのは記憶に新しい。

 サムスンは今や世界最大の企業で韓国そのものになっている。日本のソニーパナソニックシャープサムスンの前に倒産しそうだ。
こうしたときにサムスンとアップルが特許紛争を繰り返しているのは最大のチャンスではないか。
トヨタがまったく欠陥がなかったのに1000万台のリコールと集団訴訟に追い込まれたように、サムスンがたとえ特許侵害がなくてもこれを政治的に利用しない手はない。

 イ・ミョンバク大統領に「日本と日本企業を貶めればこうなりますよ」となぜメッセージを送らないのだろうか。
東京地裁はなんら戦略を持たずにサムスンに軍パイを上げた。
これでは日本が国際舞台でアホ扱いされるのはいたし方がない。オバマ政権のトヨタつぶしの教訓がまったく生かされないのはなんとも悲しいばかりだ。

注1)トヨタバッシングを再確認したい方は以下に記事をまとめてあります。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat38892627/index.html

注2)アップルとサムスンの特許権訴訟の詳細は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/23101-f108.html

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コメント

現在の韓国メーカーの躍進の原動力には日本メーカーに対する執拗なスパイ活動 がある事を抜きには語れない話題ですよね。世界的な基準では当たり前の事かもしれないけど、日本人として韓国、中国メーカーを許す事が出来ません。日本の雇用と国益を守るために,妻から文句を言われながらも1人で不買運動をしてます。もし賛同される方があれば、不買運動のご協力をお願いします。

投稿: 哲郎 | 2012年9月 2日 (日) 08時25分

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