(24.9.18) なぜ中国人は自国の財産を破壊するのか? 愛国無罪という20世紀の精神構造について
「黒い猫でも、白い猫でも、鼠を捕るのが良い猫だ」と言ったのは中国の改革開放路線を推し進めた鄧小平氏だが、この言葉を真に理解できるか否かが20世紀と21世紀を隔てる思想的境界線になる。
現在中国各地で尖閣諸島の領有権をめぐり反日暴動が繰り返されており、中国に進出したジャスコの店舗が略奪にあったり、パナソニックの工場が焼き討ちにあっていた。
そこで次の問いに答えてもらいたい。
問「略奪されたり放火された店舗は中国のものか日本のものか?」
もしこの問に「日本のもの」答えたら20世紀の思想の所有者で、「中国のもの」と答えたら21世紀の思想の所有者である。
20世紀はイデオロギーの時代で特にマルクス主義の帝国主義論が盛んだったが、そこでは「外国資本が現地の労働力を搾取して剰余価値を収奪している」と説明された。
そのため中国では毛沢東路線が継承されていた間は外国資本は一切入れず自力更生で国づくりをしていたが、その実際は国づくりなどはできようもなく現在の北朝鮮と同じように世界の最貧国のままだった。
中国が現在のように日本を凌駕する経済大国になったのは鄧小平氏が「黒い猫でも、白い猫でも、鼠を捕るのが良い猫だ」といって外国資本の導入を積極的に進めたからで、もちろん日本資本もその一つだ。
中国の特別区や大都市には日本をはじめとする外資が押し寄せている。
外資が作り出す付加価値はもちろん中国のGDPであり、日本のGDPでない。
付加価値なんて言うと何のことか分からないが、労働者の賃金や管理者の報酬(今では管理セクションに多く中国人が進出している)、政府や地方公共団体に支払う税金、それに再投資のための減価償却費である。
もちろん投下資本に対するロイヤルティーは支払わなくてはならず、日本に対して株式配当等は行っているが、それを収奪と見るのが毛沢東であり、当然の報酬と見るのが鄧小平氏の立場である。
歴史を見れば貧困の毛沢東と豊かな鄧小平の対比であり、当たり前のことだが単なる貧乏人の労働者だけでは富の生産はできない。
そこで再び質問をしてみよう。
問「中国の暴徒はなぜ自国の生産設備を壊し、自国の労働者の職場を破壊するのか?」
21世紀の精神から見ると暴徒が破壊しているのは中国ジャスコであり、中国パナソニックであって、それらは中国の労働者によって建設され生産された重要な職場だ。
そこを破壊することは蛸が自分の手足を食べているのとなんら変わりがなく、彼らの叫ぶ「愛国無罪」と言う言葉は中国人に対する冒涜に過ぎない。
一方日本人の間にも中国ジャスコや中国パナソニックが襲撃されると、あたかも日本が襲撃されるような気持ちになる人がいるが、実態は中国人の資産を壊しているのだから、日本人がとやかく言う筋合いのものではない。
「中国国内のことは中国人が勝手にやってくれ」私はそう思っている。
注)日本企業が海外に資本を投下するときには国家リスク(政治リスク)を評価して行っており、中国で反日暴動が起こるのは折込済みだから、日本企業にとっては自己責任の範囲である。
中国人が中国ジャスコを襲い、中国パナソニックの工場を破壊すればするほど、中国のGDPは低下し、中国人の職場は失われていく。
20世紀の精神は相変わらず「愛国無罪」だが、実際は中国を破壊しているだけだ。
国を愛することは国を破壊することと言う壮大なパラドックスだが、一時代前の精神構造をもって21世紀に向かおうとしているのだから、こうした過ちは致し方ないのかも知れない。
今中国で起こっていることは毛沢東の亡霊と鄧小平氏との戦いだが、鄧小平氏とってはさぞや迷惑なことだろう。
注)現在現地の日本の企業に勤める中国人は約1000万人だが、その人たちの職場が危機に瀕している。
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