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(24.8.5) 国連の無力とシリア内戦の泥沼化 誰も本気で止めることをしない

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 世の中はオリンピック一色でギリシャの昔ならば戦争を中断して競技を行っているところだが、シリアではまったく内戦が終結する気配がない。

 前国連事務総長だったアナン氏が国連特使としてシリア内戦の仲裁にのりだしたものの、まったく誰も言うことを聞かないのでとうとう仲裁を投げ出した。
もう知らん、シリアがどうなっても俺の知ったことではない
これで国連シリア停戦監視団の任務は更新されることはないだろう。

 安保理の非公開会議で[アナン特使の失敗の責任問題]をめぐって英・仏とロ・中がののしりあいをしていたが、アメリカのライス国連大使はこのののしりあいに加わらなかった。
アメリカは軍事介入をする気はまったくないのだから罵り合っても無駄だとの態度だ。

 実際このシリアの内戦に肩入れすることはどこの国家にとっても危険極まりない状況になっている。
シリアのアサド政権は確かに独裁政権ではあるが、近隣する諸国(イスラエル・トルコ・イラク)との間でそれなりに秩序は保たれていた。
問題はアサド政権が崩壊した後の後継政権の枠組みがまったく見通しが立たないことだ。

 現在シリアが内戦状態になっているのは反体制派がひどい混成集団のためだ。
当初のシリア軍脱走兵士からなるシリア自由軍だけでなく、アルカイダのようなアメリカの言うならず者集団までが反体制派に加わっている。世界中の不満分子がシリアに集結しているので、反体制派を支援すると結果的にアルカイダのような組織を自己増殖させてしまう。

 現在反体制派を資金面と武器供与で支えているのはサウジアラビアである。
サウジアラビアは反体制派が主としてイスラム教スンニ派であることから、シリアにスンニ派国家ができるのがサウジアラビアにとって安全保障上有利に働くからだ。

注)現在のアサド政権はイスラム教アラウィ派で全体の1割程度。一方スンニ派は7割を占める。サウジアラビアはスンニ派の国家。

 しかし問題を複雑にしているのがシリア内戦にクルド人問題が絡んでいるからだ。
シリア・トルコ・イラクに分散して住んでいるクルド人3000万人がこの機会にクルド人国家を作ろうと画策しており、このことがトルコ政府をいたく刺激している。
トルコ政府にとってはシリアが安定してクルド人を抑えてくれているのが一番望ましいが、内戦激化によりアサド政権はクルド人の独立国家を認める代わりにともに反体制派を挟撃しようとクルド労働者党PKK)に申し出ている。

注)一方反体制派はスンニ派国家を作ろうとしており、クルド人の独立国家を認めようとしていない。

 いわば敵の敵は味方というわけで、反体制派つぶしのためにシリアはクルディスタン国家を認めるという提案だが、こんなことが許されると、トルコの東のはずれにクルド人の独立国家が樹立してしまう。
絶対にそんなことは許さない。わが国は反体制派を支援する」トルコがいきまいている。

注)トルコは長い間クルド人の独立運動を軍事力で抑えてきたが、シリアにクルド自治区ができればトルコ東部にも同様な自治区ができることを恐れている。

 問題が複雑化してしまっているので、国連がいかに仲裁しようとしても仲裁の仕様がない。
アメリカやNATOが軍事介入をして実力で内戦を終結させるのならともかく、そうした気持ちはまったくないのだから、この内戦は両者が疲れきって戦争が飽きるまでさせるより仕方ない。
まあ、勝手に殺し合いをして弾薬と兵士がいなくなったら戦争も終るだろう」と言う状況だ。

 当初は独裁政権に対する民主化運動のようだったが、今は内戦でどちらもシリア国民を無差別に殺しまくっている。
国連は口先介入しかできないし、アメリカもNATOも軍事介入をしないからシリア内戦の決着はなかなかつかない。

注)なぜアメリカやNATOが本気で介入しないかの理由は以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-5855.html

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