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(24.8.6) インド経済の光と影 暴動とマルチ・スズキの苦悩 従業員が殺される



 インドは日本にとって中国を牽制する安全保障上の重要なパートナーであり、また民間企業にとっては中国の次の大市場ではあるが、インド経済も一筋縄ではいかないことがだんだんと分かってきた。

 インド進出の手本とされ,実際インドの乗用車の約半分を生産している鈴木の合弁会社マルチ・スズキで暴動が発生したからだ。
暴動の原因はよく分からない。今回暴動が発生したのはインド北部にあるマネサール工場マルチ・スズキのメイン工場だ。
マルチ・スズキはインドで約110万台の生産を行っており、マネサール工場ではそのうちの6割相当の生産を行っている。

 ここで従業員が急に暴徒化しインド人の管理職1名(警備担当)を殺害し、他に100名相当の従業員が怪我をした。
暴徒化する遠因はこの工場の正規職員と契約職員の対立にあったようだ。
昨年からストが頻発していたが、急遽組織された組合の要求は契約社員の正社員化である。
従業員4000名のうち約半分の2000名が契約社員で契約社員の給与は正社員の給与の約半分という。

注)組合は昨年結成されたばかり。

 契約社員はカースト制の低い階層の人々がほとんどで、一方正社員はカーストの高い階層の人々がほとんどのようだ。
こうしたカーストによる差別に対し、組織された組合は極左傾向が強く中国の毛沢東主義の影響を受けている。
カーストを解消し、カーストで虐げられた人民を階級闘争の戦士にしよう
契約社員を煽っている。

 マルチ・スズキはインドきっての大企業だからここでの組合闘争の勝利はインド全土に波及する。
とんだところでマルチ・スズキは総資本と総労働の階級闘争の矢面に立たされてしまった。

 インド政府や地方政府にとっては組合運動が中国の息のかかった毛沢東派で牛耳られてしまうと内部から中国に蚕食されてしまう。
警察力を動員して組合の扇動者を逮捕したが、契約社員問題は残されたままだからいつ暴動が再発するか分からない。
インド人の管理職はすっかりおびえているので操業を再開することもできなくなっている。

 鈴木本社にとっても死活問題になりつつある。ススキはインドでの生産が日本での生産より多いと言うインド化した会社で、すでに150億ルピー約225億円)の投資を行ってきたが、配当等の回収はまだ5割程度だ。
儲けはほとんどマルチ・スズキに再投資されているので、現在マルチ・スズキの時価総額は3250億ルピー約5000億弱)になっており、その5割強が鈴木の持ち株になっている。

 インド経済は今年になってから下降線をたどっており、さらにマルチ・スズキにとっては工場の暴動が追い討ちをかけた。
この4月からでも株価は約20%相当も低下しており、インドにおけるもっとも成功した会社としての名声が消滅しつつある。

 インド経済は将来の日本経済の命綱だ。中国はことあるごとに排日運動が燃え盛るが、インドにはそうしたことはない親日的な国家と思われてきた。
しかし現在ここでも中国の影が忍び寄っており、マルチ・スズキが毛沢東主義者と思われる極左集団の餌食になっている。
地方政府との連携で何とかこの危機を乗り切ってもらいたいものだと思う。

なお、インド経済については以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44389154/index.html

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