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(24.7.8) LIBORをめぐる世界の金融機関の談合が暴かれようとしている。 世紀のスキャンダルになるか?

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 大変だ。世界の金融機関に激震が走っている。
ことの起こりは英の大手金融機関バークレーズ銀行が不正にLIBOR(ライボー)を操作したとして米英の監視機関から摘発を受け、総額360億円の罰金を支払わされたことに始まる。

 金融関連の仕事をしたことのない人はLIBORといっても何のことか分からないだろうが、世界の主要な金融機関で使用されている融資をする場合の指標金利のことである。
この金利はロンドン市場で取引している主要な金融機関の銀行間取引レートで、毎日16行の金融機関が英国銀行協会に届出をし、その平均金利として公表される。

注)正確には上位4行と下位4行を除いて、中間の8行の平均金利。金融機関は通常現金を十分に持っていないため金融機関同士で短期の資金の貸し借りをして資金繰りを付けている。その銀行間でやり取りされる金利。

 このLIBORがなぜ重要かというと、たとえば企業融資はその会社の格付にしたがってLIBOR+X%と言うように決められ、世界市場の金利設定メカニズムの根幹にあるからだ。
LIBORを基礎に決められる融資額は世界で残高が360兆ドルと言われるほど途方もなく多い。

注)日本国内では日銀の指標金利に対しX%上乗せと言うような決め方が多いが、世界ではLIBORこそが指標金利になっており、ロンドン市場やニューヨーク市場での基準金利になっている。いわば世界標準の金利。

 そのLIBORが不正に操作され、しかもそれはどうやらバークレーズだけでなく、一種の金融闇カルテルと言うようなLIBOR参加金融機関全体による不正操作の疑いが濃厚になっている。
米英当局は不正を疑われるすべての金融機関を調査しており、日本のメガバンク等もその対象だ。

 なぜこのような不正操作が始まったかというと、当初は(2005年ごろからトレーダーが利益を生み出しやすいようにLIBORを高めに報告していたからだ。
たとえばバークレーズの本当の銀行間取引レートが1%のときに、当局に2%と報告しそれが基準金利になれば、「お客さん、あなたのところLIBOR+1%ですから3%の金利になります」なんて言って実際は2%の鞘を抜くことができる。

注)トレーダーは個人ごとに収益管理をされているが、コストは実際にバークレーズが調達する銀行間取引レートが使用される。

 こうして暴利を貪っていたのだが、2008年のリーマンショックで環境が逆転した。
この時期銀行間金利が高いと言うことは信用力がないということで、たちまち市場で倒産がうわさされてしまう。
このため信用力を疑われていたバークレーズ銀行はLIBORを意図的に低く報告するようにした。
お客さん、わが行は安全です。その証拠は他行からの調達金利がこのように低いのです。金融機関相互間での信用力は抜群です

 さて問題はこうした金利操作がバークレーズ一行かと言うことだが、そのようなことはありえない。何しろLIBORは上下の8行の金利は切り捨てになるのだから、16行全体で操作しなければ何の意味もない
日本でおなじみの談合だが世界の金融機関も同じ穴のむじなだ。

 さらに2008年以降の金利操作は英国のイングランド銀行の副総裁が主導した疑惑が上がっている。
このままでは英国の金融機関の信用力は市場から見放される。いいから報告金利は低くしろ。他行にもそのようにサジェスチョンする
これで英国政府公認の談合になってしまった。

 このような世界の大手金融機関の談合体質が今暴かれようとしているが、しかし私が不思議なのはなぜバークレーズ銀行に今捜査の手がはいったかだ。
このような金利操作は昔から行われており、金融機関の裏社会では常識となっていた。
それなのにユーロが混乱を極めていて、国家も金融機関も青息吐息のときにさらに世界の金融機関を巻き込んだスキャンダルが表面化した理由はなぜなのだろうか。

 単に米英の監視当局が急に生真面目に仕事をしはじめたというのでは影響が大きすぎる。決定的な証拠のあるたれ込みが監視当局にされたのだろうか。
何か大きな深い理由がありそうだが、現状ではそれは不明だ。

注)監視当局は08年のリーマンショック時にはLIBORの問題点を把握していた。それを4年間にわたって知らないことにしていた理由が何かが分からない

なお過去のバークレーズに関する記事は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/21123-1e19.html

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