« (24.6.4) ネパールの政治的混乱 憲法が制定できない | トップページ | (24.6.7) NHKスペシャル  コンピュータ革命  最強・最速の頭脳誕生  二番じゃだめだ »

(24.6.5) 成長限界に達したヨーロッパ 先進国経済は成長しない

Dscf5542

 笑ってしまった。本当に経済が成長すると思っているのだろうか。
フランスのオランド大統領のことである。「緊縮財政より経済成長」といって大統領に当選したが、一体フランスのどこに成長要因があるのだろうか。
オランド氏は何か「成長する」と唱えれば経済は成長すると思っている唯心論者のようだ。

 すでに十分成長した経済がさらに成長するには必ず理由があり、具体的な成長産業がなくては成長などするはずがない。
それは日本の20年に及ぶ努力が一向に効果を挙げないのを見ても分かる。
輸出産業のために円安政策をとることと、ゼネコンのために不要な公共事業を繰り返すことが日本の成長戦略だったが、結果は20年にわたる停滞だった。

注)日本は名目のGDPはここ20年間まったく成長していない。物価が下がった分だけ実質GDPが成長しているだけだ。

 日本には本当の意味での成長産業が20年前から育っていなかったために、仕方なしに既存の産業の延命を繰り返してきた。
その結果がGDPの2倍にまで膨れ上がった公的債務の残高だ。
世界でこれほど気前よく借金をしたのは日本政府だけだが、それだけ努力したのに新たな成長産業がなかったために経済成長はしなかった。

注)日本は世界最速の高齢者社会でここでの唯一の成長産業は医療・介護だが、神奈川県知事が特区制度を使用して医学部の新設と自由診療制度を導入して雇用を拡大しようとしたら、神奈川県医師会会長が大反対をしていた。
日本では既得権益者が成長産業の導入に反対しているため成長が止まった社会になっている。


 フランスも日本と同様に何ら新たな産業が育っていない。アメリカのfacebooktwitterといった企業がフランスのどこにあると言うのだろうか。
国際競争力をなくした自動車産業や、世界の趨勢から完全に取り残された原子力産業や、これ以上の発展の余地がなくなってきた高速列車のTGVぐらいしか頭に浮かばない。
そして金融業はギリシャ政府の国債をたんまり持っているため不良債権の山を築いている。

 さらに自由主義社会にしては珍しいほど役人天国で、コスト削減にはリストラが急務だが、こちらは労働組合が強固すぎて首切りもできないだけでなく、オランド大統領はさらに公務員を増やそうとしている。
そんなフランス社会で経済成長が可能と考えるほうがどうかしている

 オランド氏が大統領になり、ギリシャで急進左派政党が「これ以上の経費削減には応じない」と尻をまくったため、ユーロは再び台風の大波の中に漕ぎ抱いたボートになってしまった。
メルケル首相サルコジ元大統領が薄氷を踏む思いで纏め上げたギリシャ救済策はすでに泥舟だ。

 そして今までは何とか破産を糊塗していたスペインの金融機関がついに倒産を始めた。元々スペインには不動産以外に売るものはなかったのに、リーマンショックまでのバブル期にヨーロッパ中の大金持ちや小金持ちがスペインに別荘を手当てして、スペイン中がバブルに浮かれてしまった。

 そのさまは1980年代後半の日本と同じだと言えばイメージがわくだろう。
当時日本の金融機関は借りてくれる人があれば無条件に融資を繰り返した。担保は不動産で値上がり確実だから取りぱぐれのない健全融資だと胸を張っていたものだ。
誰もが不動産が値下がりするとは思っていなかったが、バブルがはじければ土地は二束三文になってしまう。
当たり前のことだが、その土地を利用して収益を上げる人がいなければ土地など何の値打ちもない

 
 スペイン中が不動産バブルに踊った付けがスペイン第3位の金融機関バンキアの不良債権の山だが、バンキアは氷山の一角に過ぎない。
これからスペイン中の金融機関が不良債権の山で倒産し、政府資金を導入しなければならないが、スペインに金を貸してくれる銀行など存在しない。
もし国債を購入しようものならギリシャと同様に7割程度の棒引きを要請されるのが落ちだ。

注)正確に言うとスペインの国債を購入しているのはスペインの銀行だけになってしまった。購入をストップすればスペイン政府とスペインの銀行は共倒れになる。幸い購入資金はECB(欧州中央銀行)が提供しているジュブジャブの資金を利用しているが、一方でECBのバランスシートは悪化の一途をたどっている。

 繰り返すが、成長するには成長産業がなくてはならない。ヨーロッパも日本も既得権益を擁護することだけで生きている社会だ。
一方アメリカではfacebooktwitterAppleといった元気のいい企業はあるが、一方でサブプライムローンの重石が取れていない。

 なぜ成長しきった社会が停滞するかは古代ローマの歴史を見ても分かる。
ローマ史は実に示唆に富んでいるが、その最大の功績は「古代ローマの成長戦略がなぜ失敗し、中世というまったく停滞した社会が現れたか」と言うことを教えてくれることだ。
経済も成長し停滞し衰退する。新たな成長のためには既得権益者がいなくなり新しい成長産業ができるまで待たなければならない。

今日本とヨーロッパがその中世に入ろうとしており、アメリカが追随するのも時間の問題だ。

 特にローマ帝国の末路を予言していた皇帝ハドリアヌスの生涯を見ると、なぜ経済成長が止まるのかが良く理解できる

注)「NHK ローマ皇帝の歩いた道 帝国の末路を見つめたハドリアヌス」を参照

|

« (24.6.4) ネパールの政治的混乱 憲法が制定できない | トップページ | (24.6.7) NHKスペシャル  コンピュータ革命  最強・最速の頭脳誕生  二番じゃだめだ »

評論 世界経済 ヨーロッパ経済」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (24.6.4) ネパールの政治的混乱 憲法が制定できない | トップページ | (24.6.7) NHKスペシャル  コンピュータ革命  最強・最速の頭脳誕生  二番じゃだめだ »