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(24.6.24)違法なダウンロードに罰則規定 喜ぶのは警察と悪徳業者だけになりそうだ

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 世の中はドサクサにまぎれて何が起こるかわからないものだ。
今回の著作権法改正で、急遽音楽と映像(映画)の違法ダウンロードが刑事罰の対象になった。
2年前の改正では音楽と映像の違法なアップロードは刑罰の対象だったが、ダウンロードの方には刑事罰は存在しなかった。
それが2年以下の懲役または200万円以下の罰金刑」が今回科せられることになった。

 推進したのは自民党と公明党の有志議員で、ロビー活動を行ったのは日本レコード協会である。
日本レコード協会によると違法な音楽のダウンロードは年間約45億ファイルで、金額にして6683億円相当、これは正規の売上げ金額860億円約8倍にも及ぶと言う。

 日本レコード協会はこうした違法なダウンロードを許していては、日本の著作権ビジネスが崩壊し、音楽や映像文化の喪失につながると主張している。
私もこうした違法なダウンロードが著作権者の権利をひどく侵害しているのは分かるが、アメリカではソフトウェアを無料にして企業からの宣伝費で収益を上げるGooglefacebookのようなビジネス形態が一般化しており、著作権保護の観点より自由なネット利用のほうにビジネスは動いている。

 一方日本ではGoogleのようなまねができないため、著作権保護を行わないとビジネスが成り立たない。そのために著作権の強化に走るのだが、今回の罰則規定は思わぬ副作用をもたらしそうだ。

 副作用は大きく言って2つありどちらもかなり問題がある。

 一つ目は警察による別件逮捕が実に容易になると言うことだ。
これは少し考えてみれば分かる。
たとえば麻薬捜査である人物を逮捕したいが証拠がない場合は携帯電話かスマートフォンかパソコンを抑えればいい。

 通常こうした通信道具を保有している人なら必ず一つや二つ(あるいはめちゃくちゃに多く)の違法なダウンロードが見つかるはずだ。
あんた、これは何だ。著作権法違反で2年は豚箱だな。それとも200万払うか・・・、どっちに転んでも日の目は拝めないな・・・・まあ、麻薬のありかを吐けば著作権法違反は見逃しても良いが・・・」なんてことになりそうだ。

 もちろん法に抵触している人を逮捕するのが警察の役目だからそうした場合は別件逮捕もありとは思うが、何しろ違法ダウンロードは罪の意識なくほとんどの人がしているから日本人のほとんど(パソコンも携帯も使わない人は除く)が容疑者になって逮捕されそうだ。
日本人のほぼ全員が犯罪者となる刑罰は果たして妥当だろうか

 もう一つの問題は(私はこちらのほうが大きいと思っているが違法ダウンロード詐欺が横行する可能性が高いことだ。
少しでも画面を触れば音楽ソフトや映像をダウンロードする仕組みを作っておいて、後は法外な料金を請求すればいい。
そうした悪質な業者が雨後のたけのこのように発生しそうだ。

お客さん、あんたは違法なダウンロードをしているのですよ。これを警察に言えば2年の懲役か、200万円の罰金刑ですね。払わないのならすぐに警察に通報しますがいいんですか、週刊誌にでも書かれたら、あんたは困るんじゃないの」なんて脅されそうだ。
男であればある種のサイトを覗いてみたくなるものだが、すねに傷もつ身だとこの脅しに耐えるのはかなりの精神力が要るだろう。
今までは警察に訴えるのが顧客だったのに、今度は悪徳業者が警察に訴えると言う。
正義が悪徳業者に移ってしまう。

 実際はこの法律は親告罪と言って被害者(レコード会社)が訴えないと罪に問われることなく、また違法と知らないでダウンロードした場合は罪にならないのだが、「違法と知らなかったことを立証」するのはかなり大変そうだ。
それに毎日2年の懲役か200万円の罰金だなんて脅かされれば、数千円から数万円の請求は払ってしまいそうだ。

 今回の著作権法改正の違法ダウンロードの罰則規定は、目的は正しくとも副作用が大きすぎて、強すぎる抗がん剤を投与された癌患者のようになってしまうだろう。
警察については相応に大人の判断をするとしても、後者の悪徳業者についてはおれおれ詐欺に変わるビジネスとして裏社会に蔓延しそうだ。

注)今回の著作権法改正には当初違法ダウンロードの罰則規定はなかった。
①写り込みに関する規定、② 国会図書館のデジタル化資料の規定、③リッピングソフトの違法化、と言った規定だけだったのに急遽「違法ダウンロードの罰則規定」が加わったのは日本レコード協会のロビー活動の成果である。

日本レコード協会は自民党と公明党の有志議員に働きかけて政府提出の著作権法を修正させたのだが、民主党は消費税法案を通すのに全力を挙げているので、今なら自民党と公明党の言うことを丸呑みしてしまう。

 

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