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(24.6.18) スペイン経済の危機ライン スペインはギリシャになるか?

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 いやはやひどい状態になったものだ。ヨーロッパ経済は次々に発生する巨大トルネードに翻弄されているアメリカ中西部のような状態になってきた。

 一ヶ月前まではトルネードはもっぱらギリシャで発生し今もそうなのだが、突然にスペイン経済が翻弄され、イエローカードが出され、レッドカードに変わりつつあるのには驚く。
しばらく前までラホイ首相は「スペインは自力で問題を解決する」と言っていたのに、今では「金融機関救済の1000億ユーロ(10兆円)の依頼は自分が行ったもので、ドイツやフランスにせっつかれて行ったのではない」なんて言う始末だ。

 しかしスペイン金融機関の不良債権比率の大きさはひところの日本と同じだと言えばイメージがわくだろう。
1990年代の後半、日本の代表的な金融機関だった長銀・日債銀・北拓と言った金融機関が次々に倒産したが、不動産融資案件の焦げ付きがその理由だった。

 スペインは風光明媚な土地柄だ。特に地中海に面した避暑地はバブル最盛期の頃日本でも大変人気があった。
2008年のリーマンショックまではヨーロッパはEUの統合やユーロ圏のおかげで未曾有の好景気に沸いていて、特にヨーロッパの北側に位置したドイツや北欧やイギリスの人々が競って別荘をスペインに獲得しようとした。
これを見たスペイン人もバブルに踊って、スペインの金融機関から金を借りまくっては不動産投資をしたが、リーマン・ショックですべて裏目に出た。

 現在スペインの金融機関の不良債権比率は約8%で日本の大手銀行が2%なのに比較するとひどい状態だ。
しかもこの8%スペイン(中央)銀行の発表数字だからかなり手加減が加えられている可能性が高い。

注1)IMFは思い余って「域内での金融機関に対する監督を一元化しろ」と勧告を出したが、国ごとに監督のレベルや報告のレベルが異なっては対応の仕様がないため。

注2)スペインの不良債権比率と不動産価格の推移は以下のグラフ参照
http://mainichi.jp/graph/2012/05/29/20120529k0000m020133000c/001.html

 市場の信頼は地に落ちて大手金融機関の格付けは「投機的」の一歩手前まで落とされ、さらに「ネガティブ」の評価を受けている。
これではスペインの金融機関が市場で資金調達をするのは不可能で、ECB(ヨーロッパ中央銀行)から借り入れるか、EUから資本を注入する以外に方策はない。

注)借り入れは返済義務があるが、資本の注入には返済義務がないので資本の注入のほうが安定する。

 EUでは銀行の預金者保護のために銀行同盟倒産した銀行の預金者への払い戻しをEU各国の保険機構で共同で行おうと言う案)を提案しているが、これにはイギリスのキャメロン首相が反対している。
駄目だ、そんなことをすればギリシャ人やスペイン人の預金保護のために、イギリス人の税金を使うことになる

 一体どうしたらいいんだろう。
スペインの10年ものの国債の利回りは7%を越えて、スペイン国債の購入者は国内金融機関だけになってしまった
今ではスペインを助けるために(スペイン国債を購入させるために)スペインの金融機関を助けなければならない状況だ。
EUは結局スペインの銀行の不良債権とスペイン政府の財政赤字の両方の面倒を見ることになって、ギリシャとなんら変わりがなくなってきた。

注)当初は金融機関に対する資金投入でスペイン政府に対する資金投入ではないと説明していた。

 
このスペインの危機はいつまで続くのだろうか。ギリシャ危機が収束すればスペイン危機も収束するのだろうか。それともこれを契機にイタリアにまでヨーロッパの危機が拡大するのだろうか。
ひと時も目が離せない状況と言える。


注)ギリシャ選挙結果はブログ記載時点で緊縮派が勝利してギリシャのユーロからの離脱はなくなると予想されている。

なお、スペイン経済の不動産投資状況については以下の記事を参照してください。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/22531-5ec8.html
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/211114-c139.html

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