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2012年6月

(24.6.30) ためしてガッテン リズムで脳を活性化せよ 小脳のすばらしい働き

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 ためしてガッテンはなかなか役に立つ番組だ。今回はリズムの効用と運動能力の関係を解明してくれた。
私たちは普段運動するときに声を出しているが、その声の出し方によって運動能力が格段に進歩するのだと言う。

 ハンマー投げの選手が投擲をするときにいづれも大声を出していて、特に室伏選手の掛け声は有名だが、これに飛距離を伸ばす効果があるとは知らなかった。
他にもゴルフの飛距離を伸ばす方法として、「スゥー、ガァァァー」なんて大声を出すと飛距離が伸びる。
また跳び箱を飛べなかった小学生にリズムを教えるといとも簡単に飛べるようになる。

 単に声を出せば気合が入るからだと思っていたがそう簡単ではないと言う。
通常運動するとき大脳の指令によって行うと、大脳からは指令とともに邪念が一緒に送られて、「何とか遠くに飛ばしたい」とか「いいフォームでありたい」とかの気持ちがでて身体の動きがぎこちなくなるのだそうだ。
一言で言えば硬くなるのだが、この運動を大脳ではなく小脳によって制御させれば、邪念がない分身体の動きがスムーズに動く

注)ライオンやチーターが狩りをするのを見ると邪念などないからもっぱら小脳の動きで獲物を追っているのがわかる。人間は大脳が異常に発達したため大脳で運動を制御しようとして動きがぎこちなくなる。

ガァァァー」なんて叫ぶと恥じも外聞もなくなって大脳から邪念が消えることと(大脳がほとんど活性化しない)、一方で小脳が活性化するのだがこの小脳の働きは体の動きの自動化で、リズムに合わせて動くのだと言う。
しかも小脳は音を大脳を通さず直接聞くことができるから(視覚は必ず大脳経由小脳になる)、小脳が音のリズムにすばやく反応すると言う。

 音のリズムと小脳の動きを研究している大学の研究者が長嶋元監督のとてもユニークな選手指導法を紹介していた。
研究者によると長嶋元監督は音で松井選手を指導していて、ボールがバットにあたっとときに「ボワ」ではだめで「ヒュー」でなければいけないと言っていたそうだ。

 長嶋元監督は選手時代ほとんど動物と見間違うほどの俊敏な動きをしたり、天覧試合になるとホームランを打っていたが、この人の頭脳の構造が小脳中心だったので、このような活躍ができたのだと納得した。

注)一般にスポーツ選手は頭が良くないと言われるが、それは大脳を使用するより小脳を使用しているからで、単に頭の使い方が異なっているだけ。
この切り替えがうまければヤクルトの古田選手(監督)のように、科学番組のキャスターになれる。

 今回のためしてガッテンを見て、昔の野球部時代柔道部時代を思い出した。
野球でバッターボックスに立ったときはあれこれ考えていると、どうしても振り遅れて駄目なのだが、肩の力を抜いて無心に振るとよくヒットが出た。
また柔道でも技を掛けようなどと思うとそのとたんに身体が硬直したが、動きの中で無心に身体が動いたときは一本とっていることが多かった。
またトランス蝦夷1100kmのような超長距離レースをしているときは、調子がいいときは何も考えていないが、一方調子が悪いと「もう足が持たないのでないか・・・」なんてくよくよ考えていたものだ。

そうか、運動選手は頭(大脳)を使っては駄目なんだ。運動しているときはパーぐらいがちょうどいい」納得した。

 研究者によると具体的な音と運動には関連があり、「」の音は力がぬけ、「」の音で力が入るのだと言う。こういう研究を広い意味で「オノマトペ」と言うのだそうだが、実に勉強になった。
リズムにも特別な音があるらしい。

 最近私はマラソンの記録がさっぱりだが、次回のつくばマラソンでは映画ロッキーのテーマソングをかけて無心に走ってみよう。
この曲はリズム感抜群だから、予期せぬ記録が出るかもしれない。

なお、ためしてガッテンシリーズは以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/nhk/index.html

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(24.6.29) 日本の証券市場はインサーダー取引の温床 日興証券お前もか!!

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 日本の証券市場
インサイダー取引の巣窟だと海外から指摘されてきたが、その都度証券会社は「ファイアーオールが厳格に適用され、インサイダー取引などあるはずがない」と反論してきた。
しかし今度ばかりは反論する気力がなくなっただろう。

 野村証券に続いてこんどはSMBC日興証券執行役員取締役となんら変わらない)がTOB(株式の公開買い付け)の情報を会社社長ら3名に漏らし、実際に数百万円の利益を得ていたとして逮捕された。
この執行役員は親会社の三井住友銀行からの出向者だが、銀行時代から会社社長と懇意で、企業情報を常時社長等に流していたことも判明しておりインサイダー取引の常習者のようだ。
野村証券の場合は一部の不心得者のしわざと言い逃れることもできるが、SMBC日興証券の場合は執行役員だから言い逃れは不可能だ。

注)なお野村証券のインサイダー取引については以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/24610-87f1.html


 もっとも現在の金融商品取引法では情報を単に流すだけでは罰則の対象にならず、見返りに利益を得ていたことが立証できないと訴追できない。
警察ではその見返りの利益があったことを立証しようと懸命にがんばっている(そうでなければ執行役員は無罪になる)。

 
 野村証券SMBC日興証券と次々にインサイダー取引が暴かれており、ようやく証券取引等監視委員会もまじめにインサイダー取引を止めさせる決心をしたようだ。
それまではたとえ垂れ込みがあったとしても監視委員会はそれによる東京市場に対する影響を考えて握りつぶしていたのが実態だ。
だめだ、一つをあげれば芋ずる式にインサイダー取引がばれてしまう。そうすると海外の投資家が日本市場を見放すので、知らないことにしておこう

 なぜこのようにインサイダー取引が横行するかと言うと、金商法は本質的にザル法で、インサイダー情報をどんなに流しても問題になるのはそれを利用して利益を得たものだけだから情報提供者は痛くも痒ゆくもないからだ。
君と俺の関係だ。秘密情報だけど教えちゃおう」なんてノリで教えている。

 そしてこうしたインサイダー情報の提供は日本では昔から常に行ってきたので、担当者はそれがインサイダー取引であることすら認識できなくなっている。
実際野村証券から情報を得て空売りを仕掛けた旧中央三井アセット信託銀行の担当者は、内部の調査に対し「あれ、それがインサイダー情報になるの? 本当!!」なんて回答をしている。

 やはり日本の証券市場は魑魅魍魎の世界なのだ。情報を知っているものはいたって簡単にその情報を知り合いに教えて不当な利益を上げさせ、そのキックバック現金か否かに関係なく)を得ることで私腹を肥やしている。
そしてこうした内部情報から遮断された投資家は常に鴨にされて資産をすり減らしている。

 思い出せば日本の高度成長期はどの株式も値上がりしたから、誰もが株を持ってさえいれば利益を上げられた。
しかしバブル崩壊後日本の株式は傾向的に値下がりし、日経平均はピーク時の4万円から8500円前後に落ちて、これからも値下がり傾向が続く。
こうした中で利益を得る唯一の方法はインサイダー情報を持つことで、一般の投資家の出る幕はなくなった。

 東京市場の活性化が歌われて久しいが、これでは一般投資家が日本株の購入を諦めて新興国の投資信託等に投資するのは当然だ。
そして年を追って保有額を増加してきた外国人もここ数年は26%前後のシェアに留まり、東証全体の売買代金は年を追って減少している
このままインサイダー取引を放置すれば東京市場そのものが存亡の危機に立たされそうになり、ようやく監視委員会が本腰をいれだした。

なお、日本株を素人が投資しても鴨のなるだけの事例は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/24610-87f1.html

(別件)「「おゆみの四季の道」のカウンター10000を加えました。
 

 

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(24.6.28) 知られざる大英博物館 第1集 古代エジプト 民が支えた3000年の繁栄

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  注目すべき番組が始まった。NHKの「知られざる大英博物館」と言う番組で第1集は古代エジプトがテーマだった。

 古代エジプトは実に魅力が溢れているが、驚くべきことはなぜ古代エジプト文明が3000年の永きにわたって繁栄したかである。
中国は4000年の歴史と言うが、元や清は異民族の王朝だし、古代ローマだって西ローマが滅びるまでなら約1000年、東ローマが滅びるまでなら約2000年の歴史である。

 なぜこんなにも長く古代エジプト文明が繁栄を続けたのかの謎を解くため、大英博物館パピルスの解読を進めている。
私はまったく知らなかったが、古代エジプトには2種類の文字があった。
一つは神聖文字と言ってファラオの言葉をつづった文字だが、もう一つ庶民が使っていた民衆文字があった。
日本で言えば漢文ひらがなのような関係で、庶民はこの民衆文字を使いこなしていた。

 神聖文字の解読は1822年にシャンポリオンによってなされていたが、現在この民衆文字の解読が進みエジプト庶民の生活が明らかになってきた
今回紹介されたケンヘル・ケプシャフ氏は今から3200年前のエジプト文明中期に生活していた人で、多くの手紙や会計簿や教科書や日記を残した人だ。

 ケプチャフ氏は幼児期から父親から生きるための極意を教えられ、それを忠実に守ってきた。
いいか、ぼうず。勉強をするんだ。そうしたら書記になれる。俺たち庶民がいい生活をするためには書記になるのが一番だ

 私は今まで書記とは会議の書記係かと思っていたが、古代エジプトでの書記とは公務員のことである。
トップにはファラオ、そして次の階層は貴族だったが、その下に古代エジプト政府を支える公務員の集団がいた。
そして実際に古代エジプト政府の実務を支えていたのはこの公務員だったが、この公務員は公募されていたらしい。

注)放送ではすべての公務員が公募だったか否かは分からなかったが、少なくとも一定数の募集はあったようだ。

 なにか現在の国家公務員試験みたいだが、神聖文字民衆文字、それに数学を受験者は熟知していたようだ塾のようなところで学んでいた
ケプシャフ氏はまじめに勉強をして晴れて書記になったのだが、この前途有望な青年は当時の女性の憧れの的だったらしい。
女性からのラブレターが残っている。
ああ、神様、願いをもしかなえてくださるなら私はあの人(ケプシャフ)の元に駆けつけ、誰はばかることなくキスをしたい

 ケプシャフ氏の職場はルクソールにあった王家の谷の陵墓の建設主任だったようだ。上司は口うるさく部下はちっとも言うことを聞かず、ケプチャフ氏は不眠症になるほどストレスをためていたことがパピルスに記載してある。

上司の命令には逆らうまい。時にはためになることも言っているのだから・・・(すごい皮肉だ)」

コンスのやつ、誕生日だとか言って2日間も欠勤するとは、なんてやつだ。陵墓の建設がはかどらないじゃないか。それにさそりに刺されたとか、二日酔いだとかで欠勤するやつもいて、俺はどうしたらいいんだ・・・・」

 ケプチャフ氏はこうして中間管理職の苦悩を背負いながら、最後はかなりの地位まで上り詰めて60歳代後半に他界した。
今から3200年前の公務員の悩みと人生がこんなに明確に分かるのは驚きだ。

 このケプチャフ氏の人生行路を見てみると、当時のエジプトはかなり高度に洗練された社会であったことが分かる。
勉強をすれば公務員になって中産階級になれるし、そうならなかった庶民は労働者だが適当に理由を付けて仕事をサボることができた。
恋愛し結婚し子供を作るのが人生よ」そんな生活を謳歌していたみたいだ。

注)中産階級になると王や貴族と同様にワインを飲むこともできたし、品質を少し落としたミイラを作ることもできた。

 かつて私が見た十戒のような映画では民衆はファラオの奴隷で鞭を打たれながらピラミッドの建設をしていたが、実際はファラオは庶民に給与を払っていたし、庶民は適当に仕事をサボりながら人生を楽しんでいたようだ。

注)前に見たドキュメンタリー番組ではピラミッドの建設は冬季に仕事がない庶民のための公共工事だと説明していた。

 エジプトではファラオといえども庶民を痛めつけたりはせず、を公開して農業生産の後押しをしたり、医療情報を公開して社会保障政策を行ったり、数学の教科書を広く学ばせ学問のレベル維持に努めていた。
ファラオはみなのために多くの有益な情報を与える。だからお前たちも王のために働いてくれ。賃金も奮発するぞ」なんて関係だったようだ。

 このエジプトのイメージはかつて高校でならった世界史のそれとはまったく異なる。そこでは古代奴隷制社会と言う概念で説明され、民衆はすべて奴隷だったように描かれていたが、考えてみればそんな社会が3000年も続くはずがない。
庶民の再生産(結婚し子供ができて)があって初めて社会が安定するので、奴隷として片っ端から重労働で殺してしまってはロシアのラーゲリ北朝鮮の収容所のようなもので、今いる人間が死に絶えたらおしまいだ。

なるほどね、古代エジプトの生活もなかなかのものじゃないか」今回この番組を見て感心してしまった。

注)私が文明の進歩史観(歴史は常に進歩する)に疑問を持つのはこうした過去に途轍もなくすばらしい文明があるからだ。文明は生まれ、成長し、そして衰退すると言ったトインビーの歴史観のほうが正しいのではないかと思っている。

なお、古代ローマ史については以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44866001/index.html

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(24.6.27) つくばマラソンエントリー狂想曲 しまちゃんに助けてもらった

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 いやはやとんだ狂想曲に巻き込まれてしまった。つくばマラソンエントリーのことである。
つくばマラソンは茨城県の筑波大学をスタート・ゴールにするフルマラソンで首都圏から近く、またコースが平坦なので記録が出しやすい人気のレースだ。

 私は毎年のようにこのレースに参加しているのだが、信じられないことに毎年エントリーが難しくなっている。
5年以上前まではエントリー初日に参加者がいっぱいになるようなことはなく、RUNNETで悠々とエントリーできていたのに、最近はほとんどきちがい沙汰といえるほど応募が殺到している。

注)マラソンレースがフィーバーし始めたのは石原都知事が東京マラソンを成功させてからである。それまではフルマラソンは好きな者だけのレースだったが、東京マラソン以降多くの若者がフルマラソンに目覚めてしまった。
昨今のマラソンブームはバブルと言って良いほど盛況だ。

 私はこのレースにランナーズRUNNETで応募しているのだが、この24日(日)が応募初日でシステム登録の開始時間は午前10時だった。
つくばマラソンのフルの通常の募集枠は1万人である特別枠等を加えると全体では15000人程度)。

 実は昨年もこのRUNNETを通じて応募したのだが、信じられないことに何回もシステムが動かなくなり、そのたびに登録順位が最後尾になってしまった苦杯を味わっていたので、今回はスムーズに登録しようと準備万端整え、気合も入れていた。

 実は気合を入れなければいけない理由があった。昨年までは自分だけの個人登録を行っていたのだが、今回は私が所属しているちはら台走友会のメンバー12名集団エントリーお仲間エントリーと言う)をすることになったからだ。
このエントリーを引き受けたのは走友会きってのシステムマンで冷静沈着なしまちゃんである。
ただフル10名、10km2名の全員の登録をするのは大変なので私が10km2名の登録を引き受けることにした。

 昨年の経験から、10時少し前にシステムを立ち上げてトップクラスでエントリーしようと何回もRUNNNETの画面を確認し、「準備中」の表示が消えるのを待った。
9時50分に表示が「登録可」になったので「やれ嬉しや」と接続したら、待ち人数は300番台だった。
これなら楽勝だ。今回はついているぞ

 この余裕が裏目に出た。私はこの時間にブログを記載しているので、ブログ作成画面RUNNETの登録画面を交互に覗いて確認をしていたのだが、ようやく順番が回ってきたので、ブログ作成画面を閉じたらその瞬間にRUNNETの登録画面も消えてしまった。
な、なんなんだ。インターネット・エックスプローラを落としてしまったのか、なんと言う失態だ

 あわててもう一度RUNNETに入ったら、順位は5000番台になってしまっている。画面を見ていると3分ごとに順位が確認できるのだが、そのたびに1000人程度順番が進むので、15分程度は順番待ちになりそうだった。
15分間、パソコンの前にいても仕方ない。家の雑草でも取っていよう
雑草取りを30分程度して戻ってみると、信じられないことに画面が閉じられていて「最初からやり直してください」なんてメッセージが出ている。
どうしてだろう、次の画面が出たらすぐに対応しなかったのがいけなかったのだろうか・・・・・ぶつぶつ

 このあたりから心に余裕がなくなった。再びRUNNETの画面を開くとなんと順位は20000番台だ。
大変だ。入り込むのに60分かかる。今度は絶対にパソコンを離れないぞ
1時間程度画面とにらめっこしたら、ようやくIDとパスワードを入力する画面が現れた。
やれやれ、これで登録画面にやっと行けそうだ

 IDとパスワードを入力して実行キーを押したら、「システムにトラブルが発生しました。もう一度やり直してください」なんてメッセージが出てきた。
何だよ、そりゃないだろ・・・1時間待ってやっと入力したらこれかい
悲壮な気持ちになってきた。

 4回目のRUNNET画面を呼び出すと、順位は25000名程度だ。これではまた1時間以上かかる。
すでに1時に近づいており、このまま登録ができるのか心配になってきた。
これが自分だけのエントリーだったら「まあ仕方ないか」で済ませるが、今回はちはら台走友会のメンバーの集団エントリーだから責任がある

 しまちゃんに確認したら1時前にフル10人分のエントリーは終了していた。
しかし私が担当している10kmのエントリーはどうなるかまったく展望が持てない。
しまちゃんに泣きついた。
しまちゃん、助けて。10kmのエントリーができない。そちらでも登録作業をして!!!」

 しまちゃんと私で早く画面が出たほうが登録することにした。
IDとパスワード入力画面が再び出て、入力して実行キーをおすと、今度はエントリー登録画面が出たが、「お仲間エントリー」を押すと再び6000名の待ち行列だ。
一体いつになったら終るのだろうか。もしかしたらもう駄目かも知れない
胃が痛みげり症状がが出て、トイレに飛び込んだ。
時間はすでに2時を経過している。
もう駄目だ。俺はなんと浅はかな安請け合いをしたのだろう・・・走友会に顔向けができない・・・・・・
悲壮な気持ちになった。10kmの二人になんと言ってあやまったらいいのだろうか・・・・・。

  時間が3時に近づいた頃、しまちゃんから電話があった。
10km二人の追加登録が完了した
ありがとう、しまちゃん!!!!!!」肩の力がいっぺんに抜けた。
しかししまちゃんができて、なぜ私には登録ができないのだろうか。
覗いていた画面がようやく「お仲間エントリー」の画面になったが、むなしさだけが漂った。

 なんとも情けない話だ。10時から3時まで5時間の奮闘がまったく役にたたなかったのだから、これほど残念なことはない。
私にはしまちゃんと違って本質的にシステムマンとしての素養がないのではなかろうかとしょげた。

 しかし何よりもこの狂想曲の実態を記録しておかないと、また来年何が起こるかわからない。何か旧日本軍の「失敗の本質」のような記事になってしまった。

なお、ちはら台走友会の記事は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44088639/index.html

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(24.6.26) NHK 卵子は老化する 不妊治療の現状

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 今回見たNHKスペシャル卵子の老化の衝撃」には本当にびっくりした。
まず卵子が老化するとはまったく知らなかった。私は年齢に関係なく生理が終るまでは若いときと変わらない卵子ができるものと思っていたからだ。
それに卵子の数は生まれたときに決まっていて年齢を重ねるにしたがって少なくなることも知らなかった。
さらに老化した卵子は受精しても途中で細胞分裂をやめてしまうという。
こりゃ大変だ、卵子の数は私の頭髪と同じなのか。これでは年を取れば妊娠できなくなるのは当然だ・・・・・・・

 現在の日本は不妊においては危機的状況にあると言う。何しろ6組に1組の夫婦が通常の妊娠ができず、体外受精によって妊娠をしようと努力しておりその数は5年間で倍増しているという。
しかし体外受精といってもその成功率30歳までなら約2割、35歳で約17%、40歳で約8%、45歳では0.6%だそうだ。

体外受精の成功率はせいぜい5分の1であり、年齢を重ねるにしたがって成功率は落ちて、45歳ではほぼ絶望的なのには驚く。

 
もっとも私がこうした事実を知らなかったのは当然で、日本は先進国の中で不妊の知識の普及がもっとも遅れている国だという。
日本の女性の約5割の人が45歳までなら体外受精で子供ができると考えており、約2割の人が50歳代でも可能だと思っているそうだ。
卵子が老化することを知らないからだが、この思いと実際の体外受精の成功率とのギャップはあまりに大きい。

 なぜ不妊が増加しているかについては先進国共通の悩みで、女性の社会進出に伴って結婚年齢が上がっていることが一番大きい。
20歳代や30歳代にバリバリ仕事をして40歳代になって結婚すると、そのときには卵子が老化しているので妊娠が難しく、また体外受精でも成功率が低下している。

 さらに問題を複雑にしているのは男性が不妊治療を嫌がることで、これは私も男だから気持ちは分かる。
あなたに精子がないから妊娠しないのです」なんて言われたら、それは「男じゃない」と言われたのと同じだから、私だったら思い余って自殺しそうだ。
しかし実際問題として不妊の原因の半分は男性に原因があるというから、不妊治療は夫婦で行わないとまったく効果がない。
しかし番組でも男性が嫌がって検査を受けない間に時間がたって、気がついたときは女性の卵子が劣化していたと言う事例を紹介していた。

 不妊治療のもうひとつの問題は、不妊治療が保険対象外だということがある。ある女性は6回体外受精を行っていたが、費用が180万円だと言うのには驚いた。1回あたり30万円だから、通常の家庭の1か月分の生活費に相当する。
これじゃ、おいそれと不妊治療もできないな・・・・」そんな感じだ。

 不妊治療の先進国はフランスで、フランスはかつては日本と同様に人口低下に悩まされていたが、多くの子育て支援が功をそうして最近は人口が増加している。
その子育て支援の一つに不妊治療の無料化があり、42歳まで夫婦そろって不妊治療を受ける場合は治療費は無料になっていた。
この42歳までと言うのがミソで、これ以上の年齢になれば体外受精をしても成功率が低下するからだと言う。
若いうちに子供を生みなさい」と言うことだ。

注)フランスの出生率は1994年は1.65だったが2008年は2.00に上がっている(同時期日本は1.37)

 一方日本では一部補助はあるものの基本は自己負担で、しかもいつまでも不妊治療を続けている場合が多いのだそうだ。
すべてのことには適した年齢がある」と言うフランスのことわざがあるのだそうだが、スポーツや勉強などはまったくその通りで、年をとったらからっきし駄目だが、不妊治療もそうだとは知らなかった。

 前に評論家の日下公人(くさかきみんど)氏の本を読んでいたら、「女性には20才台で子供を生んでもらい、子供に手がかからなくなったら、無試験・無料で大学入学を認める制度を作ろう」と提案していた。
20歳代ならば子供がいくらでも生まれるので、子育てに適した時期は子育てをしてもらい、その後勉強しても勉強の場合のほうが適期が長いからそれから入学しても間にあうと言う提案だ。
私はいい提案だと思うが現在のところ賛成する人は少ない。

 いづれにしても日本人が高齢で結婚し、その結果不妊で悩んでいることは由々しき問題だ。
まず、卵子が老化することを前提に子育て対策をとらないと、22世紀に日本人がいなくなるとイギリスの研究者が言っていた。
日本人が22世紀にも存在するための子育て支援策が今緊急に求められている。

なお、NHKスペシャルのシリーズは以下にまとめて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/nhknhk/index.html
 

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(24.6,25) 日本の金融機関がふたたび世界のトップに躍り出た ムーディーズの格付け

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 再び日本の金融機関が世界のトップに躍り出た。
ムーディーズが21日に発表した世界の主要金融機関15社の格付の引下げの結果である。
今回引き下げられたのは米欧の主要金融機関で日本の金融機関は対象外だから、結果的に三菱東京UFJ三井住友世界のNO1の格付Aa3 上から4番目)になった。

注)かつてはほとんどの欧米の金融機関のランクは最上位にあったが、順位を落とし続け結果的に日本の金融機関が最上位になった。
なお、Aa3の格付けは他にHSBC、カナダ・ロイヤル銀行がある。

 日本の失われた10年の間、日本の金融機関の不良債権処理は「あまりに遅くあまりに少ない」と西欧から揶揄されてきたが、今や西欧こそがその非難にさらされている。
小泉内閣の頃竹中平蔵氏が、欧米の厳しい指弾を受けて日本の金融機関の徹底的な査察を行い不良債権を一掃させたのがここに来て効いてきた。
日本の金融機関の資産内容がもっとも健全だ」今はそう世界の格付会社が判断している。

 思えばバブルが崩壊する20年前までは、日本の金融機関は当たるところ敵なしだった。世界の金融機関の資金量の番付トップ10に日本の金融機関がずらっと並び、私が所属していた金融機関の順位は6位だった。
そうか、俺は世界で6番目の金融機関で働いているのか」誇らしく思ったものだ。

 しかしバブル崩壊後日本の金融機関の大凋落が始まり、世界での存在意義はないのかと思うほどまでに打ちのめされていたが、リーマンショック後今度は米欧の金融機関が勝手にひっくり返った。
その結果財政再建がなった日本の金融機関が再び世界のトップに躍り出ている。

 一般の人は格付が低下することが何を意味するか知らない。たとえば三菱東京UFJの格付が何であっても日本人であれば三菱の口座を解約しようとはしないし、預金の引き出しはしない。
国内においては何も変わりがないが、国外特にニューヨーク市場やロンドン市場での取引には格付けが絶対の威力を発揮する。

 一番問題なのは金融機関相互で資金のやり取りをする短期市場(インターバンク市場で、格付が低位の銀行は相手にしてもらえない。金がなくても誰も貸してくれないのだ。
また外為市場も同じでいくら円を持っていてもドルにもユーロにも代えてもらえなくなるか、非常に高い手数料を要求される。
いわば足元を見られるのだ。
こうなると海外に支店を出していても適正な金融機能を発揮できなくなるので顧客が離れていってしまい結果的にニューヨークやロンドンの支店を閉鎖することになる。

注)格付が低かった頃日本の大手金融機関はドルの調達で苦労した。私が所属していた金融機関はその当時最高位の格付けを維持していたので、日本の金融機関のためにドルを調達しては利ざやを稼いでいた。
担当者は「濡れ手に粟だ」と言っていた。


 日本の地方銀行の海外支店が次々に閉鎖されたが、それは上記の推移をたどって商売そのものが成り立たなくなったからだ。
しかし今やそのわだちを米欧の金融機関が踏んでいる
バンク・オブ・アメリカシティグループBaa2で上から数えて9番目でまたいつ政府資金の導入が図られるかというような状況だ。

注)日本の金融機関の中で野村だけは別格に悪く、格付はBaa3(上から10番目)で最低の投資適格要件になっている。
なぜ野村HDがこれほど苦悩しているかは以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat49538693/index.html

 ここに来て日本の金融機関の大攻勢が始まった。特にヨーロッパ系の金融機関がアジアから資金を引き上げて現金の手持ちを始めたため、シンガポールやバンコックやムンバイの市場で日本の金融機関は引っ張りだこだ
どうか、われわれに融資をお願いします。BNPバリバやクレディ・スイスはまったく融資をしてくれません。三菱東京さん三井住友さん、あなた方だけが頼りです」と言う状況だ。

 これは久々に訪れた日本経済再生のチャンスだ。輸出産業が崩壊した後はアメリカでもイギリスでも金融業が次の成長産業になったが、あまりに野放図な融資や投資を行って自分で自分の足にすくわれてしまった(日本は20年前にひっくり返ったが竹中平蔵氏が立て直した)。

 とても不思議な気がする。20年の歳月を経て再び昔の栄光が日本の金融機関に戻ってきた。ここががんばりどころだと思う。

なお、日本の金融機関に関する記事は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat45467292/index.html

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(24.6.24)違法なダウンロードに罰則規定 喜ぶのは警察と悪徳業者だけになりそうだ

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 世の中はドサクサにまぎれて何が起こるかわからないものだ。
今回の著作権法改正で、急遽音楽と映像(映画)の違法ダウンロードが刑事罰の対象になった。
2年前の改正では音楽と映像の違法なアップロードは刑罰の対象だったが、ダウンロードの方には刑事罰は存在しなかった。
それが2年以下の懲役または200万円以下の罰金刑」が今回科せられることになった。

 推進したのは自民党と公明党の有志議員で、ロビー活動を行ったのは日本レコード協会である。
日本レコード協会によると違法な音楽のダウンロードは年間約45億ファイルで、金額にして6683億円相当、これは正規の売上げ金額860億円約8倍にも及ぶと言う。

 日本レコード協会はこうした違法なダウンロードを許していては、日本の著作権ビジネスが崩壊し、音楽や映像文化の喪失につながると主張している。
私もこうした違法なダウンロードが著作権者の権利をひどく侵害しているのは分かるが、アメリカではソフトウェアを無料にして企業からの宣伝費で収益を上げるGooglefacebookのようなビジネス形態が一般化しており、著作権保護の観点より自由なネット利用のほうにビジネスは動いている。

 一方日本ではGoogleのようなまねができないため、著作権保護を行わないとビジネスが成り立たない。そのために著作権の強化に走るのだが、今回の罰則規定は思わぬ副作用をもたらしそうだ。

 副作用は大きく言って2つありどちらもかなり問題がある。

 一つ目は警察による別件逮捕が実に容易になると言うことだ。
これは少し考えてみれば分かる。
たとえば麻薬捜査である人物を逮捕したいが証拠がない場合は携帯電話かスマートフォンかパソコンを抑えればいい。

 通常こうした通信道具を保有している人なら必ず一つや二つ(あるいはめちゃくちゃに多く)の違法なダウンロードが見つかるはずだ。
あんた、これは何だ。著作権法違反で2年は豚箱だな。それとも200万払うか・・・、どっちに転んでも日の目は拝めないな・・・・まあ、麻薬のありかを吐けば著作権法違反は見逃しても良いが・・・」なんてことになりそうだ。

 もちろん法に抵触している人を逮捕するのが警察の役目だからそうした場合は別件逮捕もありとは思うが、何しろ違法ダウンロードは罪の意識なくほとんどの人がしているから日本人のほとんど(パソコンも携帯も使わない人は除く)が容疑者になって逮捕されそうだ。
日本人のほぼ全員が犯罪者となる刑罰は果たして妥当だろうか

 もう一つの問題は(私はこちらのほうが大きいと思っているが違法ダウンロード詐欺が横行する可能性が高いことだ。
少しでも画面を触れば音楽ソフトや映像をダウンロードする仕組みを作っておいて、後は法外な料金を請求すればいい。
そうした悪質な業者が雨後のたけのこのように発生しそうだ。

お客さん、あんたは違法なダウンロードをしているのですよ。これを警察に言えば2年の懲役か、200万円の罰金刑ですね。払わないのならすぐに警察に通報しますがいいんですか、週刊誌にでも書かれたら、あんたは困るんじゃないの」なんて脅されそうだ。
男であればある種のサイトを覗いてみたくなるものだが、すねに傷もつ身だとこの脅しに耐えるのはかなりの精神力が要るだろう。
今までは警察に訴えるのが顧客だったのに、今度は悪徳業者が警察に訴えると言う。
正義が悪徳業者に移ってしまう。

 実際はこの法律は親告罪と言って被害者(レコード会社)が訴えないと罪に問われることなく、また違法と知らないでダウンロードした場合は罪にならないのだが、「違法と知らなかったことを立証」するのはかなり大変そうだ。
それに毎日2年の懲役か200万円の罰金だなんて脅かされれば、数千円から数万円の請求は払ってしまいそうだ。

 今回の著作権法改正の違法ダウンロードの罰則規定は、目的は正しくとも副作用が大きすぎて、強すぎる抗がん剤を投与された癌患者のようになってしまうだろう。
警察については相応に大人の判断をするとしても、後者の悪徳業者についてはおれおれ詐欺に変わるビジネスとして裏社会に蔓延しそうだ。

注)今回の著作権法改正には当初違法ダウンロードの罰則規定はなかった。
①写り込みに関する規定、② 国会図書館のデジタル化資料の規定、③リッピングソフトの違法化、と言った規定だけだったのに急遽「違法ダウンロードの罰則規定」が加わったのは日本レコード協会のロビー活動の成果である。

日本レコード協会は自民党と公明党の有志議員に働きかけて政府提出の著作権法を修正させたのだが、民主党は消費税法案を通すのに全力を挙げているので、今なら自民党と公明党の言うことを丸呑みしてしまう。

 

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(24.6.23) 国連の虚しい会議 リオ+20 グリーン経済の試み

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 国連の会議はいつも虚しさを漂わせるものだが、今回のブラジルのリオデジャネイロで開催された「リオ+20」(リオトゥエンティー)もそうした会議だった。
リオに約120カ国の首相や閣僚を集めたものの、集まっただけで何も決まらずに閉会したからだ。

 「リオ+20」とは不思議な命名の会議だが、1992年にここリオで開催された最初の地球サミットから20年後の記念すべき会議と言う意味だ。
地球サミットは地球の環境保護が主要テーマになった初めての国連の会議であり、運動の中心はヨーロッパだった。
地球温暖化対策生物多様性の維持と言ったコンセプトはすべてヨーロッパ主導で進めてきた運動で、今回の会議の主要テーマであるグリーン経済もヨーロッパ産のコンセプトである。

 地球の環境維持についてヨーロッパ、分けてもドイツやフランスが熱心なのは環境保護に熱心な国柄もあるが、本当の理由はこれがヨーロッパの復権につながると判断しているからだ。

 たとえば地球温暖化対策では京都議定書が締結され目標が未達成の国は達成した国にペナルティーを払う仕組みが採択された。
もっとも最初から未達が予想されたアメリカと中国そしてインドがこの議定書から抜け結果的にペナルティーを支払うのは日本(とカナダ)になったのは、日本はヨーロッパの復権の意図を理解していなかったからだ。
ヨーロッパは不満だったろうが、それでも日本から資金をふんだくることができたのだからまずまずの成果だ。

 グリーン経済も同じ思想の延長線上にあって、グリーン経済を未達成の国から達成した国にペナルティーを支払わせることを目的にしている。
さっそく中国の温家宝首相が異議を唱え、考え方は承認するが義務は負わないと表明した。
先進国だけで勝手にやれ。ペナルティーは払わないぞ」と言う意味だ。

 グリーン経済とは、環境対策に配慮した持続可能な経済を目指すと言うもので、今回のグリーン経済では特に「自然に負荷をかけない農業の推進」が強調された。
なぜ農業かというと、1992年から20年経ち、人口が55億人から70億人27%も増えたこと、その間食料は47%も増えているのに、食料がいきわたっているのは裕福な国だけで人口の4分の1は一日200円以下で暮らしているからだと言う。

人口増加より食糧増産のほうが大きいならば分配の問題だろう」と私などは思ってしまうが、この食糧増産方式が自然破壊と二酸化炭素の増大をもたらせているので、農業の開発方式をグリーン方式に改めなければならないと言う。
略奪農法ではなくて自然再生農法が必要だと言うことのようだ。
そして自然再生農法ならば後進国でもできるというのがこのコンセプトのミソだ。

 ワールド・ウェーブ・トゥナイトではその一例としてブラジルで行われている多品種栽培方式を紹介していた。
1970年代まではモノカルチャの農業だったが、土地がやせて病気が蔓延したことからブラジルのトメアス地方ではコショウカカオアサイーを植えて人口の森を作っていた。

 こうすると自然が再生し、地味が肥えて、さらに多くの作物を栽培しているので価格変動にも強いのだと言う。
もっともこれはブラジル全土で広まっている農法ではなく実験的農法のようだった。

 今回の「リオ+20」はいつものように失敗で、国連主導の会議の限界を露呈している。いくら120カ国の首脳を集めても先進国、新興国、途上国の溝は埋まらない。
それにこの会議を主導してきたヨーロッパは経済危機でグリーン経済なんていっている余裕がなくなってきた。
ドイツのメルケル首相が会議に出席しなかったのがそれを象徴的にあらわしている。

 結論はいつものようにヨーロッパがしたいなら自分のところだけですれば良いということになった。。
日本もヨーロッパの尻馬に乗ると京都議定書の場合と同様、日本だけがヨーロッパから金をせびられるので、(学習効果があったと見えて)まるで積極性がなかった。
こうして「リオ+20」はまったく熱気のうせた空虚感だけが漂った会議となった。

なお地球温暖化対策の茶番劇については以下の記事を参照してください。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/23121-cop17-9ea.html

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(24.6.22) ためしてガッテン  成人期へん平足に気をつけろ

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  へん平足については私はだいぶ誤解していたようだ。
子供の頃に「お前はへん平足だ」なんて足を比べあったことがあったが、そもそも子供はへん平足なのだと言う。
生まれて間もない幼児完全なへん平足で、これが10歳になる頃までに足にアーチができてへん平足でなくなるのだそうだ。
そして若い時代はそのまま推移するが、加齢を重ねるにしたがって再びアーチがなくなりへん平足に戻ってしまう。
これを成人期へん平足と言うが、問題なのはこの成人期へん平足なのだそうだ。

何だ、子供の時はへん平足が当たり前で、若者のときはまったく問題がないんだ
そもそもへん平足が嫌がられるのは走ると遅く、長時間歩くと疲労がたまると思われているからだが、これは大人の場合で幼児や若者には当てはまらないのだと言う。
番組では小学4年生の子供を対象に運動能力にまったく関係ないことを実証実験していた。

注)なお医学的にへん平足とは、立った状態で土踏まずの面積が足の裏の3分の1以下になってしまう状態をいう。土踏まずの有り無しでない

 年をとるとなぜ再びへん平足になるかと言うと、足の骨のアーチを支えていた後けい骨筋腱という腱がだんだんと切れてしまい、その結果アーチが落ちてしまうからで、反対に言えば老人でも後けい骨筋腱を鍛えておけば足の骨のアーチは維持される。
後けい骨筋腱なんて言われても始めて聞く名前でさっぱり分からず、アキレス腱に比べてネームバリューはないが、アキレス腱の次に丈夫で重要な腱なのだそうだ。

注)後けい骨筋腱はふくろ矧ぎの後ろから足のくるぶしを経由して足のアーチを支える腱

 この腱が切れる理由は、①体重増加、②加齢に伴う腱を支える筋肉の減少、そして③ くるぶしの後ろの血行障害、だそうだ。
そしてこの腱が切れることによってアーチがなくなり、クッション機能が失われて歩行が遅くなり、長時間歩くことができなくなるのが成人期へん平足という。

 そして成人期へん平足が危険なのは、アーチがなくなると足の裏が崩れて骨が地面にごつごつ当たるようになり、その結果骨が飛び出したり足の骨の脱臼が起こるからだと言う。
こうなると歩くことができなくなるので手術が必要になる

 この後けい骨筋腱の切断は実際は10年程度の時間をかけて起こるので、普通は気付かないことが多い。
しかし兆候として内くるぶしが腫れて痛むようになるので、腫れている足一本で爪先立ちをしてズキとくるようだと後けい骨筋腱が切断されている可能性があると言う。

 なおゲストに日本足の外科学会議長と言われる方が来て、どうしたら後けい骨筋腱を鍛えこのアーチを維持できるかの実演をしてくれた。
足のつま先で立つ運動を20回から30回程度し、足の指のグー・チョキ・パー体操を一日30回程度すればアーチを維持できると言う。
えらく簡単な体操だが、継続するのは難しそうだ。

 また履物も大事で特に足の指が固定される硬い靴や、あまり高いハイヒールは駄目だと言う。
私などは日常的にマラソンシューズをはいているからこの点では問題はなさそうだ。

 しかし今回の番組でへん平足に対する認識を新たにした。見てよかった番組だ。

なお、ためしてガッテンシリーズは以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/nhk/index.html

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(24.6.21) 野村証券の悪いうわさが再び始まった。

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 ここにきて野村証券の株価(実際は野村HDの株価)が再びじりじりと値下がりを始め再び週刊誌で倒産説がで始めた。
昨年の12月野村証券危機説が出て「政府資金の投入もやむなし」などと言う憶測が飛びかっていた頃の250円に再び接近している。

注)野村證券のここ10年間の株価はピーク時は2500円程度だったのですでに10分の1に低下している。

 昨年12月の危機説は雑誌ファクタオリンパスの粉飾決済を報道した雑誌)が「野村証券の救済に資本注入の計画」と報じたことから始まり、経済評論家の副島(そえじま)隆彦氏株価低迷、リーマン買収による体力低下、欧州のCDSを大量に販売していること等を根拠にNRI(野村総研)や野村不動産の売却を野村HDが検討しており、野村証券の倒産も年明けごろと報じたことに始まる。

 野村証券はこの副島氏の評論に激怒し「評論家と名乗る人物がネット上で断定的に当社の破綻について語っているようですが、根拠のない憶測であり、現在法的対応を検討している」とtwitterで反論した。
実際それから半年あまりたっても野村証券は健在なのだから、年明け倒産については確かにデマ情報だったことになる。

 しかし野村証券の経営が順調かと言うとかなりの低空飛行であり、税引き前利益が四半期決算で赤字になったり黒字になったりして回復のめどが立っていない。
特に問題なのが海外部門で、08年9月に倒産したリーマン・ブラザーズのヨーロッパ・アジア部門を買収したが7四半期連続の赤字が続いている。

注)野村証券の最近の業績は以下の通りで表面的には特に問題はない。
    2010年 売上 6133億円  経常利益 862億円
  2011年 売上 5803億円  経常利益 571億円
ただし、野村グループ全体(野村HD)では明らかに収益が減少している。
当期利益 2011年 115億、2010年 286億、 2009年 678億


 リーマンのヨーロッパ部門はサブプライムローンをたっぷり含んだディリバティブ商品をEU各国の金融機関や投資家に売りまくっていたのだから、今はまったく商売にならないのは当然だ。
一部にM&Aで成果が上がっているが、ディリバティブこそが収益源だったのでその程度では黒字にならない。

注)リーマンの買収については、「リーマン・ブラザーズの買収は失敗だった」を参照。

 また国内の株式売買手数料は個人客はネット証券を利用するので過去のような収益を上げることはできなくなっている。
仕方なく営業の中心を投資信託や社債の引受に移したが、社債の引受ではインサイダー取引の温床になってしまい金融庁から業務改善命令を出される直前になっている。

注)野村証券のインサイダー取引については以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/24610-87f1.html

 海外も駄目、国内も駄目、かろうじて自己ディールで収益を上げて何とか収支の帯を結んでいるのが実態だ。
格付けはほとんどスペイン並みになってしまい、市場からの資金調達に支障をきたしている。

 したがって、こうした状況下では合理化は避けて通れず、NRI(野村総研)や野村不動産の売却がささやかれるのはいたし方ない。
野村証券の買収先として常に名前が挙がるのが三菱東京UFJで、確かに野村を救済できる国内の金融機関としては三菱東京三井住友ぐらいしかないだろう。

 バブル全盛時代、野村証券の収益は大手金融機関の収益を上回り、証券の時代がやってきたと誰もが思ったものだ。
しかし日本経済の失われた20年とまったく歩調を合わせて野村証券も沈んでしまった。
乾坤一擲のつもりでリーマンを買収してみたが、リーマンのディリバティブモデルはヨーロッパでは崩壊しており、野村HDはただ単に高い買い物をしただけに終っている。

 野村証券はどうなるのだろうか。副島氏が言うようにすぐに倒産はしないものの、だからと言って浮揚する条件はまったくない。
日本もヨーロッパも経済状況は最悪で、アジアですら急ブレーキがかかり始めた。
今回の悪いうわさは週刊誌主導だが、JALがそうであったように悪いうわさが出ては消えながら、野村は最終的には大改革をしなければならない状況に追い込まれるのだろう。

なお、野村証券に関する記事は以下に纏めて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat49538693/index.html

 

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(24.6.20) 四季の道の草刈開始 ついに長年の懸案だった草刈を始めた

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草刈後ののり面

 私は長いこと四季の道草刈をすべきか否か悩んでいた。
四季の道緑土木事務所が定期的に草刈をしてくれているが年に3回程度であり、雑草が生える夏場にはなんとしても少ない。
たちまち雑草が生い茂りつる草が繁茂してせっかくの緑土木事務所の草刈も効果があるのは1ヶ月程度だ。

 私はおゆみ野の森で定期的に草刈をしているが、こちらは夏場は月に2回程度のペースで行っている。そうしないとたちまちのうちに道路面に草がはみ出してきて通行すら難しい。
だから四季の道に雑草が生い茂るたびに、「草刈をすべきか否か」悩んでいた。

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草刈前ののり面。このように雑草がはびこる

 実は草刈はかなり難しい。通常は自走式の草刈機人が押したり乗ったりして草刈をするもの)があれば一番いいのだが価格がとても高い。通常は10万円から20万円の範囲だ。
このような本格的なものは業者でないと装備は不可能なので、肩に担いで行う安価な草刈機を使用することにしたが、これは使用に注意が要る。

 特に円盤の鋸のような歯を持った草刈機を使うと、キックバックと言う恐ろしい動きをしてしばしば事故につながる。
キックバックとは金属歯の回転と反対の方向(から右)に草刈機を動かすと、突然円盤の歯が跳ねて真後ろに草刈機が飛んでいく現象で、よくこれで背後にいた人の首を切ってしまいしばしば死亡事故まで発生している。

注)草刈機の注意で、使用者を支点に5mの円内に入ると危険と言われるが、それはこのキックバックがあるため。

いくら草刈をしたいからと言って事故を起こすわけには行かないな・・・・・
柔らかい草を刈るためだけならば、ビニールの紐を回転させて草刈をする方法が普及している。
おゆみ野の森でも使用しているが円盤の鋸に比較すると木や太い雑草は切れない。もちろん人間にあたっても傷がつく程度で重篤な事故は起こらないし、一番の悩みのキックバックが発生しない

四季の道は多くの人が通るところだから、ビニールの紐で草刈をしてみるか」決心した。
ちはら台のビバ・フォームで草刈機と燃料と防具を購入してきた。全部で2万円強の値段だったが自走式の草刈機に比較するとはるかに安価だ。

 これをもって最近草がぼうぼうと茂っていた南警察がはるか先に見える四季の道の土面の草刈を実施してみた。長さは約200m程度だが、実際にやってみるとなかなかタフだ。
かなりの高さまで草が生い茂っていて、かつ蔓草が絡まっているのでまず蔓の除去が必要になる。
これをしないと草刈機に蔓が絡まって動かなくなるからだ。

 人ができるだけ通らないときが良いので日中の1時から3時ごろまでを作業に当ててみたが、この時間帯はめちゃくちゃに暑い。さすがに意識が朦朧となってきたので近くの自販機を見つけてコーラをがぶ飲みした。
イヤー、慣れているとはいえ草刈は大変だ・・・・」愚痴が出た。

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舗装面に接した1m程度の範囲を草刈することにした

 通常こうした作業を業者は10人程度の人がグループを組んで行っており、実にきれいに刈り取るのだが、一人の作業には限界がある。
予定の半分程度しか作業がはかどらなかった。
それにすべてをきれいにするのはとても無理なようなので道際の1m程度の草を刈り取ることにした。
こうしておけば草が道にかかることだけは防げる。

 四季の道を世界で一番美しくする取り組みも体力勝負だ。かつてロンドンのハイドパークがゴミがまったく落ちてなく芝生がきれいに手入れされているのを見て感嘆した。
ハイドパークに負けないような四季の道にしよう
私はこのイメージで四季の道の作業をしているのだが、すぐに暑さと疲労でふらふらになってしまう。
はたしてこの暑い夏場を草刈をしながら乗り切れるだろうか。相当気合がいりそうだ。

なおおゆみ野クリーンクラブのボランティアの実績については以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat45485858/index.html

(ご了承を)

ボランティアの活動の中のペンキ塗りについてカンパをしていただいておりますが、ペンキ代としては十分な支援をいただきましたので、その一部で草刈機を購入いたしました。
予算外使用のような形になっておりますが、ご了承ください。

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(24.6.19) アラブの春が終わり、秋が来た。エジプトの静かな反革命

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 昨年の春から始まったアラブの春はここに来て晩秋を迎えたらしい。
チュニジア、エジプト、リビアの強権政治を次々に打倒しアラブ世界全体に春が訪れるかと思われたが、シリアのアサド政権が頑強に抵抗した結果ドミノ現象は終ったようだ。

 そればかりでなくエジプトにおいては反革命と思われるようなゆり戻しが起こっている。
エジプトでは大統領選挙のさなかに最高憲法裁判所人民議会の解散を命じた。
理由は「現行の選挙法は違憲状態にあって、昨年末に行われた当選者の3分の1は無効だ」という。

 こうなると議会の定数が不足するので議会は解散し再選挙を実施しなければならない。
議会第一党のムスリム同胞団が擁立した自由公正党が、「民意で選ばれた議会を解散するには国民投票で決めるべきだ」と抵抗したが、実権を握っている軍最高評議会は軍隊を国会に派遣して封鎖してしまった。
最高憲法裁判所の決定は守らなければならぬ

 日本だったら考えられないような暴挙だ。日本では最高裁判所が「衆議院の一票の格差は容認できない」との判断をいくら下しても、国会は知らぬ顔のはんべいを決め込んで定数是正に取り組もうとしていない。
裁判所の言うことを国会がへいこら聞く必要はない!!」と言う感じだ。

 エジプトでは大統領選挙のさなかで、ムスリム同胞団のモルシ氏と、軍最高評議会が押すシャフィーク氏の一騎打ちになっていたから、これはあきらかに軍最高評議会が裁判所を利用してムスリム同胞団つぶしに乗り出したことを意味する。
ムスリム同胞団の権力基盤の議会をつぶさないとあぶない。どうやら大統領選挙でシャフィークが負けそうだ。議会も大統領もムスリム同胞団に握られたら軍はおしまいだ
軍隊としたらその権力基盤を譲り渡す気持ちはさらさらないので、クーデタを起こした。
最高憲法裁判所を利用しての議会つぶしで静かなクーデタと言う。

 エジプトのアラブの春を主導した若者や知識人が押した民主主義の候補はすでに大統領の予備選で落選しているので、現在はムスリムと軍隊との戦いになっている。
軍最高評議会としたら、なんとしてもムスリムの力を押さえつけて軍主導のエジプトの再生を図ろうとしているので、これはかつてのムバラク政権となんら変わりがない。
ムスリムなどに政治をやらせるとエジプト最大の産業の観光業は壊滅するし、それにアメリカからの軍事援助も途絶えてしまう。ここはなんとしてもムスリムを追い落とそう

注)エジプトは他のアラブ諸国と異なり石油がない。このため観光業と先進諸国からの投資がないと経済を維持できない。一方でムスリム同胞団はイラン並みの宗教国家を目指しているので、軍最高評議会はこうした方針に危機感を持っている。

 こうなるともはや民主主義もへったくれもあったものではない。
議会は憲法草案を承認するために召集されていたのに、その議会がなくなって憲法が作れない。
ならば軍最高評議会が憲法草案を作りましょう」と言うことになって、当初ムスリム色の強いイラン並みの憲法ができそうだったが、かつてのムバラク政権に近い憲法になりそうだ。

 大統領選挙結果はまだ公表されていないが、ムスリム同胞団は53%程度の得票率で勝利したと宣言している。
軍最高評議会はこの選挙結果を認めるだろうが、憲法で大統領権限と議会の権限を大幅に縮小し軍隊を独立王国のようにするつもりだ。
戦前の日本陸軍の統帥権と同じだと言ったらイメージがわくだろう。

 一番ありそうな対応はムスリム同胞団のモルシ氏が当選したとしても、実質的な権力を軍最高評議会が握り続け、モルシ氏が抗議すれば議会と同様に最高憲法裁判所を動員して大統領選を無効とすることだろう。

 なんともすさまじい権力闘争だ。民主主義国家では選挙の結果がすべてだが、アラブでは相変わらず「権力者のものは権力者の物」と言う構造が成り立っているらしい。
こうしてアラブの春アラブの晩秋を迎えている。

なおアラブの春に関する記事は以下のカテゴリーに纏めて入っています。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat45123956/index.html

 

 

 

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(24.6.18) スペイン経済の危機ライン スペインはギリシャになるか?

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 いやはやひどい状態になったものだ。ヨーロッパ経済は次々に発生する巨大トルネードに翻弄されているアメリカ中西部のような状態になってきた。

 一ヶ月前まではトルネードはもっぱらギリシャで発生し今もそうなのだが、突然にスペイン経済が翻弄され、イエローカードが出され、レッドカードに変わりつつあるのには驚く。
しばらく前までラホイ首相は「スペインは自力で問題を解決する」と言っていたのに、今では「金融機関救済の1000億ユーロ(10兆円)の依頼は自分が行ったもので、ドイツやフランスにせっつかれて行ったのではない」なんて言う始末だ。

 しかしスペイン金融機関の不良債権比率の大きさはひところの日本と同じだと言えばイメージがわくだろう。
1990年代の後半、日本の代表的な金融機関だった長銀・日債銀・北拓と言った金融機関が次々に倒産したが、不動産融資案件の焦げ付きがその理由だった。

 スペインは風光明媚な土地柄だ。特に地中海に面した避暑地はバブル最盛期の頃日本でも大変人気があった。
2008年のリーマンショックまではヨーロッパはEUの統合やユーロ圏のおかげで未曾有の好景気に沸いていて、特にヨーロッパの北側に位置したドイツや北欧やイギリスの人々が競って別荘をスペインに獲得しようとした。
これを見たスペイン人もバブルに踊って、スペインの金融機関から金を借りまくっては不動産投資をしたが、リーマン・ショックですべて裏目に出た。

 現在スペインの金融機関の不良債権比率は約8%で日本の大手銀行が2%なのに比較するとひどい状態だ。
しかもこの8%スペイン(中央)銀行の発表数字だからかなり手加減が加えられている可能性が高い。

注1)IMFは思い余って「域内での金融機関に対する監督を一元化しろ」と勧告を出したが、国ごとに監督のレベルや報告のレベルが異なっては対応の仕様がないため。

注2)スペインの不良債権比率と不動産価格の推移は以下のグラフ参照
http://mainichi.jp/graph/2012/05/29/20120529k0000m020133000c/001.html

 市場の信頼は地に落ちて大手金融機関の格付けは「投機的」の一歩手前まで落とされ、さらに「ネガティブ」の評価を受けている。
これではスペインの金融機関が市場で資金調達をするのは不可能で、ECB(ヨーロッパ中央銀行)から借り入れるか、EUから資本を注入する以外に方策はない。

注)借り入れは返済義務があるが、資本の注入には返済義務がないので資本の注入のほうが安定する。

 EUでは銀行の預金者保護のために銀行同盟倒産した銀行の預金者への払い戻しをEU各国の保険機構で共同で行おうと言う案)を提案しているが、これにはイギリスのキャメロン首相が反対している。
駄目だ、そんなことをすればギリシャ人やスペイン人の預金保護のために、イギリス人の税金を使うことになる

 一体どうしたらいいんだろう。
スペインの10年ものの国債の利回りは7%を越えて、スペイン国債の購入者は国内金融機関だけになってしまった
今ではスペインを助けるために(スペイン国債を購入させるために)スペインの金融機関を助けなければならない状況だ。
EUは結局スペインの銀行の不良債権とスペイン政府の財政赤字の両方の面倒を見ることになって、ギリシャとなんら変わりがなくなってきた。

注)当初は金融機関に対する資金投入でスペイン政府に対する資金投入ではないと説明していた。

 
このスペインの危機はいつまで続くのだろうか。ギリシャ危機が収束すればスペイン危機も収束するのだろうか。それともこれを契機にイタリアにまでヨーロッパの危機が拡大するのだろうか。
ひと時も目が離せない状況と言える。


注)ギリシャ選挙結果はブログ記載時点で緊縮派が勝利してギリシャのユーロからの離脱はなくなると予想されている。

なお、スペイン経済の不動産投資状況については以下の記事を参照してください。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/22531-5ec8.html
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/211114-c139.html

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(24.6.16) 文学入門 柴田翔 「されどわれらが日々」

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 読後感が今と昔ではこんなにも異なるものだろうか。柴田翔氏の「されどわれらが日々」のそれである。
この本を私が最初に読んだのは大学生の頃だから今から45年ほど前のことだが、非常に感動した記憶がある。
しかし今回読み直してみてなんとも空虚な感じに襲われた。

 今回の読書会のレポーターはJJさんだが、JJさんは1960年の第一次安保闘争も1970年の第二次安保闘争も知らない世代で、かつてなぜあのような激しい学生運動が展開されたのか不思議に思っていたと言う。
そこでJJさんは今回この本を選択したのだが、この小説の舞台は終戦後10年経った1955年前後の日本で、ようやく終戦の痛みから立ち上がって高度成長を始めようとしていた直前の日本が舞台である。

 この小説の主人公は英文学専攻の東大大学院生でインテリでありまた登場人物はすべてインテリである。
そしてこの小説では主人公とかかわった人々の挫折を扱っているのだが、挫折をした学生が次々に自殺をしたり自殺未遂をするのには驚かされる。
何か最初から間違っているのではなかろうか・・・・」そんな感じがする小説だ。

 いまから思うと信じられないことだが、戦後日本では日本共産党中国共産党の影響の下に「農村から都市を包囲する中国式共産革命を目指していた。
この手段として東大をはじめとする主要大学の学生党員を農村地帯に下向させ、そこで旧陸軍の武器と火炎瓶で武装蜂起をする計画になっていた。山村工作隊と言われたが、襲う先は警察署や役所等の公的施設である。

 しかしこの方針は武闘派の徳田球一氏が中国で急死し、反武闘派の宮本 顕治氏等が権力を奪取したことにより、中国式武装蜂起路線は撤回された。それを正式に認めたのが日本共産党第六回全国協議会(六全協と言う)だったが、収まらないのは農村地帯で今か今かと武装蜂起を待っていた党員たちだ。

ぼくを含めて、党と革命に自分の生活の目標を見出していた学生にとっては、(六全協の決定は)ほとんど致命的なものに思えました」と言う衝撃を学生党員に与えた。
その後多くの学生党員が共産党を離れるか、あるいは新左翼として共産党とは別個の左翼運動を展開することになったのはこのときの衝撃の大きさによる。

 私はこの小説をそうした挫折文学として読んでいたが、今回読み直してみてこの小説は自殺文学ではないかと思うようになった。
なにか理由もなく観念の中で自家中毒を起こして自殺しているみたいだ。

 最初に登場する自殺者は東京大学法学部の学生で共産党員のたまり場だった歴史研究会(歴研という)のメンバーだった佐野の言う青年だ。
佐野は党中央の指令によって農村に潜伏し武力革命の指令を待ったが、六全協で突然にその指令が撤回され大学に戻ってくる。

 佐野は党のあまりに唐突な方針変更についていけず学生運動から離れ、大学を卒業するとS電鉄に入社する。
本人は挫折者として二度と社会の表に建たず、平凡な人生を平凡に送ろうと決心するが、仕事での実績をだんだんと認められて、実質的NO1の副社長の姪の結婚相手の候補にまでなり、将来が嘱望されてしまう。

 このあたりまでは元左翼運動の闘士によくあるパターンだ。一般に東大の学生は実務能力が非常に高い。まじめに仕事をしていれば自然に出世してしまうし、高度成長期の日本は過去に何の思想を持っていたかでなく、業務能力があればそれを評価していた。
学生時代は少しぐらい赤であったほうがいい」という感覚だ。

 
 しかしこの佐野と言う青年は認められることで自殺をしてしまう。その理由は「自分は裏切り者だ」とはっきり分かったからだと言うのだが、このあたりから私はこの小説に違和感を覚える。
この小説が書かれたのは1964年の頃でまだ左翼運動が華やかな頃だが、実際はその25年後には世界から社会主義国が次々に消え去り、残った中国は資本主義を採用した共産党独裁国家になってしまった。

 その後の歴史の経緯を知っているものから見ると、左翼運動そのものが間違いで、裏切るもなにも単に正常な生活に戻っただけにすぎない。
時代の流れに任せてS電鉄の重役になって相応の社会的貢献をすればいいと思ってしまうが、佐野青年は裏切り者であることが我慢できず自殺をする。

 私には違和感があるが、しかし社会主義を善とみなしていた佐野青年の自殺は分からないでもない。
だが、この小説の主人公の一時的恋人だった同じく東大生の優子の自殺になると理解不能だ。
主人公と肉体関係を持ってそのために妊娠したのだが、あえて言えばそれを苦に自殺するのだが、そんなことで自殺をするのだろうか。
本人は堕胎の手術をした後、その空虚さに耐えられなくなって手紙を残し
禁欲はいつも惨めで暗いのに、そして欲望を公然と認めて生きることは、夏の海に輝く太陽のように明るいはづなのに、その明るさの結末に、こうした屈辱を受けなければならないのは、一体なぜでしょうか」といって自殺をする。

 子供ができたのなら「できちゃった婚」をすれば済むことで、何も自殺をすることはないだろうというのが私の感想だが、1955年ごろはこうした婚姻は許されなかったのだろうか。

 主人公はその後節子と言う幼馴染と婚約して2年間ほど付き合うのだが、節子は主人公との生活が空虚なものと知り、主人公の元を去るために鉄道での自殺未遂をし、それに失敗した後は去っていく。
このあたりになると読むのがいやになるくらいの観念の応酬だ。
あなたが私との二年間を通じて何一つお変わりにならなかったとしたら、それは、ただひたすら、あなたの前にいた私と言うものが無であったことを語っているのでしょう。・・・・・逆に私が、自分が無であり、あなたをかえる契機たりえなかったことを、すでにそのときはっきり知った」ゆえに婚約を解消して別れるという。

 なんともひどい観念の遊びでこれが自殺未遂をしたり婚約を解消する理由になるのかと驚いてしまう。
柴田翔氏の「されどわれらが日々」はある特殊な時代、日本が戦後しばらくのイデオロギー過多観念過剰あった時代にのみフィットする小説で、たしかに「されどあなた方の日々」だったとしても今日的意味はまったくないように私には思われた。

またこの読書会の主催者の河村義人さんの書評は以下のURLをクリックしていただけれbあ読むことができます。
http://yamazakijirou1.cocolog-nifty.com/shiryou/2012/06/8246239.html

なお文学入門の記事は「文学入門」のカテゴリーに纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43898465/index.html

http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat31264874/index.html


 

 





 

 

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(24.5.16) 野田総理は清水の舞台を飛び降りるか 税と社会保障の一体改革の行方

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 政治とは本質的に妥協の産物だが、野田総理が目指している「税と社会保障の一体改革」ほどそれを示しているものはない。
野田総理にしてみれば消費税増税法案が通れば後は何でも良いので、民主党がマニフェストで歌っていた、最低保障年金の導入後期高齢者医療制度の廃止は棚上げして、自民党との妥協を図った。

 もともと野田総理消費税増税に踏み切ったのはこのままでは日本の財政が成り立たなくなるからで、それなのに新たな予算措置が要る最低保障年金の導入や、後期高齢者医療制度の廃止などしようとは思っていない。
民主党のマニフェスト信奉者が文句を付けているが、政権政党としての自覚がないのではなかろうか・・・・・
野田総理は政権担当時代の自民党の総理と精神構造は同じだから、ばら撒き政策には反対だ。

注)後期高齢者医療制度については以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/2319-bd3c.html

 しかし小沢氏を中心とする民主党内野党はこの措置を苦々しく思っている。
なんということだ。これでは民主党は自民党となんら変わりがないじゃないか。消費税を増税し、社会保障制度に手を付けないのならそれは民主党ではない。こうなれば造反だ。野田政権を打倒しろ」

 野田総理がたとえ自民党と手打ちをしても、小沢派はこれを阻止して消費税増税を阻止するつもりだ。
そのためのトロイの木馬が「景気条項」で、「名目3%、実質2%の経済成長がなければ消費税の増税は行わない」と法律に是が非でも書かせようとしている。
この「景気条項」が法律に明記されると、消費税は導入できなくなる。なぜなら日本のGDPが実質で2%アップすることは金輪際ありえないからだ。

 結果的にこの「景気条項」については3党合意
民主・自民・公明)で法案の付則条項に残すことになったが、なんとも不思議な取り扱いだ。法案の一部ともいえるし、付則であって本則でないから場合によっては守らなくても良いともとれる。
もっとも玉虫色の解決方法といえるだろう。

注)民主党執行部としては党内反対派をなだめるために、「景気条項」を法案に入れることにしたが、付則条項という手段で実質的には無視しようとしている。

 すったもんだのあげくようやく3党合意ができたので、民主党執行部は党内の了承を取り付けるつもりだが、「景気条項の付則条項」では消費税増税に反対している小沢派の了承を得ることは不可能だろう。
だが党内の了承が取り付けられない場合はどうなるだろうか。

 民主党執行部としては党内分裂は避けたいが、さりとて自民党との共闘なしには消費税増税法案は国会を通過しないのだから、野田総理は清水の舞台を飛び降りることになる(もし飛び降りなければ野田内閣の命運はない)。
こうして民主党は結果的には分裂せざる得ないところまで来た。
今後は消費税増税派と増税反対派を対立軸に政界再編が進むと思われる。

 だが誰が政権を担当しようが、日本の財政が完全に危機ラインを突破していることは予算の約半分が国債の発行でまかなわれていることから明らかだ。
なぜこれほど税収がたらないかの理由は租税体系が経済の実態に即応しておらず高度成長型だからだ。

 高度成長期は企業は業績を伸ばし、個人の所得は上がりその結果法人税も所得税も毎年のように増加した。
しかし1990年のバブル崩壊ですべてが逆転し始めた。
その後日本では経済規模が年々縮小して所得税法人税も年を追いながら減少してきた。
さらに追い討ちをかけるように日本の収益の稼ぎ頭だった輸出産業がリーマンショック後崩壊して海外に出て行ってしまい法人税はますます先細りだ。

注)税収の推移は以下のグラフを見れば一目瞭然に分かる
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/011.htm

 ヨーロッパを中心に消費税による徴税が普及しているのも、ドイツを例外としてヨーロッパから輸出産業が消えているからで20%前後の消費税が主要な税収になっている。

 だから日本の実情から消費税増税は致し方ないのだが、一方で日本では支出が過大で、特に社会保障費のばら撒きについては再考の余地が大きい。
問題なのは生活保護費で現行の制度では働かないことがもっとも有利な選択方法になっていることだ。
さらに医療費が無料なのを利用して過剰診療と医薬品の密売が横行しているのはさらに問題を複雑にしている

注)生活保護費の問題は以下を参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/231214.html

 税を上げるだけでなく、社会保障制度を実態に合わせて改革し支出を削減しないと、ただ単に税率を上げるということに終ってしまいそうだ。

なお、野田内閣についての記事は以下にまとめてあります
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat45463769/index.html

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(24.6.15) 石原都知事の最後の戦い 2020年東京オリンピック招致運動 死んでも死に切れぬ

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 私は日ごろ石原都知事経済政策については低い評価をしており、特に新銀行東京の対応が余りにお粗末だったためあきれ返っていたが、最近の都知事の言動には共感することが多い。

注)新銀行東京の問題点については以下の記事を参照。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat16092088/index.html


 最近はもっぱら2020年の東京オリンピック誘致活動と、尖閣諸島を都が購入すると言う案件で、前者については都民がしらけており、後者については国民があきれている。
しかし私には石原都知事焦燥感がなんとなく分かるのだ。
このままでは日本がつぶれる。俺が何とかしなければ・・・

 東京オリンピックについてはライバルのイスタンブールマドリードの市民が燃えているのに、東京都民がさっぱり燃えないのに石原都知事は怒りを爆発させた。
オリンピックが実現したら都民は来なくていい!!
都民や国民の支持がなければ前回と同様に東京オリンピックの目はない。
おそらくイスラム最初のオリンピックとしてイスタンブールに決まるだろう。

 
 現在東京の売りは震災復興記念で全世界の人に支援を感謝し復興した日本を見てもらいたいということだが、石原都知事の本音は日本、特に東京の復活にある。
思えば東京が世界の東京から滑り落ちて、ローカルな一都市になって久しい。
東京がローカル都市だとの兆候はいくらでもある。

 銀座から世界の一流ブランドが消えてしまい、代わりに入ってきたのはユニクロだ。
アメリカやヨーロッパの金融機関や証券会社は当の昔に店をたたんで撤退してしまった。残っているのは個人営業に活路を見出そうとしているCITI BANKぐらいなものだ。
東京証券取引所はかつては世界最大規模の取扱量を誇っていたが、今では3位で上海や香港に追い上げられている。
そして不動産価格は傾向的に低下をしており、人口は停滞したままだ。
このままでは東京がつぶれる。東京がつぶれると言うことは日本がつぶれると言うことだ。俺ががんばらなければ誰ががんばるのだ・・・・

 そうした思いで東京活性化に取り組んだ成果が都知事が開催にこぎつけた東京マラソンだ。
東京マラソンは2007年から開催されたのだが、それまで日本の大都市でのマラソン大会は警察の反対が強く開催できなかった。
大都市の交通を数時間も止めたら経済界からひどい突き上げが来ます。とてもできません

 その反対を突き破ったのは石原都知事だが、可能になった最大の理由は日本経済の停滞でそもそも止めて支障が出るような物流がなくなってきたからだ。
東京は経済都市でもなくなったのか・・・・・
そうした危機感で始まった東京マラソンだが、開催してみて驚いた。
レースに参加する人数は3万5千名前後だが、それと同規模の大会役員関係者が動員され、さらに沿道には途切れることのない200万人の大観衆が集まった。
試算では経済効果は400億円だと言う。

注)東京マラソンの成果については以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-1920.html

東京マラソンでこれだけの効果があったのなら東京オリンピックがもし開催されれば数兆円だ。東京をイベント都市として再生できる」石原都知事がそう確信したのは無理も無い。
東京オリンピックが開催されればその直接の経済効果は1兆円、波及効果を含めると3兆円規模と試算されている。

 もっともこうした試算はしばしば過大になるので、特に波及効果については怪しい。出来上がった施設などは波及効果どころかお荷物になるのが普通だ。
だから東京のような都市でのオリンピックは既往の施設を最大限に利用して無駄な施設を作らないことがコツで、経済効果はもっぱら観光客が落としてくれる交通費やホテル代等の直接効果に期待するのが妥当だ。

 それにしても1兆円は大きい。石原都知事は東京マラソンで成功したノウハウで東京にオリンピックを誘致しイベント都市として再生させようとしている。
しかし都民はさめたままだ。
東京がローカルな地方都市でも良いじゃないか・・・」と言う感じだ。

 そうした都民を石原都知事は罵倒する。
都民は贅沢だ。自分のことしか考えない。ほかの日本人とは違う人種になってしまった
都市は何らかの特色がなくては世界都市にならない。ワシントンのような政治都市かニューヨークのような経済都市か、パリのような文化都市か、あるいはローマのような観光都市というような特色である。
かつての東京は経済都市であったが、今は経済の中心から滑り落ちてしまった。


 衰えつつある東京の再生には確かにイベントは効果的だ。イベント都市として東京を再生しようとする石原氏の手腕は東京マラソンで実証されている。ここは私も石原都知事を応援して東京再生のためのオリンピック誘致に賛成することにした。
そうでもしないと東京もそして日本も世界に埋没するだけだからだ。

なお2016年の東京オリンピック誘致運動に関する記事は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat16092088/index.html



 

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(24.6.14) LCC(格安航空会社)元年 ようやく乗客無視の航空行政が終った ジェットスター・ジャパン等の就航

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 長い間日本の航空行政は乗客を完全に無視し、航空会社と空港会社の収益の安定と、国土交通省と県庁の天下りのためにあった。
それがどんなにひどい行政であったかは成田と羽田の国内・国際分離策を見れば分かる。

 成田は国際線、羽田は国内線と決まっていたために地方の乗客は羽田と成田間を数時間かけて重い荷物を持って移動しなければいけなかった。
世界の主要空港は国内線と国際線が乗り入れているのに、日本だけがこの分離策をとっていた。
地方の人にとっては不便この上なかったが、親切な韓国のアシアナ航空が地方空港に乗り入れてくれてようやく乗客は韓国経由で世界に旅行ができていた。

注)アシアナ航空は日本の23の地方空港に乗り入れており韓国のインチョン国際空港が日本の実質的なハブ空港になっている。

 一方で地方空港は必要もないのに次々に建設されたが、これで潤うのは建設会社と県庁の天下り役員だけで、赤字分は県の一般会計等からの補填だから県民の負担だけが残っていた。
そして最近できた静岡空港茨城空港は航空会社が次々に逃げ出してしまうため、本当に飛行機が飛ばなくなるのではないかと危惧されたほどだ。

注)地方空港が乱立したのは空港整備特別会計があり、毎年5000億円規模の予算消化のために建設を続けたため。

 しかしここにきて航空行政がガラッとかわってきた
成田関空を基点に日本版LCC格安航空会社)が立ち上がったからだ。
関空には全日空系ピーチ・アビエーション日航系ジェットスター・ジャパンが、そして成田には全日空系エア・アジア・ジャパン日航系ジェットスター・ジャパンが就航することになった。

注1)ピーチ・アビエーション:12年3月就航、国内線は関空と新千歳・福岡・長崎・鹿児島・那覇、国際線は関空とインチョン・香港・台北の路線を持つ(就航予定を含む)

注2)ジェットスター・・ジャパン:12年7月就航、国内線は成田と関空・新千歳・福岡・那覇、および関空と新千歳・福岡(就航予定を含む)

注3)エア・アジア・ジャパン:12年8月就航、国内線は成田と新千歳・福岡・那覇、国際線は成田とインチョン・プサン(就航予定を含む)

 この日系LCCはそれまでの外国系LCCオーストラリアやシンガポールのLCC)が国際線でのみ許されていたのを、国内線で就航することになったのが決定的に違う。
それまで日本の国内線はJALやANA等のドル箱だったため、海外のLCCの乗り入れを拒んできた。

 それが今回日系LCCの国内線運行を認めることにしたのは、国内の航空機需要が2006年を境に頭打ちとなり、加速度的といえるほどに乗客数が減ってきたからである(約9500万人いた乗客が2010年には13%程度減少している。詳細の数字を確認したい人は以下参照http://www.mlit.go.jp/common/000210532.pdf)。

 理由は2つあって、一つは少子高齢化で日本人の人口が減りだし特に老人が増えて飛行機に乗らなくなったからだ。
おらあ、あんな面倒なものに乗ってまで温泉なんかに行きたくねえ」と言うことである。
もう一つの理由はビジネス客の激減で、会社の経費削減とテレビ電話会議システムの普及で国内であればわざわざ東京に集まらなくても会議が開催できるようになった。

 ドル箱路線の国内がこうして空洞化してくると収益源がなくなり、JALは倒産しANAも赤字(10年3期は赤字に陥った)で苦しむようになる。
航空会社は儲かる路線を残して赤字路線から撤退するので地方空港に乗り入れる航空会社はなくなって、地方の飛行場は単なるのっぱらになってしまう直前まで来てしまった。

 ここまでくればさすがに国土交通省も航空会社も空港会社も考えざる得ない。
もしかしたら、飛行場は乗客のためにあるのであって、自分たちの利権のためにあるのではないのかもしれない。お客を呼び込む手段を考えないとみんな共倒れになりそうだ・・・・

 こうしてようやく日本国内にも新規顧客の獲得をめざしてLCCが就航することになった。LCCはJALやANAの運賃の半分程度の値段で、しかも機種はA320やA330という新型の経済性抜群の機種だ。
食事や飲み物はJRと同じで機内販売になるが、国内ならどうせ1時間から2時間程度でどこにでも着くから特別問題にならない。

 しかしLCCは空港会社の施設使用料を値切っているからボーディング・ブリッジは使用させてもらえず、飛行機まではバスで乗り付けてタラップを上らなければならない。また空港ロビーはひどく離れた場所にあるのでそこまで歩いていかなければならないし、荷物もトラックでどさっと降ろされるので、ベルトコンベアーで運ばれてくるのを待つわけにはいかない。
ANAやLALと同じサービスを期待されては困ります」空港会社の言葉だ。

注)ただしこれではLCCの締め出しと同じなので、こんなことをしているとLCCすら乗客からそっぽを向かれるので成田と関空はLCC専用の簡易なターミナルを建設中。

 飛行機が何かステイタスシンボルであった時代は終り、乗客は高い運賃を支払わなくなった。
そして日本が国内市場を閉じていた間に世界はLCCの時代(現在のシェアは約30%程度だが早晩50%程度になるになってしまった。
国内消費の主体がデパートからスーパーに、そしてコンビニや郊外のアウトレットモールに移っていったような激震が航空業界に起こっている。

 乗客に対するサービス向上だけがこの航空危機を乗り越える唯一の手段だ。
かつては航空行政は利権行政だったが、こうしてようやく日本の空が利用者本位の行政に移ろうとしている。

なお航空行政に関する記事は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat48077031/index.html

また主として地方空港の現実については以下の記事を参考にしてください。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat39217886/index.html

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(24.6.13) 黄昏の橋 終わりの始まり  あと4年の人生と想定しよう

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 私は長い間自分はいつも健康で死とはまったく無縁の人間だと思っていた。
確かに右足の坐骨神経痛は常時痛み、耳などは通常の人の4分の1程度の聴力しかないが、それでも自分は健康でいつでもマラソンや登山や旅行をすることができるし、ブログをいつまでも書き続けることができると思っていた。

 しかし5月の中旬から急に体調が悪化し、何か今までとは異なる変調が身体に発生していることを自覚してからそうした自信は勝手な思い込みであったことが分かった。
最初に左目5分間程度だったが、まったく視力が失われたのにはびっくりした。すぐに眼科医に行って検査をしてもらったが、細い眼動脈が一時的に詰まって目が見えなくなったとの診断で、「こうした兆候は脳梗塞や心筋梗塞の前兆である場合が多いので内科的診断を仰ぐように」言われてしまった。

 かつて私の父親が69歳脳梗塞を発病し、約8年間の闘病生活をした後他界したことを思い出す。
一般に日本人男性の平均寿命は78歳程度で、最後の8年間は闘病生活をするのが普通だから、私もその年代に近づいている。

 さらに急性腎盂炎を起こしたことには自分ながら当惑した。腎臓などは絶対に問題を起こさない臓器だと考えていたためだが、腎臓が機能不全になると人工透析をしなければならないことが頭をよぎった。
私の元の会社の上司に人工透析を週に三日程度行っていた人がいた。
見ているとだんだんと体の機能が失われ最後の頃は歩くことさえおぼつかなくなっていたが、それでも会社には出勤していた。
人工透析だけは受けたくないな」その人を見てそうしみじみ思ったものだ。

 だがしかし私もとうとうそうした病気年齢に入ってきたようだ。
つい最近まで24時間走などといって一日中走っていたのが嘘のようだが、ここいらで人生との折り合いを付けなければならないのだろう。

 私は一体いつまでマラソンをしたり登山をしたりブログを書き続けることができるだろうか。
日本人の平均寿命からすると平均して70歳までは認知症にもならず身体も動かすことができるようだから、当面70歳をターゲット年齢に設定することにした。
今は66歳になろうとしているので、後4年間だから大学を卒業するまでの時間に等しい。

注)平均寿命は幼児の死亡も加味されているので66歳まで生きた人の余命は平均寿命より長い。しかしやはり第一次のターゲット年齢設定としては70歳が適切と思う。それ以上健康で生きられれば僥倖というものだ。

 ターゲット年齢が必要なのはそれまでに遣り残していたことを何とか完成させて向後の憂いを残さないためである。
とても言い方が難しいのだが、私がこの世に生きていたと言う証を何とか残しておきたいのだ
個人的な趣味ではマラソンも登山も旅行も通常の人がするレベルをはるかに越えてしてきたので、これ以上経験をつんでも大して意味がない。

  一方私はこうしてブログを書いているが、何とか社会に対して一定の影響力のあるブロガーになりたいとの強い希望がある。そして私が死んだ後も何がしかの影響が残ればそれに越したことはない。
私はある金融機関に37年間にわたって勤務したが、正直言えば会社員としては失格の部類で社会的功績があったとは言いがたい。
私は性格として人に何か命じることも、また人から命じられることも嫌うから、組織人としては最も不適な性格だ。
それでも37年間にわたって職場にいられたのは奇跡に近いが、おかげで退職しても何とか生活していられるのだから我慢のし甲斐はあったと言うものだろう。

 一方で会社人生に比較して引退後の6年間は実に楽しかった。
その間自分の責任でブログを書き、私の住んでいる四季の道と言う遊歩道を世界で一番美しい遊歩道にしようと努力してきた。
ブログは当初自分のために書いていたのだが、私のブログを読んでくださる読者も増えて、このブログが何がしかの役に立っていることは嬉しいことだ。
時に寄せられるコメントに思わず飛び上がってしまうこともある。

 私は今ココログと言うブログサイトを利用して記事を書いているが、このココログを使用しているブロガーは約10万人程度のようだ。
私の記事の毎日のアクセス件数は1600アクセス程度で、ブロガーのランクは10万人中400番前後だと思う。
これをぜひブロガーとして100番以内に入りたいと思っているが、その程度の読者を得られれば自分としては満足することにしている。

注)私が順位にこだわるのはもともとスポーツ選手で記録と順位が努力目標だったせいもある。

 ターゲット年齢まであと4年しか時間がない。この間で読者の期待にこたえられる記事を書き、そして四季の道を世界で一番美しい遊歩道にできるだろうか。
そうなるように残された人生をその目標に絞って生きていくことにしたい。

注)なお私の病気の経緯については以下の記事を参照してください。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-8165.html

 

 


 








 

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(24.6.12) NHK 激動 トヨタピラミッドの崩壊 2次下請の運命

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 やはりNHKのドキュメンタリー制作能力は世界でトップだと感心してしまった。
今回はトヨタ自動車2次サプライヤー野口製作所の苦悩と対応を放映していたが、ほぼ予想通りだったとはいえその現実の厳しさには驚嘆した。

 もともとトヨタは国内にトヨタピラミッドと呼ばれる下請工場群を配していて、トヨタを頂点に1次下請、2次下請、そして3次下請の4層構造になっている。
そのうち1次下請はトヨタと直接取引をしているデンソーアイシン精機等の約400社から構成されており、この下に2次下請会社の約3000社があり、さらにその下に3次下請の約20000社が存在している。
全体で約32万人の日本最大のピラミッドと言える。

 今回番組で取り上げられていた野口製作所はエンジンの部品を製作しているアイシン精機の下請けで2次サプライヤーにあたり、従業員数165人、年商約36億の会社である。
リーマン・ショック前までは毎年10%程度の成長をしていたが、リーマンショック、トヨタ・バッシング、そして東日本大震災の影響で1次サプライヤーからの注文は約半分になってしまい2011年は1億5千万円の赤字に陥っていた。
今後このような注文状態が続くと黒字経営は難しく、倒産の危機が迫っていた。

 そもそもトヨタからの注文の激減はトヨタ本体の経営危機に原因がある。かつては高品質と適切な価格で世界中のユーザの支持を受けていたが、高品質はアメリカのトヨタ・バッシングで傷がつき、リーズナブルな価格は円高でドイツのVWや韓国の現代やいまでは海外生産のシェアが高いニッサンの後塵を配している。
トヨタ自身の競争力分析においてもデザインや走りやすさはVWのほうが上で、現代にすら追い詰められているとの評価だ。

注)VWは中国のトップ企業で、現代はインドへの食い込みが功を奏している。トヨタはいづれの市場でも負けている。

 そのためトヨタ自身も生き残りをかけて新興国での生産拡大に乗り出し、タイ、インド、インドネシア、ブラジル等での生産を2012年310万台を目指すことにした。
一方でトヨタの社是である国内生産300万台死守も掲げて、国内では必死の技術革新リモートレーザー溶接ロボットの導入で溶接の生産性を10倍にあげる)に取り組んでいる。

 しかし私の判断では国内300万台死守は早晩取り下げなければならない目標になりそうだ。
最大の問題点は円高でトヨタは1円の円高で約300億円の営業利益が飛ぶと言われているが、日本では今後とも円高基調であり国内でどのような技術革新をしても一瞬のうちに利益が飛んでしまうからだ。

 トヨタはなおも国内に最新技術を持った工場を要しているが、この目的は日本での生産を維持するためと言うよりは、世界に張り巡らした生産網でVWや現代やニッサンに負けないための技術力を維持するための実験工場としての役割のようだ。

 だからトヨタ社長の300万台国内生産死守はリップサービスとしての役割しかなく、実際1次下請のデンソーアイシン精機はすでに現地進出が完了している。
そして今問題になっているのは野口製作所のような2次下請の現地化の問題で、国内にいてはジリ貧から倒産する以上どうしても国外に進出せざる得ないところに追い込まれている。

 野口製作所はインドネシアに進出を予定して、国内従業員の再教育を始めていた。インドネシア語を覚えて現地化が可能な若手を管理職にして、国内でしか働けないロートルを管理職から降格していた。
いやなら今すぐやめてもいいんだよ」と言う意味だ。

注)野口製作所では当面40名(約24%)のリストラを行おうとしている。

 しかし海外進出にも厳しさがある。
私は2次サプライヤーがインドネシアに出て行けば国内で受注していた関係がそのまま維持できると思っていたが、これはまったくの誤解だった。
2次サプライヤーがリーマン・ショック後約4年間の間国内に留まっていた間に、デンソー等の1次下請は現地の会社との取引を強化して、インドネシアの会社との間でピラミッドの再構築を果たしていた。
野口製作所さん、今出てきてもすぐには注文はありませんよ。現地の会社との競争です」といういたって割り切った対応しかしてくれない。

 野口製作所は(円高の恩恵でM&Aをしかけ、100人規模の工場の買収に乗り出したが、ここの従業員組合から、全員に退職金を払ってその上で全員を再雇用すること、および祝い金と賃上げを要求されていた。
たぶんにブラフの側面はあるが、それにしてもM&Aもなかなか大変だ。

 それでも野口製作所はこの会社を買収したが、その最大の理由は日本には希望がないがインドネシアではうまく経営すれば成功の見込みがあるからだ。
こうして2次下請の海外進出ラッシュが今始まっていたが、海外に行けるのはこのクラスまでで、国内に2万社ある3次下請けは将来的には廃業するか他に転業する以外に選択の余地はなさそうだった。

 こうして日本最大のトヨタピラミッドは今音を立てて国内では崩れ去ろうとしている。かつて日本を支えてきた物づくりの伝統は、モデル工場としてのハイテク工場でのみの存続になってしまいそうだ。
そして多くの工場で働いていた労働者は海外に出て活路を見出せる人以外、結果的には低所得層として日本国内に留まることになるのだろう。

注)先進国の中産階級が崩壊しているが今日本でもその現象が発生しつつある。

、トヨタ自動車についての記事は以下に纏めてあります。

http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43946940/index.html

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(24.6.11) BS歴史館 邪馬台国の謎 女王卑弥呼はどこにいたのか?

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 先日のBS歴史館は300年の国民的ミステリーと言われている女王卑弥呼のいた「邪馬台国の謎」だった。
実際この邪馬台国ほどロマンを掻き立てるミステリーはない。あのシュリーマントロイのように邪馬台国の場所を発見できれば歴史的偉業になるから、考古学者や歴史学者が熱狂するのは無理もない。

注)ただし考古学者は表面的にはこの邪馬台国の場所の確定については平静を装っている。そんなことは新聞記者が騒いでいるのだと言う態度だ。

 この問題を最初に取り上げたのは江戸時代の碩学新井白石で、魏志倭人伝に記載された地名と日本に存在している地名からその場所を確定しようとした。
いき(壱岐)、まつろ(松浦)、なか(那珂)、うみ(宇美)などはすぐに特定でき、そして邪馬台国は大和だと白石は当初考えたが、その後の研究で九州にも山門と言う地名があったため、両論併記のまま残した。
九州か奈良に邪馬台国があったがどちらとも決定できない

 この両論併記に対し明治時代に入って東大の白鳥庫吉と京大の内藤湖南が大論争を始めた。
白鳥庫吉は魏志倭人伝の日数の記載が間違っており、邪馬台国までの距離水行10日、陸行1月は、水行10日、陸行1日の間違いで、水行とは川をさかのぼることで邪馬台国は九州にあると断じた。

 これに対し内藤湖南が噛み付いた。間違いは日数ではなく方位であり、南に水行10日、陸行1月ではなく、に水行10日、陸行1月でしたがって邪馬台国は大和盆地にあると主張した。

 今回のゲストは考古学者の松木武彦氏、中国三国志の研究家渡邊善浩氏、それに武士の家計簿の著者で何でも興味を持つ磯田道史氏だった。

 松木氏によるとこの3世紀半ばの邪馬台国の時代は弥生時代から古墳時代にかけての移行期にあたり、ムラからクニができる中間期だという。
考古学的立場から邪馬台国を確定するには魏から送られた金印が出土するか、装封(そうふうといわれる粘土でできた封印のかけら(現在的なイメージで言うと手紙が入っている封筒)が見つかれば有力だが、その可能性は低いという。

 一方で九州には吉野ヶ里という高楼や城柵や環濠を持った集落跡が発見され、魏志倭人伝の記述そっくりであることが確認されたが、大和でも纒向(まきむく)遺跡で高楼群が一直線に並んだ(都市計画された)建設跡が発見され、どちらも卑弥呼の屋敷跡に擬せられているという。

 今回の出演者の中で三国志の研究家渡邊氏の話が最も興味深かった。氏によるとなぜ魏志倭人伝2000文字にわたってこのように詳細に記載されたかの理由は、魏にとって邪馬台国が戦略上重要だったからだと言う。
の宿敵はであったが、この呉を挟み撃ちする同盟国として邪馬台国が期待された。
したがって邪馬台国の情勢を詳細に知ることは魏にとって外交上の重要事項だったという。

 ただし当時の地理的状況は魏にとっても不明であったが、呉の背後(現在の台湾アタリ)に邪馬台国があっと思っていたらしい。
一方で朝鮮半島から対馬を経て北九州にいたる道は分かっていた。
そのため邪馬台国に至る道は魏の使者の推定と(魏の使者は北九州まで来たが邪馬台国までは行っていない)、実際に魏志倭人伝を記載した陳寿の地理的センス(邪馬台国は台湾アタリにある)で書かれた可能性が高いと言う。

 そうなると理論的結論は邪馬台国は東に日本列島が延びるのではなく南に向かって伸びていなければならない。
そうでなくては魏と共同で呉の背後を突くというよう地政学的なセンスは生まれない。

 こうして魏志倭人伝では南に水行10日、陸行1月と言うようになっていると言う(ただし水行10日はともかく陸行1月はおかしい。大阪の入り江についてから1日で大和盆地に入れるはずだ。これは1日の間違いだと思う)。

注)なお渡邊氏は番組では邪馬台国は単に台湾あたりにあったと魏は考えたといっていただけで、上述のように北九州を基点に南に伸びるとまでは言っていない。しかし北九州の位置は明確だったので、邪馬台国が台湾アタリにあるとすれば日本列島は南に伸びることになる。

 また磯田道史氏の話も面白かった。当時の邪馬台国は北九州から大和までを包含した広域国家で、北九州はその後大宰府がそうであったように文明の取り入れ口だったと言う(大宰府的な場所が当時からあったことになる)。
そして北九州がより豊かだったのは鉄器等の生産用具が豊富にあったためで、経済は北九州がはるかに進んでいて江戸時代の江戸と大阪と言うような関係だったという。

 私の認識でも古代と言う時代は水上交通の時代陸上交通は律令時代の五畿七道が整備された時代まで待たなければならなかったはずだ。
3世紀は瀬戸内海こそが最大の交通路でここに北九州から岡山そして大和にかけての小さな小国家が発展し、非常にゆるい共同体があったのだと思っている。

 魏の使いは北九州まで来てそこに留まり、卑弥呼のいる邪馬台国の風俗や政治体制や道順を聞いたが、当時の日本人は地理的感覚がないから方向などはかなり危うい説明だったはずだ。
あっちの方向に舟で10日も行けばつくべえ」なんて感じだったのではなかろうか。
それを中国のインテリの陳寿が彼の世界観と地理的センスで南に10日、海をわたることにしたのだろう。
そうした意味で魏志倭人伝を読む限り、卑弥呼の邪馬台国はやはり大和の纒向にあったのだと私は思っている。

なお、日本史に関する記事はいかにまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat47308511/index.html





 

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(24.6.10) 素人が日本株を扱っても鴨になるだけだ。 野村證券のインサイダー取引

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 これではいくら素人が日本株に投資しても玄人のになるだけだなと思ってしまった。いわゆるインサイダー取引が横行しているからだ。
野村證券が判明しただけでも3件情報漏えいをおこなっており、公募増資前にその情報を金融機関に流し不当な利益を得させた見返りに野村證券との取引強化を図っていた。

 野村證券に利用された会社は東京電力、みずほFG、国際石油開発帝石で、事前に増資情報が流されて空売りの餌食になり増資後株価が低迷して一般投資家が泣かされた。
一方情報を得て利益を上げたのは中央三井アセット信託以下三井アセット)とファーストニューヨーク証券以下ニューヨーク証券)で前者は約3500万円、後者は約1500万円の不当利益を得た。
しかしこれは判明した分だけで実際はこれを上回る情報漏えいと不当利得が発生していたと思われる。

 なぜそれが分かるかと言うとこの3件についての三井アセットニューヨーク証券以外の空売りが一斉に発生していたからで、空売りに関与した他の金融機関や個人もすべて増資情報を知っていたことになる。

注)増資が行われると株式が増え一株当たりの利益が減少するため成長力のない会社の株式は値下がりする。それを見越して事前に空売りを仕掛けると情報を持たない一般投資家が購入して損失をこうむる

あまりにおかしい。これは増資情報が主幹事証券会社から情報が漏れていたはずだ。調べてほしい」一般投資家が証券取引等監視委員会に訴えた。

 野村證券に調査が入ったが当初は「知らぬ存ぜぬ」の一点張りだったが、とうとう東京電力の公募増資で足がついた。
なにしろ東電の幹事行は野村證券だけで、野村以外から情報の出ようがなかったからだ。

 実は証券会社がこうした内部情報を営業で利用するのは日常的に行われている。証券会社内部では公募引受部門営業部門は建前上は分離されていて情報が遮断されていることになっている。
しかし情報遮断が実際に行われていると信じている人など誰もいない
同じ野村證券の社員同士だし、食堂は一緒だし会社が終れば飲みにも行く。それに人事異動で公募引受部門と営業部門の人事異動は日常的だ。
これで情報が遮断していると考えるほうがどうかしている。

 それに何しろ罰金が小額だ。利益を得た金額相当だから、三井アセットなどは顧客の資金の運用で三井アセット自体が得た収益は14万円相当だから、罰金も14万円に過ぎない。これなら私でも罰金が払える。

注)なおニューヨーク証券は自己資金での運用だったから1500万円の罰金になっていた。

 営業部門の職員は営業成績を上げるためには悪魔とも手を握るのが普通だ。顧客の三井アセットやニューヨーク証券に増資の引受やその他便宜をはかってもらわなくてはいけないのだから、「あんたと私の仲だ、何でも教えちゃおう」なんて営業トークをするのは当然だ。
さらに三井アセットの担当者に野村證券の営業担当者が121万円の過剰接待をしていたと暴露されたが、こうした接待も公然の秘密だ。

 日本株は1990年前後のバブル崩壊以降低下の一途をたどっていて、4万円だった日経平均が今では8500円前後だから、持てば持つほど損失をこうむる構造になっている。
こうした株価低下局面で唯一利益を得る方法は空売りだけで、しかもそのための増資情報は一部のものに独占されているのだから、一般の投資家が利益を得ることなど金輪際できるはずがない。

注)一般投資家が収益を上げることができるのは株価が右肩上がりに上がっていて、誰でも投資をすれば利益が上がるときだけだ。
日本株は今後も低下局面にあるので玄人筋以外が利益を上げることは不可能だろう。


 それにしても罰則金額の少なさと、情報の出し手の野村證券そのものが罪に問われないのでインサイダー取引は日本の商慣習になってしまった。
罰則規制を強化して断固取り締まらないと東京市場は世界の投資家から見捨てられそうな雰囲気だ。

注)金商法では情報を受けて利益を得たものだけが罪に問われる。だから野村證券はいくらインサイダー取引をしても無罪だが、一方で組織ぐるみでインサイダー取引を行っていると行政処分の対象になる。
日本では行政処分の方が影響が大きいから、野村證券としてはいつまでもインサイダー取引を営業として続けるわけにはいかなくなった。


なお中央三井のインサイダー取引の詳細は以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-0745.html

 

 

 

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(24.6.9) 薄 熙来失脚の激震はどこまで拡大するか ネットメディアの世論操作

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 中国では汚職が常態化しており権力者と汚職は同義語だが、さすがに重慶市市長薄 熙来(はくきらい)氏失脚後のその後の情勢はなんとも生々しすぎる。
薄 熙来氏の妻の谷開平氏がイギリス人の実業家(実際はマネーロンダリングのコンサルタント)のニール・ヘイウッド氏を殺害した容疑で逮捕されたり、薄 熙来氏夫妻が海外に数十億ドル数千億円)の隠し資産を持っていると報道されたりしていたが、今度は薄 熙来氏暴力団追放運動が、実際はつみもない人を貶める謀略だったと暴かれ始めた。

注)薄 熙来氏の重慶市での暴力団追放運動とその後の逮捕劇についての詳細は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-00cc.html

 李荘氏は弁護士だったが、暴力団追放運動の一環として地元企業家が暴力団との関係を指摘されて逮捕された案件で誤認逮捕だとの論陣を張ったが、おかげで1年半の懲役刑を受けた。
ところがこの弁護士を懲役刑にするために重慶当局が李荘氏を偽証罪で逮捕し、さらに重慶市当局と官営ネットがひそかに秘密会合を開き有罪を偽装していたことがばれた。

 この秘密会議の議事録が外部に漏れたのだが、重慶当局が新華社や人民日報と言った官製サイトの責任者を呼びつけて、李荘氏のネガティブキャンペーンを展開させ、それに協力する政府側識者の名簿を渡してコメントを取るように指示していた

 「なんとしても李荘を有罪にするためにネットを総動員しろ。李荘の悪口を集めて、反対に擁護するコメントはすべて抹消しろ。必要があれば資金も提供しよう

09年の12月の段階の話だが、なぜこのようなキャンペーンが必要かというと、李荘氏自身も権力者の庇護の下にいた人物で海外メディアとも親しかったからと言うのが理由だ。
一筋縄では逮捕できないので世論を誘導して逮捕してしまえと言うことだ。

 通常共産党組織は内部でどんなに熾烈な権力闘争があっても外部には何事もなかったように偽装するものだが、薄 熙来氏関連の情報は外部に漏れっぱなしだ。
どう見てもこれはおかしい。権力闘争が直に大衆の目にさらされている。

 薄 熙来氏失脚事件には薄 熙来氏が指導した毛沢東路線(全員が貧しくとも平等でいようと現政権の鄧小平路線(知恵と能力のある人は先に豊かになろうの対立と、太子党共青団派との対立の二重構造が見て取れる。
何かとても複雑な権力闘争だ。

注)太子党と共青団の闘争は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/22112-ca1f.html

 薄 熙来氏毛沢東路線太子党であり胡錦濤主席温家宝首相鄧小平路線共青団派で、次期主席になると言われている習近平氏鄧小平路線太子党だ。
現在の状況は胡錦濤主席習近平氏がタッグを組んで毛沢東路線薄 熙来氏一派を根こそぎ追い落とそうとしている。
「また昔の文化大革命になって走資派として殺されるのはとんでもない。毛沢東路線は早めにつぶそう

注)薄 熙来氏と親密な仲をうわさされた雲南省の副省長2名が辞任に追い込まれている。


 だが、本当の意味での対立軸は共青団派と太子党の対だ。

もともとこの秋には胡錦濤氏率いる共青団派が退き習近平氏の太子党の天下になるはずだったのに、何か共青団派の巻き返しが発生しているようだ。

 中国の内部ではひどい権力闘争に明け暮れているためとても外部への対応ができそうもない。
石原都知事の尖閣諸島購入発言になぜ中国がかつてのような反日キャンペーンを組織できないかとても不思議だったが、それどころではないと言うことのようだ。

そして今回の騒動で中国におけるネットメディアの締め付け方法がよく分かった。

 私は中国当局のネット締め付け方法はアンチ中国的なサイトを片っ端から閉鎖するのだと思っていたが、必ずしもそれだけではないらしい。
サイトといっても新華社系人民日報系官製サイトもあり、こうした官製サイトを通じて世論操作をするのは当然だが、一般的に政府とは関連していないと思われる人気サイトについては金をつかまして誘導していることが暴露された。
中国のネットの実態がかいま見られたが、なんとも露骨な話だ。

注)ネットの締め付け方法については日経産業新聞が報じている。具体的な内容は以下参照。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD06052_W2A600C1000000/

 
 



 

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(24.6.8) ニッサン カルロス・ゴーン社長の最後の警告

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 日本車の中で最も好調なニッサンカルロス・ゴーン社長が、自らの「経営者ブログ」の中で日本に対する最後通牒を発した。
以下の3つの条件が整わない限り日本での生産は減少させると言うのだ。

注) 2011年、トヨタやホンダが東日本大震災やタイの洪水で販売数量を減少した中でニッサンは約16%増の485万台の販売実績をあげ最も好調だった。

 三つの条件とは以下の通りだが、まずもって解消が困難なことばかりだ。

① 円高の是正に向けた政策の実行
(理由)
・現在日系メーカー全体で1円の円高に対し約900億円の損失が出る。
・リーマンショック後円は米ドルに対し
約22%、ユーロに対し約30%、ウォンに対し約50%の円高になっている。
・このためライバルのアメリカメーカーは日本車に対し22%安く、ドイツメーカーは30%安く、韓国メーカーは50%安く車を販売し
日本生産の日本車は対抗できない。


(実態)
 日銀は昨年の10月から11月にかけて75円の円高になったときに総額で10兆円規模の為替介入を実施した(8月にも4.5兆円の為替介入をしている)。これで一時的に80円台の相場になったが、その後再びじりじりと円高が進んでいる。
円高の最大の原因は、ドル安の場合はFRBの超金融緩和策の結果であり、ユーロ安の場合はヨーロッパ経済の危機のためである。

 日本が為替介入を強化してもアメリカとユーロがそれ以上の金融緩和を実施すれば効果がない。アメリカは大統領選挙を控えており、ユーロは存続に危機に瀕している。こうした状況下で日本が為替戦争を仕掛けるのは(世界経済秩序を崩壊させるので)無理がある。
せいぜい75円以上の円高にならない程度に為替介入するのが実態だろう。

② 持続可能なエネルギー政策の確立
(理由)
・企業に対し常時節電を要請しているような電力供給の生産場所は企業立地としては不適。
・東電は企業に対し17%電気料金値上げを通知してきたが、これはニッサン車一台当たりの電気料金を2000円~3500円アップさせており、日本で生産する競争力を阻害している。
・電力の安定供給には原発の再稼動が必要だがめどが立っていない。


(実態)
 現在唯一再稼動を目指している関西電力の大飯原発3・4号機でさえ、京都府と滋賀県の知事が「夏場だけの限定利用」にするように国に申し出をしており、どのような決着になるか予断を許さない。
原発の再開は原発のある市町村が雇用確保のために賛成しているだけで、その周辺自治体は大反対を繰り返しており、政府も明確なエネルギー政策を打ち出せないでいる。
したがって今後とも日本のエネルギー事情は不安定な状況が続きそう。

③ 人口減少と高齢化対策
(理由)
・人口が減少して高齢者ばかりが増える場所は生産場所としては最悪。
・若者の人材確保のための移民政策を大々的に取り入れるべき。

(実態)
 この問題が日本の場合は最も難しい。日本人は本心では外国人を嫌っており鎖国体制が一番望ましいと考えている。
看護師や介護士をインドネシアやフィリピンから受け入れても、思いっきり難しい試験を課して日本に居続けないように厚生労働省が誘導している。

 難民の受け入れも消極的で、日本に若者がやってくることは期待できない。

 

 以上のようにカルロス・ゴーン社長の3つの条件はいづれも達成が困難なことばかりであり、ゴーン社長も日本社会が3つの条件をクリアするとは当初から思っていない。

 だから今回発表した3条件はゴーン社長から日本への最後通牒であり「どうせ現状維持だろうからニッサンは日本を生産現場として選択しない」ということを裏から述べたことに過ぎない。
日本での300万台生産を社是としているトヨタが円高で呻吟している間に、ニッサンは中国、ロシア、ブラジル、メキシコ等での生産を強化し、グローバル企業としてトヨタを追い越すだろう。

注)現在最も元気な自動車メーカーはフォルクス・ワーゲン、現代、そしてニッサンである。前2者は為替安の追い風による販売好調であり、ニッサンはグローバル生産体制を完全に引いたことによる販売の好調と言える。


なおトヨタ自動車の苦悩については以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-090f.html
 

またゴーン社長の「経営者ブログ」を直接読みたい方は以下参照
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0500F_V00C12A6000000/


 

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(24.6.7) 中間層の崩壊とオバマ大統領の苦戦 11月の大統領選挙に勝てるか

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 オバマ大統領が再選に向けて大苦戦を強いられている。最新の世論調査ではオバマ氏支持が47%、ロムニー氏支持が45%だが、心配の種は時間が経つにつれてオバマ支持層が少なくなってくることだ。
かつてあったオバマ支持率は70%から40%に激減している。

 アメリカ国民がオバマ大統領を見捨てだしたのはいくらたっても経済が上向かず失業率は8%台を維持し、年収2万ドル160万円程)以下の低所得層が増大し、今では6人に1人がこの低所得層だからだ。
アメリカは世界で一番裕福な国ではないのか。それなのに俺はテント暮らしで食料は慈善団体の寄付に頼よっている。俺は大学院卒だぞ」怨嗟の声が満ち満ちている。

注)日本では年収200万円以下を貧困層としているが日本でもこうした階層が増えている。

 だがいわゆる中間層が減少しているのは先進国共通の現象で、アメリカだけでなくヨーロッパでも発生しており、そして日本ではこれから大々的に発生する。
一般に中間層とは定職を持っていて、家と自動車があり子供に十分な教育を授けることができる階層で、その国の屋台骨を支えている人々のことを言う。

 こうした中間層はアメリカではGMのような大工場の労働者公務員教員階層を言うのだが、アメリカでもヨーロッパでもこの工場労働者がいなくなってしまった。
工場が先進国から消えているためで、そうした工場は中国やインドやブラジルや東南アジアに続々と建設されていて、こうした新興国の経済の牽引役になっている。

 アメリカではGMやクライスラーが倒産したときに、オバマ大統領は自身の最大の支持母体が喪失することを恐れて謀略ともいえる手段でトヨタを陥れた。無理やり濡れ衣を着せ、アメリカでトヨタ車が減少した分だけGMの車が売れる状況を作りGMを再建した。
トヨタこそいい迷惑でおかげで世界最大の販売量を誇っていた超優良企業が世界第3位の並みの企業にまで転落させられてしまった。
しかしオバマ大統領としてはGMがつぶれて労働者がいなくなれば、そもそも再選などおぼつかないので、こうしたダーティーな手段も戦略の内なのだ。

注)トヨタ車追い落としのダーティーな手段は以下参照。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat38892627/index.html


 アメリカでは中間層の喪失を富裕層の拡大で補ってきた経緯がある。
医者や会計士や弁護士や為替や金融のディーラーやfacebookのようなIT産業の成功者やスポーツマンが富裕層を形成していて、こうした人々の所得はますます拡大している。
富裕層は人口の約5%程度だが、富の約60%を占有してしまった
アメリカ人は努力すればこうしたリッチになれる」と言うのが共和党の主張だが、実際に起こっている現象は中間層が崩壊して貧困層になだれをうって落ちていることだ。

 日本においてももう少し経つとこの現象が明確になるだろう。長い間日本では輸出産業が中間層の雇用を守ってきた。
シャープパナソニックソニートヨタニッサン日立という企業群だが、今こうした輸出産業が日本から消えようとしている。
アメリカでは消えた中間層のGDPを超リッチな一部の人の所得で支えているが、日本では医者を除けば最初から超リッチなどいないので、GDPそのものが減少するだろう。

 オバマ大統領にすれば大ピンチだ。今はFRBのバーナンキ議長の尻をたたいて超緩和策をとり続けているが、これで景気が上向くとしても裕福になるのは超リッチ階級だけだ。
しかも間の悪いことにヨーロッパには激震が走り、中国もインドもブラジルも経済が失速し始めた。
このため何とか好調を保っていたアメリカ経済にも黄色信号がともってきた。

注)金融の超緩和策で資金を利用するのはヘッジファンドぐらいしかないので、所得が増えるのはそうしたディーラー階層だけ。

 オバマ大統領の再選は可能だろうか。現状ではとても可能だという状況でなく、このまま推移すれば落選は確実だろう。
オバマ大統領の次の一手はなんだろうか。罪もないトヨタを血祭りにあげてGMの救済をしたが、二匹目のドジョウを狙うのだろうか。

 本命は為替管理をしている中国だが、為替の自由化ができれば中国元はかつて日本が360円から80円まで円高になったように元高にすることで中国の輸出産業を崩壊させることができる。
それともアップルと特許紛争を繰り返しているサムスンを米国市場から締め出して米国のIT産業を守りきることだろうか。

 オバマ大統領の再選戦略がとても気になる段階になってきた。

注)今回は日本は狙われないと思う。そもそもサムスンのようなターゲットにする会社がないし、狙っても何も出てこない。

なお、アップルとサムスンの特許紛争の経緯は以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/23101-f108.html

 

 

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(24.6.7) NHKスペシャル  コンピュータ革命  最強・最速の頭脳誕生  二番じゃだめだ

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 蓮舫(れんほう氏が「二番ではいけないのですか」と言ったコンピュータの世界で、日本が計算能力で再び世界一になった。
理化学研究所富士通が共同で開発した「京(けい)」の誕生である。
この分野では日本はアメリカと中国に追い抜かされていたが、8年ぶりに世界一に輝いた。

 私はなんとなく嬉しくなったが、問題はスーパーコンピュータ「」を何のために開発したかだと思う。ただ早いだけでは蓮舫氏は納得しないだろう。
番組ではこれにより画期的な抗がん剤の開発が可能だと説明していた。
説明ではたんぱく質には一種の鍵穴があり、これにぴったりとはまり込む化合物を見つけ出すことができれば、それが抗がん剤になるという。
ところがたんぱく質は数万種類、化合物は数百万種類あって、従来のコンピュータでは調べるのに3年要したが、「」ならば1日で計算しつくしてしまうという。
なるほどね、早く計算できるということは重要なことなんだ」納得した。

  また予測型防災システムの開発も可能になるという。日本のように常に地震が発生する国では開発が待たれるシステムだ。
たとえば100万人分の個人情報と道路・鉄道・避難場所等の地図情報、それに建物の構造情報等があれば、地震発生時にその人にとって最適な避難路を誘導できるという。
最もそうしたデータをコンピュータに入力できたらという前提つきだから、何らかの自動的に集まるセンサー情報等がないとうまく稼動はしないのではないかと思われる。

 さらに富士通の研究所では東大と共同で病人のバーチャル心臓を画面上に作り出して、画面上で手術をしたり薬の効果を試す実験を行っていた。本番の手術の前にバーチャルに試行錯誤ができるという。
心臓の1拍に約5億の情報が必要とのことだから「」でなければとても計算できないデータ量だ。

 早く計算できるということは先日NHKのクローズアップ現代で取り上げていたビッグデータの処理ができるということだが、問題はいかにして多量のデータを集めるかにかかっている。
手で入力しているようではまったく駄目で、パソコンの通信情報や携帯電話の通話情報、高速道路のセンサーやスイカ等のデータのようにシステム的に集められる情報がターゲットになりそうだ。


 日本では「」のようにより早く計算できるコンピュータの開発が盛んだが、アメリカのIBMでは人工知能を使ったより賢いコンピュータ「ワトソン」の開発に成功していた。
人口知能に学習効果を持たせるのだが、「ワトソン」では機械学習という子供に勉強を教える方法でワトソンを賢くしていた。教育すればするほどだんだんと賢くなる。

 私もかつて30年ほど前に、この人工知能について大変興味を持ったが、その頃の人工知能は幼児並みでとても賢いと言うレベルからは程遠かった。
一体いつになったら人工知能が人間並みになるのだろうか・・・・
そう思っていたがついに人間のレベルを凌駕し始めたらしい。

 ワトソンは金融や法律や医療の分野で活用可能だ。
たとえば医療分野の実験では今までの膨大な患者のデータや診療のデータをワトソンに覚えこませ、医者が患者の症状を言うと、その言葉を理解して可能性の高い病名と治療法を回答していた。

これなら何百人の医者に診断を仰いでいるのと同じだね」ワトソンを操作している医者の言葉だ。

 またワトソンではないが人工知能を使った金融システムはすでに実用化されていて、あるヘッジファンドの取引はすべてこの人工知能が行っていた。
現在の金融取引の約7割は人工知能が担当しており、取引の判断は1000分の1秒だと言う。

注)現在東京証券取引所等では高速のコンピュータを導入しているが、これはヘッジファンドの1000分の1秒の注文を処理できなければその取引所は利用されなくなってしまうため。

 
金融システムは1000分の1秒単位で取引を繰り返すようにプログラムしているため、時に信じられないようなコンピュータの暴走が発生している。
2010年5月6日のフラッシュ・クラッシュ
瞬間暴走)が特に有名で、このときニューヨーク市場で理由不明の暴落で約86兆円の損失が一時的に発生していた。
今でも小さなフラッシュ・クラッシュは起きているとのことで、コンピュータどうしの相場の取引はまだ人間同士の取引を完全に解明したわけではなさそうだ。

 こうして高速のコンピュータでは日本の「」が世界をリードし、賢いコンピュータの分野ではアメリカのワトソンが世界をリードしている。日本は日本的にそしてアメリカはアメリカ的にがんばっている。
しかしなんとも希望に満ちた時代が目の前に出現しそうだ。
今は「」も「ワトソン」も研究所での使用が主体だが、そのうちに私たちも何気なく利用できる時代が目の前に迫っている。

 今はまだお粗末な翻訳システムや外国人との会話システムも実用化の時代に入るだろうし、耳が聞こえなかったり目が見えなくても脳波での会話ができるようになったり、東大入試の数学はコンピュータがたちどころにといてくれる時代がすぐそこに来ている。
もう少し長生きしてそうしたコンピュータ革命を見てみたいものだ。

 なおビッグデータ革命については、「クローズアップ現代 ビッグデータ革命」を参照してください。

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(24.6.5) 成長限界に達したヨーロッパ 先進国経済は成長しない

Dscf5542

 笑ってしまった。本当に経済が成長すると思っているのだろうか。
フランスのオランド大統領のことである。「緊縮財政より経済成長」といって大統領に当選したが、一体フランスのどこに成長要因があるのだろうか。
オランド氏は何か「成長する」と唱えれば経済は成長すると思っている唯心論者のようだ。

 すでに十分成長した経済がさらに成長するには必ず理由があり、具体的な成長産業がなくては成長などするはずがない。
それは日本の20年に及ぶ努力が一向に効果を挙げないのを見ても分かる。
輸出産業のために円安政策をとることと、ゼネコンのために不要な公共事業を繰り返すことが日本の成長戦略だったが、結果は20年にわたる停滞だった。

注)日本は名目のGDPはここ20年間まったく成長していない。物価が下がった分だけ実質GDPが成長しているだけだ。

 日本には本当の意味での成長産業が20年前から育っていなかったために、仕方なしに既存の産業の延命を繰り返してきた。
その結果がGDPの2倍にまで膨れ上がった公的債務の残高だ。
世界でこれほど気前よく借金をしたのは日本政府だけだが、それだけ努力したのに新たな成長産業がなかったために経済成長はしなかった。

注)日本は世界最速の高齢者社会でここでの唯一の成長産業は医療・介護だが、神奈川県知事が特区制度を使用して医学部の新設と自由診療制度を導入して雇用を拡大しようとしたら、神奈川県医師会会長が大反対をしていた。
日本では既得権益者が成長産業の導入に反対しているため成長が止まった社会になっている。


 フランスも日本と同様に何ら新たな産業が育っていない。アメリカのfacebooktwitterといった企業がフランスのどこにあると言うのだろうか。
国際競争力をなくした自動車産業や、世界の趨勢から完全に取り残された原子力産業や、これ以上の発展の余地がなくなってきた高速列車のTGVぐらいしか頭に浮かばない。
そして金融業はギリシャ政府の国債をたんまり持っているため不良債権の山を築いている。

 さらに自由主義社会にしては珍しいほど役人天国で、コスト削減にはリストラが急務だが、こちらは労働組合が強固すぎて首切りもできないだけでなく、オランド大統領はさらに公務員を増やそうとしている。
そんなフランス社会で経済成長が可能と考えるほうがどうかしている

 オランド氏が大統領になり、ギリシャで急進左派政党が「これ以上の経費削減には応じない」と尻をまくったため、ユーロは再び台風の大波の中に漕ぎ抱いたボートになってしまった。
メルケル首相サルコジ元大統領が薄氷を踏む思いで纏め上げたギリシャ救済策はすでに泥舟だ。

 そして今までは何とか破産を糊塗していたスペインの金融機関がついに倒産を始めた。元々スペインには不動産以外に売るものはなかったのに、リーマンショックまでのバブル期にヨーロッパ中の大金持ちや小金持ちがスペインに別荘を手当てして、スペイン中がバブルに浮かれてしまった。

 そのさまは1980年代後半の日本と同じだと言えばイメージがわくだろう。
当時日本の金融機関は借りてくれる人があれば無条件に融資を繰り返した。担保は不動産で値上がり確実だから取りぱぐれのない健全融資だと胸を張っていたものだ。
誰もが不動産が値下がりするとは思っていなかったが、バブルがはじければ土地は二束三文になってしまう。
当たり前のことだが、その土地を利用して収益を上げる人がいなければ土地など何の値打ちもない

 
 スペイン中が不動産バブルに踊った付けがスペイン第3位の金融機関バンキアの不良債権の山だが、バンキアは氷山の一角に過ぎない。
これからスペイン中の金融機関が不良債権の山で倒産し、政府資金を導入しなければならないが、スペインに金を貸してくれる銀行など存在しない。
もし国債を購入しようものならギリシャと同様に7割程度の棒引きを要請されるのが落ちだ。

注)正確に言うとスペインの国債を購入しているのはスペインの銀行だけになってしまった。購入をストップすればスペイン政府とスペインの銀行は共倒れになる。幸い購入資金はECB(欧州中央銀行)が提供しているジュブジャブの資金を利用しているが、一方でECBのバランスシートは悪化の一途をたどっている。

 繰り返すが、成長するには成長産業がなくてはならない。ヨーロッパも日本も既得権益を擁護することだけで生きている社会だ。
一方アメリカではfacebooktwitterAppleといった元気のいい企業はあるが、一方でサブプライムローンの重石が取れていない。

 なぜ成長しきった社会が停滞するかは古代ローマの歴史を見ても分かる。
ローマ史は実に示唆に富んでいるが、その最大の功績は「古代ローマの成長戦略がなぜ失敗し、中世というまったく停滞した社会が現れたか」と言うことを教えてくれることだ。
経済も成長し停滞し衰退する。新たな成長のためには既得権益者がいなくなり新しい成長産業ができるまで待たなければならない。

今日本とヨーロッパがその中世に入ろうとしており、アメリカが追随するのも時間の問題だ。

 特にローマ帝国の末路を予言していた皇帝ハドリアヌスの生涯を見ると、なぜ経済成長が止まるのかが良く理解できる

注)「NHK ローマ皇帝の歩いた道 帝国の末路を見つめたハドリアヌス」を参照

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(24.6.4) ネパールの政治的混乱 憲法が制定できない

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 私は最近までネパールの政治・経済にはまったく興味を持っていなかったが、ひょんなことからそういってはいられなくなった。
このおゆみ野に隣接して千葉明徳学園があるのだが、そこの理事長さんと私はブログを通しての知人になり、懇意にさせてもらっている。

 先日その理事長さんからネパール旅行の誘いがあった。実は千葉明徳学園はネパールの西部に位置するカルナリ県リンモクシャ・ハイスクールと姉妹校関係にあり、理事長はじめ数人の教師と一般人が夏場に12日程度の予定で、このハイスクールを毎年訪問している。
山崎さん、ぜひこのハイスクールに行ってみませんか。とても興味深いですよ

 このハイスクールがある集落一帯は電気がなく、食事もネパール人が食しているものを一緒に食べることになり、とても原始的イメージだ。
しかしここの生徒は非常に勉学に対する意欲が強くまじめで何か日本の明治時代の学生のような雰囲気があるらしい。
私や明徳の教師はハイスクールで授業をしますが、山崎さんもしていいですよ

 それならチベット経済を調べて日本経済とのかかわりを簡単に述べてみようかと言う気になった。
しかしチベットの政治・経済を調べ始めて驚いたことは、今チベットは政治的大混乱の只中にありとても経済までは手が回らないと言うのが実情のようだ。

 2001年と言えば今から約10年前だが、ネパール王国で信じられないような国王一家惨殺事件が発生した。
当時の国王だったビレンドラ国王夫妻やその子供8人が、ビレンドラ国王の皇太子直後に自殺したと言う)によって虐殺された事件だが、実際はビレンドラ国王の弟だったギャネンドラ氏ビレンドラ一族殺害事件だった可能性が高い。

注)目撃者がほとんどおらず、密室の事件であり銃を乱射したと言われる皇太子がその場で射殺されている。何か鎌倉幕府の三代将軍実朝暗殺と酷似した事件だ。

 この事件後兄一族は死に絶えたため弟のギャネンドラ氏が国王になり独裁権力を掌握して、議会や内閣の権限を停止して好き勝手な政治を始めた
あまりのひどさに国民は反王族闘争を始めたが、この闘争の主導権をめぐって中国派の毛沢東主義者マオイストと言う)とインド派のネパール会議派が鋭く対立した。

注)前のビレンドラ国王は開明的な国王で、立憲君主制を目指して国会と内閣を整備していた。この措置にネパール会議派は賛同し、一方マオイストは反対して1996年から武装闘争に入っていた。

 ネパールは中国とインドにはさまれた小国で、従来はインドが実質的宗主国だった。
しかしこの国王殺害を契機にマオイストがさらなる武装闘争を強化して中国の支援の下にギャネンドラ国王の政府軍と戦ったため、ネパールに対する中国の影響力が浸透した。
ネパールは中国とインドの代理戦争の様相を見せてきたわけだ。

注)国王の軍隊はインドとアメリカが武器を支援し、一方マオイストには中国が武器を支援していた。

 しかしマオイストとはなんとも不思議な集団だ。絶対平等を説いていて何かかつての紅衛兵やカンボジアのポルポトを彷彿させる。
こんな集団が絶対権力を掌握したら反対派への大虐殺が発生しそうだ。

注)未成年者の少年をマオイストの戦士に仕立て上げて絶対平等の教育をしていたところはポルポトにそっくりだ。

 2006年に長らく対立していたインド派中国派は大同団結し国王追放闘争を実施したためギャネンドラ国王は退位し、2008年には憲法制定のための議会選挙が行われた。
この選挙で中国派のマオイストが第一党、インド派のネパール会議派が第二党になったがマオイストは過半数に達せず、他の共産党系の政党と連立を組んでマオイスト内閣ができた。
このマオイスト内閣の基で憲法制定作業を進めたが、今に至るまで憲法の制定ができず、ついにこの5月28日に議会を解散してしまった。

注)何をもめているのか外部の人には分かりづらい。州の創設を民族別にするか地域別にするか等が決まらないのだが、意味が良く分からない。

 なんともひどい政治的混乱だ。こんな混乱のさなかにネパールに行って大丈夫だろうかとの疑念がわくが、マオイストの武装闘争は2006年で終結(それまでに約13000名の死者が出ているしているので紛争のさなかに行くと言う感じではない。

 ネパールは貧しい国だ。国内には農業と観光と繊維産業があるだけなので、若者は外国に出て働いている。
しかし国外で働いても政治体制がしっかりしていないためネパール人は斡旋業者の鴨になって搾取されることが多いようだ。

注)GDPの約20%は外国からの送金で、なにかフィリピンと似ている。

 おそらくこの国にとって最も大事なのは政治的安定だろう。
そうでなければ観光業も成り立たないし、国内に職がない以上外国に出稼ぎに行くのは仕方ないが、政府が外国で働いている国民をサポートできなければネパール人の悲劇は続く。

 この国に行って私は何をしゃべればいいのだろうか。早く憲法を制定して民主的な国になれとでも言うのだろうか。
あまり政治的な話はご法度とすれば、経済の自律は観光業だから、外国語をマスターして通訳兼案内人としてがんばれとでも言えばいいのだろうか。
なんとも難しそうな話だ。
 

 

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(24.6.3) 大学の同窓会 箱根にて

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(箱根 旧東海道の杉並木

 大学の同窓会が箱根の仙石原で行われた。
この場所はこの5月にちはら台走友会の合宿が行われた場所だから、何かとてもなじみの場所になってしまった。

 私が大学生だったのは今から45年も前のいわゆる大学紛争の真っ只中の頃で、第二次安保反対闘争が戦われていた時代である。
この頃はどこの大学も閉鎖が相次ぎ、私が行っていた大学もほぼ1年にわたって授業がなかった。

 その頃の仲間で仲が良かった7人2年に一回程度の割合で同窓会を開催している。
今回は幹事のO君が神奈川の平塚に住んでいるので箱根で開催することになった。

 初日は仙石原で湿生花園を見て、翌日は復元された箱根の関所を見、その後旧東海道の箱根八里の古道を箱根湯元駅まで歩いてみた。
私は始めて関所なるものを見たが、この関所は平成19年に復元されたもので、芦ノ湖の湖と山の間の非常に狭い場所に黒壁の建物が建っていた。

 映画などでは関所のシーンが良くあるのでなんとなくイメージはあったが、とても意外だったのはここの関所役人の数が少なかったことだ
資料では上席の役人は5名(これは小田原藩から派遣されていた)、足軽と呼ばれた小物が15名、それに女改めの女性が1名の計21名である。
その他にも飯炊き女等はいたはずだが、とても少ないことに驚いた。
こんなに人数が少ないと、無理やり多人数で押しかけて関所破りをすれば簡単に関所は破られてしまいそうだ・・・・」不思議な気がした。

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復元された箱根の関所

 個人的な関所破りはあったとしても集団による関所破りは江戸260年間にほとんど存在しなかったのだろうか。それほど江戸時代は平安な時代だったのだろうかと考え込んでしまった。
また大変興味のある関所の施設に遠見番所という物見やぐらが有ったことだ。
もっとも物見やぐらといっても、高台に築かれた監視所である。
ここから芦ノ湖をで関所破りをする人がいないか監視をしていたと言う。

 当時は芦ノ湖に舟を出すことは禁止されていたそうで、もし舟などがあれば監視の対象になったそうだが、昼間はともかく夜陰に乗じて舟を出されればとてもチェックはできそうもない。
また泳力さえあれば夜芦ノ湖を泳いで渡ることも可能だろう。
関所でのチェックは相応に厳しいものではあったろうが形式的なもので、いわゆる水練等の技術を持った隠密レベルであればやすやすと箱根の関所の検問を突破しただろうと言うのが関所を見た印象だった。

注)日本には多くの北朝鮮のスパイや中国からの不法侵入者がいるがいづれも夜陰にまぎれて舟で上陸している。水上の監視はとても難しい。

 この関所には当時の東海道が伸びていたのだが、今回はこの古道を散策することにした。
箱根は越えるのに8里32km)かかったが、今回は関所から湯元までの約3里12km)の距離を歩いてみた。
最も他のメンバーは途中の畑宿まで歩き、その後はバスに乗っていたが、私は湯元まで歩いた。

 古道は芦ノ湖周辺は杉並木の道であり、東海道が江戸幕府により整備されたときに植えられたものだと言う。それまでの道は山の尾根沿いの山道(平安道・鎌倉道)だったが、距離を短縮するために川沿いの道が新たに開設され、それが旧東海道になった。

 実を言うと古道を歩くのは私の趣味の一つだ。旧中仙道熊野古道萩往還道会津古道を過去歩いたり走ってみたが、その道幅の狭さにいつも驚いたものだ。
せいぜい3m程度で、これでは荷馬車が通ったらかろうじてすれ違うことができる程度だ。
軍事道路としては狭すぎると言うのが率直な印象で、こんな狭い道を延々と間延びをした軍団が進んでいたら、横合いから襲われたらまったく抵抗ができないだろう。

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(石畳の古道

 箱根の古道はとても急峻で萩往還道とよく似ていた。石畳は晴れて乾いているときはなんということはないが、雨が降ってぬれている場合は滑ってこんな厄介な道はない。今回は道は乾いていたので軽快に降りることができたので気持ちの良い散策になった。

 また私はこのところ体調に異変が出ており、腎臓が痛んでいたたのでおっかなびっくりの山歩きではあったが幸いにも体調に異変は出なかった。
やれやれ、この程度の身体への負荷は何でもなさそうだ・・・」実にほっとしたものだ。

なお、過去の同窓会の記事は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/22111-run-553a.html

(別件)「おゆみ野四季の道」のカウンターを「新」に10000加算しました。





 

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(24.6.2) アメリカ人に生まれると歯の治療もできない  歯科医療の現状

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 日本人に生まれて本当に幸せだと思ってしまった。
先日ワールド・ウェーブ・トゥナイトの特集で報道されたアメリカの歯科医療の現状のレポートを見た感想である。

 アメリカでは現在貧富の差が拡大していて年収150万円以下の貧困層4620万人、率にして約15%にも達しているのだそうだ。
最も貧困層の発生は先進国共通の現象で、今まで中間層といわれていた工場労働者がいなくなり(新興国に工場が誘致されたため)、高所得の医者や弁護士や会計士やトレーダーといった職業と、時給数百円のマクドナルド等の販売員しかいなくなってしまったからだ。

 こうした貧困層は医療保険に入っていないため病院にいくことができず、たとえば歯の治療が必要でも歯医者には10年間も行っていないと言うような人が続出しているという。

 番組では歯医者によるボランティア治療の模様(体育館で行っていた)が映し出されていたが、このときとばかり患者が殺到し2日間で2000名あまりの無料診療が行われていた。
通常の治療をして1500ドル(12万円)もかかる治療はとても無理で、アスピリンで痛みを抑えている患者が多く、無料診療だけがよりどころになっている。

 またメキシコ国境近くに住んでいる人は、国境を越えてメキシコで治療を受けると、アメリカ帰りのメキシコ人医師がアメリカの約3分の1の価格で治療をしてくれるので、メキシコに殺到していた。
3分の1ならば私の医療保険の自己負担率30%とほぼ同じだから、保険に入っているのと同じことになる。

 アメリカではオバマ大統領国民皆保険を公約に当選したが、共和党の大反対にあって法案は骨抜きにされた。
低所得者向けのメディケイドという保険制度の拡充と、メディケイドの対象にならない低所得者への補助金の増大で議会と妥協したが、この妥協もティー・パーティーと呼ばれる保守層の猛反発を受けている。
また実際にメディケイドを実施している州の財政も大赤字でこの連邦政府の決定も州には届かないのが実態だ。

注)アメリカの医療保険制度の改革は以下参照。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/22324-2b00.html

 それに比べて日本の医療保険制度の手厚さはどうだろう。最近私も歯の治療に近所の氏家歯科に通っているが、保険に入っているので何とか対応できるし電話予約をすれば快く治療をしてくれる。
日本の歯科医療の技術はアメリカの次ぐらいのレベルだから、世界先端の治療を約3割の費用負担でしてもらっているのだから幸せの限りだ。

 日本はアメリカよりセーフティーネットが発達しているので、私のような年金生活者でも貧困層に落ちないで済んでいる。
なんとも幸せなのだが、一方で政府の医療財政は火の車だ。
アメリカの医療保険制度は貧困層に手厳しすぎるし、日本は反対に甘すぎて政府が破産しそうだ。
どうやらアメリカと日本の中間アタリが良さそうだが、こうした改革をするのも一筋縄ではいかないのが実態で野田内閣税と社会保障の一体改革で国会でのた打ち回っている。

なお、アメリカ経済については以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43809971/index.html

 

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(24.6.1) facebookバブルの崩壊  投資家の怨嗟の声が聞こえる


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(まだ私が若かった頃。トランス蝦夷1100kmの途中

 笑ってしまった。facebookの上場にからめて多くの投資資金が流れ込み、これがバブルを演出した後崩壊したからだ。
現在アメリカは史上空前の金融緩和措置を発動しているが、いくら金融を緩和しても資金需要がなくては金融機関は現金でただ保有しているより他に手はない。

 しかしfacebookと言う寵児が現れ、金融界や証券界は躍り上がってしまった。
当初モルガンスタンレーのような引受機関は売り出し価格を28ドルから35ドルの間と言う、いたって冷静な判断をしていた。
しかしアメリカ中がユーフォリアに陥り、売り出し3日前には何の根拠もないのに売り出し価格は34ドルから38ドルが適当と修正した。
そして売り出し前日には38ドルと決定し、さらに株数を約20%も増やしたのだからすごい。
絶対大丈夫だ。38ドルでも安いくらいだ」アメリカ中がブルになっていた。

 
 あれから2週間、facebookの株価は約28ドルで、約24%も値下がりしモルガンスタンレーが当初予定した価格の下限に張り付いていている。
facebookザッカーバーグ氏はこの上場で約8兆円の資金を入手したが、一方投資家はこの2週間の間に約2兆円の損失をこうむった。

 投資家の怒りに火をつけているのが、18日の上場当日のNASDAQシステムトラブルと引受金融機関モルガンスタンレーゴールドマンサックスが売り出し1週間前に発表したfacebookの業績低迷予想の隠蔽である。

 NASDAQのシステムトラブルは日本でもおなじみの想定外のアクセスが集中したことに伴うトラブルで、「facebookの上場で、まさかこんなに多くのアクセスがあるとは思わなかった」からだ。
30分遅れでどうにか動かしたものの、取引が成立したか否かの情報を一日中顧客に送れなかった。

 これでは勇んでfacebook株を売り抜けようとしたり、初日の値動きで鞘を取ろうとした投資家は完全に鼻白んでしまった。
取引結果が分からなければ売ることも買うこともできないじゃないか。これが世界最高性能と言われたNASDAQのシステムか!!!」
損失をこうむり頭にきた投資家がNASDAQ相手に90億円規模の損害賠償訴訟を起こしている。

 そこにさらに追い討ちをかけるように、「facebookはスマートフォンの広告機能がないので、今後の業績は低迷する」とするモルガンスタンレー等のレポートが一部大口投資家にしか知らされていなかった事実が判明した。
そんな重大な情報を隠蔽して売り出し価格を38ドルにしたのは詐欺だ
こちらも金融機関に対する訴訟が続々と発生している。

 かくしてfacebookの上場は「史上最低の上場」と酷評されるまでになってしまった。
サブプライムローンのバブル崩壊を新たなITバブルで乗り越えようとしたアメリカの金融・証券業界の戦略はものの見事に失敗した訳だ。

 もっともfacebookそのものは優良企業だから相応の企業価値はあるが、少なくともそのバブル部分が剥げ落ちるまでは株価は不安定な値動きをするだろう。
アメリカにはfacebookに続こうとする新規IT企業が続々と上場を狙っているが、今回のfacebook騒動で、二匹目のドジョウはいなくなってしまった。

 アメリカは今世紀的な金余り現象が生じている。だから少しでも値上がりが期待される案件には投機資金が集中するが、その逃げ足も早い。
バブルをバブルで乗り越える方法はさすがにアメリカでも限界にきたようだ。

 なおアメリカ経済に関する記事は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43809971/index.html



 

 

 

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