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(24.6.8) ニッサン カルロス・ゴーン社長の最後の警告

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 日本車の中で最も好調なニッサンカルロス・ゴーン社長が、自らの「経営者ブログ」の中で日本に対する最後通牒を発した。
以下の3つの条件が整わない限り日本での生産は減少させると言うのだ。

注) 2011年、トヨタやホンダが東日本大震災やタイの洪水で販売数量を減少した中でニッサンは約16%増の485万台の販売実績をあげ最も好調だった。

 三つの条件とは以下の通りだが、まずもって解消が困難なことばかりだ。

① 円高の是正に向けた政策の実行
(理由)
・現在日系メーカー全体で1円の円高に対し約900億円の損失が出る。
・リーマンショック後円は米ドルに対し
約22%、ユーロに対し約30%、ウォンに対し約50%の円高になっている。
・このためライバルのアメリカメーカーは日本車に対し22%安く、ドイツメーカーは30%安く、韓国メーカーは50%安く車を販売し
日本生産の日本車は対抗できない。


(実態)
 日銀は昨年の10月から11月にかけて75円の円高になったときに総額で10兆円規模の為替介入を実施した(8月にも4.5兆円の為替介入をしている)。これで一時的に80円台の相場になったが、その後再びじりじりと円高が進んでいる。
円高の最大の原因は、ドル安の場合はFRBの超金融緩和策の結果であり、ユーロ安の場合はヨーロッパ経済の危機のためである。

 日本が為替介入を強化してもアメリカとユーロがそれ以上の金融緩和を実施すれば効果がない。アメリカは大統領選挙を控えており、ユーロは存続に危機に瀕している。こうした状況下で日本が為替戦争を仕掛けるのは(世界経済秩序を崩壊させるので)無理がある。
せいぜい75円以上の円高にならない程度に為替介入するのが実態だろう。

② 持続可能なエネルギー政策の確立
(理由)
・企業に対し常時節電を要請しているような電力供給の生産場所は企業立地としては不適。
・東電は企業に対し17%電気料金値上げを通知してきたが、これはニッサン車一台当たりの電気料金を2000円~3500円アップさせており、日本で生産する競争力を阻害している。
・電力の安定供給には原発の再稼動が必要だがめどが立っていない。


(実態)
 現在唯一再稼動を目指している関西電力の大飯原発3・4号機でさえ、京都府と滋賀県の知事が「夏場だけの限定利用」にするように国に申し出をしており、どのような決着になるか予断を許さない。
原発の再開は原発のある市町村が雇用確保のために賛成しているだけで、その周辺自治体は大反対を繰り返しており、政府も明確なエネルギー政策を打ち出せないでいる。
したがって今後とも日本のエネルギー事情は不安定な状況が続きそう。

③ 人口減少と高齢化対策
(理由)
・人口が減少して高齢者ばかりが増える場所は生産場所としては最悪。
・若者の人材確保のための移民政策を大々的に取り入れるべき。

(実態)
 この問題が日本の場合は最も難しい。日本人は本心では外国人を嫌っており鎖国体制が一番望ましいと考えている。
看護師や介護士をインドネシアやフィリピンから受け入れても、思いっきり難しい試験を課して日本に居続けないように厚生労働省が誘導している。

 難民の受け入れも消極的で、日本に若者がやってくることは期待できない。

 

 以上のようにカルロス・ゴーン社長の3つの条件はいづれも達成が困難なことばかりであり、ゴーン社長も日本社会が3つの条件をクリアするとは当初から思っていない。

 だから今回発表した3条件はゴーン社長から日本への最後通牒であり「どうせ現状維持だろうからニッサンは日本を生産現場として選択しない」ということを裏から述べたことに過ぎない。
日本での300万台生産を社是としているトヨタが円高で呻吟している間に、ニッサンは中国、ロシア、ブラジル、メキシコ等での生産を強化し、グローバル企業としてトヨタを追い越すだろう。

注)現在最も元気な自動車メーカーはフォルクス・ワーゲン、現代、そしてニッサンである。前2者は為替安の追い風による販売好調であり、ニッサンはグローバル生産体制を完全に引いたことによる販売の好調と言える。


なおトヨタ自動車の苦悩については以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-090f.html
 

またゴーン社長の「経営者ブログ」を直接読みたい方は以下参照
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0500F_V00C12A6000000/


 

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