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(24.6.14) LCC(格安航空会社)元年 ようやく乗客無視の航空行政が終った ジェットスター・ジャパン等の就航

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 長い間日本の航空行政は乗客を完全に無視し、航空会社と空港会社の収益の安定と、国土交通省と県庁の天下りのためにあった。
それがどんなにひどい行政であったかは成田と羽田の国内・国際分離策を見れば分かる。

 成田は国際線、羽田は国内線と決まっていたために地方の乗客は羽田と成田間を数時間かけて重い荷物を持って移動しなければいけなかった。
世界の主要空港は国内線と国際線が乗り入れているのに、日本だけがこの分離策をとっていた。
地方の人にとっては不便この上なかったが、親切な韓国のアシアナ航空が地方空港に乗り入れてくれてようやく乗客は韓国経由で世界に旅行ができていた。

注)アシアナ航空は日本の23の地方空港に乗り入れており韓国のインチョン国際空港が日本の実質的なハブ空港になっている。

 一方で地方空港は必要もないのに次々に建設されたが、これで潤うのは建設会社と県庁の天下り役員だけで、赤字分は県の一般会計等からの補填だから県民の負担だけが残っていた。
そして最近できた静岡空港茨城空港は航空会社が次々に逃げ出してしまうため、本当に飛行機が飛ばなくなるのではないかと危惧されたほどだ。

注)地方空港が乱立したのは空港整備特別会計があり、毎年5000億円規模の予算消化のために建設を続けたため。

 しかしここにきて航空行政がガラッとかわってきた
成田関空を基点に日本版LCC格安航空会社)が立ち上がったからだ。
関空には全日空系ピーチ・アビエーション日航系ジェットスター・ジャパンが、そして成田には全日空系エア・アジア・ジャパン日航系ジェットスター・ジャパンが就航することになった。

注1)ピーチ・アビエーション:12年3月就航、国内線は関空と新千歳・福岡・長崎・鹿児島・那覇、国際線は関空とインチョン・香港・台北の路線を持つ(就航予定を含む)

注2)ジェットスター・・ジャパン:12年7月就航、国内線は成田と関空・新千歳・福岡・那覇、および関空と新千歳・福岡(就航予定を含む)

注3)エア・アジア・ジャパン:12年8月就航、国内線は成田と新千歳・福岡・那覇、国際線は成田とインチョン・プサン(就航予定を含む)

 この日系LCCはそれまでの外国系LCCオーストラリアやシンガポールのLCC)が国際線でのみ許されていたのを、国内線で就航することになったのが決定的に違う。
それまで日本の国内線はJALやANA等のドル箱だったため、海外のLCCの乗り入れを拒んできた。

 それが今回日系LCCの国内線運行を認めることにしたのは、国内の航空機需要が2006年を境に頭打ちとなり、加速度的といえるほどに乗客数が減ってきたからである(約9500万人いた乗客が2010年には13%程度減少している。詳細の数字を確認したい人は以下参照http://www.mlit.go.jp/common/000210532.pdf)。

 理由は2つあって、一つは少子高齢化で日本人の人口が減りだし特に老人が増えて飛行機に乗らなくなったからだ。
おらあ、あんな面倒なものに乗ってまで温泉なんかに行きたくねえ」と言うことである。
もう一つの理由はビジネス客の激減で、会社の経費削減とテレビ電話会議システムの普及で国内であればわざわざ東京に集まらなくても会議が開催できるようになった。

 ドル箱路線の国内がこうして空洞化してくると収益源がなくなり、JALは倒産しANAも赤字(10年3期は赤字に陥った)で苦しむようになる。
航空会社は儲かる路線を残して赤字路線から撤退するので地方空港に乗り入れる航空会社はなくなって、地方の飛行場は単なるのっぱらになってしまう直前まで来てしまった。

 ここまでくればさすがに国土交通省も航空会社も空港会社も考えざる得ない。
もしかしたら、飛行場は乗客のためにあるのであって、自分たちの利権のためにあるのではないのかもしれない。お客を呼び込む手段を考えないとみんな共倒れになりそうだ・・・・

 こうしてようやく日本国内にも新規顧客の獲得をめざしてLCCが就航することになった。LCCはJALやANAの運賃の半分程度の値段で、しかも機種はA320やA330という新型の経済性抜群の機種だ。
食事や飲み物はJRと同じで機内販売になるが、国内ならどうせ1時間から2時間程度でどこにでも着くから特別問題にならない。

 しかしLCCは空港会社の施設使用料を値切っているからボーディング・ブリッジは使用させてもらえず、飛行機まではバスで乗り付けてタラップを上らなければならない。また空港ロビーはひどく離れた場所にあるのでそこまで歩いていかなければならないし、荷物もトラックでどさっと降ろされるので、ベルトコンベアーで運ばれてくるのを待つわけにはいかない。
ANAやLALと同じサービスを期待されては困ります」空港会社の言葉だ。

注)ただしこれではLCCの締め出しと同じなので、こんなことをしているとLCCすら乗客からそっぽを向かれるので成田と関空はLCC専用の簡易なターミナルを建設中。

 飛行機が何かステイタスシンボルであった時代は終り、乗客は高い運賃を支払わなくなった。
そして日本が国内市場を閉じていた間に世界はLCCの時代(現在のシェアは約30%程度だが早晩50%程度になるになってしまった。
国内消費の主体がデパートからスーパーに、そしてコンビニや郊外のアウトレットモールに移っていったような激震が航空業界に起こっている。

 乗客に対するサービス向上だけがこの航空危機を乗り越える唯一の手段だ。
かつては航空行政は利権行政だったが、こうしてようやく日本の空が利用者本位の行政に移ろうとしている。

なお航空行政に関する記事は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat48077031/index.html

また主として地方空港の現実については以下の記事を参考にしてください。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat39217886/index.html

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