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(24.5.16) 野田総理は清水の舞台を飛び降りるか 税と社会保障の一体改革の行方

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 政治とは本質的に妥協の産物だが、野田総理が目指している「税と社会保障の一体改革」ほどそれを示しているものはない。
野田総理にしてみれば消費税増税法案が通れば後は何でも良いので、民主党がマニフェストで歌っていた、最低保障年金の導入後期高齢者医療制度の廃止は棚上げして、自民党との妥協を図った。

 もともと野田総理消費税増税に踏み切ったのはこのままでは日本の財政が成り立たなくなるからで、それなのに新たな予算措置が要る最低保障年金の導入や、後期高齢者医療制度の廃止などしようとは思っていない。
民主党のマニフェスト信奉者が文句を付けているが、政権政党としての自覚がないのではなかろうか・・・・・
野田総理は政権担当時代の自民党の総理と精神構造は同じだから、ばら撒き政策には反対だ。

注)後期高齢者医療制度については以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/2319-bd3c.html

 しかし小沢氏を中心とする民主党内野党はこの措置を苦々しく思っている。
なんということだ。これでは民主党は自民党となんら変わりがないじゃないか。消費税を増税し、社会保障制度に手を付けないのならそれは民主党ではない。こうなれば造反だ。野田政権を打倒しろ」

 野田総理がたとえ自民党と手打ちをしても、小沢派はこれを阻止して消費税増税を阻止するつもりだ。
そのためのトロイの木馬が「景気条項」で、「名目3%、実質2%の経済成長がなければ消費税の増税は行わない」と法律に是が非でも書かせようとしている。
この「景気条項」が法律に明記されると、消費税は導入できなくなる。なぜなら日本のGDPが実質で2%アップすることは金輪際ありえないからだ。

 結果的にこの「景気条項」については3党合意
民主・自民・公明)で法案の付則条項に残すことになったが、なんとも不思議な取り扱いだ。法案の一部ともいえるし、付則であって本則でないから場合によっては守らなくても良いともとれる。
もっとも玉虫色の解決方法といえるだろう。

注)民主党執行部としては党内反対派をなだめるために、「景気条項」を法案に入れることにしたが、付則条項という手段で実質的には無視しようとしている。

 すったもんだのあげくようやく3党合意ができたので、民主党執行部は党内の了承を取り付けるつもりだが、「景気条項の付則条項」では消費税増税に反対している小沢派の了承を得ることは不可能だろう。
だが党内の了承が取り付けられない場合はどうなるだろうか。

 民主党執行部としては党内分裂は避けたいが、さりとて自民党との共闘なしには消費税増税法案は国会を通過しないのだから、野田総理は清水の舞台を飛び降りることになる(もし飛び降りなければ野田内閣の命運はない)。
こうして民主党は結果的には分裂せざる得ないところまで来た。
今後は消費税増税派と増税反対派を対立軸に政界再編が進むと思われる。

 だが誰が政権を担当しようが、日本の財政が完全に危機ラインを突破していることは予算の約半分が国債の発行でまかなわれていることから明らかだ。
なぜこれほど税収がたらないかの理由は租税体系が経済の実態に即応しておらず高度成長型だからだ。

 高度成長期は企業は業績を伸ばし、個人の所得は上がりその結果法人税も所得税も毎年のように増加した。
しかし1990年のバブル崩壊ですべてが逆転し始めた。
その後日本では経済規模が年々縮小して所得税法人税も年を追いながら減少してきた。
さらに追い討ちをかけるように日本の収益の稼ぎ頭だった輸出産業がリーマンショック後崩壊して海外に出て行ってしまい法人税はますます先細りだ。

注)税収の推移は以下のグラフを見れば一目瞭然に分かる
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/011.htm

 ヨーロッパを中心に消費税による徴税が普及しているのも、ドイツを例外としてヨーロッパから輸出産業が消えているからで20%前後の消費税が主要な税収になっている。

 だから日本の実情から消費税増税は致し方ないのだが、一方で日本では支出が過大で、特に社会保障費のばら撒きについては再考の余地が大きい。
問題なのは生活保護費で現行の制度では働かないことがもっとも有利な選択方法になっていることだ。
さらに医療費が無料なのを利用して過剰診療と医薬品の密売が横行しているのはさらに問題を複雑にしている

注)生活保護費の問題は以下を参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/231214.html

 税を上げるだけでなく、社会保障制度を実態に合わせて改革し支出を削減しないと、ただ単に税率を上げるということに終ってしまいそうだ。

なお、野田内閣についての記事は以下にまとめてあります
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat45463769/index.html

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コメント

国家財政がこんなにひどい状態に陥るまでに今までの政権政党 野党 政治家官僚は何をしていたのでしょうね。家庭でしたらここまでひどい状態になっていたら破綻しています。皆我関せずでその時が良ければいいと問題を先送りしたからはないでしょうか。人材もいない山河も(原発)壊れてゆくどうしたらいいのでしょう。。。生活保護もほんとうに困った人ばかりではないのが不思議です。

(山崎)常に景気が上向き税収も上がって赤字財政が解消されると期待していたのだと思います。
しかし1990年以降日本はまったく成長しない社会になってしまいました。そうなればそれに応じて生活をあわせる必要がありますが、そうしたことはまったくせず、特に社会保障関を増大させてきたためです。

投稿: みさき | 2012年6月16日 (土) 09時01分

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