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(24.5.8) オランド氏の勝利とユーロの混乱 再びEUに危機が迫る

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 サルコジ大統領メルケル首相がようやっとのことでまとめた「財政規律を強化する条約」が早くも暗礁に乗り上げようとしている。
6日行われたフランスの大統領選挙で現職のサルコジ氏が敗れ、野党社会党のオランド氏が大統領に就任することが決まったからだ。

注)条約の内容はユーロ加盟国は財政赤字をGDPの0.5%以内に止め、それに違反したら課徴金を科すというもの。すべての加盟国をドイツ並みの健全財政にする条約。なお日本の財政赤字がGDP対比10%程度だから極端に厳しい財政規律といえる。

 オランド氏は選挙公約としてこの「財政規律を強化する条約」を槍玉に挙げて、「財政規律ばかりで成長戦略が存在せず、したがって失業率は改善しない」と言い続けてきた。
そして大統領に就任すればこの欧州規律条約を見直すためメルケル首相と交渉すると言っている。

注)当然のことだがメルケル首相は見直しに応じないと言っている。見直すということは各国に放漫財政を許すことだし、国債で資金調達が出来ない国は結局はドイツに資金援助を求めることになる。

 5年サルコジ氏が大統領に就任した頃はまだ希望に満ちていた。
規制緩和と高額所得者に対する減税で経済は拡大し、失業率は5%に低下する」とサルコジ氏は大見得を切ったが実際はリーマンショックギリシャショックの対応に追われ、公約が守られたのは高額所得者に対する減税だけだった。
これじゃ単なる金持ち優遇じゃないか」若者を中心に怨嗟の声が沸きあがった。
何しろフランスの失業率は10%程度だが、若者に限れば20%だ
大学を出ても職がない状況が続いている。

 したがってサルコジ氏の人気が急落した理由はよく理解できるが、だからと言ってサルコジ氏以外の政策がうまくいくかどうかは相当怪しい。
オランド氏の言う成長戦略なるものが実際は存在しないからだ。

 どれほど成長戦略が難しいか日本の場合を見てみると良く分かる。
日本は1990年ごろのバブル崩壊後まったく成長をしない社会になったが、その間自民党政府は公共投資の増大と金融緩和を繰り返してきた。
2000年代になってリーマンショックが起こるまでは低金利政策円安を誘導し輸出産業で何とか景気を支えていたが(実質で1%から2%程度の成長をしていた)、それもリーマンショックまでで、その後各国が低金利政策を採用すると日本の円は急激に上昇し、輸出産業が崩壊してしまった。

 日本のもう一つの柱である土建業は日本各地に無用のダムや高速道路や飛行場や漁港を赤字財政をものともせず作りまくってきたが、それも金がある間だけで赤字国債が増大するとそれもままならない。
日本はここ20年間、ただひたすら既存産業の保護だけしてきて、気がついてみたら成長産業が何もないことに愕然としている

 実はこのパターンは欧州も同じで規制でがんじがらめにされている欧州経済も既存産業に対する大盤振る舞い以外成長戦略などない。
最も強力なフランスの既存産業は公務員だから結局は公務員を増やそうと言うことになる。

成長戦略だ。公務員を増やして赤字財政を悪化させろ
オランド氏は失業解消のために教員等の公務員を5万人増加させると言っているが、これは財政を無視して公務員を増やす政策だから、ギリシャ政府とさしてかわらない放漫財政政策だ。
さっそく市場はユーロに嫌気をさしてユーロ安と株安が始まっており再びユーロ圏は市場との戦いに明け暮れそうだ。

 オランド氏も大統領になれば現実と向き合わなければならないから、国内向けサービスだけを言い張ることは出来ないが、それでも当初はマニフェストに書いたことを実行したがるだろう。
結局成長しきった経済はドイツの言うように成長ではなく堅実な経済運営をせざる得ないのだが、オランド氏とフランス国民がそのことに気づくまではユーロ圏の経済不安は増幅されるばかりだ。

なおヨーロッパ経済については以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43160490/index.html

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