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(24.5.7) 中高年登山の限界 白馬岳6人パーティーの遭難死

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 今年も春山で中高年齢者の遭難が相次いでいる。特に白馬岳2932m)に登ろうとして小蓮華岳2766m)近くの稜線で遭難した医師のパーティー6名の遭難死は春山の恐ろしさを教えている。

 私も何回か春山登山をしており、この白馬岳にも今から40年ぐらい前の5月の連休期間中に登っている。
私が登ったルートは今回遭難した6人のパーテーのちょうど逆ルートで、白馬から栂池(つがいけ)高原に下りるルートだった。
私が登山したときは6人が遭難した辺りに春山特有のブロック雪崩ダンプカー位の雪の塊が落ちていた)の跡があって、肝を冷やしたものである。

 今回の遭難の原因は天候の急変で4日の午後から白馬岳の稜線では吹雪になっていたと言うから冬山と変わりがない。
春山の登山の難しさは晴れていれば夏山とほとんど同じであり、一方吹雪くと冬山に一変することだ。
したがって春山に登るときは冬山の装備をしていくのが普通で、私も常に冬山装備で春山に登っていた。

 しかし冬山装備はなんと言っても重い。衣類など厚手のものが数枚ほしいし手袋も靴下も2枚履かなければならない。ズボンは厚手でしかも2枚必要だし、アイゼン、ピッケル、スパッツは必須だし、場合によってはテントや寝袋やコンロをしょっていかなくてはならない。
それに高齢者はグルメだから食料もうるさい。

 私が春山登山をしなくなったのはこの装備の重さに耐えられなくなったからで、年をとると20kgを越える荷物はそれだけで体力を消耗させてしまう(私は若い頃は25kg~30kg程度の荷物を背負っていた)。
今回の医師のパーティーの年齢構成は78歳、、75歳、75歳、66歳、63歳、63歳だからどう見ても体力があるとは思われない。
特に75歳以上の人が3名いるが、こうした人が重い冬山の装備をして登ることは体が動かなくなってしまうので最初から無理なのだ。

 新聞記事によると防寒機能のない雨具とその下は夏山程度の薄着で、手袋をしていない人もいたと報道されている。
このため全員低体温症で死亡した。
どの記事を読んでも「軽装登山で軽率だ」との指摘がなされているが、老人になってみれば分かるが軽装登山以外できるはずがない。
本人にしてみれば天候は晴れると思い夏山登山感覚だったのが、急に冬山になってしまい遭難したと言うのが実態だろう。

注)一部になぜ雪洞を掘って避難しなかったかとの報道もあるが、これなどはほとんど冗談の世界だ。雪洞を掘るにはスコップが無ければ不可能だし、掘る作業そのものも大変な体力がいる。老人が雪洞など掘っていたらそれが原因で死んでしまう。

 今日本の山は中高年者のラッシュでどこに行っても今回のパーティーのような老人に出会う。
昔だったら70歳代になれば孫の面倒を見ていたのが普通だが、3000m級の山に登っているのだからなんとも元気だと思うが、これは夏山だけの話で冬山になったらまず無理だ。
春山は夏山と冬山の両方の顔を持っていて、後者の場合は死神に会ったようなものだ。

 
 今回の遭難死は老人登山の限界を教えてくれており、中高年者は今回の遭難を他山の石とすべきで春山を甘く見ないことだ。

(5月10日追加
 その後の報道によると遭難者は防寒用のジャケットやズボンを保持していたという(ただし全員かどうかは分からない)。ただしそうした防寒着をつけることなく凍死をしており、急激な気温の低下に対応できなかったものと思われる。
せっかくの装備もつけられる体力が無ければ無駄でやはり老人登山の限界を示している。


なお過去の遭難に関する記事は以下参照。
・トムラウシは魔性の山

http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/21720-6bf2.html
・奥秩父ぶどう沢の三重遭難
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/2283-nihonntere.html

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個人生活 登山」カテゴリの記事

コメント

続報によると荷物の中には防寒衣料も入れていたそうです。
予備的に着ておくのは暑くて体力を消耗することや、
あまりの急変に着るのが間に合わなかったらしいことが、
ピッケルか何かを取り出そうとして息絶えた様子、と記されています。

寒気団が予想以上に張り出してきているという変化もちょっと頭に入れておく必要がありそうです。

(山崎)続報を私も見ました。せっかく防寒具を持っていながら着れなかったのは体力が消耗したのと身体が寒さで硬直してもう何もできなくなっていたからでしょう。

投稿: 横田 | 2012年5月10日 (木) 15時36分

「全員が下着とシャツの上にジャンパーや雨がっぱの軽装」との報道に疑問を感じなければならない。
彼らは白馬岳山頂付近の山小屋泊まりの予定、山小屋には基本的に暖房はない、当然に防寒着は持っていたはず。リュックサックの容量や重量の報道がなされず見落とされているのは記者の思考力の欠如だろう。

登りでは体は発熱する、それゆえ着込まないのが基本、多量に発汗すると体力を消耗する、また、汗で衣服を濡らすと汗冷えの原因となる。
一定の行動を続けられれば―10度でも発汗する。しかし、何かの理由で行動不能となった。多分、強風で歩けなくなった人がいたのであろう。

行動不能になった途端、体の発熱は停止するので体温は急速に奪われる、特に雨がっぱを着ていたことから下着が汗で濡れていれば顕著である。それゆえ、彼らは低体温症にきずかないまま脳の機能が低下し防寒着を着ることも考えられないまま死に至った。
このことは北海道のトムラウシ山で起こった、低体温症遭難事故でもいえる。
ツアーリーダーの61歳のガイドはテントを持っていながら使おうとしないで死亡している。

彼らはミスを犯したことは間違いない。小蓮華山(2766m、白馬岳の手前のピーク)で進退を判断するべきだった。当時、西風が吹いていたと推定される、東側から小蓮華山に登るため山かげで風は比較的弱い、小蓮華山頂で風の強さが実感できたはずだ。彼らは進むと判断した、ここから白馬岳との中間部分の三国境まで標高差で100m距離1.5キロの下りとなる、登りと違って発熱量は低下し徐々に体は冷えていく、その後の報道でリュックサックの容量は60L、防寒着も十分持っていたとある。進むのであれば小蓮華山頂付近で防寒着を着るべきであった、体が冷えてから着たのでは効果は薄い。

彼らは小蓮華山頂で誰からも拘束されない自由な意思決定を行い命を失うリスクを負ったのだ、ミスを犯して命を失った者に死者に鞭打つようなバッシングはするべきでない。
なぜならば、人々はミスによるバッシングを恐れ、まわりを気にして、受け売りに徹するだろう。皆で間違えても叩かれないからだ。
ミスを恐れ、萎縮した社会では経済発展も望めないだろう。少数意見を評価しない社会では福島原発事故のような事故が再び起こる可能性があるだろう。

投稿: 自由の戦士 | 2012年6月17日 (日) 18時10分

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