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(24.5.10) ロシアの人口減少問題 似たもの同士の悩み

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(友達のタムさんが撮った写真

 日本とロシアはそっくりだと言ったら驚くだろうか?
実は間違いなくそっくりな問題が一つある。人口問題だ。
ロシアの人口は1億4千万人であり、日本が1億3千万人だからほとんど人口規模は同じで、しかも両国とも人口減少に悩んでいる。

 ロシアの人口減少が始まったのはソビエト崩壊後の1993年からであり、一方日本の人口が減少しはじめたのは2005年からだからロシアのほうが先輩格だ。
ロシアの人口減少要因は若者がいなくなる少子化だが、日本と異なり高齢化は進んでいない。
高齢者になる前に死亡してしまうからで特に男性の平均寿命は63歳と、日本人の80歳に比較するとひどい若死にだ。

 理由は一般的にはウオッカの飲みすぎとそれに起因する自殺者の多発で、思い余ってゴルバチョフ氏などはウオッカ禁止令を出したほどだが、「ロシアのような厳しい風土に住むとウオッカを浴びるほど飲まないと生きていけない」と言うのがロシア男性の口癖だ。
一方女性は老年になると体中に脂肪を蓄えるから寒さには強いが、それでも平均寿命は74歳で、日本人の女性の86歳に比較すれば早死にだ。

 プーチン大統領は大統領に再任されてからの就任演説で「ロシアの最大の危機は人口減少だ」と力説した。
何しろ合計出生率が1.2前後だから毎年50万人から100万人規模で人口が減少している(日本の場合は1.3前後だからロシアのほうが少子化が進んでいる)。
世界中を睥睨してきたロシア人がこんなに減少していいものだろうかプーチン氏の悩みは尽きない。

 日本では人口減少問題は主として年金を中心とする社会保障問題として意識されているが、ロシアの場合は安全保障問題として意識されている。
兵隊がいなくなって自慢のロシア軍が崩壊しつつあり、一方無理やり兵役をかすと今度は生産人口がいなくなる。
かつて300万人の兵力を誇ったロシア軍は今は100万人に過ぎない。

注)ソビエト崩壊前の人口は約3億人で人口は半減したが、兵力は3分の1になった。現在のロシア軍は非常に弱体化している。

 現在のロシアは人口減少化でも石油と天然ガス等の鉱物資源が高騰しているのでGDPは日本と異なり上昇している。
しかしリーマンショック前の8%~10%の高度成長は終わり、現在は4%台の安定成長に移っている。
そして将来的には少子化の影響でGDPはさらに減少しそうだと言うのがプーチン氏の悩みだ。

 日本程度の人口ではとても13億の中国に対抗できず、極東経済はすでに中国人の商人に握られている。
極東のロシア国境地帯には約1億人の中国人が住んでおり、一方極東のロシア人はたったの600万人だが、ロシア人は極東に住むことを好まず機会があればモスクワ周辺に移動してしまう。
極東とシベリアは過疎化が進み、町や村全体が消滅している。

注)極東の物流経済は、中国の商人が出稼ぎにきて生活物資を供給してくれるのでかろうじて生活が成り立っている。実質的に極東は中国の経済圏になっている。

 プーチン氏はロシア人を増やすために子供政策に力を入れており、ウリアノフスク州をモデル地区にして第2子が生まれると約37万円の報奨金を出していた。
日本の子供手当てが年間16万円程度だから約2倍の大盤振る舞いだ。
NHKのワールド・ウェーブ・トゥナイトでこの模様を放映していたが、報奨金を受領した主人の月収は3万円だったから第2子を産むと自分の年収と同額の報奨金が得られることになっていた。
奥さんが「第3子も生みたいわ」と言っていたがそのとおりだろう。

注)その結果ウリアノフスク州の合計出生率は1.5人に上昇し人口減少が止まったという。

 ロシアの人口問題は日本に比べると老人問題がないだけ対応がし易い。
子供支援問題に集中できるからだが、一方日本人は世界最高レベルの平均寿命で生きながらえるので子供と老人の両方の問題を抱えている。

 それにしてもロシアと日本は似たもの同士だ。
互いに人口減少に悩み、隣国の中国の脅威におびえている。
ロシアは資源大国で日本は技術大国だ。パートナーを組むには最適の関係だが、残念なことに第二次世界大戦の負の遺産を引きづったままで蜜月関係にはなれない。
日本とロシアが手を組めばこうまで中国の脅威にさらされなくても済むのにと残念でならない。

注)ロシア経済に関するの過去の記事は以下のとおり
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/2117-a928.html
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat39651891/index.html

また直接ロシアの人口問題を扱った過去の記事は以下のとおり
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/201124.html

 

 

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評論 世界経済 ロシア経済」カテゴリの記事

コメント

農業問題でも取り上げられていらっしゃいましたが、ロシアも日本も官僚天国です。
日本は技術がある分顕在化しませんが、ロシアで行政手続きを受けようとすれば、必ず牢獄のような建物に長時間閉じ込められることになります。
もう10年以上の前のことなので現状はわかりませんが、電話料金を銀行で払うのに半日並ぶのは当たり前の作業でした。
おそらく、この問題が最大のネックだと思います。

投稿: puyopee | 2012年11月17日 (土) 17時40分

ロシアは、日本ではあまり知られてませんが国民も大統領も親日国ですし中国朝鮮の膨張主義や人権侵害やテロの脅威も嫌いなもの同士です。
ロシアと同盟国のフランスの日本好きは有名ですし石油を輸入してる面ではドイツとも利害が一致します。
ロシアに日本企業が沢山高度なインフラを安倍政権のトップセールスで輸出し医療・衛生環境やフランスと組んで鉄道を輸出したら自殺率も下がり環境が良くなり非常に喜ばれます。
日露の経済発展にも繋がります。
冷戦後はアメリカとも友人でありソチ五輪もありますし日米露の3カ国で防衛協力とFTA等で経済協力が強化されれば防衛環境も整い人口減少推移も減ると思います。
日本の医療・衛生技術は最先端で街も綺麗です。
ロシアはフランスドイツと共に経済発展しており日本が衛生面で協力すれば中国産に代わってASAENと共に安全性の高い商品の生産地になると思います。
アメリカも中国製品は嫌いですしロシアと組むほうが大人の話が出来て良いに決まってます
エネルギー安保ではロシアの石油とアメリカのシェールガスと日本のメタンハイドレートこれらを相互に友好的に安定供給しあう協定が出来ればかなり安心出来ます。
日米露で石油に代わる木質バイオマスと蓄電可能な揚水発電と燃料電池の開発を勧めれば原発の代替に将来なっていく可能性もあります。
日本の火力発電はクリーンであり燃料専用材木による木質バイオマスに応用され輸出されればCO2削減にも繋がります。
一国で防衛等不可能ですし反日国より親日国と組む方が安心できます。
またロシアとの協力はアメリカと日本ドイツの敵国条項を削除し歴史的和解が実現するほどの力を持ってます。
似たもの同士だからこそ原発や人口減少や福祉衛生等協力できることは沢山あります。
北方領土交渉でも引き分けが出来ればJRさんとTGVさんによる寝台特急での大陸横断鉄道(青森北海道~北方(日本・ロシア)ロシア極東まで結ぶ夢のある構想も可能だと思います。
漁業面でも日本同様水産エコラベル個別管理で持続可能な漁業を実践し始めた国であり中韓の密漁や大量に捕る違法漁船や海賊に悩まされており、
防空識別権問題でも公海上の自由の原則と国際法の秩序を領空領土を拡大しようとする中国に守らせる必要がある点や中国系移民対策で日本とロシアは手を組めます。

(山崎)詳細なコメントありがとうございます。

投稿: x | 2013年12月 4日 (水) 13時31分

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