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(24.5.29) プロジェクトWISDOM 高齢化する世界 破綻は避けられるか

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 今回(9日)のプロジェクトWISDOMのテーマが「高齢化する世界 破綻は避けられるか」だったので期待してみたが、残念ながら空振りに終った。
アメリカやフランスの専門家を招いてのディベートだったが、話が抽象的過ぎていたのと、同時通訳者がさらに抽象的に日本語に翻訳するので、何を言っているのかさっぱり理解できなかったからだ。

注)同時通訳はどうにかならないものだろうか。この番組は別にリアル性を求めているわけでないので、正しい日本語にして日本語字幕を付けてもらいたいものだ。
この番組をまじめに見るのは私のような高齢者ぐらいなのだから、高齢者に配慮した番組つくりを心がけてくれたらと思う。


 私が英語を直接聞いて理解できるレベルであったらまた違った印象を持ったかもしれないが、同時通訳者の日本語はどう贔屓目に見ても日本語とは言えず、聞いていてただただ疲れるだけだった。

 もともと超高齢化社会とは65歳以上の人口が20%を越す社会を言うが、こうした社会は日本だけしかない(2010年 23%)。
ヨーロッパが超高齢化社会になるのは今から20年後であり、アメリカの場合は40年後だ。

 したがって海外の専門家が超高齢化社会を研究の第一テーマにしていないことは明らかで、話す内容が一般的な人口動態であったりロボット技術の発展であったりしたのはいたし方ない。
この中で日本人の出演者として「デフレの正体」の著者、藻谷(もたに)浩介氏が出ていたが、さすがに藻谷氏の話は具体的で分かりやすかった。

 現在の日本がおかれている超高齢化時代はベビーブーマーが高齢者(65歳以上)に突入し、一方若者の多くが結婚もせず子供も生まないベビーバックの時代に突入していることから来ている。
このため今でも高い高齢化率がさらに上昇するが、高齢者の数そのものは2020年をピークに絶対数は停滞すると言う。
藻谷氏に言わせると「この2020年まで持ちこたえれば社会保障は何とかなる」と言うのだが、問題は後10年持ちこたえられるかと言うことだ。

 超高齢化問題は年金受給者が増加すると言う問題でもあるが、よりシビアな問題は医療費の増大である。
これは私の経験でもそうで、衣食住の費用はほぼ一定か場合によったら減少しているのに、医療費だけは傾向的に増大している。
最近腎臓を傷めたり、歯の治療をしたりしており私の場合銀行預金を下ろすのは医者に通うときだけになっている。

 藻谷氏によると日本の高齢化対策は成功と失敗の両面があり、成功は日本の高齢者がヨーロッパ人に比較すると非常に労働好きだということだという。
アンケート調査で健康であれば一生涯働きたいと答える日本人は約30%で、フランスの2%に比較すると雲泥の差だ。
働いている日本人は健康と言うデータもあり、高齢者に職場を与えるのが医療費の削減になると強調していた(長野県の事例)。

 もっとも老人がいつまでも退職しないと言うことは若者の職を奪っていることでもあり、昨今のように輸出産業が日本から逃げ出している状況からするとフルタイムでがんばるのは問題がある。
パートタイムで適当に働き年金込みで生活するのがちょうど良いレベルだろう。

 また藻谷氏得意のデフレ論議で行くと、超高齢化社会の最大の問題は高齢者は消費を絞ってしまうので常にデフレ圧力がかかると言う問題だと言う。
国内市場が狭まるので企業は輸出に特化せざるを得ないが、一方輸出環境は円高で企業の収益が圧迫される。
老人相手の国内市場が拡大すれば問題はないのだが、せいぜいDOCOMOが老人向けのスマートファンを開発したり、飲み込みやすいレトルト製品を食品会社が開発したり、老人向けアパレル商品を開発したり、また時代劇専門チャネルが盛況だとのことだが、これらはしないよりましと言うレベルで、どう勘定しても若者の購買力にはかなわない。

 したがって最後は若い外国人の移民を受け入れることが最後の切り札になるが、日本はアメリカと異なり移民受け入れに消極的だ。
政府間の取り決めでインドネシアやフィリピンから受け入れた看護師や介護士でさえ、厳しい試験を課して追い返そうとしているし、日本の国籍取得には厳しい条件がつく。
藻谷氏は「どこの国が移民を提供するか。中国やタイは自国で働くほうが裕福なので移民の出し手はいないのではないか」と言っていたが、アメリカの例を見ても分かるように貧しくてもアクティブな若者は世界中にいくらでもいる。
ミャンマーバングラディシュといった国からの移民は期待できるだろう。

 ここから先は私の提案だが、超高齢者にとって唯一の消費需要は医療・介護しかなく、その他の分野はとても成長産業というわけには行かない。
日本だけが超高齢化社会に突入しているのだから、この分野への個人や企業の参入が最も成功する可能性が高い。
人材(医者、看護師、介護士)等については日本の国籍取得を簡単に行えるようにし(日本語ができなくても良い)、日本人として厚遇する必要がある。

 一方で日本人の職場が狭められるという心配には日本の医療機関を世界に解放して、日本を世界の老人医療の先進国にするのが需要拡大につながる。世界には金持ちはいくらでもいるし、そうした人々に最新医療を提供できれば医療・介護産業こそが日本の成長産業になるのはまちがいない。

 超高齢化社会が日本だけで進んでいるのはある意味でチャンスなのだ。
日本人だけが自分の頭で考え実践する機会を与えられている。
このチャンスを利用しなければ利用できるチャンスなど何も存在しない。

注)私がプロジェクトWISDOMに不満なのは、こうした日本独特の問題を日本研究者でもない外国人にディベートさせようとする無理があるからだ。
自分たちで考えなければならないことを外国人に考えさせても何の意味もないというのが番組を見た結論だ。

なお医療産業を日本の成長産業にしようとの指摘は以下の記事を参照。http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/2423-da97.html

 

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