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(24.5.28) 日本原子力行政の終焉  再処理の目はなくなった

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 毎日新聞の5月24日のスクープで、内閣府の原子力委員会が実際は東電等の事業者の言いなりになっており、これを経済産業省と文部科学省が支えている構図が明らかになった。

 原子力委員会は本年夏までに新原子力大綱前回は05年に策定されている)を纏めるべく小委員会で検討をしていたが、近藤原子力委員長や小委員会の座長である鈴木委員秘密会を開催し、そこで小委員会の結論を誘導していたことが判明したからだ。

注)小委員会は7名の委員からなっていて、この委員には事業者や官庁出身者はおらず中立的な委員会である。そこでの結論を出す前に小委員会原案を東電等の事業関係者や経済産業省の担当者に回覧して修正意見を求めたもの。
この会議に近藤原子力委員長と小委員会の座長鈴木氏が同席していた


 小委員会で結論を出す議題は核燃料サイクルをめぐる総合評価案だが、以下の3案の評価を行うことになっていた。
この評価を事業者と官庁にとって都合良いように修正を加えるのが秘密会の目的だが、原案では全量直接処理が最も安価だとの結論になっており、再処理推進派にとって都合の悪いものだった。

注)秘密会は毎週開催されおり、今まではこうした秘密会が表に出ることはなかったが、毎日新聞のスクープで露見した。
なお3案とは以下の通り。

① 全量再処理案
② 全量直接処理案

③ 直接処理・再処理併用案


まずいじゃないか、これがそのまま承認されると再処理の目がなくなる。なんとかしないと今までの努力が水泡に帰してしまう。
全量再処理は無理でも直接処理・再処理併用案を新原子力大綱で政府に承認させよう


 現在青森県の六ヶ所村にある国策会社日本原燃は1993年に約2兆円をかけて再処理施設を建設し現在試運転中である。
再処理事業はしばしばトラブルが発生し必ずしも順調とはいえず、さらに今回の新原子力大綱で再処理が停止されれば、日本原燃は単なる使用済み核燃料の廃棄場所になってしまう。

 このため日本原燃電力各社が出資している)の存続をかけて、全量直接処理案にけちをつけ、直接処理・再処理案を政府が採用するように秘密会で誘導した。

 総合評価の書き換えは以下のように行われた。
① (原案) 全量直接処理は総費用において優位

(修正案)ウラン価格が現価格を持続する前提や現状の技術的知見の下では、全量直接処理が他の案に比べ優位になる可能性が高い。

② (存在せず)

(修正案)
直接処理・再処理併用案は全量再処理より経済的に多少有利

 
こうして当初は全量直接処理が経済的に最も優位だとの小委員会の結論が、直接処理・再処理併用案が多少優位に書き換えられた
だが実際はこの再処理施設は今後どの程度費用が増加するか分からない代物になっている。
当初の予算は7600億円だったが、現在すでに2兆円を越えており、今後4兆円規模まで膨らむ可能性がある。

 したがってどんなにがんばっても直接処理より費用がかかることは確実なのだが、それでは再処理を推進してきた原子力行政全体の否定になってしまう。
電力各社と経済産業省と日本原燃がタッグを組んで、小委員会の原案を修正し、国の新原子力大綱をゆがめることに成功した。

 だがしかしこのからくりがここまで毎日新聞によって暴かれてしまえば、今回の小委員会の原案を政府がそのまま採用するのは困難だ。
再度見直しがされることになったが、20世紀の花形技術だった原子力時代が終ろうとしている今、再処理を継続する目がなくなったと言うのが実態だろう。

なお原子力行政は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat46318075/index.html

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評論 日本の政治 原子力行政」カテゴリの記事

コメント

とはいえ、大飯原発再稼動問題で野田政権、藤村官房長官が関西広域連合が容認したと、捻じ曲げて発表した可能性も指摘されてます。
http://portirland.blogspot.jp/2012/05/blog-post_2801.html

マスコミでは全く無視されてるようですが、仕事帰りに参加しやすいようにと有志が事前届けを行い、毎週金曜日などに総理官邸前で抗議の声を上げています。
さすがにこの晩は緊急に集まり、通常8時までの自主規制を外して9時過ぎまでメガホンをあまり使わずに抗議されてました。
http://ustre.am/usAQ/1
背後に、いつもは警護のため駐留している公安の車両(装甲車など)が全くない点にご注目を。昔とは変わってきてます。

投稿: 横田 | 2012年5月31日 (木) 01時11分

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