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(24.5.24) 民生資金は日本が出すからアフガン戦争は止めよう  オバマ大統領の戦略

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 01年のアメリカ・ニューヨークやワシントンを襲った同時多発テロから10年、首謀者のオサマ・ビンラディンを殺害してから1年、すっかり世界はテロとの戦いに疲れてしまった。
もう、やだ、俺は降りる」フランスのオランド大統領はオバマ大統領にそう宣言した。この21日にシカゴで開催されたNATOサミットでの話である。

 オバマ大統領としては14年末に一斉にアフガンから引き上げる計画であるので、このフランスの抜け駆けは忌々しいがさりとてフランスを説得するすべはない。
現在約13万人国際治安支援部隊ISAF)がアフガンに派遣されているが、主体はアメリカとイギリスで、フランスは3300名のお付き合い部隊を派遣しているだけだ。それでもフランス兵の戦死は過去10年で83人に登る。

 アメリカの撤退計画の柱は治安維持をISAFからアフガン政府の軍隊にスムーズに委譲し、国内の安全を確認したあと撤退すると言うものだが、アフガン兵士の訓練は遅々として進んでいない。
ワールド・ウェーブ・トゥナイトでその模様を放送していたのを見たが、新兵がテロ作戦の訓練を受けていたもののドアーを足で蹴破ることもまともにできず、銃のチェックもおたおたしていた。
これじゃ、子供の軍隊とさして変わらんな」正直な私の印象だ。

注)アメリカは01年から10年まででも7000億ドル(56兆円)の資金をアフガン戦争に投入した。これ以上の戦費はアメリカ経済の浮揚の足かせになるだけだから、アフガン軍が弱体でも2年後には撤退するつもりだ。

 日本はここに軍隊は派遣していないが、いっぽう資金援助はたっぷりさせられている。
09年以降の5年間で4000億円の資金援助だから毎年800億円規模だ。
そして現在問題になっているのは14年以降のアフガン政府への支援資金をどのようにまかなうかと言うことだ。
誰も出したくないのだが、ターゲットは日本になっている。

 アフガン政府の軍隊と治安警察の規模を25万人と想定してその資金を各国が支援することになっており、その維持費は年3200億円だと言う。
この金額のほとんどを日本に負担させようと言うのがオバマ戦略で、この7月に日本でアフガニスタン支援会議が開催される。
これからは民政移管が主体だから、日本の出番じゃないですか。ぜひ維持費は日本が見てください」なんて感じだ。

 だが14年以降の軍隊の維持管理費についてはかなり問題がある。
最も重要な課題はアフガン政府軍が弱体でとてもタリバンにはかないそうもないことで、カルザイ大統領からやんやんの追加の督促が来そうなことだ。
資金がたりない、兵隊も弾薬もたりない。もっと金をよこせ。俺が負けても良いのか・・・・テロがはびこるぞ

 しかし問題はいくら金をつぎ込んでも資金はカルザイ政権の高官や部族長に砂漠の砂に水をまくように消えてしまうから、実際は資金援助をしても無駄なのだ。
なにしろカルザイ政権なんていっても日本のような官僚組織があるわけでなく、部族長とその部下という関係だから、資金を管理するのは部族長の一存になっている。
これは俺の金だ、お前らにやるぞ!!!」

 だから日本が14年以降維持費を支払わせ続けられるとなると、ほとんどどぶに金を捨てるのに等しい。
もう無駄だから日本は資金援助を停止する
時の総理がこうオバマ大統領に言えれば立派だが、それより援助の増額に応じそうなのが日本だ。

 なんとも心配なアフガニスタン支援会議がこの7月日本で開催されようとしている。

なお、アフガニスタンに関する過去の記事(貧者の兵器とロボット兵器)は以下のとおり。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/22910-nhk.html

 

 
 

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