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(24.5.12) 東電の総合特別事業計画は最初から無理筋

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 「これじゃ最初から無理じゃないか・・・・・・」つくづくそう思った。
5月9日に政府は東電の「総合特別事業計画」を認定し実質的に国有化することにしたが、だからと言ってとても目標の達成は不可能と思われる内容だ。
目標とは14年3月期には黒字に転換すると言う計画だが、希望的観測が多すぎる。

注)「総合特別事業計画」のポイントは東電が10年間で3兆円強のコスト削減をする代わりに、金融機関が1兆円の融資、原子力損害賠償支援機構が1兆円の資本投入、そして一般家庭が10.28%の電気料金値上げ(ただし3年間)を飲むと言う内容。

 問題点はいくつもあるのだが、特に以下の2点については問題が大きい。

① 家庭向け電気料金を3年間、10.28%値上げをする。ただし前提条件は13年4月から柏崎刈羽原発7基の再稼動が行われること。

 こんなことが可能なのだろうか。原発の再稼動については安全性の確認が必要だが、そのレベルはますます高くなっていて柏崎市が仮にOKとしてもその周辺の自治体は大反対をしてるし、新潟県も反対だ。
現在原発再開に賛成する自治体は原発労働者多くを抱えている原発がある自治体だけになっている)。

 また政府は10.28%の値上げ申請に対して枝野経済産業相は上げ幅を圧縮する意向を見せており、そうなれば東電の収支改善がさらに遠のく。

注)原発を1基稼動させると燃料費が780億円抑えられる。仮に稼働率70%で計算すると5基が稼動していることになり、その燃料費の圧縮は3900億円になる。反対に言えば稼動しないと3900億円(10年間で約4兆円)の燃料費が収益を圧迫する。

② 廃炉や除染費用については見積もりが不可能なので最低限度の数値に抑えてある。

 しかし実際にはこうした費用は次々に膨らむものであり、数兆円単位で膨らめば今回の支援の枠組みが破綻する。

 原発の再稼動は難しく、廃炉のような後ろ向きの資金がいくら出てくるか分からない状況下で、東電の経営を14年3月期に黒字になるとはとてもおもわれない。

 通常倒産した会社の再生方式は優良資産と不良資産の分離を行い、新会社は優良資産だけを引き継ぐと言う方式がとられる。
ところが今回の支援の枠組みは不良資産と優良資産の分離がされておらず、倒産会社として不良資産を引きづったまま経営を継続させる計画になっている。

 たとえば東電が10年間で3兆3650億円のコスト削減に努力しても、柏崎刈羽原発が稼動しないだけで10年間で約4兆円の経費増になるし、除染・廃炉・賠償金でも数兆円規模での見積もり相違が発生しそうだ。

 今回の「総合事業特別計画」はそうした意味で、14年3月までの暫定的な計画に過ぎない。
2年後に抜本的な改革案を出さざる得なくなるが、今そうした計画を発表すると政治的影響が大きすぎるので大人の判断をしているだけだ。

 結局東電問題は紆余曲折をしながらも最後はJALのように不良資産を切り離しその償却はすべて国庫が行い、残された会社に金融機関が更なる融資を行って再出発する道しかないと思われる。

なお東電の経営問題は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43519325/index.html

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