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2012年4月

(24.4.30) NHKスペシャル いま年金に何が 公的年金問題

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 NHKが放送した「いま年金に何が AIJ事件 そして公的年金」と言う番組を見たが、AIJ問題はともかく公的年金においてもきわめて深刻な問題が発生していることに驚いた。
今まで公的年金には問題がないと政府は言っていたし、私自身もそう思っていたからである。

 現在公的年金が抱えている問題は積立金加速度的になくなりつつあるということで、削減額が当初予定の毎年3兆円規模から実際は10年6兆円、11年6兆円、12年9兆円と年を追うに従って予想と実際が乖離してきた。
現在積立金の額は約150兆円であるが、これが毎年大幅に減少し始めている。

注)厚生労働省の積立金の試算では2030年まで増加し、300兆円になることになっていた。ここ数年は3兆円規模の減少でその後大幅に増える試算だった。

 現在の公的年金制度は09年の年金部会の試算によるもので、この試算は5年ごとに実施していると言う。
09年度年金部会の結論は「現行の年金制度は問題なく積立金は増加し将来にわたって公的年金は支払える」というもので、その結果厚生労働省は年金制度の変更は行わず現状維持に留めていた。

 今思うと信じられないような楽観的な試算が年金部会からなされていたが、これは年金部会、厚生労働省、そして政府との出来レースだったとも言える。
もし将来、公的年金制度が崩れることが明確になると年金制度の修正を政府と厚生労働省は行わなければならない。

 それは現役世代には保険料の値上げであり、退職世代に対しては年金金額の引き下げになる。
政治的には重いイシューで、時の政権が崩壊するほどのインパクトを与える。
だからこの三者はそっとこの問題を先送りした。

 先送りの方法は予測数字を目いっぱい楽観的な数字にすることだ。
具体的には以下のような数字を用いた。

① 60歳代前半の男性の就業率を90%と想定する(実際は22年度時点で約6割)。
② 30歳台の子供を持った主婦の3分の2が働いている。
③ 30台後半の女性の給与は毎年2.5%程度上昇し、現行27万円の給与が43万円になる(
実際は平成9年以降給与は下がり続けている
④ この結果2030年には保険料収入は今の倍になる。

 年金部会の責任者の弁としてリーマンショックが起こることも、デフレが続くことも想定せず、インフレと給与の増加を前提に年金計算をしたのだと言う。
NHKのアナウンサーが「政府は情報を隠蔽するのではなく公開して年金問題を国民の問題として討論すべきだ」との趣旨の発言をしていたが、今まで政府は年金部会と厚生労働省に命じて意図的に楽観的な数字を挙げることでこの公的年金問題を隠蔽してきた。
「大変だ、実際はこのまま推移すれば年金額は減らされ、現役世代の保険料は増加するのか ・・・・・・・・

 私の個人的な経験でも年金額がほぼ一定なのに対して、ここ数年はデフレで物が安くなり生活が大幅に楽になったと思っている。年金で得をしているという感じだ。
ホンのちょっとした品物は百円ショップのダイソーで間に合わすし、衣類はユニクロだし、ペンキや農作業用の資材はD2で十分で、食料はジャスコだ。
「イヤー、デフレで定年退職者は裕福な暮らしになった」と思っていたが、その分年金資金にしわ寄せがかかっていた。

注)デフレとはこうした低価格商品を扱う業者だけが生き残る世界を言う。

 客観的にみてこの公的年金問題は避けて通れない問題だろう。
私個人としてはこのままの水準が続いてほしいと思うが、将来の年金受給者に年金が支払われなくなるようでは公平さに欠ける。
近い将来、私の年金額が減額されてもギリシャ人のように精神的パニックに陥らないようにしておくことが必要なようだ。

なお年金問題については以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat48782298/index.html

(別件) おゆみ野クリーンクラブに対するカンパの実績、および作業結果報告。

① カンパは合計で11万7000円。19名の方から支援をいただきました。
ありがとうございます。

② 夏の道・春の道・水辺の道のベンチ、およびそれに隣接する公園(夏の道公園・のりくら公園・はるのみち公園)のベンチの塗装は終っております。

③ 四季の道に設置してある距離標識のペンキ塗りが終りました。

④ 夏の道のケヤキの下枝が自転車の通行の邪魔になりましたので剪定しました。

(5月の予定)
秋の道公園、大百池公園・そばら公園・金澤小学校の横の公園のベンチのペンキ塗りを行います。

 

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(24.4.29) ジャック・アタリ氏の提案 如何に市場を制御するか

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 ジャック・アタリ氏といえば最近NHKのプロジェクト・ウィズダムにしばしば登場し、世界の知性の一人として紹介されているフランスの経済学者である。このアタリ氏が毎日新聞に投稿した「ソマリア化する世界」と言う一文は非常に興味深い内容だった。

 氏によれば、現在の市場経済はまったくソマリヤと同じで市場を制御するルールも管理する主体もないという
市場のプレーヤーは主としてヘッジファンドだが、ソマリヤの海賊と同様にやりたい放題で世界経済のならず者だ。

 氏は「民主主義を伴わない市場のグローバル化はソマリヤと同じだ」と言い、この「グローバルな世界に何とか世界規模で手綱を付けないとますますヘッジファンドは凶暴になる」と言う。

 確かにそのとおりだが、だが一体誰がヘッジファンド民主主義を教えるのだろうか。

 氏の提案は国連の強化で、国連に武力と資金力を持たせようと言うものだ。
武力とはNATO軍を再編成しそこにロシアと中国と日本を参加させて、新国連軍にすると言う提案である。
武力なき国連はまったく張子の虎で、シリアのアサド政権の強権政治を誰も止めることが出来ない。
実際に軍隊を持っているアメリカNATOも軍事力でアサド政権を崩壊しようとはしない。
そのためアナン国連特使がアサド大統領と約束した停戦はもうすっかり破られて、相変わらず国民の圧殺が続いている。

注)なおなぜアメリカやNATOがシリアに対して軍事行動をしないのかの理由は以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-5855.html


資金力についてはIMFを国連の配下に置こうというもので、現在アメリカの実質的支配にあるIMFを世界に解放しようと言う提案である。
アメリカにとっては金融覇権の要を国連に移譲することになるのでおいそれとは同意できないが、中国やロシアの拠出金が増大すれば、アメリカだけの意思でIMFが運営できなくなるのは時間の問題だ

 こうして軍事力と資金力を国連に持たせて、世界の金融ルールを国連主導で締結しようと言うのがアタリ氏の提案だった。

 
リーマン・ショック以降の世界をみていると、市場は制御されることなくひたすら利益確保に走っており、だれもヘッジファンドと言う私的な怪物を制御できない。
だがヘッジファンドをここまでのさばらせている原因は皮肉にも各国の金融緩和策である。

 政治家は国家財政が破綻した責任をすべて中央銀行に押し付け、金融緩和とインフレ政策をとることを求めている(財政が破綻しているため)。
欧州中央銀行は100兆円規模の資金を金融機関にばら撒き、日本銀行は基金を70兆円に拡大した。
アメリカのFRBは価値のないサブプライムローン債権を担保に湯水のように資金を市場にばら撒いている。
そしてしこの資金は日本でもヨーロッパでもアメリカでも企業投資に向けられることなく、すぐさまヘッジファンドの銀行口座に振り込まれ、その資金で需要が見込まれる石油や鉄鉱石や最近では漢方薬のマネーゲームに使用されている。

注)日本の実情を見ても分かるように日本国内には投資機会はない。したがっていくら金融を緩和しても日本経済は上向かない。

金はいくらでも印刷するから、誰でもいいからこれを使ってインフレを起こしてくれ」これが経済政策だろうか。
確かに石油価格は上がり、天然ガス鉄鉱石食料も、今では漢方薬までも投資対象になり輸入価格が上がるので日本経済はインフレ体質になってきた。
希少資源を持っている国は輸入価格の上昇を輸出価格に転嫁できるが、日本のように資源小国はまったくのピンチだ。

 火力発電用の天然ガスの価格上昇を東京電力は消費者に10%UPして転嫁すると言う。
日本の金融緩和策は日本経済の成長にはまったく役に立たず、ただヘッジファンドの投機をますます増徴させ、輸入価格のアップと言う形で国民生活を苦しめている

 思い出してほしい。日本はバブル崩壊後何をやっても駄目だったし、EUも(ドイツをのぞいて)リーマン・ショック後は日本病に完全にかかっている。
なぜ日本とEUが経済成長から取り残されているかと言うと、新たな成長産業を持っていないからだ。
日本は輸出産業土建業で持ってきた国だが、円高で輸出産業は崩壊し、財政危機で公共投資が圧縮されて土建業も崩壊した。それに代わる産業は育っていない。

注)なぜドイツ経済だけが好調なのかは以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/2448-4d47.html


 アメリカでは不動産市場が長期低迷しているが、IT産業のアップルががんばっているため資金がIT産業の株式に流れ込んで株バブル状態だ。
アメリカ人は貯蓄を株式で運用しているのでこの株バブルで消費意欲がひところより沸いており、景気回復基調にあると言われている。
しかしその原因はヘッジファンドに流れた資金が株式市場に流れているに過ぎない。

 ジャック・アタリ氏の言うようにグローバルな経済をローカルな国家が制御できないでいる。
国家が苦し紛れに中央銀行に金を印刷させているため、金は湯水のようにあるがそれを使用しているのはヘッジファンドと言う怪物でこちらはグローバルに動き回っている。
1%が99%を搾取している」世界では、誰もヘッジファンドを止めることは出来ず、モンスターは更なるモンスターになっている。

 
 アタリ氏の言う国連に力を持たせる案は確かに魅力的だが現実性という点では残念ながら悲観的だ。
実際に軍事力も資金力も握っていて、さらにヘッジファンド(実際はアメリカの金融機関の別働隊を実質的に抱えているアメリカがおいそれと自分の覇権を手放すとはおもわれない。
日本とEUはヘッジファンドの餌食になってしまった
そしてアメリカが自国のヘッジファンドの餌食になり、ヘッジファンドと言うエイリアンによって腹を内部から食いちぎられて世界に助けを求めるまで、この不安定な世界情勢は続くのだろう。

なおプロジェクト・ウィズダムのシリーズは以下にまとめてあります。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/nhk_4/index.html

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(24.4.28) 小沢一郎氏の無罪と小沢包囲網 ライオンは檻に入れろ

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 小沢一郎元民主党代表政治資金規正法違反を問われていた事件で地裁無罪判決を出した。
私は22年10月9日に「小沢元代表に対する検察審査会の強制起訴は無理筋 」(リンクが張っております)と言う記事を書いて、小沢元代表が無罪になることを確信していたから判決そのものには驚かない。
しかし裁判長が「限りなく黒に近いが証拠がないので無罪だ」と言う趣旨の判決を下したのには笑ってしまった。

 もともと政治資金規正法ざる法で、政治家本人を逮捕するには秘書との共謀の事実を立証しなければならない。
公職選挙法では選挙関係責任者(第一秘書等)が逮捕されると政治家も逮捕される連座制をとっているが、政治資金規正法はこの連座制をとっていない
だから「共謀などない。知らなかった」と言えば明白な証拠がない限り政治家本人を有罪にすることは出来ない。
実際は明確な証拠など望むべくもないから政治資金規正法で政治家を有罪にすることなど出来ないのだ(鳩山元首相も親からの資金援助を得ており、それを政治資金収支報告書に記載しなかったが起訴されなかった)。

 小沢氏は今回一貫して「知らなかった」と主張しており、一方検事側は秘書の石川知裕氏の供述調書を唯一の証拠としてあげていたが、供述調書は検事のでっち上げであることがほとんどであり、今回もでっち上げの事実が判明した。
したがって唯一の証拠がでたらめなのだから、どう裁判を行っても小沢氏を有罪にすることは不可能なのだ。
日本では証拠なく人を裁くことは出来ない。

 では一体なぜ無罪になることが分かっている小沢氏約1年半にわたって裁判に釘付けにさせたのだろうか。
小沢氏は「私の政治家としての抹殺が目的だ」と主張しているが、私もそう思っている。

 小沢氏はまれに見る豪腕と選挙の強さを発揮するが、その政治姿勢は反米親中であり、また選挙のためには消費税増税に反対して「国家財政より選挙」といういたってご都合主義のポピュリズムの政策をとることが多い。

 小沢氏は民主党が選挙で大勝した09年12月、小沢チルドレン143名の国会議員を引き連れて中国の胡錦濤国家主席詣でをしてアメリカの心を逆なでした。
このためオバマ政権は小沢氏の息のかかった鳩山、菅両首相と首脳会談を開催することをしなかった(野田首相と首脳会談を開くのは野田氏が明確に反小沢の姿勢をとっているため)。

 また小沢氏は野田政権が推し進めている消費税増税には一貫して反対しており、おりあらば小沢チルドレンを使って野田政権を引き摺り下ろそうと画策している。

 そのため小沢氏はアメリカと野田現政権と自民党アメリカ派からにらまれており、水面下でこの反小沢連合が結成されている。
政治資金規正法で小沢氏を訴追することは検察は無理であることは分かっていたが、反小沢連合の水面下の圧力を受けて検察は検察審査会を誘導した。

 まず検察審査会を開かせ、ずぶの素人を集めた検察審査員を、でっち上げの検事調書でだました
秘書が共謀をみとめている
これで検察審査会は強制起訴が妥当と判断した。
反小沢連合の目的は強制起訴にしてその間小沢氏の政治活動を止めるのが目的だから、もちろん無罪であってかまわない。
おかげで野田政権消費税増税法案を何とか国会に提出するめどまでは立った。

 だがしかし今回地裁で無罪になったので今後の民主党の対応が難しい。
腰ぎんちゃくの輿石幹事長は小沢氏の党員資格を回復すると語ったが、一方反小沢氏の前原政調会長は判決が確定するまでは党員資格を回復しないと表明している。

 水面下では検察側が上告するかどうかで綱引きが行われている。野田政権としては上告してライオンを檻に入れておきたいが、証拠なくこのまま裁判を続けるのはかなり難しそうだ。
野田総理の腹一つだろう。

注)私はアメリカとの関連を考えると上告して小沢氏を檻に入れておく方法をとると思っているが、民主党内小沢派の巻き返しもあって情勢は混沌としている。

なお小沢一郎氏にかかる裁判については以下にまとめてあります。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/22109-e16d.html

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(24.4.26) 福島県川内村の住民帰還は成功するだろうか クローズアップ現代

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 福島第一原発からほぼ20Kmにあり、計画的避難地域に指定されていた川内村で、行政機関が率先してこの4月から帰還を始めた。
役場、学校、診療所等の公的機関を優先的に帰還させて、住民の帰還を促そうとの試みだが、1ヶ月たった段階で3000人の住民のうち帰還した住民は500名で、6分の1の規模になっているとクローズアップ現代が報じた。

 もともと川内村過疎化が進んでいた村で、昭和30年約6000名いた住民は原発事故が発生する前に約3000名半減し、さらにそこから6分の1に激減している。
日本全体でも少子高齢化が進んでおり、その中でも福島県が原発事故の影響で最も人口減少が激しい
福島第一原発周辺の警戒区域には人が住めず、その外側の計画的避難区域には人が戻ってこない。

 川内村計画的避難地域にあるが村長の遠藤氏がこの時期に帰村を決断したのはこれ以上時間がたつと、旧村民が実質的に戻れなくなり村が存続できなくなることを危惧したからだ。
避難先で新たな職場を持ったり、子供が新しい学校に通うようになればそちらが新たな古里になり、川内村は忘れられる。

 川内村の放射能レベルは年間1ミリシーベルト以下だからまったく問題はなく、また学校周辺の除染は進んでいるので健康被害を気にするレベルではなくなっている。
それでも小さな子供を持つ親は福島第一原発周辺の市町村に戻るのを躊躇するだろう。
学校の除染は進められてもすべての地域の除染はとても無理で、近所の山や草原に遊びに行くことが出来ない。
だから子供は限られた場所でしか遊ぶことができない。

 川内村の小学校は従来いた生徒のうち今回戻ってきたのは約2割だと言う。
4年生だけで言うと18人いた生徒のうち戻った生徒は一人だった。
映像では戻ってきた少女が一人で木にぶら下がって元気に遊んでいたが、一人では学校も成り立たなくなる。

 帰村が進まない理由は三つあって、どちらも解決が難しい。

① この地域で支えてきた医療体制が崩壊している。大病院は福島第一原発周辺の警戒区域内の自治体にあったため、こうした医療機関が閉鎖されて病院がなくなってしまった(大病院は郡山市まで行かないとなく、距離は約50km)。

② 企業が同じく閉鎖されたり移転してしまって雇用が失われ、実際400名ほどが失業している。復興のための建設業が唯一の民間企業になっている。
村は新たに東京の精密機械メーカーの誘致を働きかけているが、現状確約は取れていない。


③ 3分の1は農業に携わっているが、農地の除染はこれからでかつ川内村の米に対する風評被害がぬけていない。そのため今年の米作は諦めたが今後とも川内村の農産物に対する風評被害が予想される(村にあった養鶏場では生産した卵を購入してくれる小売店がないため閉鎖された)。

 こうした過疎の村は残された人々が互いに助け合うことでかろうじて生活できていたというのが実情だ。すべての村人が村にとってかけがえのない人々だが、そうした人が6分の1に減ってしまった。
ガソリンスタンドも1軒である場合が多く、クリーニング屋も八百屋も魚屋もそれ一軒しかない場合が多い。
そして福島原発が実質的に職場や地域医療を支えてきたのが実態だ。

 福島県川内村の遠藤村長の決断が村の再生につながってほしいとは思うが、客観的情勢は明らかに不利だ。
チェルノブイリの例を見ると、チェルノブイリを古里と思う老人を除いて、若者はこの地を去り老人の寿命がチェルノブイリの寿命になっている。
川内村にとってもその他の計画的避難地域の自治体にとってもつらく厳しい試練が続きそうだ。

なお福島原発関連の記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43206851/index.html

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(24.4.26) 漢方バブルと伝統医療の覇権争い クローズアップ現代

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 とうとう漢方医療までバブルが始まった。クローズアップ現代が報じたところによると、漢方医療の原料である生薬しょうやく)の値段がここ10年で約3倍になり、特にこの2年間程度の値上がりはすさまじいものがあると言う。
生産国は主として中国だが、対ヨーロッパに対する輸出が11年度対前年比で86%増加、対アメリカが67%の増加になっている。

 原因は漢方薬の効果が見直され西欧やアメリカでサプリメント等に大量の生薬が配合され始めたからだと言うが、この説明をまともに受け取るわけには行かない。
現在世界的に資金がありあまっており、ヨーロッパもアメリカも日本も歴史的規模で金融緩和策を行っている。
こうした資金は少しでも需要が増大するところに集中的に集まり、それが金であろうが石油であろうが、また漢方薬であろうが何でもかまわない。

 特に漢方薬については今後確実に需要増が見込まれるために格好の投資対象先になっている。
最大の理由は当の中国が中医学中国では漢方医学をこう呼んでいる)による医療を、西洋医学と並んだ近代医学と位置づけ、政府が大々的に支援を始めたからだ。
漢方薬は西洋医学の医薬品に比較して元々安価木の根や皮を配合して作るため)だったが、さらに漢方薬を保険対象にしたため患者が中医学の病院に押し寄せるようになった

 中国政府としては医療費の削減と、元々生薬は中国産なので国内生産の活性化にも役立ち一石二鳥の効果を挙げている。
さらにこのような中医学の隆盛にともなって、世界の漢方医学の標準化を中国主導で行い、生薬やその配合法、および治療法までを中国方式にしようと動き出している。
国内市場の増加に伴いさらに世界に打って出ようとの戦略だ。

 こうした中国の動きに対して日本の漢方医療は完全に劣勢にたたされていると言う。
日本では漢方医学は西洋医学の補助的な位置づけであり、通常の医師が必要と認めれば漢方薬を処方する。
たとえば高知大学付属病院では肝臓手術のあと必ず漢方薬の大建中湯という漢方薬を処方するが、この効果は腸閉塞の予防で入院日数が平均で3.5日短縮するそうだ。

 現在の生薬の高騰と中国の中医学の世界標準化の動きは日本にとって大きな問題点をはらんでいる。日本の問題点を列挙すると以下のとおり。

① 生薬の高騰は保険対象外の場合、それ自体患者負担の増大となり実際ここ1年の間に2倍から5倍ほど価格が高騰している。

② 生薬が保険対象の場合は薬価基準が引き下げられており、一方で生薬の価格が上がると漢方薬で利益を出せなくなる。こうなると薬局ではこの生薬を扱わなくなり薬が消える。

③ 日本は生薬の8割強を中国から輸入しているが、レアアースとまったく同じ状況になり入手が困難になってきている。このため日本の漢方製薬メーカーは日本国内での生産拡大に乗り出し、休耕田やタバコ作の代替に漢方薬の原料栽培に取り組みだした。
こうした取り組みはかなり期待できるが中国でしか出来ない生薬もある。

④ 中医学が世界の標準化になると日本独自で開発してきた漢方薬が中医学の漢方薬で駆逐される可能性がある。
また原料を中国独自なものに限定されるとレアアース問題と同じく中国に漢方薬の原料を握られる。

⑤ 日本では西洋医学の補助との位置づけで医師免許があれば漢方薬の処方を出来るが、中医学では西洋医学とは別の医師免許が必要になっている。
日本の医者も海外では中医学の免許がないと漢方薬の処方が出来なくなることが予想される。


 上記のような問題をはらんでいるためISO標準化部会で中国、日本、韓国、アメリカ、ヨーロッパの23カ国が標準化制定に取り組んでいる。
現在漢方医療の先進国は中国、日本、韓国の3カ国だが、中国と韓国が自国の漢方医療を世界標準にすべくISOで対抗している。
一方日本は現在蚊帳の外の状況だ。
このまま推移すれば漢方は中医療一色になり、原料も中国に完全に押さえられてしまう可能性が高い。

注)なお韓国では韓医療という。

 もっとも日本では携帯と同様にガラパゴス化して生き延びる道もあるが、今から1500年前に中国から導入し、その後日本独自の漢方として発展してきた漢方医療を日本国内だけに閉じ込めておくのは世界遺産を海外に開放しないようなものでまことに惜しいことだ。

注)残念ながら日本では戦略と言う発想が乏しい。ガラパゴス化して日本国内だけの市場を確保すればいいと考えるが、中国はアメリカと同様戦略の国だから、中医療を国際標準にして世界の漢方医療を中国の支配下におこうとする。
そして日本は泥縄式に中国への対応に追われている。


なお、クローズアップ現代の記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/nhk_2/index.html

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(24.4.25) 文学入門 堀田善衛 「上海にて」

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 今回の読書会のテーマ本は堀田善衛氏の「上海にて」だったが、この本をテーマ本として選んだのは、読書会の主催者河村義人さんである。
河村さんは学生時代に中国に留学した経験があり、その時中国各地を放浪の旅をしたことから中国に対しては思い入れが深い。

 そこで今回は「上海にて」と言うことになったのだが、読んでみてこれは大変なことになったとため息が出た。難しいのだ。
この本は堀田善衛氏の実体験のルポルタージュだが、日本と中国がもっとも激変した終戦直前から終戦後しばらくの間1年9カ月におよぶレポートになっている。

 本そのものは1959年に上梓されたが、それは1957年に中国政府から招かれ上海に旅行をしたことから、思い出の地の再訪を機会にこの本の構想を暖めたものだ。
この旅には日本の代表的文化人である中野重治氏、井上靖氏、本多秋五氏、山本健吉氏、十返肇氏、多田裕計氏が同伴していた。

 堀田氏は戦争の末期、昭和20年3月に上海にあった国際文化振興会に職を求めたが、すぐに終戦(8月)になり、その後国民党から徴用されてほぼ1年半の間日本向け海外放送のアナウンサーをさせられていた。
本人の言葉で国民党から「留用」されたと記されているが、役に立つ日本人はそのまま中国に留めおかれ国民党の宣伝(プロパガンダ)のために仕事をさせられた訳だ。

 「上海にて」はこの間の自身が見聞きした事実をまとめたものであり、終戦時の中国を知る上で非常に役立つレポートになっている。
しかし実際に読んでみるととても難解なことに気づく。
最大の理由は当時の中国の混乱した実態を私をはじめとする日本人はまったく知らないので、予備知識なしにこのレポートを読むのが難しい。
出てくる人物も地名も、また上海における国民党と共産党との関係も分からないので、堀田氏本人がまったく当然だとして説明していることが良く理解できない。
これじゃ、詳細な注がないとさっぱりわからんな・・・」そうした本だ。

 もう一つは氏が国民党宣伝部に徴用された関係もあって国民党の内情については詳しい報告になっている。
一方共産党については外部から見ていただけだったが、それだけに国民党の腐敗に厳しく共産党を高く評価している。
これはこの本を読めばすぐ分かるのだが、国民党と日本軍については悪意ある形容詞が付けられ、一方共産党については好意的な形容詞がちりばめられている。
なんだい、これは中国共産党の宣伝雑誌か・・・・・」今の人が読むとそう思うだろう。

 しかしそれは誤解でこの本が書かれた1959年終戦から13年後)の頃の日本の日本の知識階層の一般的なメンタリティーを表明したものに過ぎない。
現在から見ると信じられないほどだが、戦後日本の言論界では左翼でなければ言論人でないとの風潮があり、雑誌「世界」「朝日ジャーナル」が幅を利かせていた。
文芸春秋」など読んでいようものならお前は右翼かと言われたものだ。

 この潮流が変わったのがイザヤ・ベンダサンの「日本人とユダヤ人」が出版されたとき(1970年)で、この本の衝撃は大きく当時共産党の学生組織民青の幹部だった私の友達はこの本を口を極めて罵倒していた。
この右翼の本め・・・必ず打倒してやる

注)この本の中で「日本人は水と安全はタダだ」と思っているがユダヤ人はどちらも金のかかるものだと認識していると主張された。
日本の安全は日米安保条約で守られており、憲法第9条で守られているのではないと言う主張である。

 堀田氏のこの本の解説を大江健三郎氏が書いているが、「中国について日本人が、戦後に書いた、もっとも美しい本の一つがこれ」だと激賞しており、当時のインテリからは高く評価されていたことが分かる。
どこが「美しい」かというと中国国民党と日本軍の腐敗と堕落を克明なまでに糾弾し、一方でこれから中国の実権を掌握する中国共産党に深いシンパシーを表明しているからだ。

 1957年の訪問は中国が日本の代表的文化人を招待し、最大限のもてなしをしたもので、堀田氏がひそかに恐れていた日中戦争の責任追及はまったくされなかった。
かえって「日中両国間の交渉は二千年にもわたるものであって、まずいことになったのは近近60年ほどのものです」と言って南京虐殺問題などは話題にしなかった。
堀田氏はこれに感動し、中国人の精神性の高さを褒めて止まないのだが、これはあまりにナイーブに過ぎる。

 なぜ中国政府が日本の代表的文化人を招待したかと言えば、中国に対し好意的な文化人を一人でも増やして、日本国内で中国賛美の言動をしてもらうことを期待たからだ。いわば日本に中国クラブを作ろうとしたわけだから、招待した文化人が気分を害するような接待をするはずがない。
その証拠はその後中国はことあるごとに「歴史に学べ」と日本に訓示をたれて、南京事件を持ち出してはデモを仕掛けている。

 堀田氏は中国当局の大歓迎を受けて、すっかりチャイナロビーになりこの「上海にて」を書き、同じく左翼に好意的な大江健三郎氏が絶賛の解説記事を書いた。

 しかしこのあたりになると現在の一般の日本人の感度とは相当ずれてしまう。
戦後左翼が夢見た理想国家ソビエトロシアは崩壊し、くだんの共産党一党独裁の中国ではチベットウイグルでの弾圧が絶えない。
また毛沢東が推し進めた大躍進政策は中国に餓死をもたらしただけだし、文化大革命では走資派と目された人が1000万単位で虐殺されている。

 現在の中国は経済発展はすばらしいが、知識人にとっては夢も希望もない世界であり、戦後左翼の知識人が夢見た世界からもっとも遠い世界だ。
だから大江健三郎氏が如何に「美し」と激賞しても、この「上海にて」は右翼に厳しく左翼に甘いバランスを欠いたレポートと言える。

 実際は右翼であろうが左翼であろうが独裁国家はテロと腐敗と堕落を伴うと言うことにすぎない。
したがってこの本は堀田善衛氏の実体験部分歴史の証言として読むべきもので、堀田氏の心情や共産主義に対するシンパシーは無視するのがふさわしい読み方だ。


なおこの会の主催者河村義人さんの感想文は以下に記載してあります。私の感想とはまったく異なりますので参照してください。
http://yamazakijirou1.cocolog-nifty.com/shiryou/2012/04/24426-cf57.html

なお、文学入門の過去の記事は以下のとおり。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43898465/index.html
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat31264874/index.html

 

 

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(24.4.24)ミャンマーの経済制裁解除 日本の経済戦略とアメリカの政治戦略

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 日本にはまったく戦略がないものと諦めかけていたが、今回の対ミャンマーに対する経済制裁解除は日本が放った久々の快挙だ。
ながらく中国の半植民地であったミャンマーはさすがに自己が置かれている立場に疑念を持つようになってきた。

 何しろ中国によって北部州に建設予定だった水力発電所の電力は、ほぼ全量中国に輸出されることになっていたため、これではミャンマーの電力不足改善には何の役にも立たない。
テインセイン大統領も考え込んでしまった。
資源はすべて中国に持っていかれる。これではわが国は中国の植民地と同じじゃないか・・・・・・・・
昨年9月この事業を「環境をひどく破壊する」との理由で取りやめたが、このことがアメリカへのシグナルになった。

 アメリカにとってはミャンマーが中国の実質的植民地になると、中国は太平洋とインド洋に面した大海軍大国になりアメリカの石油ライン防衛に直接の脅威になる(アメリカは石油の流通を抑えることによって世界経済を抑えている)。
またアメリカの友好国インドにとっては直接の脅威であり、中国とインドの関係がパキスタンミャンマーの両地域で一気に緊迫している。

 こうした情勢下で日本とアメリカ、そしてミャンマー政府とアウンサンスーチーさんの4者が手を組んだ
アメリカがアウンサンスーチーさんを説得して補欠選挙に出させ、スーチーさん率いるNLDを大勝させることによって民主化をアピールし、日本が経済制裁解除に取り組むと言うシナリオである。

 さっそく野田総理は日本で「日本・メコン地域諸国首脳会議」を開催しそこにテインセイン大統領を招き、大胆なミャンマー支援策を表明した。
声明によれば「ミャンマーの民主化改革を高く評価し」以下の対応をとると言う。

① 今までのODAの円借款5000億円(遅延損害金2000億を含む)のうち3000億円を放棄し、残り2000億円については新たな円借款に乗り換える。

注)なおこうした円借款は実質的には返済されることなく新たな融資に乗り換えられるのが普通だから、受けたほうはただで資金を提供されたのと同じ。

② ヤンゴン近辺のティラワ団地(2400ha)を共同で開発をして、日本企業の誘致を行う。

注)共同と言っても資金と機材は日本が提供し、ミャンマーは労働力を提供することになる。できた団地には日本の輸出産業を誘致する。

③ ミャンマーの極端に悪い電力事情を改善するために、日本が中国に変わって電力発電所の建設を行う。

注)ミャンマーの電力事情はヤンゴンでも一日に2~3割り程度しか電力が供給されない。このままでは企業進出もままならない。なおミャンマーは天然ガスの産出国であるのでこれを電力発電に利用できる。

④ 進出する日本企業を守るため投資協定を締結する。

注)独裁政権はえてして自分の都合で外国企業を国有化する。こうしたことが起こらないように投資協定の締結が必要。

 日本にとってはこのミャンマーの開発援助は崩壊した日本経済再生の起爆剤になる可能性が高い。
人口5000万人を越え、性格は温厚で相対的に教育水準は高い国民(アウンサンスーチーサンをみると分かる)だから、日本との馬はぴったりと合う。
すでに100円ショップ大創産業がフランチャイズ店をオープンすると言っていたのには笑ってしまった。
そうか、現在の日本のもっとも進取の気質に富む企業は100円ショップか・・・・
他にもローソンも進出を予定し、全日空は定期便を飛ばすと言う。

 日本は輸出産業が崩壊し、また土建業も不必要な公共工事でかろうじて生き延びている。
従来日本は中国進出に熱心だったが、中国は大市場でも常に政治リスクが高くおまけに賃金上昇は止め処もないので今後の進出先としては適切でない。
東南アジアは日本にとってもっとも最適なパートナーだが、その中でもミャンマーはインフラ整備からはじめると言う日本の土建業界にとって最大のお客様になる可能性が高い(支払いは日本のODAだから安心だ)。
土建業がインフラを整備した後に輸出産業が進出すると言うイメージだ。

 もっとも現在アウンサンスーチーさんが軍事政権が制定した憲法をきらって、「憲法を守る」との宣誓を拒否し国会への登庁を見合わせているトラブルが発生している。
これがもめると厄介なことになるが、おそらくクリントン国務長官が仲介して何らかの妥協点を見出すはずだ。

注)現在の憲法では国会議員は「憲法を守る」との宣誓をしなければ国会議員として正式に承認されない。

 野田首相はミャンマー支援を日本の手で行うことで日本経済再生のかけに出た。日本にとっては実に大きなチャンスと言える。
そして今後の日本企業の大進出を想定すれば、就職にあぶれそうな学生は積極的にビルマ語の学習をするのが就職の近道になりそうだ。

なお、ミャンマーに関する記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat47221757/index.html

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(24.4.23) 「フライデーナイト・リレーマラソン in 国立競技場 」で走ってきた

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 いやはや驚いた。今回参加した12時間リレーマラソンのことである。
この大会は毎年秋と春の2回、国立競技場を舞台に開催されるのだが、開催の時間設定がすごい。
フライデーナイト・リレーマラソン」と言って、金曜日の夜7時がスタートだ。
種目は12時間3時間の2種目があって、12時間は夜7時から明け方の7時まで開催される。

 何でこんな変則な時間かと言うと、国立競技場でイベントが行われていない平日の真夜中の時間を狙って開催しているからだろう。
使用するコースは競技場のトラック一周と2階部分の周回路(通路で、あわせて1.4kmあり、すべて国立競技場の中だ。
このコースを何周走ったかで競技は競われるが表彰が行われるわけでもなく、いたってあっさりとしている。

 私はちはら台走友会のメンバーである松ちゃんと二人で12時間リレーに参加した。この競技では個人参加も可になっており12時間競技では20名強の個人参加者がいたが、後はリレーメンバーを組んでおり5名前後の団体が多い
私がこの競技に出たかったのは国立競技場のトラックを走れるからで、かつてカールルイスが走ったあのトラックにたてる。
走ってみて知ったが国立競技場のタータントラックは非常に足にフィットしてすこぶる走りやすい。
よしここなら世界新記録を狙らおう」と一流選手なら必ず思いそうだ。

 コースはグランド二階の周回路を使用しているので一箇所上り下りがあり、時間がたつにつれて坂を登ぼるのがつらくなる。
バトンタッチは周回路の特定の場所に指定されており、そこに各自がテントを張って待機場所を設定する。
私と松ちゃんとは3周ごとに交代することにしていたので、4.2km走ってはテントで休んでいた。

 当初私はこのコースを20分程度で走ったが、時間がたつにつれて遅くなり最後は27分かかっていた。もう足が上がらんという状況だ。
松ちゃんは早くなったり遅くなったりしていたが、気合を入れると早くなるのには驚いた。私などどんなに気合を入れても早くならないものは早くならない。

 周りには男女混合の若い学生やサラリーマンのチームがいてテンヤワンヤの大騒ぎをしていた。
なにか秩父の夜祭のような雰囲気だ。人数が多いと走る距離は少なくて済むので思いっきり飛ばしている。
われわれのチームは結局120km程度走って終ったが、まあそれなりにまじめに走った結果だからよしとしよう。
ありがたいことにtwitter仲間のはるさんが大福の差し入れをしてくれた。

 ところで私がこの大会を不思議に思ったのは大会が完全に合理化されていたのに参加費用が高いことだった。
働いているスタッフはどう見ても30人前後、エイドステーションは1箇所で水とポカリと若干の食料がおいてあるだけ。
通常この種の大会にある参加者名簿はなく、参加連絡ははがきでなく電子メールを使用している。
この競技の主催者はアールビーズと言う会社だが、ランナーズと言ったほうが通りがいい。
マラソン関係者なら誰でも知っている雑誌ランナーズを発行している会社である。

 そして参加費は一人当たり6000円である(厳密言うと種目ごと参加人員ごとに若干異なる)。
この種のイベントで費用がかかるのは多くのサポート要員が要るからで、たとえばフルマラソンなんかは42kmにわたって道路規制コース誘導エイドステーションの係りや救急隊が必要だ。
たとえば東京マラソンなんかは出場者と同じくらいスタッフがいた

 ところがこうした狭い範囲の周回コースの場合は費用がかからない。
交通整理などまったく必要がないし、エイドステーションも1箇所設置すればいい。最低限の人数で開催できかつ国立競技場は国の施設だから利用料は決して高くない。
この大会の出場者数は約3000名だそうだから、約1800万円の参加費が集まっていたことになる。

 みてみるとスタッフはランナーズ関係者が主で身内のような大会経営だったから実際の人件費はほとんどかからないはずだ。
仮に一日人件費が2万円としても60万円程度の費用だ。
それに国立競技場を借りているとしても平日の真夜中で、照明は最低限度しか照らしていないのだから総費用を合わせてもせいぜい2百万円程度だろう。
実際の決算書を見ていないので分からないが一般の大会に比較すればただのような費用で開催できる

不思議だ。ランナーズのような良心的な会社が何でこんなに高い参加料をとっているのだろうか?」
私のランナーズに対する従来の評価に比較して、あまりにあこぎな大会運営に驚いてしまった。

原因をいくつか想定してみた。

①  ランナーズの経営が厳しいのでこうした大会で収益を上げようとしている。
② 大会に特別な目的があり日本の代表的なアスリートの引退後の生活支援にこの大会を利用している(
スタータは中山竹道さん、その他ゲストに谷口浩美さん、谷川万理さんたちがいた。3000名程度の競技でこうしたビックネームをそろえるのは珍しい
③ 思いのほか国立競技場の料金が高い。

 はたしてどこに原因があるのだろうか。私はランナーズアールビーズ)と言う会社がとても好きで、原因は上記②であってほしいが確信がない。
今はただ大会運営の実態と徴収している参加料のアンバランスに驚いているばかりだ。

なおちはら台走友会の関連記事は以下のとおり。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44088639/index.html

また一般のマラソン記事は以下のとおり。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44014135/index.html





 

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(24.4.22) 人口の急減と空き家問題 クローズアップ現代の指摘

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  えらいことだ。日本の総人口が急減し始めた。
4月17日に総務省が発表した総人口日本人+外国人)の数は前年より約26万人減少して1億2780万人になったと言う。
日本人だけで言えば5年ほど前から減少傾向が続いていたが、総人口が減少したのは05年09年に引き続き3回目で、今後は確実に総人口も減りそうだ。
日本人の0歳から14歳までの若者13.1%過去最低だし、一方65歳以上の老人23.3%過去最高になった。
また外国人は福島原発事故の影響で日本から逃げ出している。
日本は今、毎年中小都市一つの規模で人口が減少し、老人ばかりの国になろうとしている。

 この人口減少高齢化問題が日本の空き家問題として社会問題化しているとクローズアップ現代が報告していた。
それによると日本には2008年段階で757万戸の空き家があり、そのうち利用されていない一戸建て空き家が181万戸あるのだそうだ(アパートの場合は空き家があるのは当然なので今回のレポートの対象外)。

 神戸大学の平山教授によると、日本の住宅は1970年代までは実際不足していたが、1980年代バランスし、その後はバブル崩壊後の景気対策として新規住宅を作り続けたため完全に供給過剰になっていると言う。
その結果地方都市や、また大都市でも下町と言った場所で空き家が急増し、しかも問題なのはそのまま放っておかれるため崩壊寸前の空き家が多数存在することだそうだ。

 元々個人所有の不動産については行政と言えども手が出せないとの原則があったため、幽霊屋敷のようになって今にも崩れ落ちそうになっても、手が付けられなかった。
その家の前が学童の通学路にもなっていると危険と隣合わせのような状態になってしまい、子供の生命の保証も出来ないと番組で紹介していた(秋田県大仙市の例)。

 こうした状況になってようやく地方の自治体では条例を制定し、所有者を確定して取り壊しの指導をしている。
しかし所有者が分からなかったり、あるいは分かっても取り壊しに応じてくれない場合が多いと言う。
なぜ取り壊しに応じないかと言うと取り壊し費用の負担が重く放送の事例では70万円)、また取り壊して更地になると固定資産税が6倍にあがってしまうからだと言う。
さらに大都市の下町では違法建築が多く、道路に2m以上接していない住宅が多くあり更地にすると二度と家を建てることが出来ない。

注)土地に家を建設すると固定資産税は6分の1になる。たとえ崩壊寸前の家で人が住んでいなくとも同じ。

 人は住まない、住宅は荒れる。これではスラム街になってしまうので、長崎市では廃屋の解体費用を市が負担する代わりに土地をしに寄付してもらって公園トイレを作っていた。
こうすると環境がいっぺんに改善して新たにこの地区に住みたい人が増えたと言う。

 また松江市では町の再開発事業として空き家を取り壊して道路を引き(そのままでは道路に2m以上隣接していない)新築住宅を作るようにしていた。
また町そのものをコンパクト化するために周辺住民にこの再開発した跡地に越してきてもらい、そこだけを集中的に公共投資を行うとの計画だった(コンパクト化は地方都市共通の課題になっている)。

 しかし大変なことだ。日本が縮小循環に入って今まで必要としていたものがどんどん不要になりつつある。
学校なんかは典型的で子供がますます少なくなれば多くの校舎や教師が不要だ。
水道もガスも電気も過剰気味になって、ダム建設などはただ作ったと言うだけになるし、地方の舗装道路には自動車が走らない。
飛行場はからすの遊び場になってしまうし、漁港なんかは漁船がないのでヨットハーバーになっている。
地方都市では中心部から店がなくなっているし、山村部では集落そのものが消滅している。

注)東京では水道水が過剰になって水道局が頭を悩ましている。かつてはヤンバダムのような利水用ダム建設は必要だったが今では無駄だ。

 この状態は日本の衰亡そのもので、人口が急減すれば必ず発生する現象だ。
日本人の人口を増やすためには子供支援が不可欠だが民主党の政策は腰砕けでそもそも財源がない(不要な公共工事を削って捻出すると言っていたがまったくの空約束でヤンバダムが必要不可欠になっている)。
日本人が増えないなら多くの外国人を日本に住まわせて、せめて総人口だけでも現状維持をさせたいが、基本的に外国人嫌いの日本ではこうした提案は好意的には受け取られない。

 不足している看護師や介護士に対してさえ厚生労働省は難しい試験を受けさせて日本から追い出そうとしている。
このまま行けば日本はただ衰亡するだけだが、外国人と暮らすくらいなら衰亡を望むのが日本人のメンタリティーなので、「せめて外国人を増やそう」と言う私の提案に賛成する人は少ない。

なお日本の将来についての記事は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat47661116/index.html

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(24.4.21) ためしてガッテン 舌を見て病気を見抜く法

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 最近のためしてガッテンお笑い番組のようになってきた。とても面白いのだが表題と内容が一致せず、何かコケ脅かしのようなものだ。
今回は「舌を見て100%危ない病気をみ抜く法」というからすっかり信用したのだが、実際は舌を見ただけでは病名など分からないのだと言う(他の検査と併用しなければならない)。

 実際に千葉大学医学部の並木先生舌診の権威だそうだが、数種類の舌を見て病名を推定したものの一つも当たらなかった。
実は舌は10秒程度で変化するカメレオンみたいなもので見ているうちに変わってしまうので、どの段階の舌を見るかで判断が違ってしまうのだそうだ。
基本は5秒程度見て判断するのがよいのだと言う。

注)舌診は病名が確定した人の現在の状況を知るためには有効で、たとえば私は胃が弱いのだが舌が白ければ胃が荒れていると言うような具合。

 舌を見て病気判断をしてきたのは漢方の伝統で、江戸時代の医学書舌胎図鑑には2000種類を越える舌の状態とそれに対する病気が記載されている。
一般的には紫がかっている舌は更年期障害や胃炎を併発していることが多いと言う。

 ためしてガッテンではなんとも不思議な牛乳テストと言うものを実施し、牛乳を丸めた舌の上に乗せて、それをそのまま飲み込めるかどうかチェックしていた。
これが出来ない人は低位舌といって色々な病気の原因になるのだそうだ。低位舌など聞いたこともないが、舌が下に落っこちてしまう症状を言う。
こうなると舌が上あごにくっつかない。

 それがなぜ問題かというと、この舌が上あごにつくことによって食道と肺の弁を操作しており、舌が落ちると十分な操作が出来ず水や食物が肺に入り込んでしまって、誤えん性肺炎を引き起こすと言う。
死因原因の第4位の肺炎のほとんどがこの誤えん性肺炎に伴うものだそうだ。

 さらに低位舌になると呼吸器官を圧迫するため夜半しばしば目覚める睡眠時無呼吸症候群という病気になって、昼間ボーとして交通事故を起こすこともあると言う。
舌が上顎につかなければ問題があるのか・・・・」不思議な感じだ。
上あごにつかず歯に当たっていると舌の両側面がぎざぎざになっているのでそれが分かると言う。

 さっそく鏡でべろを見てみたら舌の両側面がぎざぎざだった。
そうか、俺も低位舌なのか・・・」不安感がよぎった。
もっとも低位舌を治すのは割合簡単で、舌も筋肉の固まりだから筋トレをすればよいと紹介してくれた。
べろはたから」と言う言葉を一日20回程度言えば舌は鍛えられて低位舌が直ると言うのだから簡単だ。
べ」と言うときに思いっきり舌を出すのがポイントだと言うので、今私は「べろはたか」なる言葉を呪文のように唱えている。

 番組では今回色々な方の舌をじっくり見せてもらったが、はっきり言って気持ちの良いものでなかった。黒い毛が生えているみたいだったり、地図状に赤い斑点が出来ていたり、たてに溝が割れていたりする。人には見せないほうが良さそうだ。

 舌は大変敏感なセンサーで舌のざらざら面で異物を識別しているのだと言う。
そういえば猫の舌なんかはやすりの表面のようにザラザラだ。
このザラザラが取れてしまう病気を「平滑舌」と言うのだそうで、舌にザラザラがなくなると下の血管が透けて見えてとても赤っぽい舌になる。
そうなると表面のザラザラで覆っていた舌が直接食物等と接触するため舌が痛くて食事も出来なくなるそうだ。

 そして平滑舌になる原因は、① ドライマウスであったり、②鉄欠乏性貧血であったり、③ ミネラル不足であったりする。
私自身はドライマウスで寝ているときに1週間間に1回程度の割でまったくつばが出なくなっている。
舌のザラザラがないことも多いので、少し舌のチェックが必要かも知れない。

なお、ためしてガッテンのシリーズは以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/nhk/index.html

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(24.4.20) 千葉市富田都市農業交流センターの芝桜 今年も行ってきた

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 今年も富田にある都市農業交流センター芝桜を見に行った。
昨年は走っていってみたのだが我が家から15km程度の場所にある。今年は意気地がなくなって歩いていくことにした。
昨年はとても寒かったのだが、今日はとても暖かい散歩日和だ。

 昨年始めて訪問してその美しさに目を見張ったものだが、はっきりとはわからないが2~3haぐらいの丘に芝桜が咲き誇っている。
それも1色でなくピンクと白と紫の芝桜だ。
少し高い場所から見られるように見晴台があって、そこから見るとなんとも色のバランスが美しい。

 私は桜を見るのは好きだが芝桜を見るのはさらに好きだ。
桜の場合はソメイヨシノなどは白一色だが、ここセンターの芝桜は三色旗のような国旗模様だ。
こうした芝桜を咲かせるには種をまくタイミングや施肥や消毒等ずいぶん手間隙のかかる作業が必要だろう。
おそらくこの近くの農家の方だろうが10名近くのおばさんと数人のおじさんが垣根の手入れや草刈をしていた。

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 この日は暖かかったせいか訪問客がずいぶんと多く100名程度はいたと思う。昨年はとても寒く20名程度だったのとえらい違いだ。
養護老人ホームに入っているお年寄りだろうか、10名くらいの集団で車椅子に乗せられ福祉介護士の若いお兄さんやお姉さんに押されて芝桜を見に来ていた。

 お年よりは見ている限りほとんど表情がなくただ静かに車椅子に座っているだけと言う風情だったが、私も将来こうした立場になるのかも知れない。
いつものように散々写真を撮って、それから詩を書いた。
私が詩を書いたのは中学生以来だから50年ぶりの快挙だ。美しい景色は詩心をくすぐるらしい。

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だから私は芝桜

だから私は芝桜 富田の丘の芝桜
桜の花が舞い降りて 富田の丘に咲くと言う
春のそよ風に流されて 富田の丘に咲くと言う
白とピンクと青紫に変身だ
桜さん どうして地面にまた咲くの
人恋しいからですか 地面がほんのり暖かいからですか
それともさくらの精のインディちゃんにまた会いたいからでしょうか


なお昨年の芝桜の記事は以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/23424-d5a8.html



  

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(24.4.19) 石原都知事の仰天発言 尖閣諸島を東京都が購入する

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 石原都知事の発言には驚くことが多いが、今回ほど驚いたことはない。
沖縄県石垣市の尖閣諸島を東京都が購入すると言う。
尖閣諸島5つの島からなっており、そのうちの4島個人所有だそうで、現在この4島を国が借り受け海上保安庁が警備し、島には上陸を許さない措置を講じている。

 私はこの4島個人所有者がいたことを知らなかった。陸の孤島で所有者なんかいないと思っていたからだ。
今回問題になっているのは魚釣島3.82平方キロ)、北小島0.31平方キロ)、南小島0.40平方キロ)で国は年間2450万円の賃貸料を払っている。
ここの地権者の母親と石原都知事はかつてこの島の買取交渉をした経緯があり、この土地の賃貸契約が来年4月に切れるにあたって、今回現所有者が都に購入を求めてきたと言う。

注)尖閣諸島は1894年に古賀辰四郎氏が探検し、翌1895年に明治政府が沖縄県に編入するとの標杭を立てている。
かつてはカツオ節の製造工場があり250名が働いていたが現在は無人島。

所有者の話として「年をとりこの島を所有しているのが大変になってきたので都に売却したい」と言っていると報道されているが、この理由はおかしい。
実際は国から賃貸料を得て本人もこの島の上陸を許されていないのだから、島の管理責任はないのも同じで、本心は石原氏の国を憂う情に打たれたからだろう。
石原氏はこのままでは尖閣諸島中国の領土になるのは時間の問題との危機意識を持っている。
特に石原氏が恐れたのはこの島を中国人が購入した場合だ。
すでに北海道のニセコ付近の森林は中国人によって買い占められているが尖閣諸島を買い占められたらここが実質的に中国領になってしまう。
だからその前に東京都が買占めを行ってしまおうと言うことだろう。

 このところ領土問題では日本は押されっぱなしだ。
北方領土についてロシアは実効支配を着々とすすめて、かつて言われていた2島返還も風前の灯になっている。
韓国との間の竹島は韓国軍が駐留し、岸壁には大型船が停泊できるようになって観光地化している。
件の尖閣諸島の海域にはしばしば中国の漁業監視船が領海すれすれに侵入してきて海上保安庁と一触即発の状態だ。
2010年には中国漁船が意図的に海上保安庁の船に当て逃げしているほどだ。

注1)中国の尖閣諸島での漁船当て逃げ事件の記事は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat41333196/index.html
注2)韓国との竹島問題は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/20522_7e99.html

 だが実際に尖閣諸島を購入するとなると問題が多い。
現在の賃貸料が2450万円だから、購入するとなると10億から15億円規模になりそうだ。
都が土地を購入する場合は「2億円以上、2万平方メートル以上」は都議会の了承を必要とする。
当然都議会では「何の目的で購入するのか」と問われるし、まさかここを観光地として開発するとも養護児童施設にするともいえないので了承を得るのは難しそうだ。

 自治体の首長の反応もさまざまで、橋下大阪市長は「石原氏にしか出来ない(すばらしい)行動だ」と手放しの賛辞だし、名古屋の河村市長も「きちんと自分の領土は主張せんとあかん」とエールを送った。
一方神奈川県の黒岩知事は「短兵急に突っ込むと大きな紛争に発展しかねない」と慎重で、一般的には黒岩知事のような反応が多い。

 政府も大弱りで藤村官房長官は「現在国が島を借りているが必要があれば国が買い取る」とコメントした。
実際問題としては領土問題は国の先決権限があるから国が買い取るほうが妥当だが、外務省が中国との関係を考慮して現状を少しでも変えることに反対している。
なら弱腰の外務省に代わって、おれが領土問題を解決してやる」と言うのが石原都知事の本心だ。

 領土問題は実効支配しているほうが勝ちで、もしその実効支配を覆すためには戦争と言う武力行為で相手を追い出すより他に手段がない。
しかし戦争をするほどのメリットがない場合は実効支配は永遠に続く
そうした意味では北方領土はロシアのものだし、竹島は韓国のもので、尖閣諸島は日本のものだ。
石原都知事の行動は実効支配をさらに強固なものにすると言う意志だから応援をしたいが、実際に行動に移すとなると手続き的な問題が山ほどあり、実現は難しいだろう。

注)やはりここは政府が民間人から購入するのが一番適当だろう。

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(24.4.18)  中東の核の歴史 イスラエルの秘められた核の開発 その2

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  昨日に引き続きイスラエルの核開発の後編である。この番組は2001年にイスラエルで制作され元首相だったペレス氏がインタビューに答えている。
そうした意味では政権担当者としてのバイアスがかかっている可能性は否定できないがとても興味深い番組だ。
特にペレス氏の温厚そうな表情の下に隠れている狸おやじとしての側面が垣間見られるのが面白い。

 イスラエルの核開発は初代首相ベングリオンと国防省のペレス氏が推し進めた秘密プロジェクトでイスラエル外務省はこの核開発にタッチをしていなかった。
1957年からネゲブ砂漠のディモナに秘密の核施設が建設され、フランスから核科学者と技術者が派遣されたが、フランス側も知っていたのは国防省と核関連の技術者だけだった。

 1958年になるとフランスではドゴールが大統領になり、ドゴールはフランスのイスラエルに対する核施設建設を取りやめさせようとした。
しかしドゴールの命令は軍と原子力関連組織から無視され、その後も支援は続けられたと言う。
ドゴールが本当の意味でフランスの関与を知ったのは1960年のことで、この年にイスラエルに対する原子力関連物質の禁輸措置を発令している。
それでもフランスの科学者と技術者はディモナの核施設の建設を止めず、1962年核施設を完成させた。

 この事実は驚くべきことだ。ドゴール大統領が停止命令を出しても軍はまったくその命令に従わなかったと言うのだから不思議だ。
どうやらこれはドゴールと軍の出来レースで、アメリカからイスラエルの核開発に対する中止要請が来ていたため、表面的には応じた振りをしたのだろう。何しろドゴールはアメリカ嫌いの自尊心の塊のような男だった。
アメリカの顔は立てるがまともに聞くな

 1960年にアメリカの科学者によってイスラエルに核施設があることがすっぱ抜かれたが、この情報はCIAがフランスを揺さぶるために科学者に教えたものと思われる。
1961年ケネディが大統領になるとアメリカは核拡散に本格的に乗り出した。ケネディにとってはイスラエルの核開発もその例外でなかった。
ケネディはイスラエルに核施設を国際機関の監視下に置くように強く迫りディモナへの立ち入り調査を求めた

 このあたりからは現在の北朝鮮イランとの交渉と同じなのには笑ってしまう。
イスラエルはしぶしぶ受け入れには応じたが、当然のこととして国際査察団を出し抜いた
アメリカからの二人の科学者が案内された場所はレプリカの操作室で、実際は地下にプルトニウム抽出施設があったのだがここには立ち入らせなかった。
アメリカの科学者はすっかりだまされ、イスラエルの核施設は平和目的だとケネディに報告している(爆の材料であるプルトニウムの抽出はされていなかったと報告した)。

 もっともケネディはこの報告を信じてはいなかったらしくベングリオンがアメリカを訪問したときに核開発の目的の念押しをしている。
このときそれに答えたのがペレスで「イスラエルは中東で最初に核兵器を導入する国にはならない」と答えたが、これは答えようがなかったための苦し紛れの回答だったとペレスが述懐している。

これがその後イスラエルのあいまい政策」として定着していったが、「核は持っているが先制攻撃には使用しない」と言う意味だ。
ケネディは不満だったようだが、ユダヤ資金はケネディ当選の資金源だったからそれ以上の追及はしなかったと言う。

 1963年ベングリオンが政権を追われると、核開発プロジェクトのメンバーはすべて地位を追われた。核開発がベングリオンの秘密プロジェクトで外務省や他の省庁の口出しを一切認めていなかったことを、新首相エシュコルが嫌ったからだ。
これからは核プロジェクトを首相官邸の直轄プロジェクトとする

 ケネディはこの首相交代を狙ってディモナ原子力センターの実態をアメリカに報告するように迫った。
ベングリオンは頑固だったがエシュコルは言うことを聞くかもしれない・・・
政府内で報告派の外務省秘密派の軍が激しく対立し、結果的にはペレスの「あいまい政策」を踏襲することになった。エシュコルもタフだった。

 その後イスラエルは1966年に核兵器の製造能力を獲得した。
この翌年の1967年イスラエルは電撃的にエジプトに攻撃をかけ勝利したが(第3次中東戦争)核開発に成功した自信からだろう。
この頃からイスラエルは毎年2~3個程度の原爆を製造し貯蔵できるようになっていたが、実際はとりあえず原爆が出来たといった状況だったようだ(本当に炸裂するか実験をしていないので分からなかった)。

 第3次中東戦争で苦杯をなめたエジプトは周到な準備の末1973年に(イスラエルにまねて)電撃的にイスラエルに襲い掛かった(第4次中東戦争)。
不意を撃たれてイスラエルは初戦は大惨敗だったが、その後押し戻してイーブン状態で停戦に至ったが、イスラエルが初戦といえども大敗北を喫したのはこれが初めてだった

 にがい初戦の敗北からイスラエルは核を確実なものとするため、1979年に南アフリカの協力の下インド洋で核実験を行ったが、アメリカのカーター政権はこの核実験を異常な気象状況が発生したものと言うことで黙認した。
この核実験によって始めてイスラエルは実戦可能な核兵器を得たことになる。

 現在イスラエルの核兵器製造能力は上がり年間3~5発の核兵器を製造していると見られ、地下に200発の核兵器が保管されていると言う。
イスラエルは最初に核を使用しないとアメリカに約束したが、どのような場合に使用するかの基準が存在している(核兵器が有るかないか分からないのに使用条件があるのはおかしいが、このあたりがあいまいになっている)。

① アラブの軍隊がイスラエルの人口密集地帯に侵攻した場合
② 空軍が破壊された場合
③ 生物化学兵器による攻撃にさらされた場合
④ 核による攻撃を受けた場合

 実際第4次中東戦争ではイスラエル空軍はほとんど崩壊の瀬戸際まで追い込まれたが、ここで核兵器を使用しなかったのは実戦配備されていなかったからだ
また1991年のイラク戦争のときはスカッドミサイルによる攻撃にさらされたが、アメリカが核による反撃を許さなかった。

 現在イスラエルは核拡散防止条約の批准をしていないから、条約上は自由に核開発が出来る。
だれもがイスラエルに核があることを知っているが、政治上はあいまいにされている。このあいまい政策はその後北朝鮮イランに踏襲され、核開発をする国家の常套手段となった。
ペレスの追い詰められた苦し紛れの一言がその後の世界史を変えてしまった。

注)私は今回のドキュメンタリーを見て、こうした番組をもっと早くからチェックしていなかったことを悔やんだ。私がブログを記載し始めたのは5年前からだが、さらにその5年前からチェックをして分析を続けていれば世界情勢を確実に把握できたのにと思うと残念でならない。

なおこの記事は昨日の記事の続きです。読んでいない方は以下の記事を読んでください。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-c89a.html
 

 

 

 

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(24.4.17) 中東の核の歴史 イスラエルの秘められた核の開発 その1

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 現在イスラエルによるイラン核施設攻撃が時間の問題になってきたことにあわせて、NHKが「中東の核の歴史」シリーズを放送している。
今回の「イスラエル 秘められた核開発 前編」はイスラエルが2001年に作成した番組で、日本では2008年にNHKから放送された。
今回はその再放送になるが、イスラエルの核政策が実に良く分かる構成になっており、私も始めて知る事実が多い。

 この番組はイスラエルの核開発の実質的責任者で後に首相になったシモン・ペレス氏へのインタビューがその骨子になっている。
シモン・ペレス氏はイスラエルの首相を2回も歴任しており、イスラエル政治の表と裏を知り尽くした人物と言える。

 現在イスラエルは核保有について「肯定も否定もしない」と言あいまい政策をとっているが、なぜこのような政策をとるようになったかをこのドキュメンタリーは教えてくれる。
この番組を見て私がもっとも意外だったのは、イスラエルの核保有について積極的に支援したのはアメリカではなくフランスだったと言う事実で、しかもこれはイスラエルとフランスの国防省が外務省に内密に推し進めた計画だったことだ。

 現在のアメリカイスラエルの蜜月関係から見ると信じられないようなイスラエルとフランスの結びつきだが、すべては当時の政治情勢にあった。
イスラエルは1948年に建国されたが、常に周囲のアラブ人からは殲滅すべき国家とみなされていて独立宣言と同時にアラブの攻撃が始まっている(第一次中東戦争)。

 初代の首相だったベングリオン第一次中東戦争には勝利したもののいつまたアラブが攻撃してくるか分からないと恐れていた。
そこでベングリオンはイスラエル生き残りのための戦略はアラブ諸国に先立った核武装をすることだと強い決心をした。1954年頃のことだと言う。

 ベングリオンは当初はアメリカに期待をし、日本や西ドイツに対したようにアメリカが核の傘でイスラエルを守ってくれると思っていた(ただし核開発は認めない)。
しかしアメリカはイスラエルとの間にそうした安全保障条約を結ぶことをしなかった。

注)これはドイツと日本は技術力があるので自由にさせると核開発を行ってしまうが、イスラエルにはそうした能力がないとアメリカが考えていたためと思われる。

 失望したベングリオンは当時30歳前だったペレスを核開発の責任者にして自主開発をすることにし、フランスと交渉をさせた。
なぜフランスかというと敵の敵は互いに友だからである。
50年代を通じてフランスはアルジェリアの独立運動に悩まされていたが、なぜアルジェリア民族解放戦線が強敵かと言うと、資金と武器の支援をエジプトのナセル大統領がしていたからだ(とフランスは確信していた)。
一方イスラエルは第一次中東戦争でエジプトと生存をかけた戦いをしていていつ報復されるか分からない犬猿の仲だった

 フランスはアルジェリアの植民地を守るためナセルをたたきたかったし、イスラエルは生存のためにナセルをたたきたかった。
こうしてフランスとイスラエルは急速に接近して行った。

注)アメリカは当時イスラエル防衛に強い関心を示さず、イギリスはイスラエルにとって独立運動の相手先だし、ソビエトはナセルに肩入れしていた。結局イスラエルは核開発についてはフランスに頼らざる得なかった。

 イスラエルは禁輸措置をかいくぐってフランスからミラージュ戦闘機を購入し、また核施設建設の科学者と技術者をフランスから極秘裏に派遣してもらい、核開発にまい進することになった。
そしてフランスによる核技術の移転の代価は、エジプトとのスエズ戦争参加である。
1956年ナセルがスエズ運河を国有化してイギリスとフランスを一方的に追い出したが、これに怒ったイギリスとフランスがイスラエルを誘って起こした戦争が第二次中東戦争(別名スエズ戦争)である。

 私の記憶もこの頃から確かになってくる。1956年時点で私は10歳だったが、知り合いのお姉さんが少年朝日年鑑をプレゼントしてくれたので、スエズ戦争と言うものがあったことを知った。
イギリスとフランスがスエズ運河を取り戻そうとしたことは分かったが、イスラエルの位置づけは分からなかった。
しかしナセルが強引にスエズ運河を国有化したことに何かとてもすがすがしさを感じたのを覚えている。
当時は社会主義も国有化も善でナセルは子供にとっても英雄だった(なお朝日年鑑のスタンスもそうしたものだった)

 イギリス・フランス・イスラエルの同盟軍は圧倒的な力でエジプトを圧倒したが、エジプトに拠点を持っていたソビエトが核兵器をちらつかせてイギリスとフランスを脅した。
「エジプトから撤退しないと核攻撃を辞さない
また信じられないことにアメリカもこのソビエトの脅しに同意したため、イギリスとフランスのスエズ運河奪還計画は失敗してしまった。
これ以降イギリスとフランスは植民地主義の限界を知ったのだが、一方イスラエルはフランスの支援の下に核開発を着々と進めていた。
イスラエルは核開発で漁夫の利を得たのである。

注)私にはなぜこの時期アメリカはイギリスとフランスの植民地主義を嫌ったのか良く分からない。アメリカの同意なく戦争を始めたことに怒ったのか、ソビエトが本当に原爆を使用することを恐れたのか、ナセル政権とイスラエルに両てんびんをかけたかったのか、植民地主義を嫌ったのか、こうした理由の複合だろうが現在のセンスから言うととても不思議だ。

(後編に続く)

なおイスラエルとイランの確執についての記事は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat48441473/index.html

 

 
 

 

 

 

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(24.4.16) ドキュメンタリーwave 嘆きのギリシャ 700ユーロの世代の真実

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 今回見たドキュメンタリーwave嘆きのギリシャ 700ユーロの世代の真実」はなかなか見ごたえがあった。
700ユーロの世代とは月収が最低賃金に近い約7万円で、かつこの賃金でも「若者の二人に一人は失業者だと言うレポートだった。

 「月収が7万円か」感無量だ。
と言うのも私が60歳で退職した5年前、さらに職場に残った場合の賃金が20万円だったからである(61歳から65歳までの賃金水準)。
私はそのあまりの低さに驚いて、「そんな低賃金で働くなら働かないほうがましだ」と思い退職したのだが、この水準は60歳以上の一般の働き手の水準であることを後から知った。
そして私が働く気を失った20万円は今のギリシャの若者にとっては破格の賃金水準になっている。

 このドキュメンタリーは2月13日にギリシャ国会で緊縮財政法案が可決され、それと見返りにEUから1300億ユーロの資金援助が行われた日の前後のギリシャの若者の行動を追ったものだ。
番組に出てきた若者はELEという国の債務を監査する会のメンバーだった。

 ELEは国の債務を調べ、それが公的な債務私的な債務かを分類し、私的な債務は返済義務がないという運動を起こそうとしていた。
私的な借金は返すな、踏み倒せ」と言うことだが、貸した側からすると私的であろうが公的であろうが貸し出しは貸し出しだから返済してもらわなければ金融行為が成り立たない。

 ギリシャの債務が膨れ上がったのは2001年のユーロ加盟からである。
それまでのギリシャ国債はまったく信用がなかったが、ユーロの一員になったことでユーロ圏が後ろ盾になった(ギリシャをユーロ圏が救うと思われた)。
それ以降ギリシャはいくら借金をしても市場が応じてくれたが、それが不動産バブルを発生させた。

 ギリシャでバブルが最盛期だったのは2004年のギリシャオリンピックの頃で、ギリシャ中に高速道路や競技場や飛行場を作りまくっていた。
資金はギリシャ国債を発行すれば湯水のように集まったので、日本の不動産バブルと同じで地方公共団体も不動産投資にのめりこんでいた。
土地を購入すれば何倍にも収益が上がる。借金をしないのは馬鹿だ」。

 しかし2008年のリーマン・ショックがすべてを暗転さしてしまった。持っていた不動産が値下がりし、企業は倒産ラッシュとなり、投資物件は焦げ付いて塩漬けになり借金だけが膨らんだ。
さらにこの状況を複雑にしたのは09年に政権をとったパパンドレウ首相が「前政権の債務残高は粉飾があって実際は債務はさらに多い」と公表したからだ。

 元々ギリシャの経済数字が粉飾があるのは公然の秘密で、公表したパパンドレウ首相もその程度の感度で「だから選挙公約を守る資金がない」と言いたかったのだが、市場のほうはパニックに陥ってしまった。
それまであえて知らないことにして舞い上がっていた市場に「本当の事実」パパンドレウ首相が知らせたことによって格付会社がギリシャ国債の格付の引き下げに走ったからだ。

注)市場は格付という虚飾の上で取引がなされており、格付会社は明確な事実が公表されない限り虚偽の事実を元に格付けを決定している。

 以来ギリシャ国債の利回りは30%以上に上昇し、実際はギリシャ国債を購入する金融機関が消えてしまった。
一方でギリシャ国債の返済日はほぼ3ヶ月ごとに迫り、この借換えができなければギリシャは倒産する運命に陥っている。

 ギリシャは巨額の債務が発覚したあとはトロイカと称するIMF、ECB(欧州中央銀行)、EUの実質的な管理下におかれ、トロイカが提示する、① 最低賃金の引き下げ、② 賃金カット ③ 公務員の削減、を飲まなければEUの支援は一切受けられないことになっている。

 番組ではELEのメンバーの女性が20億円の借金を独断で行った市長に「借り入れは合法か?」と詰め寄っていた。
この20億円トロイカの裁定で国の借金と認定されたものだが、この女性にとっては私的な債務で許しがたい汚職とみて追求していた。
一方前市長は「無担保で支払期限が25年と言う破格の条件だったので借り入れを実施し、不動産を購入してショッピングセンターを建設する予定だった」と弁明していた。
商業施設が建ったらすぐにでも返済できる。市民のためだ」とあくまで強気だったが、実際はそのような建設は金輪際できそうもない。

 ギリシャで起こっていることはバブル崩壊後の日本と同じだから別に驚くことはないが、日本との相違は市長と言う公職についている人が独断で借金をしまくっていたと言うところだろう。
こうした借金は経済が好循環にあれば問題がないのだが、反対に悪循環に陥るといっぺんで問題が表面化する。
日本で言えば第3セクターの倒産がそれだ。

注)ギリシャでは日本の自治体がしたような第3セクターを作ってそこで自由に借金をするような手間を省いて直接市長が借金をしていた。

 
ギリシャで起こっていることと日本で起こっていることはいづれも不動産バブルの崩壊で変わりがない。
相違はギリシャは国の借金の約8割が外国銀行であるのに対し、日本の場合は外国銀行の割合が10%以下と言うところだろう。
さらにギリシャは金融政策をECBに握られているのに、日本は日銀という日本の中央銀行が行っていることだ。

注)このため日本は独自のインフレ政策を採れるがギリシャにはそれができず残された手段は緊縮財政しかない。
なおインフレ政策とは実質的に消費税の値上げと同じ効果をもつ。
毎年1%インフレが発生すれば5年間で5%の消費税増税に当たり、国債は5%相当分減価される。

ELEのメンバーがいくら騒いでも結局はギリシャ債務はギリシャ政府トロイカの間で決められていく。
若者は無力感にさいなまれて自殺をしようとしたり、あるいは「残された道はギリシャを出て行くことだ」と言っていたが、実際破綻した国家の若者は19世紀のアイルランドの若者がそうであったように他国で働き場所を見つける以外に生きる手段はない。

注)
トロイカとの交渉で金融機関は50%相当の棒引きに応じたから実質的にはELEの運動は実ったことになる。


なお、ギリシャ経済については以下に時系列的にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44468201/index.html



 

 

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(24.4.15) 北朝鮮弾道ミサイルのお粗末と日本の補足体制のお粗末

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 世界に北朝鮮と日本が恥をさらした。
北朝鮮は衛星打ち上げと称して大陸間弾道弾の発射実験を行ったが、前回2009年前々回1998年)に続いて今回も打ち上げに失敗した。
どうやら1段目と2段目のロケットの切り離しに失敗し高度150km程度の高さで爆発炎上し、黄海の藻屑と消えたようだ。

 北朝鮮の大陸間弾道弾の性能の低さはひどいものだが、日本の補足体制もお粗末の一言に尽きる。
韓国とアメリカが20分後にいち早くミサイルの発射を公表したのに対し、日本は約40分後だった。
発射が確認されたら地方自治体に連絡するJアラートも稼動しなかった。
発射後2~3分後には通知が可能と言われた自慢のシステムがまったく使用されなかった訳だ。

 もっとも問題の程度は北朝鮮のほうがはるかに深刻だ。
北朝鮮は前回も前々回も存在しない人工衛星が地球軌道に乗って電波を発していると朝鮮中央テレビが報じて世界中の笑いものになったが、今回はそこまでの愚は冒さなかった。
正午の臨時ニュースで人工衛星の打ち上げに失敗したことを正式に認めたからだ。
アナウンサーはいつもの絶叫調ではなくいたって淡々と報じていたのが印象的だった。

 しかしなぜ北朝鮮の大陸間弾道弾の性能はこうも低いのだろうか
北朝鮮内にロッケトを打ち上げるための高品質の部品がないことは前から分かっていた。
こうした部品は朝鮮総連が日本から監視の目をかいくぐって送っていたのだが、現在は北朝鮮との貿易は完全に止まっている。
第3国経由で送ることはもちろん可能だが日本の官憲の目が光っていてしばしば摘発されているのでこのルートが十分に機能していない。

 このため北朝鮮はロケットを組み立てる部品に事欠いており、かつて日本から調達して保管していた備品を使ったり中国からの調達を行っていたようだが品質面で問題がある。
ミサイルは高温に耐えなければならないがこの高温に耐えられる合金が北朝鮮では作ることも手に入れることもできない。

 本来は発射実験などとてもできないのだが、金日成生誕100周年と、金正恩氏の第一書記就任祝いの祝砲がどうしても必要で無理をした。
何でもいいからぶっぱなせ。一応あがれば後は成功したと強弁すればいい」いつものようにそんな気持ちだったが、今回は高度150km付近で分解し2段目以降が飛ばなかった。
これでは強弁もできない。
せめて前回のように3段目まで飛んでくれたら、存在しない人工衛星を金正恩同志の精神力で飛ばせたのに・・・・」歯軋りする思いだろう。

 日本の場合はお粗末の一言に尽きる。田中氏が防衛大臣になってから何一つまともなことができなくなってしまった。
私などは田中防衛大臣が国会で答弁するたびに「まともにしゃべれるのだろうか?」とはらはらして聞いている。
今回の実態把握遅れが田中氏のせいだというのは気の毒だが、田中氏がなんら指導や改善をしなかったことも確かだ。
さっそく自民党は田中氏を国会で突き上げるつもりだから、また困惑しきった田中氏の顔を国民は見続けることになる。

 今回の打ち上げで北朝鮮は大恥をかいたのだから当然恥をそそごうとするだろう。おそらく3回目の核実験を強行して核保有国としての威信を内外にアピールしそうだ。
一方日本の恥のそそぎ方は田中氏を首にすることだ。もともと田中氏に防衛大臣を勤めさすことは小学生を防衛大臣にしているようなものだから、野田首相の任命責任は大きい。
この人がいる限り日本は防衛問題で世界に恥をさらし続けることは確実だ。

なお北朝鮮関係の記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat48564279/index.html
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat33268425/index.html

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(24.4.14) アナン特使の孤独な闘い シリア問題では国連を誰も助けない

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 軍隊なき国連はまったく孤独なのだなとしみじみ思ってしまった。
国連とアラブ連盟が派遣した前国連事務総長アナン氏調停案のことである。
調停案がようやく締結され、10日までにシリア軍の都市部からの撤退、12日までに停戦を行うとの案だったが、シリア軍の攻撃は収まる気配がない。

注)正確に言えば11日までは攻撃が行われ、12日は一旦静かになったがいつ攻撃が再開されるか分からない。

 かえって調停期限までに反体制派を徹底的に弾圧しようと中部ホムスでは攻撃が激化する有様で、アナン特使は完全にコケにされてしまった。
国連のパン事務総長は「停戦期限前に攻撃を激化させてよいと認めたわけでない」と悲痛な叫び声を上げていたがアサド政権は聞く耳を持たなかった。

 今回の国連の仲介を見ていると、国連自体はまったく無力で国連安保理加盟国が武力行使をしない限り軍事独裁政権を打ち倒したり、要求を飲ませることができないことが分かる。
イラク戦争のときはアメリカを中心とした多国籍軍が出動したし、リビアのカダフィ政権を打ち倒したのはNATO軍の空爆と軍事援助だった。

注)国連そのものは軍隊を持っていないから軍事行動をするときは傭兵に頼ることになる。アメリカ軍やNATO軍を傭兵というのはおかしい感じもするが、実態は傭兵である。

 一方シリアのアサド政権を打倒することに対してはロシアと中国が反対しており、安保理のお墨付きを得られず、今回は有志連合による軍事攻撃もどこもする気がない。
なぜイラクにはアメリカが、リビアにはNATO軍が軍事攻撃を仕掛けたかと言うと、そこに石油利権があったからだ。
軍事費がかかっても石油代金で最終的には帳消しにできるとの読みがあったから軍事攻撃に踏み切ったが、一方シリアは何もない貧乏国だ。

 もしこのような国を崩壊させたらその後の面倒をどこの国が見たらいいのかと言う問題が発生する。
当然軍事攻撃を行った国や有志連合が行うことになるが、その後の民生安定化のためにどのくらい資金が必要になるか分からない
アメリカもヨーロッパもそして日本も財政状況は極度に逼迫しているからとてもシリア人の生活まで面倒を見られない。

注)アメリカはアフガンという何もない貧乏な国にも軍隊を派遣したが、こちらはニューヨークが攻撃されたことに対する報復措置だったので勘定抜きの進駐だった。
 

 そこで仕方なくアナン氏に調停を依頼してうまくいけばめっけものと思ったが、やはりそうは問屋が卸さなかった。
アサド政権は「反対派が停戦の確約をした文書を提出しないと攻撃は止めない」と言うし、一方反体制派は「そんなことできるわけがない」突っぱねた。

 私などは若い頃は国連崇拝論者で国連こそが世界平和の要だと思っていたが、実際は軍備なき国連は張子の虎に過ぎない。
軍事独裁政権を倒すのはそれ以上の軍事力だから、アメリカやNATOがその気にならない限り軍事独裁政権は倒れない。
北朝鮮などは戦後すぐから独裁政権のままだから私の年齢と同じ程度に独裁政権が継続している。

注)かつて私が国連に憧れ国連職員になろうとして努力した経緯は以下に記してある。
http://yamazakijirou1.cocolog-nifty.com/oyuminoshikinomichi/2011/02/1942-9fc1.html

 アサド政権をロシアが支えており、一方どこも軍事行動をすることがなければアサド政権が崩壊する要因はない
現在アナン特使は国連に監視団の派遣を求めているものの、こうした監視団をシリアが受け入れるか、また受け入れたとして自由行動を許すかは定かでない。

 また一部に反体制派に武器援助をすると言う案があるが、リビアの例で分かるようにこうした武器が過激派組織に渡りアフリカのマリでは軍事クーデタが発生している。
最新鋭の武器供与はアルカイダを喜ばせるだけだ。

 国連の仲介は失敗し、誰も国連を助けないのが実態だ。
結局貧しい国はどこからも相手にされず軍事独裁政権が継続すると言う構図を持つようだ。

なお、シリア問題についての記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat48561052/index.html
 

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(24.4.13) ためしてガッテン 悪魔の物質 患者600万人の恐怖

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 昨日(11日)のためしてガッテンには笑ってしまった。
体内で悪魔の物質が作られ、この推定患者数は600万人で、実際に治療を受けている患者は5%弱の20万人程度だと言う。
実に大げさなオープニングである。

 この物質が作られると脳梗塞や心筋梗塞、骨粗しょう症、肺炎、激やせやむくみと言ったありとあらゆる症状が出てきて、死亡原因の第4位になっているのだそうだが、ほとんどの人は知らないと言う。
これは知らないのが当たり前で通常の統計の取り方では、一位 癌 30%、二位 心疾患 15%、三位 脳疾患 10%、そして4位が 肺炎で10%である。

 どうやら4位とはこの肺炎をさしていたようだが、この悪魔の物質が肺でできるために発生する並存症一般的には合併症)のことをこの番組では広く意味していた。
肺の病気とは肺気腫のことで、肺の細胞が壊れていく病気である。
ヘビースモーカーが多くかかる病気だがその割合は約80%で、残りの20%は埃の多い職場で働いている人や大気汚染がひどい地域に住んでいる人がかかっている。

 なぜ肺気腫になると悪魔の物質が発生するかと言うと、肺の病気を治すためにマクロファージが動員されるのだが、このマクロファージがあまりの敵の多さに敗北すると、この悪魔の物質を出してしまうのだと言う。
正式名をTNF-αと言うのだそうだが、番組では阻害君となずけていた。
これが出てきた病気をCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と言うのだそうだ。
 
 TNF-αと言う物質は体中で悪さをしてたとえば骨に張り付くと骨の破壊細胞ばかりを増殖するので骨粗しょう症になるし、血管に取り付くと血管をいためるのでそこに血栓がたまって脳梗塞心筋梗塞を発生するのだと言う。もちろん肺炎も起こすが肺細胞を破壊するからだと言う。
600万人という数字はTNF-αを原因とする骨粗しょう症や脳梗塞、心筋梗塞、肺炎等をすべて集計した数字だからこんな大げさな数字になるらしい。

 実は私は最近非常に体調が悪い。
このところ毎日のように四季の道のペンキ塗りをしているのだが、ベンチの表面に汚れや前の塗料がこびりついているので、それを金属ブラシではがしている。
そうしないと新たに塗料を塗ってもすぐはがれてしまうからだが、そのときに大量の埃を吸い込んでしまった。
なにか身体の中に悪いものが入り込んだ感じだ。
まずかったな、作業をするときが作業用のマスクをすべきだった・・・・」反省した。
ここ1~2ヶ月程度の作業で、しかも一日2時間程度なのにこの体調の悪さはひどいものだ。

 今回のためしてガッテンを見て、大量の埃を吸い込むと肺気腫になる可能性があることを知った。
元々運動選手だから肺には自信があったが、どうも注意が要りそうだ。

 番組では肺細胞が死滅しても残った肺細胞を活性化させる呼吸法を紹介していた。ポイントはできるだけ肺の中に残っている空気を吐き出す運動を繰り返すことで肺機能の回復が図れるのだと言う。
番組を見終わってからもっぱらこの呼吸法海女が行う磯笛と同じだそうだ)を実践しているが、当然のこととして長期間続けなければ効果はないだろう。

 なお、ためしてガッテンのシリーズは以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/nhk/index.html

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(24.4.12) BS歴史館 平清盛 勝利と敗北の経済戦略

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 最近の私のお好みの番組はBS歴史館だ。再放送だったが「平清盛 勝利の鍵は経済戦略」と言う番組が放映された。
一般的に平清盛の評判は良くない。「おごれるもの久しからず」なんて平家物語に書かれているので、私などは長い間平清盛はいやなやつだと思っていた。

 
 最近NHKの大河ドラマでも「平清盛」をやっているが、ここではなんともむさくるしい男に描かれている。
兵庫県知事なんかはすっかりおかんむりで、「神戸のイメージが壊れる」と何度も番組にクレームを付けている。
私もこの番組の主人公のむさくるしさには辟易している一人だから、「もう少しどうにかならないだろうか」と思っているが、実際の平清盛は実に優しい男だった。

 優しすぎて平家一門を壇ノ浦で全滅させてしまったのだが、最大のライバル源義朝を討ち取ったまではいいが、その子供の頼朝義経を生かしたのが原因だ。
理由は父の後妻の池禅尼が自分の死んだ子に頼朝が瓜二つだったので助命を嘆願したからである。
清盛は当初拒否したが「私が後妻だから話を聞いてもらえない」と池禅尼がさめざめと泣いたので、当惑して清盛は頼朝を伊豆に島流しにすることにした。
なんとも優しい男だ。

注)徳川家康を見ても分かるように敵方の男子は絶対に許してはならない。中国では九族皆殺しが普通だ。

 今回のBS歴史館のゲストは歴史学者の高橋氏本郷氏、それに異色の会計士で「平清盛 経営者平清盛の失敗」と言う本を書いている山田真哉氏だった。
私はこの3者のなかで山田氏の話がもっとも面白かったのだが、その趣旨は「経済改革を実施して貴族社会を葬ろうとしたが、その改革が急進的であったことと、当時西日本に発生した大飢饉の影響で経済改革に失敗した」というものだった。

 平家の隆盛親子3代にわたる努力の結果であったが、ちょうど奥州藤原三代と同じように3代で滅びている。
祖父の正盛、父の忠盛、そして清盛に続く平氏は貴族の番犬として頭角を現した。
もし貴族社会が安定していれば平氏の出る幕はなかったが、平氏にとって幸いだったのは天皇家が内紛の只中にあったことだ。後白河天皇崇徳上皇が対立し、それに藤原摂関家が割れて上皇側がクーデタを起こし天皇位の奪還を図ろうとした。

 もっともクーデタを起こすと言っても天皇家も藤原家も軍備は持たないから、源氏、平氏といった武士集団を傭兵にして互いに戦うことになる
これを保元の乱1156年)と言ったが、この戦いは後白河天皇側が勝利した。
後白河天皇側に平清盛、源義朝といった当時最大の軍閥がついたからである。
これが一回戦でその3年後、平清盛、源義朝が王者決定戦を行ったのが平時の乱1159年)である。

 平氏がなぜそれほどまでに軍事力を蓄えることができたかと言うといち早く宋との貿易に目を付けたからで、博多の宋商人を通じて宋の白磁や書物を取り寄せそれを貴族に献上することで国司に任官していたからだ。
清盛の父、忠盛美作、備前、播磨、越前、尾張5カ国の国司を兼ねていたがいづれも米が取れる豊かな国だった。

注)当時の上級貴族は宋の白磁と書物が何より好きだった。書物が好きだったのは当時の日本のインテリは貴族と僧侶だったから。

 清盛は父が残してくれた財力を元に武士団を養成し、保元・平治の乱に勝ち残って、完全に平氏の天下にすることができ、自らは太政大臣という貴族社会のトップに上り詰めた。
平氏にあらずんば人にあらず」と言われたあの時代のことである。

 
 さらに清盛は自身の地位を完全にするため経済改革を実施した。

① 一つは対宋貿易を博多の宋人から取り上げ、いまの神戸市にあった大輪田の泊を対宋貿易の拠点にすえて、貿易の利益を平家一門の財力の基盤にしたこと
② 宋の銅銭を大量に輸入して、それまでの物品貨幣(絹織物と米)に変わって銅銭を通貨にしたこと
③ 反対する貴族を一掃(40名)し、32の知行国の国司を平家一門で占めたこと

 この中で出演者が揃って高く評価したのは貨幣経済への移行である。
それまでの物品貨幣絹織物や米はかさばるし、持ち運びは不便だし、品質が一定していないので一つ一つ品質チェックが必要とされた。
これでは流通業など成り立つわけがない。

 一方銅銭になれば品質が一定で持ち運びも簡単であり、品質チェックは要らないし数えるのも簡単だ。
これで一気に流通経済が花開くことになった
資料によると約150年後の鎌倉末期には土地取引の約8割が貨幣で決済されていた。

 だがしかし急進的な改革には反対者が多い。貴族はそれまでの絹織物が通貨として役立たなくなったことで資産が暴落したし、東国では貨幣経済をまったく受け付けない貧しい武士集団が商行為を憎んでいた。
もし清盛の改革が運に恵まれていたら、平家の隆盛はそのまま続いていたろうが、まったくの不運は清盛の晩年に西国を中心に大飢饉が発生したことだ
養和年間の大飢饉1181年~1182年)がそれで、鴨長明方丈記の中で都の左京だけで42300人の餓死者が出たと記載したあの飢饉のことである。

 これで平家の財力はいっぺんで吹っ飛んでしまった。平家武士団は米を売り払って有り余るほど銅銭は持っていたが、食料がなくなるといくら銅銭があっても米を買うことができない。再び世間は物々交換の世界に逆戻りして西国の武士団は腹ペコの状態になってしまった。
一方東国は相対的に飢饉の度合いが軽かったのと、物品貨幣の世界だったので十分米を蓄えていたので飢餓まぬがれることができた。

 ゲストの山田氏は「この飢饉が貨幣経済の平氏を滅ぼしたのだ」と説明していたが、「なるほどね、物がなければ貨幣経済は成り立たないのか・・・」と納得してしまった。
優しさゆえ頼朝と義経を助けたこと、および貨幣経済の導入に失敗して平家は壇ノ浦に消えたのだが、なんとも哀れな話で「諸行無常の響きあり」と言う感じだ。

なお日本史については以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat47308511/index.html

http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat41526340/index.html

(別件)今回「おゆみ野四季の道」のカウンター10000を加えました。





 

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(24.4.11) ワールド・ウェーブ・スペシャル 世界経済は危機を脱出したのか アメリカ編



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  ワールド・ウェーブ・トゥナイトが特集を組んで放送した「世界経済は危機を脱出したのか」のアメリカ編は「景気回復は本物か」だった。
実際最近の経済指標は経済が底から脱出して好景気に向かう兆候を示している。

 ニューヨーク証券取引所の株価は今年に入って7%もアップしており、これは4年3ヶ月ぶりの高水準でリーマン・ショック前にもどった。またハイテク企業が上場しているナスダック18%のアップした。
アイフォーンアイパッドで快進撃を続けるアップルは今年に入って50%も株価が上昇だ。
アメリカの株価はIT産業先導で完全に上昇気流に乗っている。

 アメリカ人は日本人と異なり貯蓄は投資信託での運用が多いから株価が上昇すれば資産が増え消費意欲がわいてくる。
自動車は一時は燃費のいい小型車専門だったがここに来て大型車の販売が好調になっている。
GMはさっそく大型セダンの新型モデルを発売した。
自動車販売はここ10ヶ月連続して前年を上回っている

 また石油産業も好調さを取り戻した。ここにきて原油価格が1バーレル100ドルを上回っているため、アメリカ国内で原油掘削事業が採算に乗っている。
ノースダコタ州ではシェール層に含まれているシェールオイルの掘削を始めていた。
シェール岩石に中に散在して閉じ込められているオイルをシェールガスと同様の方式で掘削する方法で、アメリカにしかこの技術は存在しない。
石油会社に職を求めてきた青年は何の技術も持っていなかったが、人手不足のため月50万円で雇用されていた。
今はこれ以上の職場はない」青年の言葉だ。

注)なおシェールガスの採掘方法については以下参照。シェールオイルも同様の方法で採掘する。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/23520-d5f1.html

 アメリカの所得格差が始まって久しいが、この原因は中間層といわれる製造業の従業員が馘首され続けたからである。
アメリカでは雇用者は金融・保険・法律・医療・ITといったインテリ相手の高収益層の職場と、自動車産業を中心とする製造業のブルーカラーの中間層、そしてファーストフード店でしか働けない低所得層に分かれる。

 このなかで中間層が健全であればアメリカ社会は安定するのだが、とくに21世紀に入ってからのドル高でアメリカの製造業はアメリカ国内での生産を取りやめたり倒産したりしてきた。
その象徴が自動車産業のGMとクライスラーの倒産であり、このため多くの中間層が職場を失った。

 オバマ政権はこの自動車産業を復活させるために二つの方策を実施した。
一つはドル安政策で思いっきりドルを印刷してドルの減価をもたらした。
この政策はヘリコプター・ベンと異名を持つFRBのベン・バーナンキ議長が受け持ち、価値のないサブプライムローン債権を担保に金融機関に湯水のごとく資金を供給した。
もう一つはアメリカで絶対的な強さを誇っていたトヨタを冤罪でがんじがらめにして営業活動をできなくすることで、これはラフード運輸長官の担当だった。

注1)ヘイコプター・ベンとは「景気を良くしたかったら、ヘリコプターで金をばら撒けばよい」と言ったのでこのあだながついた。
注2)トヨタに対するアメリカ政府の謀略は以下参照

http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat38892627/index.html

 ドル安による輸出環境の改善と宿敵トヨタの追い落としに成功したアメリカ政府はこれによってGMとクライスラー、それにフォードの業績を急速に改善することに成功し、失業率も低下を始めた。
オバマ大統領の支持率も改善して、当初共和党に追い上げられていた秋の大統領選挙も何とか乗り切れるめどが立ってきた。

 アメリカはIT産業と金融業と医療産業と自動車や石油といった製造業のバランスの上になりたっている。
ドル高になれば金融業が収益を拡大し、ドル安になれば製造業が息を吹き返す。
一方IT産業は世界の追随を許さないほど絶対的な優位性を持っており、アップル、マイクロソフト、インテル、グーグル、フェイスブック、ツイッター等後から後から新旧入り乱れての企業創設ラッシュだ。

 アメリカ経済の力強さには舌を巻くが、だからといってアメリカ経済が復活したかと言えば疑問だ。
株価の上昇はバーナンキ議長による金融の超緩和の賜物で、たまたまIT産業が業績を拡大しているからここに一斉に資金が流れ込みバブルの様相を呈しているからに過ぎない(かつてのITバブルの再現と思えばよい)。

 また自動車産業の復活もトヨタをペテンにかけてアメリカ市場から追い落とした結果で、GMやクライスラーの経営手腕とはとてもいいがたい。
シェールオイルについては石油価格の動向如何でどのようにも転んでしまう。

 そして何よりサブプライムローンの後遺症で住宅価格は低迷したままだ。ここにはどの程度不良資産が塩付けされているのか誰にも分からない。
たしかにアメリカ経済は意外に強靭で特にIT産業は目を見張る。
しかしそれ以外の産業はそれぞれすねに傷を持つ身だから、手放しの楽観は禁物だ。

 アメリカはまだ成長余力を持っているもののIT産業に特化され、それ以外の産業が足を引っ張る。
だから成長するとしても低成長がいいところだというのが実態ではないだろうか。

なおアメリカ経済については以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43809971/index.html

 
 

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(24.4.10) ワールド・ウェーブ・スペシャル 世界経済は危機を脱出したのか アジア編

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 ワールド・ウェーブ・トゥナイト
が特集を組んで放送した「世界経済は危機を脱出したのか」のアジア編は「世界を牽引できるか」がテーマだった。
リーマンショック後の世界経済はアジアの一人勝ちのような様相で、特に中国経済の発展が世界の牽引役になってきた。

 問題はこの牽引役だった中国経済にかげりが見え始め、温家宝首相は全人代で本年度のGDP成長率の目標を7.5%に引き下げた。
従来8%の成長がないと中国人民に失業問題等が発生するので、8%が最低目標だと言っていたのが嘘のようだ。

 実際中国経済を見ていると多くのひずみが発生しており、とてもこのままの成長を続けられないことが分かる。
特に大きな問題は労働力不足農民工が安い賃金で働かなくなったのが大きい。
番組では正社員の確保ができなくなった中小企業人材派遣会社から短期の派遣労働者を受け入れている様子を放映していた。

 農民工としては企業が倒産して賃金を踏み倒されるのが怖いので(中国では企業主の夜逃げが日常的に起こる)、確実な賃金を得るのが目的で派遣労働者になっている。
派遣会社がきっちりと賃金を払ってくれるからだ。
さらに派遣会社が企業と賃金交渉をしてくれるのであたかも組合交渉のような形になり、最近の労働力不足を反映して昨年度より20%賃金は上昇している。

 もはやかつてのような低賃金だけを武器にした企業経営は成り立たないため、中国政府は地方政府に産業構造の転換を求めて、高付加価値企業の誘致をするように指示を出している。
江蘇省丹陽市では特に日本の中小企業の誘致に熱心になっていた。

 日本では輸出産業が崩壊しその子会社や関連会社は国内の仕事が加速度的になくなり国内で存立できなくなっている。
しかしこうした中小企業は今までの日本経済を支えてきたバックボーンであり技術力は抜群だ。

 そうした日本の中小企業(特に自動車部品メーカー)を誘致するための工場団地を建設し、そこの管理運営会社の社長に日本人をすえて、その知恵をかりていたのには驚いた。
そこまでやるのかよ」と言う感じだ。
工場はレンタル方式で、この6月までに進出を決めれば3年間はレンタル料を無料にし、さらに仕入・配送は管理運営会社が共同で行うと言うのだから日本の中小企業にとっては願ってもない話だろう。

 もしこうした産業構造の転換に成功すればなお中国の輸出産業はかなりの期間成長を維持できそうだ。
国内では不動産バブルが崩壊し、物価高は解消されず、公害問題は国民の健康を脅かしているが、日本の中小企業の力を借りて立て直そうと言うのだから中国はしたたかだ。

 一方で現在生産拠点としてもっとも注目を浴びているのが、民主化を推し進めてアメリカ等の制裁解除を目前にしたミャンマーである。

 ミャンマーは人口6000万人、賃金水準は中国の約3分の1だから中国に進出して賃金上昇に悩んできる企業にとっては夢のような場所だ。
性格は中国人と比較してはるかに温厚だし、日本に対して「歴史の反省を求める」なんていう人はいないし、教育水準は相応に高い。

 このミャンマーアメリカとの雪解けが急激に進んだのはアメリカとミャンマー相互の理由による。
アメリカにとって21世紀最大の仮想敵国は中国で、かつてのソビエト包囲網と同様に中国包囲網を形成したかったが、今までは中東のイラクアフガン問題で手一杯だった。

 ここにきてようやくイラクやアフガンからの撤退が始まり、今まで手をこまねいていたアジア政策を強化する余裕ができたが、もっとも緊急な課題はミャンマーだった。
ここは経済制裁を行っている間にすっかり中国の植民地のようになってしまい、軍事的にはインド洋を中国が抑えてインドを脅かす拠点になっている(中国がインド洋に進出してくると中東の石油ルートを脅かされる)。
この劣勢をどうにかして挽回する必要があった。

 一方ミャンマーの事情はあまりに中国の影響力が大きくあたかもチベットウイグルと同じような中国の完全支配下に置かれそうになっていることだ。
しかも中国人は権力志向者が多く、ミャンマー人を蔑視してあごで使う。
これではわが国の主権が脅かされる。ここはアウン・サン・スーチーさんと和解して、アメリカの経済制裁を解除してもらおう

 ミャンマーとアメリカはひそかに協議を開始し、スーチーさんの政治参画を条件に手を握った。
スーチーさんもアメリカの説得に応じたので補欠選挙は予想どおりスーチーさん率いるNLDが圧勝し(45議席中43議席を獲得)、制裁解除の条件が整った。

注)なおミャンマーの国会議員の総数は上院224、下院440.

 玄葉外務大臣クリントン国務長官のミャンマー訪問の後を受けてミャンマーに出向きODAの再開を約束したのだが、これは明らかにできレースと言える。
アメリカが制裁解除の地ならしをするから、ミャンマーのインフラは日本の資金で整備せよと言うことである。
アメリカにとってはミャンマーは軍事面で中国の覇権を抑える重要拠点だし、日本にとっては日本国内で崩壊した輸出産業建て直しの拠点になるので利益が一致した。

注)現在は中国や韓国企業が積極的に進出しているが、これを日本の輸出産業の基地に変えるのが日本の戦略でアメリカが後押しをするということ。
なおなぜアメリカが日本の後押しをしているかというと、日本の輸出産業が崩壊して日本はあまりに非弱になってしまい、パートナーとしての役割を演じられなくなっているため。
あまりに弱い日本は戦略的な同盟関係を維持できない。


 こうして中国の植民地支配から逃れたいミャンマー、中国の軍事力がインド洋に及ぶのを防ぎたいアメリカ、輸出産業崩壊を立て直したい日本の3者の思惑が一致して、ミャンマーの制裁解除が始まった。

 アジアは世界を牽引できるか。ヨーロッパ、日本、アメリカといった先進国経済はすでに拡大の極点に達している。

注)ただしアメリカはIT産業でなお成長余力を持っている

 一方でミャンマーのような貧しい国は成長余力が十分すぎるほどあり、日本の資本が入り込めば中国のような急成長は間違いないだろう。
中国自身は今後も成長するとしても中成長の段階に入ってきたので、生産拠点としては多くを望めない。
これからはミャンマーバングラディッシュのような国をテイクオフさせるのが一番効率的だ。

 私の正直な印象は西欧や日本はだからといってこれ以上の成長は望めず今貧しい国がそこそこに成長すると言うところまでではないだろうか。

なお、中国経済については以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43974941/index.html

また、ミャンマー経済についても以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat47221757/index.html

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(24.4.9) ワールド・ウェーブ・スペシャル 世界経済は危機を脱出したのか ヨーロッパ編

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 ワールド・ウェーブ・トゥナイトが特集を組んで放送した「世界経済は危機を脱出したのか」はなかなか興味ある番組だった。
番組は3部構成になっていて、①広がる域内格差 ヨーロッパ、②景気回復は本物か アメリカ、③世界を牽引できるか アジア、となっている。

 このブログもそれぞれについて記事を書くことにするが、最初の①広がる域内格差ポルトガルドイツの例を挙げていた。
南欧と北欧に地域間格差があり、特にギリシャの例は日本にも良く知られているがポルトガルについてはあまり知られていない。

 ポルトガルもご他聞にもれず財政再建の只中にあり、増税と社会保障費の削減でGDPは低下の一途をたどっている。
21世紀に入ってからはGDPはまったく伸びず、本年度の見込みは▲3.4%失業率は15%程度若者だけで言えば50%近くになっている。
また貿易もまったく振るわず経常収支は90年代の半ばから悪化の一途だ。
このためポルトガルでは職を求める若者を中心にポルトガル国内から脱出し、旧植民地のアンゴラブラジルに職を求めて移住している。

注)ポルトガルの実質GDPの推移は以下参照
http://ecodb.net/country/PT/imf_gdp.html#index01
  経常収支の推移は以下参照
http://ecodb.net/country/PT/imf_bca.html#index01

 アンゴラは中央アフリカの小さな国だが石油とダイヤモンドの産出国で中東のカタールのようなイメージの国だ。
治安状況は極度に悪いが石油や天然資源の採掘作業員の需要があり、ポルトガルの賃金の2~4倍の収入を得ることができる。
失業したポルトガルの特に技術を持たないブルーカラーの格好の働き口になっているらしい。

 一方ブラジルは押しも押されぬ新興国の一員であり、ワールド・カップオリンピックを控えて東京オリンピックの前の日本のような活況を呈している。
経済が高度化しているが一方で金融・保険・経理・法律・医者といった専門家がブラジル国内では十分供給ができず、これがポルトガル人のエリート層に格好の職場を提供していた
番組に出てきていた弁護士の女性は「国を思い出すことはない」と言い切っており、すっかりブラジル人になりきっていた。

 母国ポルトガルは金融政策と財政政策のハザマで呻吟しており、国債の信頼を得るためには財政再建が必要だし、一方財政再建をすればするほど経済は失速してしまう。
国内は失業者であふれかえっているため、コエーリョ首相は「職がなければアンゴラやブラジルなどポルトガル語が通じる国で職を求めるべきだ」と国内での職場の創設を諦めてしまった。

注)旧植民地で職を求めるのは日本でも同じで韓国や台湾の大手IT企業に日本の大手企業にいた技術者が職を求めて移動している。

 一方で好調な経済状況なのはドイツだ。大手自動車産業は過去最高益をあげ、フォルクスワーゲントヨタを抜いて世界第2位の自動車メーカーになった。
失業率も低下しヨーロッパではまれな5.7%程度(通常は10%程度が普通になって若者の雇用も生まれている。

 こうした好調の最大の原因はユーロ安である。リーマンショック前まで170円相当していたユーロが100円程度まで低下したのだから、4割もドイツ製品は安価になった(韓国が輸出市場で席巻しているのと同じ理由)。
今ドイツ製品は世界中に売れまくっている。

 元々ドイツは日本と同じで製造業に特化した国作りをしてきたが、東西両ドイツの統合後90年代を通じて国際収支はマイナスだった。
東ドイツ経済の重石が取れずドイツは西欧の病人とまで言われていたものだ。

注)ドイツの経常収支の推移は以下参照
http://ecodb.net/country/DE/imf_bca.html#index01

 しかしユーロ圏(1999年)ができてからのドイツ経済は順調そのものになった。通貨が共通になって市場が拡大したために元々強かった製造業が息を吹き返し、他のユーロ諸国の製造業を駆逐してドイツの一人勝ちの様相を呈した。
もっとも通貨ユーロは高めに推移したため、ドイツの強さはユーロ域内での強さであって、域外については日本と同様ユーロ高に悩まされていた

 このためドイツではさまざまな製造業の優遇策をとった。

① 法人税率を40%から15%に引き下げ
② 企業の社会保障費負担の軽減
③ 組合との特別な賃金協定(好景気のときに資金を蓄え、不況時にはそれを賃金に充当して雇用を確保する)
④ 低賃金労働者の技術習得策


 こうした措置は構造改革といわれたが、その最大のポイントはドイツ製造業をドイツ国内にとどめて雇用を確保し失業率の増加を抑えることにあった。
ほっておくとドイツ企業が他の賃金の安いユーロ諸国やEU域内に工場を移転して、企業としては高収益だがドイツ人労働者は貧困に陥るからである。

 しかし何が幸いするかわからない。リーマンショックでEU諸国も大きな打撃を受け当然ドイツ経済も低迷したが、ユーロ安が幸いしドイツ経済は急回復した。
急にドイツ製品は4割も安価になり、かつ構造改革で法人税が15%に低減していたためドイツが再び生産拠点として復活したからだ。

 現在のドイツは順風漫歩だ。南欧諸国から見たら自分たちの職を奪ってドイツだけが繁栄しているように見える。
そのためギリシャポルトガルスペインが財政危機に陥るたびにドイツに支援の要請が来る。
ドイツの繁栄はわれわれの犠牲の賜物だ

注)ドイツの実質GDPの推移は以下参照
http://ecodb.net/country/DE/imf_gdp.html#index01


 確かにドイツがマルクのままだったら日本と同様のマルク高に悩まされて国内産業は空洞化しただろう。
しかし幸いに通貨はユーロでユーロ圏の財政危機によりユーロ安が定着している。
ユーロは弱いがドイツ経済は強い。
このためドイツは貿易収支をいつまでも黒字のままでいられる。
強い国内経済と通貨安と言う輸出産業にとってばら色のような状況だ。

 これをNHKの特集は「広がる域内格差」と呼んだが、ドイツはユーロゆえに繁栄している以上、他のユーロ圏の財政危機を今後とも救い続けなくてはならないと言う繁栄のジレンマに陥っている。

なおヨーロッパ経済については以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43160490/index.html

またポルトガル経済について23年はじめにまとめた記事があります。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/23115-b2fa.html

 

 
 

 
 

 

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(24.4.8) インドネシアの挑戦的試み 地熱発電

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 インドネシアで非常に挑戦的な地熱発電の取り組みが行われている。
昨日(5日)のワールド・ウェーブ・トゥナイトの特集で紹介されていたのだが、インドネシアの電力事情は非常に逼迫して、これを地熱発電で解消しようとの試みだ。

 インドネシアの経済成長は年率6%程度で中国よりは低いがなかなのもので、首都ジャカルタは今建設ラッシュだ。
かつてといっても15年ぐらい前だが、シンガポールに出張したときに現地の駐在員に「帰りはジャカルタに寄ってみようか」と相談したところ、「山崎さん、あそこは泥棒の巣でおちおち街も歩けないのだから止めなさい」と忠告されたのを思い出したが、それが嘘のような発展振りだ。

 このインドネシアにとっての発展のアキレス腱は電力である。元々インドネシアは石油産出国で日産160万トン程度サウジアラビアの10分の1程度)の産出だが、近年石油資源の枯渇がはなはだしい。
かつては石油輸出国だったのに07年ごろから輸入国に陥っている。
しかもインドネシア政府にとって頭が痛いのは、かつての石油王国の時代の名残でガソリン価格や灯油価格を補助金で安価に抑えてきたのが裏目に出ていることだ。
昨今の原油価格の値上がりにより政府の補助金がうなぎのぼりに増大している。

 政府としてはガソリンや灯油価格を市場価格にしたいものの、インドネシアでは灯油で炊事を行っている家庭が多く、灯油価格の値上げはすぐさま社会問題になってしまう。
どうしたらいいんだ、石油は先細りだし生活向上に伴うエネルギー需要は増大の一方だ。ここは地熱発電に将来をかけるより仕方がないのではなかろうか・・・」政府が大決断を行った。

 インドネシアには活火山150箇所もある世界最大の火山国だ(日本は110箇所)。
この地熱を利用した地熱発電所を建設できれば原発27基分程度の電力供給が可能となると試算した(単純計算では日本は原発20基程度の電力になる)。

 しかしインドネシア政府には地熱発電所を建設する資金も技術もない。そこで外資を導入して地熱発電所の建設を後押しすることにした。
一般に地熱発電所が建設できる場所は国立公園になっていて開発が制限されている。
このため地熱発電所に限っては国立公園内の建設を認め、さらに発電された電力は石炭発電所の電力の30%UPの価格で買い取り、しかも30年間の買取保証までつけることにした。
この措置により世界の地熱発電業界は色めき立った。日本からは住友商事約1200億円のプロジェクトに参加している。

 インドネシアの試みはとても示唆的だ。日本には54基の原発があるが、ほとんどの原発が活動中止に追い込まれていて今後再開のめどが立たない。
現在はかつて使用していた火力発電所を再稼動させ電力供給を行っているものの、いつ原油やLNGが高騰するか分からない。

注)野田内閣は関西電力大飯原発の再開に向けて安全基準を設定したが、地元の自治体は大反対をしている。
再開できても小さなトラブルが発生するたびに運用を中止せざる得ないから(
実際は小さなトラブルは常時起こる)実質的に原発の運用は不可能になっている。原発の時代は終ったのだ。

 日本も火山王国だ。
日本の安全保障のためにもこのインドネシアの地熱発電の試みを参考に火山国日本の自前のエネルギー確保に走るべきではなかろうか。
そう思えてならなかった。

なおインドネシア経済の発展状況については以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/nhk4-6a92.html

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(24.4.7) 鳩山元首相の愚かなパフォーマンス イランに行ってどうするの?

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 私はこの人がテレビ画面に登場すると思わず顔を背けてしまう。鳩山元首相のことである。
私が鳩山氏を嫌うのはこの人が日本の国益を最も損なった総理大臣であり、しかもそのことをまったく認識していないからだ。

 普天間基地移設問題での鳩山氏の対応はひどいものだった。
オバマ大統領には「トラスト・ミー」などと外交では絶対に言ってはいけない言葉を使いながらその約束を守らなかったし、沖縄県民に対しては「県外か国外、最低でも県外」と言いながらどこも引き受けてがないことが分かって政権を投げ出した。

 さらに「総理大臣を務めた人は国会議員を辞めるべきだ」と公言しながらまったく自身は辞める気配はないし、小沢氏のお先棒を担いで菅前総理の退陣を迫ったりしていた。
鳩山氏は外交面でも内政面でもまったくセンスがなく、ただ小沢氏のペットとしての役目しかない。
あまりのひどさにその後オバマ大統領からは鳩山氏は完全に無視され、そのとばっちりを受けて野田首相は党首会談を拒否されている(鳩山氏は食事の合間にちょっとだけ会話を交わす程度だったし、野田総理は訪米することもできない)。

 この鳩山氏が再び日本外交に混乱を引き起こそうとしている
この6日からイランを訪問しアフマディネジャド大統領IAEAの査察受け入れを進言するのだという。
これが野田内閣の特使として派遣されると言うならそれは一定の意義を持つが、今回の訪問は鳩山氏の一存だと言う。
アメリカでは外交関係を持たない国にしばしば元大統領のような公人と民間人との間のような人が特使として派遣され一定の外交成果を挙げている(カーター元大統領が北朝鮮に派遣されている)。

 しかし鳩山氏のイランの訪問は日本政府とはまったく関係ない
国会でこの問題が取り上げられ自民党の山本議員から「この人が行ってもろくなことにならない。玄葉外相は羽交い絞めにしてもとめるべきだ」と追求されていた。
玄葉外相も「私も訪問はやめるべきだと思っている」と答弁したので笑ってしまったが、なぜ鳩山氏はピエロの役割をこうも演じ続けるのだろうか。

 特にこの13日からはイラン核関連6カ国アメリカ・ロシア・中国・イギリス・フランス・ドイツ)との協議がトルコで開かれるのに、その直前に鳩山氏が単独でイランを訪問する意味が分からない。
日本は核関連6カ国の一員ではないからだ

 実は鳩山氏のイラン訪問は国際情勢とはまったく関係がない国内情勢からの判断である。
それも自身の判断ではなく小沢氏の野田内閣に対する揺さぶりであり、消費税増税路線に突き進んでいる野田内閣を外交面で失点を与え動きを取れなくするためである。

 小沢氏が自身の裁判で政治活動を十分行えないのと同じように、野田内閣の2元外交を世界に示して醜態をさらけ出させるのが目的だから、このピエロの鳩山氏ほど的確な人材はいない
鳩山氏自身は自分が何であるのかさっぱりわからない「ぼくちゃん」だから、嬉々としてイランに出かけた。
私は民主党の外交部門の最高顧問だ。私がイランに行って何が悪い。議員外交だ

 日本は鳩山氏を総理大臣に持ったことで世界に恥をさらけ出したが、今また恥の上塗りをしようとしている。
またピエロにすぎない鳩山氏のイラン訪問を止められなかった政府にも大いに責任があり、民主党政権の限界も示している。

なおイラン関連の記事は以下にまとめてあります
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat48441473/index.html

また鳩山政権の問題点に関する記事は以下に纏めてあります。

http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat42923318/index.html

 

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(24.4.6) イスラエルのイラン核施設への空爆が近づいている

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 これはどうやら一発来そうだな。そんな予感がする。イスラエルによるイラン核施設への空爆のことである。
アメリカのオバマ政権が、イスラエルロビーの政治献金の見返りに発動したイランの金融制裁が6月末から始まるが、イランは相変わらず意気軒昂でその程度ではくたばりそうもない。

注)金融制裁とはイラン中央銀行と取引のある各国の金融機関とアメリカの金融機関との取引を中止させる措置。アメリカの銀行と取引できないとドル決済機能が失われて外為銀行として機能しなくなる。

 3月始めに行われたイランの選挙ではハメイニ師率いる超強硬派が過半数を占めて、敗れた現政権のアフマディネジャド大統領を揺さぶっている。
アメリカの脅しに屈するな、弱虫!!!」
一方でイスラエルのネタニアフ首相はオバマ大統領の説得には耳をかさず「残された時間は少ない」と空爆を散らつかせている。

 こうした状況下でトルコのエルドアン首相が仲裁を買って出て、この4月13日から中断されていたイランと核協議6カ国アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス、ドイツ)との話し合いを再開するが、妥協点を求めることはほとんど不可能だろう。

注)おそらくイランは時間稼ぎのために一部の核施設のIAEAの査察を認めるだろう。しかし一方でウラン濃縮活動を進めるのでイスラエルの危機感はさらに積もるはずだ。

 イランの立場は原子力の平和利用で、確かに平和利用である限り問題はないが、それにしては濃縮活動が穏やかでない。
何で3%程度の濃縮であれば原子力発電で十分なのに20%濃縮するんだ。しかもますます濃縮度を上げているじゃないか」誰が見ても核兵器の製造のためだ。
せっかくのトルコの仲裁も、またアメリカの金融制裁もイランの核開発を阻止することはできない。
そうなるとやはりイスラエルによる核施設への攻撃しかないが、実際に行うとするとその成果は限定的だろう。

 過去イスラエルはイラクとシリアの核施設の攻撃を行い撃破したが、それはこうした施設が地上にあったからで一方イランの核施設は地下深くに建設されていてちょっとやそっとの空爆では破壊できない
イスラエルは地下深くまで貫通する爆弾を保持しているものの、本当に効果があるかどうかはやってみないとわからない。

注)アメリカが持っている新型要塞破壊爆弾GBU-20の供与をイスラエルはもとめたが、オバマ大統領に拒否されている。
おそらくコマンドのような地上部隊を派遣して内部から破壊する以外対応はないのではなかろうか。

 こうなるとイランは激高し当然ホルムズ海峡の封鎖を行うだろう。封鎖のうちでもっとも可能性が高いのは機雷を海に放つことだ(実際に放たなくても放ったとアナウンスするだけでもこの海峡にタンカーは通れなくなる)。
なにしろホルムズ海峡はもっとも狭い場所が50kmだが、実際は岩礁等があって安全に通れる場所は6km程度だ。
ここに機雷を敷設すればいいのだから簡単だ。

 アメリカの第5艦隊が遊弋しているものの機雷除去が完全に確認されるまではこの海峡は通れないし、アメリカの安全宣言があっても再び機雷を敷設したと言えばいいのだから、いつまでたっても通ることはできない。

 世界の原油の40%、日本向けの原油の90%はここホルムズ海峡を通るのだから、石油価格は暴騰し日本経済は再び大ピンチに陥る。
もっともピンチに陥るのは日本だけでなく中国、韓国、インドといった資源を持たない国は一斉に経済の大失速に見舞われるだろう。

 アメリカ経済も軽症ではいられず、特に原油価格上昇に伴うガソリン価格の上昇はせっかく回復してきた消費を冷え込ませるし、何よりGMをはじめとするアメリカ車の需要が再び落ちこんで、自動車産業が崩壊の危機に陥る。
これではオバマ大統領は選挙に勝てない。
だからイスラエルのイラン攻撃はオバマ大統領にとって悪夢だが、ネタニアフ首相はタフで日本の首相とは違う。必要があれば必ず実施するだろう。

注)可能性が最も高いのはアメリカ大統領選挙の後の時期だ。それ以前に空爆を行うとオバマ政権が倒れるので、何としてもアメリカはイスラエルを押さえると思う

 客観的にみてアメリカはイスラエルの肩を持ちすぎてイスラムの復権を読み損なっているとしか思われない。確かにナチスドイツによるユダヤ人の虐殺は目に余ったが、それは半世紀も以前のことだ。
今はイスラエルによるパレスチナ人への虐殺のほうが目に余る。

 私はアメリカの政策がイスラエル一辺倒である限り中東和平はおとづれることはないと思っている。

なお、イラン・イスラエル関連記事は以下のとおり
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat48441473/index.html

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(24.4.5) 中国の食用油事情 下水溝と動物の内臓は宝の山

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 中国では食べれるものは何でも食べてしまうのだが、下水溝にたまった油から食用油を生産しているのには驚いた。
私は最近までまったく知らなかったが中国ではマンホールのふたを開けて、その中にたまっている油状のものを樽に回収し、それを精製して食用油を作っている。

注)この油を集める作業はとてもきついらしく、収入は一般のサラリーマンレベルになるため貧しい農民工等が喜んで従事している。

 もちろんどこのマンフォールでも良いと言うわけでなく油脂が垂れ流されている工場近くのマンフォールから回収されるのだが、それを濾過して過熱・沈殿させて分離をすると再生食用油になるのだそうだ。
中国の学者の推計では年間の動物性と植物性の油脂使用量2250万トンのうち250万トン再生食用油(日本のマスコミではどぶ油という。工場で正式に生産されている食用油は約2000万トンなのでその差が再生食用油だという。

 この食用油は臭いはないが色がどす黒く一目で再生食用油と分かるのだそうだが、価格が通常に生産された食用油の半値以下のため多くのレストランでそっと使用されていると言う。
下水溝の油でもちゃんと精製されれば問題はなさそうだが、実際は油以外の発がん性物質のアフラトキシンが含まれていたり、農薬が除去されずに残されていたりして、ほとんど命と引き換えの状況になっている。

注)再生食用油問題は2005年以降中国のマスコミで常時話題になっている。

 中国当局もこの再生食用油の撲滅に乗り出し、高額の罰金や死刑を含めた厳罰で臨んでいるが、ちょっとやそっとでへこたれないのが中国人だ。
さすがに排水溝の油をとることは下火になったが、今度は食肉加工場で廃棄された牛や豚や羊の内臓や皮から動物油をとることを考え出した。
廃棄物の有効利用だ」と意気盛んだ。

 排水溝の油よりましだが元々破棄された動物の内臓だから腐っていたり他の汚物が付着していたりして衛生上問題が多すぎる。
もちろんこうした再生食用油工場は地下工場だから、最初から衛生基準など守っていない(ただし認可を受けた工場がそっと作っている場合も多い)。
安いだけがとりえの再生食用油でも、中国人は安ければそれでいいのでこの違法で危険な食用油の使用が蔓延している。
だから健康に気をつける中国人はわざわざ自分で食用油をレストランに持ち込みその食用油を使わせているほどだ。

 こうした中国の食用油の実情はひどいものだが、もっとも日本でも戦後すぐの頃は酒がなかったためにバクダンのいう名のメチルアルコールが入った酒を飲んで失明をしていた。
工業用メチルアルコールは安価だったので酒の代わりにしたらしい。
また最近でも腐った肉を加工して通常の肉として売っていた北海道の業者もいた。

 中国では昔から食べれるものは何でも食べてきた。孔子は弟子の子路が殺されて塩辛にされたのを嘆いて、以後塩辛を食べなくなったと言うくらいだから、人肉を食べるのも普通に行われてきている(史記の孔子世家編に載っている)。
文化大革命では1000万単位の人が殺されたが、殺された人の人肉を食べたと言ううわさがたえない。

 中国も新興国として世界経済をリードする立場になったのだから、衛生問題をもっとまじめに取り組んで下水溝からの油など使用しないようにしてもらわないと、おちおち中国で食事をすることもできない。

なお中国に関する社会問題の記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat48428075/index.html
 


 
 

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(24.4.4) おゆみ野歩く会の定例散歩 四季の道からかずさの道へ

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(ここだけ桜が咲いていた

 今年の春はやけに遅い。例年ならば3月の終わりにはが咲き誇っているのに、今年はまだつぼみのままでちらほら開花が始まったと言う状況だ。
四季の道を歩いているとそろそろ終わりに近づいたの花が最後の芳香を放っており、本来なら桜の前に咲きそろうもくれんが開花し始めている。
なんということだ、今年は梅と桜ともくれんが競合して咲いている。これではシベリアの春と同じじゃないか・・・・・・」驚きだ。

 しかも先日は大風が吹いたが今日3日)も台風並みの大風が吹くと天気予報が警告を発している。
倒れそうなものは補強して、補強が不可能なものは室内に置くように」と実に親切なアドバイスだが、こんな異常気象は初めてだ。

注)温帯で発生する台風並みのこの低気圧を「爆弾低気圧」と言っていたがあまりいい命名でない。「温帯性台風」のほうがいいのではなかろうか。

 世界中の天候に異状がきたし始めてから久しい。
日本は四季折々の風光明媚な国だったが次第に春と秋がなくなって、冬はめっぽう寒く、夏は猛暑の亜熱帯の国に近づいてきた。
昨年の夏私は北海道でRUNをしていたがあまりの暑さに根をあげた。
ここが北海道だろうか、これでは千葉を走っているのと変わりがない・・・

 それでも春は春だ。今日(3日)はおゆみ野歩く会の定例散歩の日で、桜見学に四季の道からピンクロード、そしてちはら台のかずさの道をめでることにした。
このコースは私のランニングコースだが桜をめでるコースとしても最適だ。

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  日本人がと言えばと思うようになったのは平安時代からで、それ以前は中国にならってだった。今でも奈良朝時代にさかのぼる古い神社仏閣に紅梅・白梅が植えられているのはその時代の名残である。
しかし日本人の感性には梅よりは桜のほうが似合う。
梅の花はいつまでも粘り強く咲き誇っているが、これは中国人のメンタリティーのようだし、さっさと散ってしまい散り際の美しさを求めるのは日本人の感性だ。

 今回散歩に選んだ四季の道は春の道エリアが桜通りになっており、ピンクロード千葉県農業総合研究センターが川沿いに桜を植えている。
またかずさの道はすべてが桜通りだ。
歩くと3時間から4時間程度のコースでとても気持ちがいい。
この近在に住んでいる人にはぜひ勧めたい花ロードだ。

 今回の歩く会もいつもの仏姉さんケヤキ姉さん、それとパイロットおじさん散歩おじさんのメンバーだ。
午前中は天候が安定しているので、朝9時に出発し天気が崩れる前に散歩を切り上げることにした。
食事はちはら台のセンドーさくら弁当を仕入れた。

 風は強かったが気温が高く、吹かれても気持ちがいいくらいだった。午後1時には散歩は終わったが雲の流れはとても早かった。

なお歩く会の記事は以下にまとめてあります。http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat46049658/index.html

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(24.4.3) 大阪城は落城するか 大阪交通労働組合と橋下市長の死闘

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 大阪交通労働組合大交)と橋下市長のバトルが先鋭化している。
大阪交通局(大交はそこの組合市営地下鉄市営バスの経営を担当しているが、地下鉄部門が黒字なのに対してバス部門はここ28年間慢性的な赤字になっている。
バス部門の累積赤字は604億円にのぼるが、それでも経営が成り立っていたのは地下鉄部門の黒字でバス部門の赤字を補填していたからだ。

 橋本市長大交のバトルは先の市長選で大交が前市長の平松氏の最大の応援部隊だったからで、大交組合員は約5500名)はなんとしても橋下氏が市長になることを阻止しようとした。
その最大の理由は橋下氏が大阪交通局、わけてもバス部門の給与の高さを槍玉に挙げていたからだ。
私が市長になればバスの運転手の給与は民間並に引き下げる

 大阪バスの運転手の給与水準は平均で739万円年収)だが、これを民間会社のバス運転手の最低ライン460万円並みにしに、約4割のカットをするというので組合員がパニックに陥った。
トンでもない、これでは給与を前提にして組んだローンも支払えない

 大阪交通局内では市バスの運転手の給与が一番高い。地下鉄の運転手の給与は約700万円だから、赤字部門の給与がなぜ黒字部門の給与より高いかというと、それまでの組合運動の成果である。
バスの運転手の組合員がもっとも先鋭的な組合活動をして、こうした成果を勝ち取ってきた。
今まではこの大交の組合に誰も逆らえなかったのが実態だ。

 もちろん大交は自分たちの給与を上げるだけでは市民の賛同を得られないので、70歳以上の市民の市営の地下鉄とバスの運賃を無料にする敬老優待乗車券を強力に推し進めた。
本来ならバスの乗客数は加速度的に落ち込むのだが、老人が乗車してくれることによってかろうじて乗客を運んでいる。
70歳以上の対象者は35万人で大阪市は(地下鉄分を含め)毎年約80億円を敬老優待費用として肩代わりをしている。

注)バスの乗客数の最高は昭和39年の119万人で現在は約19万人。なお敬老優待券制度については橋下市長は半額補助に制度を変更しようとしている。

 大交と橋下市長のバトルは当初橋下氏が押しに押していたが、ここにきて様相が変わってきた。
橋下陣営が大きなチョンボをしたからだ。
大阪維新の会の杉村議員が「大交の活動は政治活動で、選挙違反だ」と証拠を挙げて追及していた証拠物件が実は大阪交通局の非常勤職員が捏造したものだと判明したからだ。

 この証拠物件とは大交が組合員に配布した平松氏支持の「知人・友人紹介カード」なるものの「配布・回収リスト」である。
リストとはカードを組合員が知り合いに確実に配布をし、そのカードを確実に回収しているか否かをチェックしたものだ。

 配布「」、回収「」と記載されていて,いかにも組合が組合員を締め付けているような形式になっており、欄外にわざわざ「カードの提出に非協力な組合員がいた場合は今後不利益が発生する」と脅し文言が入っている。

 これを杉村議員選挙違反行為として組合追求にとりあげたのだが、これはまったくの勇み足だった。
実際に組合が暗に陽に平松氏を支持したのは事実だが、このようなあからさまに選挙違反になるようなリストを組合が作成するはずがない
それでなくても橋下陣営から少しでもミスがあれば徹底的に追及されることは分かっているのだから、証拠を残すようなヘマはしない。
何しろ大交は政治活動のプロだ。

 だからこうした捏造文書に簡単に飛びついた杉村議員は物事の真偽を判断する能力が欠けていたといわざる得ない。
おかげでそれまで橋下市長が押しまくっていたが、大阪交通局と労働組合に反転攻勢をする機会が与えられた。
杉村議員には責任を取ってもらおう

 大阪城はなかなか落城しない。やはり冬の陣、夏の陣というバトルが繰り返されないとこの問題は解決しそうにない。

なお橋下市長関連の記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat48411184/index.html

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(24.4.2) シリーズ日本再生 インフラはどのように守っていくか

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 私はこのシリーズを始めてみたのだが、もっと早くから注目していればよかったと反省した。
シリーズ日本再生と言う番組だがキャスターは私が大好きな三宅民夫氏で、今回は第5回目「インフラの老朽化に如何に対処するのか」がテーマだった。

 私は長いこと日本はインフラだらけでそれも不必要なインフラが多いとこのブログで何回も書いてきた。
民主党も政権をとるまではヤンバダムは日本の誤った公共工事の代表だと主張してきたが、政権をとったとたんにヤンバダムは治水利水で重要なダムに変わってしまった。

 しかし客観的に見れば日本は飛行機の飛ばない飛行場や漁船のいない漁港や熊とキツネと私しか使用しない北海道の道路や、私だけのための水泳場だらけだ。

注)習志野市に千葉県国際総合水泳場がありここには2箇所の50mプールがある。一箇所は水深2mの本格的な競技用プールだが大会が行われないとがらがらにすいている。
私はそのプールの一つのコースを占有して泳いだものだが、私のために作ったプールなのだろうかと不思議に思ったものだ。


 なぜこのように公共施設だらけになったかと言うと、バブル崩壊後の景気振興策として毎年10兆円を超える規模(最盛期には25兆円)の巨費を投入して公共設備を作りまくったからだ。
このとき政府は地方自治体に借金をしてもインフラ整備を行うことを奨励した。
返済時に必要な資金の55%相当は、国からの地方交付税で補填をする

 何を作っても半分は国が見てくれるし、土建業界は潤うし、住民は喜ぶし、景気が回復したら税収が復活するので地方自治体はこの提案に飛びついた。
その結果浜松市などは約2000の公共施設ができ、年間のメンテナンス費用が1兆3000万円かかるようになり、この費用の捻出に今は苦吟している。

注)通常国からの補助金は新規に公共施設を建設するときには出るが、その維持管理費は地方自治体の負担になる

 「景気さえ回復すれば・・・・」が合言葉だったが、実際はすべてが裏目に出た。
バブル崩壊後日本経済は長期停滞し、失われた20年間に突入している(私はこのまま行けば失われた30年間になると思っている)。

 税収は伸びるどころか減少し、借金はさらにふくらみ、人口が逓減して老人ばかりになっているためスポーツ施設などはガラガラに空いてきた。
道路や橋は補修費用がないためいたるところにひずみが出始めて、首都高速道路などは年間600億円の補修費を費やしてもまだ10万箇所の未補修がある。もし首都高を作り替えるには1兆円がかかる状態だ。
また京都市では水道管が老朽化して破裂し、この爆発の影響でガス管まで穴が開いてしまった。そのガス管に水が流入しガス管から水が出てしまう珍事まで発生した。

 一体どうしたらいいのだろうかと地方自治体は苦悩の真っ只中にある。
こうした苦悩の結果考えだされた案の一つがコンパクト都市の建設である。
人が少なくなるのならそういう人を一箇所に集めてそこのインフラ整備を集中的に行おうと言う案で、たしかにこれができれば地方財政の崩壊は免れる可能性が高い。
しかしおさまらないのは集められるほうの住民だ。
いやだ、俺は今までの場所に住みたい。俺だけのための橋の補修でも自治体ならすべきだ」と言うことになって、コンパクト化はままならず補修費の削減もできない。

 こうした中で長野県下條村の取り組みには驚いた。ここは人口4000人の過疎の村で当然財政は逼迫している。
この村では道路の補修をなんと住民が総出で行っていた。昔の農作業のユイと同じだと思ったが、この方法ですると業者に頼んだ場合の5分の1で補修が可能なのだと言う。

注)画面では住民が道路にコンクリートを流し込んで表面をトンボでならしていた。道路を自分で補修可能だと始めて知った。

 また下條村では身の丈にあった公共整備を主眼に下水は個々の家ごとに浄化槽を設置していた。この方法だと村の負担が1.5億円で済み、一方下水道を整備すると約13億円かかるからだ。

注)ただし国からの補助金は浄化槽は約3億円、下水道の場合は29億円で補助金では下水道のほうがいいが、村の自己負担が多きすぎ対応できないことが浄化槽の選択となった。

 日本は今急激に縮みつつある。そのため多くのインフラが不要になりその維持費で自治体は悲鳴を上げている。
こうした状況下では、受益者の住民が実際にインフラ整備の一端を担わなければ自治体財政が崩壊するだけだ。

 私はおゆみ野クリーンクラブと言うものを立ち上げて、地区の清掃やベンチのペンキ塗りや街路灯のペンキ塗りをしているが、こうした活動が今日本に求められていることをこの番組で再認識した。
そうか時代は俺を必要としているのか」そんな感じだ。
実際ここおゆみ野では住民参加の取り組みのプロジェクトがたちあがっている。

 住民が単に行政に要請だけしていた時代は終わっている。
多くの住民がこれからはインフラ整備やメンテナンスは自分のこととして取り組まざる得ない。
それが日本再生の第一歩だ。

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(24.4.1) ロドリゴからのお礼  思わぬ温かい支援に感謝します



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  ほとんど信じられないような支援だ。ロドリゴがこの3月14日に四季の道のペンキ代のカンパを依頼したところ、合計で108000円、計17名の方からおゆみ野クリーンクラブ支援のカンパをいただいた。

 ロドリゴとしては数人の知り合いがカンパをしてくれるのではなかろうかと予想していたが、それをはるかに上回る金額と支援者だ。
主よ、ロドリゴには多くの心温かき支援者がおりました。ロドリゴにとってこの上なき幸せでございます。主のお導きに心から感謝いたします

 桜の咲くまでにはがれたベンチの塗装を完了しようとして、ここ2週間時間が空いていれば塗装を行っている。
夏の道から始めて春の道さくら公園まで何とか完了することができ、約60個のベンチの塗装が完了した。
今年はさくらの花の開花が遅くまだ花見が始まっていないのが幸いだ。
主よ、どうにか花見までに塗装が間に合いました。今年の春の道は美しい景観が保たれております

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(緑区役所前のかわず桜。この桜だけが咲いている)

 しかしまだ塗装が完了していない場所があり、川の道そばら公園付近秋の道公園付近夏の道公園付近が残っている。
ロドリゴとしては4月中にこうした場所の塗装も終えたいと考えている。

 それにしても塗装とはなかなか一筋縄ではいかない。一番の問題はすぐにはがれてしまうことで、特に下に前の塗料が残っている場合は塗った塗料が木部と接着しないためにすぐはがれる。
そうならないように前の塗料をやすり等でそぎ落とすのだが、これには思わぬ力が必要で手が腱鞘炎になりそうだ。
また水性塗料は太陽光線に弱く、特に太陽にさらされているベンチ(木陰のないベンチ)は3ヶ月程度が寿命だ。その場合は再塗装をすぐに行うのがコツだ。
よ、ロドリゴは多くの支援者のおかげで、十分な塗料の在庫を確保できました。少しでもはがれるようなことがあれば必ず再塗装をいたします

注)現在はペンキでなくステインを使用している。ステインとは木部に浸透して着色する塗料のことで、ペンキが表面に皮膜を作るのと異なる。

 ここ2年ほどは自腹で塗料を購入していたが、貧乏性がでて3回塗りをせず1回塗りで済ませたり、再塗装を怠っていたので塗装がはがれていた。
しかし今回はそうした心配をせずに十分なメンテナンスができる。

 ベンチの塗装が一段落したら、街路灯のペンキ塗りと、距離表示のペンキ塗りをしておく。どちらもおゆみ野ができてから30年近くの歳月がたってだいぶさび付いてきた。
こうしたものもさびを落として再塗装をしておこう。
また太鼓橋のタイルのはがれている場所もだいぶあるのでアスファルト等で当座の補強をしておかないとますますタイルがはがれそうだ。

 ロドリゴが四季の道を「世界で一番美しい遊歩道にしよう」と願をかけてから5年がたった。今年は思わぬ支援者に恵まれて、ロドリゴもいつになく張り切っている。
主よ、お喜びください。支援者のおかげで四季の道が神の道に近づいております

なおおゆみ野クリーンクラブの活動の記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat45485858/index.html


 

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