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(24.4.24)ミャンマーの経済制裁解除 日本の経済戦略とアメリカの政治戦略

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 日本にはまったく戦略がないものと諦めかけていたが、今回の対ミャンマーに対する経済制裁解除は日本が放った久々の快挙だ。
ながらく中国の半植民地であったミャンマーはさすがに自己が置かれている立場に疑念を持つようになってきた。

 何しろ中国によって北部州に建設予定だった水力発電所の電力は、ほぼ全量中国に輸出されることになっていたため、これではミャンマーの電力不足改善には何の役にも立たない。
テインセイン大統領も考え込んでしまった。
資源はすべて中国に持っていかれる。これではわが国は中国の植民地と同じじゃないか・・・・・・・・
昨年9月この事業を「環境をひどく破壊する」との理由で取りやめたが、このことがアメリカへのシグナルになった。

 アメリカにとってはミャンマーが中国の実質的植民地になると、中国は太平洋とインド洋に面した大海軍大国になりアメリカの石油ライン防衛に直接の脅威になる(アメリカは石油の流通を抑えることによって世界経済を抑えている)。
またアメリカの友好国インドにとっては直接の脅威であり、中国とインドの関係がパキスタンミャンマーの両地域で一気に緊迫している。

 こうした情勢下で日本とアメリカ、そしてミャンマー政府とアウンサンスーチーさんの4者が手を組んだ
アメリカがアウンサンスーチーさんを説得して補欠選挙に出させ、スーチーさん率いるNLDを大勝させることによって民主化をアピールし、日本が経済制裁解除に取り組むと言うシナリオである。

 さっそく野田総理は日本で「日本・メコン地域諸国首脳会議」を開催しそこにテインセイン大統領を招き、大胆なミャンマー支援策を表明した。
声明によれば「ミャンマーの民主化改革を高く評価し」以下の対応をとると言う。

① 今までのODAの円借款5000億円(遅延損害金2000億を含む)のうち3000億円を放棄し、残り2000億円については新たな円借款に乗り換える。

注)なおこうした円借款は実質的には返済されることなく新たな融資に乗り換えられるのが普通だから、受けたほうはただで資金を提供されたのと同じ。

② ヤンゴン近辺のティラワ団地(2400ha)を共同で開発をして、日本企業の誘致を行う。

注)共同と言っても資金と機材は日本が提供し、ミャンマーは労働力を提供することになる。できた団地には日本の輸出産業を誘致する。

③ ミャンマーの極端に悪い電力事情を改善するために、日本が中国に変わって電力発電所の建設を行う。

注)ミャンマーの電力事情はヤンゴンでも一日に2~3割り程度しか電力が供給されない。このままでは企業進出もままならない。なおミャンマーは天然ガスの産出国であるのでこれを電力発電に利用できる。

④ 進出する日本企業を守るため投資協定を締結する。

注)独裁政権はえてして自分の都合で外国企業を国有化する。こうしたことが起こらないように投資協定の締結が必要。

 日本にとってはこのミャンマーの開発援助は崩壊した日本経済再生の起爆剤になる可能性が高い。
人口5000万人を越え、性格は温厚で相対的に教育水準は高い国民(アウンサンスーチーサンをみると分かる)だから、日本との馬はぴったりと合う。
すでに100円ショップ大創産業がフランチャイズ店をオープンすると言っていたのには笑ってしまった。
そうか、現在の日本のもっとも進取の気質に富む企業は100円ショップか・・・・
他にもローソンも進出を予定し、全日空は定期便を飛ばすと言う。

 日本は輸出産業が崩壊し、また土建業も不必要な公共工事でかろうじて生き延びている。
従来日本は中国進出に熱心だったが、中国は大市場でも常に政治リスクが高くおまけに賃金上昇は止め処もないので今後の進出先としては適切でない。
東南アジアは日本にとってもっとも最適なパートナーだが、その中でもミャンマーはインフラ整備からはじめると言う日本の土建業界にとって最大のお客様になる可能性が高い(支払いは日本のODAだから安心だ)。
土建業がインフラを整備した後に輸出産業が進出すると言うイメージだ。

 もっとも現在アウンサンスーチーさんが軍事政権が制定した憲法をきらって、「憲法を守る」との宣誓を拒否し国会への登庁を見合わせているトラブルが発生している。
これがもめると厄介なことになるが、おそらくクリントン国務長官が仲介して何らかの妥協点を見出すはずだ。

注)現在の憲法では国会議員は「憲法を守る」との宣誓をしなければ国会議員として正式に承認されない。

 野田首相はミャンマー支援を日本の手で行うことで日本経済再生のかけに出た。日本にとっては実に大きなチャンスと言える。
そして今後の日本企業の大進出を想定すれば、就職にあぶれそうな学生は積極的にビルマ語の学習をするのが就職の近道になりそうだ。

なお、ミャンマーに関する記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat47221757/index.html

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