« (24.4.10) ワールド・ウェーブ・スペシャル 世界経済は危機を脱出したのか アジア編 | トップページ | (24.4.12) BS歴史館 平清盛 勝利と敗北の経済戦略 »

(24.4.11) ワールド・ウェーブ・スペシャル 世界経済は危機を脱出したのか アメリカ編



20120408_081203_2

  ワールド・ウェーブ・トゥナイトが特集を組んで放送した「世界経済は危機を脱出したのか」のアメリカ編は「景気回復は本物か」だった。
実際最近の経済指標は経済が底から脱出して好景気に向かう兆候を示している。

 ニューヨーク証券取引所の株価は今年に入って7%もアップしており、これは4年3ヶ月ぶりの高水準でリーマン・ショック前にもどった。またハイテク企業が上場しているナスダック18%のアップした。
アイフォーンアイパッドで快進撃を続けるアップルは今年に入って50%も株価が上昇だ。
アメリカの株価はIT産業先導で完全に上昇気流に乗っている。

 アメリカ人は日本人と異なり貯蓄は投資信託での運用が多いから株価が上昇すれば資産が増え消費意欲がわいてくる。
自動車は一時は燃費のいい小型車専門だったがここに来て大型車の販売が好調になっている。
GMはさっそく大型セダンの新型モデルを発売した。
自動車販売はここ10ヶ月連続して前年を上回っている

 また石油産業も好調さを取り戻した。ここにきて原油価格が1バーレル100ドルを上回っているため、アメリカ国内で原油掘削事業が採算に乗っている。
ノースダコタ州ではシェール層に含まれているシェールオイルの掘削を始めていた。
シェール岩石に中に散在して閉じ込められているオイルをシェールガスと同様の方式で掘削する方法で、アメリカにしかこの技術は存在しない。
石油会社に職を求めてきた青年は何の技術も持っていなかったが、人手不足のため月50万円で雇用されていた。
今はこれ以上の職場はない」青年の言葉だ。

注)なおシェールガスの採掘方法については以下参照。シェールオイルも同様の方法で採掘する。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/23520-d5f1.html

 アメリカの所得格差が始まって久しいが、この原因は中間層といわれる製造業の従業員が馘首され続けたからである。
アメリカでは雇用者は金融・保険・法律・医療・ITといったインテリ相手の高収益層の職場と、自動車産業を中心とする製造業のブルーカラーの中間層、そしてファーストフード店でしか働けない低所得層に分かれる。

 このなかで中間層が健全であればアメリカ社会は安定するのだが、とくに21世紀に入ってからのドル高でアメリカの製造業はアメリカ国内での生産を取りやめたり倒産したりしてきた。
その象徴が自動車産業のGMとクライスラーの倒産であり、このため多くの中間層が職場を失った。

 オバマ政権はこの自動車産業を復活させるために二つの方策を実施した。
一つはドル安政策で思いっきりドルを印刷してドルの減価をもたらした。
この政策はヘリコプター・ベンと異名を持つFRBのベン・バーナンキ議長が受け持ち、価値のないサブプライムローン債権を担保に金融機関に湯水のごとく資金を供給した。
もう一つはアメリカで絶対的な強さを誇っていたトヨタを冤罪でがんじがらめにして営業活動をできなくすることで、これはラフード運輸長官の担当だった。

注1)ヘイコプター・ベンとは「景気を良くしたかったら、ヘリコプターで金をばら撒けばよい」と言ったのでこのあだながついた。
注2)トヨタに対するアメリカ政府の謀略は以下参照

http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat38892627/index.html

 ドル安による輸出環境の改善と宿敵トヨタの追い落としに成功したアメリカ政府はこれによってGMとクライスラー、それにフォードの業績を急速に改善することに成功し、失業率も低下を始めた。
オバマ大統領の支持率も改善して、当初共和党に追い上げられていた秋の大統領選挙も何とか乗り切れるめどが立ってきた。

 アメリカはIT産業と金融業と医療産業と自動車や石油といった製造業のバランスの上になりたっている。
ドル高になれば金融業が収益を拡大し、ドル安になれば製造業が息を吹き返す。
一方IT産業は世界の追随を許さないほど絶対的な優位性を持っており、アップル、マイクロソフト、インテル、グーグル、フェイスブック、ツイッター等後から後から新旧入り乱れての企業創設ラッシュだ。

 アメリカ経済の力強さには舌を巻くが、だからといってアメリカ経済が復活したかと言えば疑問だ。
株価の上昇はバーナンキ議長による金融の超緩和の賜物で、たまたまIT産業が業績を拡大しているからここに一斉に資金が流れ込みバブルの様相を呈しているからに過ぎない(かつてのITバブルの再現と思えばよい)。

 また自動車産業の復活もトヨタをペテンにかけてアメリカ市場から追い落とした結果で、GMやクライスラーの経営手腕とはとてもいいがたい。
シェールオイルについては石油価格の動向如何でどのようにも転んでしまう。

 そして何よりサブプライムローンの後遺症で住宅価格は低迷したままだ。ここにはどの程度不良資産が塩付けされているのか誰にも分からない。
たしかにアメリカ経済は意外に強靭で特にIT産業は目を見張る。
しかしそれ以外の産業はそれぞれすねに傷を持つ身だから、手放しの楽観は禁物だ。

 アメリカはまだ成長余力を持っているもののIT産業に特化され、それ以外の産業が足を引っ張る。
だから成長するとしても低成長がいいところだというのが実態ではないだろうか。

なおアメリカ経済については以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43809971/index.html

 
 

|

« (24.4.10) ワールド・ウェーブ・スペシャル 世界経済は危機を脱出したのか アジア編 | トップページ | (24.4.12) BS歴史館 平清盛 勝利と敗北の経済戦略 »

評論 世界経済 アメリカ経済」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (24.4.10) ワールド・ウェーブ・スペシャル 世界経済は危機を脱出したのか アジア編 | トップページ | (24.4.12) BS歴史館 平清盛 勝利と敗北の経済戦略 »