(24.3.29) シャープの悲しい方向転換 液晶パネルからの撤退
私のように家電と言えばシャープで特に液晶テレビはAQUOS(アクオス)と思っているものにとっては、衝撃的な悲しいニュースだ。
かつては液晶パネルと液晶テレビで世界を席巻していたシャープがとうとう液晶パネル部門から撤退を始めた。
台湾のホンハイグループにシャープ本体へ約10%(669億円)の資本の投入を求め、さらにシャープが誇った大型液晶パネルの堺工場(子会社)に約47%(660億円)の出資をもとめたからだ。
注)この措置により堺工場はホンハイとシャープが47%づつの資本をもち、残りはソニーが持つことになった。ソニーはいづれ資本を手放すと見られ、そのときにこの工場の本当の所有者が決まる。
シャープの連結売上高はリーマンショック後減少傾向にあったが、それでも何とか利益を確保してきた。しかし12年3期は円高の影響と液晶部門の価格の低下があまりに激しく、とうとう当期利益は▲2900億円の最悪の結果になってしまった。
パネルも液晶テレビも作れば作るほど赤字が膨らんでいる。
注)シャープの連結決算の推移
売上高 当期利益
09年3期 2.8兆円 ▲1258億円
10年3期 2.8兆円 43億円
11年3期 3.0兆円 194億円
12年3期 2.5兆円 ▲2900億円
今や液晶パネルは韓国のLG電子(27%)とサムスン電子(26%)が席巻し、次が台湾のホンハイグループ(17%)が続いており、シャープのシェアは約7%まで落ち込んでいた。
かつては液晶と言えばシャープといわれていたのに見る影もない。
シャープの堺工場といえば大型液晶パネルの世界最先端の設備と、環境に配慮した工場として知られ4300億円に上る設備投資を行ってきた。
かつての帝国海軍のイメージで言えば戦艦大和と言う感じだ。
しかし稼働率が50%を割って、このままでは最大2000億程度の減損処理を迫られそうになっている。
注)減損処理とは現在の簿価と将来の収入を計算して、簿価より収入が少ない場合はその金額を資本金から減額する措置。
液晶パネルは散々な状況だが液晶テレビも韓国勢に席巻され、順位はサムスン電子(19%)、LG電子(13%)、ソニー(10%)でシャープは6位の7%に過ぎない。
日本のメーカーはパネルからテレビまでの一貫生産を続けてきたが、世界の趨勢は世界中から安い部品を調達して最も人件費が低い場所で組み立てる方式に変わっている。
シャープの今回の措置は大型液晶パネル部門から撤退し(スマートフォン等の小型液晶パネルの生産は続ける)、資源を成長部門に向けようと言うことだが、現状では何がシャープの成長部門か見えてこない。
シャープには同情を禁じえない。すばらしい技術開発力は持っていてもこの円高を乗り切ることはできない。
何しろ競争相手の韓国ウォンはリーマンショック後対円で4割相当、台湾ドルは3割相当減価したのだから、こうした環境下で日本で生産を行うなんてことは自殺行為と言える。
サムスンもLG電子もホンハイも技術水準ではほぼ日本メーカーに近づいており、大型液晶テレビ部門では韓国勢がすでに凌駕している(アメリカの見本市でその実力を見せ付けていた)。
このところ若干の円安傾向があるが、EUもアメリカも金融緩和措置によってかろうじて景気を支えているだけだから、いつ再び円高に触れるかわからない。
日本はすでに輸出産業にとっては最悪の環境になっており、NECもパナソニックも非成長部門の切り離しに躍起となっているが、このシャープの液晶パネル部門の身売りはその中でも象徴的事件だ。
なお日本経済の成長問題については以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43696146/index.html
(別件 )
先日おゆみ野クリーンクラブのカンパを依頼しましたが、そっさく何人かの方が応じてくださり心から感謝いたします。花見までには塗装を終了させておきます。
なお、依頼文は今月いっぱい下記に継続して掲載いたします。
従来おゆみ野四季の道の清掃関係や塗装関係費は自費で調達してきましたが、生活費がかさみ思うに任せなくなってきております。
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② カンパの件数、金額は毎月1回このブログで報告します。また決算報告は年1回行います。
③ 賛同していただける方は以下の口座に送金いただければ幸いです。なお送金していただいた場合は同時にこのブログのメール機能を使ってその旨連絡いただけると幸いです。
・千葉銀行 鎌取支店(092)
・おゆみ野クリーンクラブ 普通預金口座(3743511)
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