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(24.3.18) NHK歴史館 古代都市ポンペイの真相 新発見54体の人骨の謎

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 NHKの歴史館と言う番組で「古代ローマの栄枯盛衰」「古代都市ポンペイの真実 新発見54体の人骨の謎」が放送された。
ポンペイとはベズビオ山の噴火活動でAD79年に一瞬のうちに火山灰に覆われ歴史のかなたに消失した都市である。

 私も一度このポンペイを観光したことがあるが、道路の石畳が整然としており、上下水道も整い、演劇場や風呂の施設もあって今でも住もうと思えば住めるほど近代的な都市だと感心した。

 今回この歴史観の番組には経済学者の榊原英資氏と歴史学者の青柳正規氏がゲスト出演しておりとても楽しげに語り合っていた。
二人ともローマを語ることが楽しくてならないようだ。

 ベズビオ山は噴火が始まった翌日には火砕流が発生してポンペイの町をほぼ20mの厚さで覆い尽くしたのだが、54体の遺体とはその直前に地下室に逃げ込んだ人々の死体である。
火砕流に直接巻き込まれた人の遺体は消失してしまったが、この54体は地下室にいたため消失することなくそのまま窒息死したものと思われる。

 この遺体を分析してみると富裕層や市民や色々な階層の人が逃げ込んでいたが、いずれも健康状態は非常によく下層階級といえども福祉政策に助けられて生活を享受していたことが分かった
残された都市を見てもまた人々の骨を分析しても生活水準は極端に高い。

 私が常々不思議に思っていることは古代ローマというGDPが極限に達した世界が崩壊し、その後なぜ中世と言うキリスト教以外には何もないような貧困な世界が現れたかということだ。
GDPと言う見方をする限り、人類の生活が古代ローマの水準を越えたのは産業革命の成果が現れてきたここ200年程度のことで、それまでは古代ローマの生活から見れば貧困そのものの生活だった。

 このポンペイが消失したAD79年はローマの隆盛期に当たり、ローマの都市は繁栄を極めていた。道路・上下水道・劇場・コロッセウム等都市にはすべてがそろっており、辺境の蛮族はあげてローマ市民になりたかった時代である。
しばらく前のアメリカのようなもので、世界中の人々がアメリカ人になりたがっていたが、ローマでは一定期間の兵役や特別な技能や資金があれば誰でもローマ市民になれた。
アメリカとローマは類似点が多い。アメリカは基本的には移民の国で各国の優秀な人材や食いつめ者を受け入れて発展したがローマも同じ

 ローマ社会は階層社会で上から皇帝・元老院議員・騎士階級・市民・奴隷と言う階級制度があったが、これは中世のような固定的なものではなく、人々は努力と才覚でこの階層社会を上り詰めることができた(アメリカでも努力さえすれば金持ちになれると信じられている)。

 たとえば奴隷でもあっても主人が気に入ってくれたり、またそこそこの資金を提供すれば(これは奴隷にも金を稼ぐ手段があったということ解放奴隷になれ、特に都市部の奴隷は家庭内にいればサーバント執事や家庭教師等)で外で稼いでいればサラリーマンのようなものだったと青柳教授が説明していた。
都市部は豊かだったから都市奴隷に苦役をかすような必要はなく、言ってみれば仲良く暮らしていたと言うのが実情のようだ。

注)古代ローマはジェネラリストが高い地位につき、一方医者や剣闘士や歌手といったスペシャリストは奴隷や市民の職業だった。

 私もかつてベンハーと映画を見ていたときに奇異に思ったのは、奴隷船のこぎ手になっていたベンハーが船が転覆したときにその船団の司令官を助けたことによって、ローマの凱旋式の二頭立ての馬車に同乗し、その後ベンハーはこの司令官の養子になっている。
奴隷でも司令官の養子になれるほどローマ社会は流動的だったといえる。

 ローマがなぜかくも長く繁栄できたかの理由はギリシャの反対の政策をとったからだと青柳教授が説明していた。
ギリシャはポリスと言う都市国家単位で生活し、都市国家間はまったく仲が悪かった。このため戦争ばかりしていたがその最大の戦争原因が食料の調達に支障をきたしていたからだと言う。

 青柳教授の説明によると当時地中海世界の人口は5000万人程度であったが、穀物生産そのものは5000万人を生活させるのに十分な量だったという。したがってこの地域を統一して物の流通を自由にしさえすれば食糧問題は片付く。
ローマはそのために領域国家を形成したが、一方ギリシャは都市国家という単位のために常に食糧問題が表面化して戦争が絶えなかったのだそうだ。

注)簡単に言えばローマは農業の自由化を行いギリシャはそれを拒否して国内農業を保護した。

 ローマ市民の言葉が残されている。「狩りをし、風呂に入り、ゲームをして笑う。それが人生だ
ローマ市民は午前中だけ仕事をし、午後からは社交場でもある風呂に入り、そこに設置されていたゲームなどをして楽しみ、食事は限度を越えて吐きながら(ただし当時はこれは健康法で太らないための措置)食べまくっていた。

 このローマにたそがれが訪れたのは領土拡張が限界に達した2世紀後半ごろからだ。新たに手に入れる領土がなくなれば食料の増産もなくなり一方で長い国境を守るための軍事費や増え続けるローマ市民への社会保障費が負担になる。
いまの日本やアメリカとまったく同じで、致し方なく政府は通貨の改鋳を行い銀貨を目減りさせてインフレ政策をとることになる。

注)現在アメリカ、EU、日本が競争して行っている金融緩和策はこのローマの通貨の改鋳と同じ。

 生産性が上がっていない状況下で通貨の増刷はただひたすらインフレが更新するだけで人々の生活は低下していく。
軍事費を削減し、社会保障費を圧縮すればまだ帝国は生き延びられるがそのようなことをすると、ローマ市民の反発があってそれもできない。
無敵を誇ったローマ軍も給与遅配や装備の更新が滞れば蛮族と戦争しても負け続けてしまう。

 辺境のローマ兵は常に死の恐怖に襲われているため、精神的救いを求めてキリスト教に帰依していったと言う。たとえ蛮族に殺されてもあの世では神の国にいけるからだ
物質的な恩恵を与えられなければ後は精神的な安息を与えるしか方法がない。こうしてローマ帝国はキリスト教を4世紀には国教にしたが、ここまでくればローマが崩壊するのも時間の問題だ。

 榊原氏が「いまの日本もこのローマの末期と同じだが、生活保障費の切り下げ等を甘受して、経済実態と向き合えばまだ生き延びられるが、いつまでもGDPを追い求めていたら古代ローマと同じようになる」と示唆していた。

なお、ローマ史については以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44866001/index.html

また今回カウンターに「おゆみ野四季の道」のカウンター10000を加えました。


(別件

昨日おゆみ野クリーンクラブのカンパを依頼しましたが、そっさく何人かの方が応じてくださり心から感謝いたします。花見までには塗装を終了させておきます。

なお、依頼文は今月いっぱい下記に継続して掲載いたします。


従来おゆみ野四季の道の清掃関係や塗装関係費は自費で調達してきましたが、生活費がかさみ思うに任せなくなってきております。
おゆみ野在住者で、かつ四季の道を日常的に利用されている方で、四季の道を世界でもっとも美しい道にする活動に賛同される方に、ペンキ代のカンパをお願いいたします。

① カンパは一人3000円(ペンキ1.8L 一缶の値段)をお願いできないでしょうか。年間のペンキは約20缶程度です。

② カンパの件数、金額は毎月1回このブログで報告します。また決算報告は年1回行います。

③ 賛同していただける方は以下の口座に送金いただければ幸いです。なお送金していただいた場合は同時にこのブログのメール機能を使ってその旨連絡いただけると幸いです。

・千葉銀行 鎌取支店(092)
・おゆみ野クリーンクラブ 普通預金口座(3743511)

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コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: 初心者の投資 | 2012年11月12日 (月) 05時57分

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