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(24.3.10) BS世界のドキュメンタリー 血塗られた携帯電話 タンタルの争奪戦

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 NHKが放送しているBS世界のドキュメンタリー「血塗られた携帯電話」と言う番組が放映された。
この番組は2011年のシネマ・フォー・ピースの「正義の貢献賞」を受賞していると言う。
作成したのはデンマークのジャーナリストだった。

 私は番組の題名から、「携帯電話に血痕が残っていて、それを追求することで無実の人が救われたような話」と思ったがまったく違っていた。
携帯電話のコンデンサーで使用しているタンタル原石、コルタンをめぐるコンゴ国内での争奪戦の話だった。

 レアメタルはいまや携帯電話やパソコンやスマートフォンに必須の希少資源になっていて、このタンタルもその一種だが、現在はカナダやオーストラリアで採掘されている。
しかし埋蔵量だけで言えばアフリカのコンゴ共和国が全世界の8割を占めている。
現在採掘量が少ないのは紛争地帯のため資本が投下されておらず、コンゴの鉱山では非常に初歩的な手法(佐渡の金山レベル)でこの原石コルタンを採掘してるからだ。

 この番組はその実態を暴いたドキュメンタリーで、われわれが使用している携帯電話は実は「血塗られた鉱物資源を使用しているもの」だと言う主張である。
アフリカの政権は長期独裁政権かあるいは内戦状態になっている国が多いが、ここコンゴも内戦と独裁、そして内戦の繰り返しだ。

 コンゴが独立したのは1960年だが、当時はソ連の後押しを受けた共産党系武装集団と西側の支援を受けた武装集団が内部抗争を繰り返していた。
結果的には妥協が図られたのだが、その後はカダフィ大佐顔負けの独裁主義者モブツ大統領1997年まで32年間の独裁政権を維持していた。
しかし1997年にモブツ大統領は共産主義系のAFDLに政権を追われた。

 モブツ大統領は敵対するツチ族の民族浄化を行ったことで有名で、一方モブツ大統領を倒したAFDLはツチ族の武装集団である(この地帯はツチ族とフツ族の紛争地帯で互いに相手を殺し合い、死亡者は500万人に及ぶと言われている)。
その後も血を血で洗う抗争を繰り返していたが2003年に内戦は一応終結されて現在は西側系の政権になっているものの、その東部は無政府状態で相変わず政府軍とADFL等の武装集団との戦闘が続いている。

注)国連軍が派遣されているが住民の安全が主眼なので紛争の当事者一方を支援することはしていない。

 私にはこのコンゴ内戦の推移がほとんど理解できないが、イデオロギーと民族問題、そして経済の利権が複雑に絡み合って互いに殺し合いをしているというのが実態だ。

 ドキュメンタリーではこの武装集団がいわゆる通行税と称して鉱山労働者から金を巻き上げている(言うことを聞かないと殺されるさまが映し出されていた。
撮影されていた場所はビシー鉱山という場所だったが、ここには2万人弱の労働者が働いていて、何か強制労働施設の労働者並みの生活をしている(イメージとしてはソビエトロシアのラーゲリよりは少しましというレベルで、暴力団に支配されているハンバという印象だった)。

 こうして採掘された鉱物資源を携帯電話の最大手ノキアが使用していて、この事実をジャーナリストは執拗に追いかけていたものの、当然のこととしてノキアの対応は冷たいものだった。
鉱物資源がどのような形で採掘されようとタンタルはタンタルだ」と言うのが本音だから、特別に問題が表面化しない限りコンゴのタンタルを使うことになんら支障がない。

 ジャーナリストは「小学生のような幼児の労働でタンタルを採掘していいのか」と迫り、ノキアの担当者は「問題が明確になれば対応するがノキアだけの問題でないので時間がかかる」と反論していた。
このドキュメンタリーを製作したジャーナリストは正義感に突き動かされて取材をし続けていたが、一方ノキアの場合は企業であり、利益と正義感のバランスをとらないとならないためおいそれとジャーナリストに同調するわけには行かないと言うのが実態だろう。

注)ノキアの担当者が取材を拒否したり、あってもそっけない対応をしていたが正義感だけで動く人との付き合いは大変だ。

 かつて日本でも水俣病や阿賀野川の水銀中毒が発生しても長い間会社も政府もその事実を認めてこなかった。
経済成長が著しいときはそうした社会問題に目をつぶってでも成長させようとするのが実態だから、携帯電話市場と言う先進国での残された数少ない成長産業の芽を摘むことはしたくないだろう。
コンゴで起こっていることはコンゴの問題で、我々は関知していない」とノキアは主張したいが、徐々にそうとばかり言っていられなくなるのが時代の趨勢だ。
だがそれまではできる限りコンゴの内戦には触れたくないと言うのがノキアの立場だろう。

なお、BS世界のドキュメンタリーシリーズの記事は以下にまとめてあります。http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/nkk/index.html

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