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(24.3.12) NHKスペシャル 調査報告 原発マネー

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 さすがNHKと思わせる報道番組が放映された。「調査報告 原発マネー」「3兆円は地域をどう変えたか」と言う番組である。
NHKが44の原発関連の自治体にアンケート調査を実施し、加えて情報公開制度に基づく情報公開を行い、さらに関連市町村のトップや東電、資源エネルギー庁の担当者にインタビューをして纏め上げた調査報告だ。
こうした報道番組はNHK以外のマスコミには不可能だろう。

 この報告によって始めて私たち日本人は原発マネーというものの実態とその流れを知ることができた
それまでは政府や電力会社がほとんど秘密裏に行ってきた原発導入市町村に対する支援の内容と、一方で受ける側の使用方法も明らかになった。

注)とても不思議だったが今までは原発マネーについて十分把握されていなかった。

 特に福島県楢葉町草野町長へのインタビューは迫真だ。
この町には福島第二原発が稼動しているが、福島県はこの原発を廃炉にするよう政府に要望している。
しかし草野町長は廃炉に反対していた。

 その理由は(現在は避難生活をしている町民8000人の生活が原発を設置したことに伴う原発マネーで潤ってきたからで、町の予算59億円の約半分が原発マネーだった。
また町民の3分の1は原発関連の仕事をしており、もし廃炉が決まると楢葉町は職場もなく金もない単なる貧困な町にしかならない。

 現在原発が停止しているため東電からの核燃料税がなくなりつつあり、住民は避難していて住民税も徴収できない。
福島第二原発が廃炉になれば原発マネーは完全になくなるのでそれを見越し、草野町長は他の自治体が嫌がっている「放射性物質の中間貯蔵施設を楢葉町で受け入れてもよい」との意向を国に伝えていた。
他になーにもないんだから、これは皮肉の皮肉だな。受け入れれば政府が何がしか助けてくれるはずだから・・・・・・・・・草野町長の独白である。

 原発マネーとは3種類あって、① 電源3法交付金、② 東電からの寄付金、③ 核燃料税等税金、からなる。
すべてを加えると約3兆円規模になるのだが、いままではその金額や配布の方法や使い道がほとんど分からなかった。

 それを調査するためNHKは原発マネーが約3000億円ともっとも多く配布された新潟県柏崎市の実態調査を行った。
ここでは刈羽原発が稼動しているが、この原発により首都圏の電力の約20%を供給してきていた原発王国である。

 高度成長期の昭和40年代、柏崎市は人口の減少に悩まされていた。職場がなく魅力もない町のため若者がこの町から出て行ってしまうからだ。
時の市長がこの状況に危機感を持ち、柏崎に原発を建設することで職場と交付金を得て地域の活性化を図ることとしたという

 このとき出来上がった原発推進制度が電源3法交付金で原発誘致先に交付金が湯水のように交付されたという。
だが、その使い道は公共施設に限っていた。
おかげで柏崎市には博物館等の箱物が150施設もでき、公共施設のオンパレードになったが、皮肉なことに現在はその維持費の工面ができなくなって借金財政に陥っている。
あまりに箱物を作りすぎ維持管理ができなくなったという皮肉な現象だ。

注)建設費は交付金でできるが、運営費には使用できないため市の予算を当てざる得ない。同規模自治体の約5倍の運営費が柏崎市はかかっている。

 一方寄付金については青森県の事例の調査報告があった。
青森県は日本でも有数の貧乏県でそのため原発関連施設を積極的に誘致して交付金を財源にしてきたのは柏崎市と変わらない。
だが青森県はそれ以上に東電からの寄付金による財政運営を行っていた。

 この寄付金は他の電力マネーと異なり東電がじかに市町村や関連団体等に配布するところが違う。
金額は相手次第であり、特に青森県に475億円(寄付金全体では分かっているだけで3000億円と多いのだが、ここに核燃料再処理施設の六ヶ所村があるからだ。

注)再処理施設がないと日本中が使用済核廃棄物で汚染される危険性がある。

 青森県では交付金等を受ける六ヶ所村近辺の自治体は核燃料再処理施設の導入に賛成したが、まったく交付金や寄付金のない他の自治体が反発した。
特に2003年の県知事選挙で現職の賛成派知事が反対派の猛追を受けてもう少しのところで知事職を追われそうになった。
これに危機感を覚えた賛成派知事が電力会社に頼んで寄付金を原発に無関係の市町村にまでばら撒くシステムを作り上げたと言う

注)青森県はむつ小川原地区振興財団という組織を作って、ここに寄付金を184億円を集めさせ、原発と直接関係しない市町村に資金をばら撒いた

 私は今回始めて電源3法交付金や寄付金の存在を知ったが、政府と東電がタッグを組んで貧しい県や市町村に原発を押し付けてきた実態を知った。
もちろん押し付けられた自治体はそれで大いに潤ったのだが、福島第一原発の事故により原子力行政が逆転し始め、原発マネーに頼っていた自治体の財政を直撃し始めた

 何か行くも地獄かえるも地獄と言う状況だ。NHKの調査努力には感謝するが、知れば知るほど難しいと言うのが正直な感想だ。

なお東日本大震災の政治関連は以下にまとめてあります。http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43890139/index.html

 

 

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コメント

私もその番組をみました。 青森県の幹部だったという、ヤーさんっぽい(失礼)オジサンが「貧乏県ゆえに云々・・・」と言っていましたね。 よくぞ言いにくいことを言ったものです。

私は以前、昭和30年代に作成された下北半島の尻労(しっかり)という集落の生活を描いた記録映画「忘れられた土地」という映画をみたことがあります。 昔から産業がなくて、貧しい所だったのです。 
地元の中学生が苦しい親の労働と生活を何とかしようと、先生方と球根を栽培して販売しようと工夫したり、流れコンブを荒れ狂う厳寒の砂浜で拾う女性の姿など、涙が出そうになりました。
行ってみるとわかりますが、恐山くらいで、本当に何もない所ですが、東通村役場はやたらと立派で、まさに原発マネーで作った箱モノです。

たしかに人間だれでも楽に稼ぎたいものです、しかし、そんな旨い話はないわけで、楽にお金を得ることに慣れてしまった人間にはさらなる困難が待ち受けていることを思い知ることでしょう。
他人事のように書いてしまいましたが、産業、エネルギーなど誰もが考えなくてはいけない問題ですね。

(山崎)貴重なご感想ありがとうございました。

投稿: ホット ちゃん | 2012年3月13日 (火) 23時13分

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