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(24.3.7) ECBによる金融の超緩和と原油価格等の上昇

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 やっぱりと言おうか当然と言おうか、このところの各国中央銀行による金融緩和策の効果が劇的に現れて国際資源価格、特に原油価格の上昇が激しくなった。
通常原油価格の上昇はアメリカによるイラン制裁の強化とそれに対抗したイランのホルムズ海峡封鎖宣言だと思われているが、本当の原因はヨーロッパ中央銀行(ECB)による超金融緩和策実施の結果である。

 EU各国はユーロの維持のために各国に財政規律の強化を訴えたが、財政規律を強化すればするほどギリシャに見るように景気は後退し社会問題が表面化している。
財政規律は維持したい、一方で景気後退は避けたい
このジレンマを解決する手段として各国はECBに圧力をかけ続けた。
俺たちがどうにも動けないのだからECBが何とかしろ~~~

注)政治家は常に財政政策が発動できなくなると金融当局に圧力をかける。

 この動きに押されてECBは昨年12月4890億ユーロ、そして12年2月に5300億ユーロ合計で109兆円)の金融緩和策を実施した。
同時期に日銀も国債等の購入枠を10兆円拡大したが、このECBが行った109兆円とは桁が違う。べらぼうな超緩和だ。

 この措置でユーロ圏の金融機関に対する疑念は一斉に収まってしまった。
やれやれヨーロッパの金融機関には金がジャブジャブにある。これなら銀行がイタリアやスペインの国債を叩き売りをして資金調達に励むことはないだろう。国債は安定し危機はひとまず沈静化だ

 イタリアの国債もスペインの国債も危機ラインの7%から5%台に低下した。
ユーロを持っていても心配なくなったのでこのところのユーロの値上がりはすさまじい。ひところ1ユーロ100円を切っていたのに、今では107円前後で推移している。

 しかし何事も物事には両面がある。確かにヨーロッパの金融機関は資金を潤沢に持ったのだが、ただ持っているだけでは何にもならない。
これを域内の融資にまわせばヨーロッパの経済は上向くのだが、融資はどうしても資金を長期間寝かせることになるし、第一融資対象先などは倒産間際の中小企業ぐらいしかない。

注)政治家が金融機関の貸し渋りを非難することがあるが、実際は金融機関が貸し渋ることはない。ただ倒産間際の中小企業に貸出しできないだけで、それが事実であることは石原都知事が新銀行東京で証明してくれた。

これはやはり安全確実で流動性も確保されているものへの投資が一番だ
現在ドイツの不動産価格が他のユーロ圏諸国の不動産価格の低下を尻目に上昇している。ユーロ圏でただひとつ安全な経済はドイツ経済だけだからだ。
またこのところの原油価格の上昇もすさまじい。1バーレル108ドル前後まで上昇しているがひところ80ドルを割っていたのが嘘のようだ。
鉱物資源価格も頭を持ち上げてきた。

 こうした動きはリーマンショック前の(日本の)金融緩和期とまったく同じで、ヘッジファンドが世界経済は安定したと読んで、リスクをとりに行っているからだ。
ヨーロッパの銀行は金がジャブジャブにある。なら俺たちが稼いであげようヘッジファンドが再び動き出した。

 これはつぶれたバブルを再びバブルで修復する方法だが、過去何回も行われ、結果的により巨大化したバブルになって崩壊した方法だ(グリーンスパン議長はいITバブルの崩壊をサブプライムローンバブルで乗り切ろうとした)。
日本やヨーロッパ(そしてアメリカ)のような成長しきった経済がさらに成長するなんてことは、二十歳を過ぎた成人にさらに身長を伸ばせといっているに等しい。

 経済にも成長の限界がある。ヨーロッパも日本もアメリカもほぼ成長の限界に到達している。それをバブルで修復しさらに成長させようとする方法は麻薬患者にさらにモルヒネをうっているに過ぎない。
私はこうした超金融緩和策が発動されるたびに、「なんと無駄な努力をするものだ」といつもため息が出る。

なおヨーロッパ経済についての記事は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43160490/index.html

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