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(24.2.26) 投資顧問会社AIJの粉飾の実態 

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 長らく神秘のベールに包まれていた日本有数の高収益投資顧問会社AIJの粉飾が明らかになった。
マスコミはこの話題で持ちっきりだが、しかし一般の人にとっては投資顧問会社といわれても何の会社か分からないだろう。
投資家に対して適切なアドバイスをしてアドバイス料をもらう会社だが、20世紀末の金融自由化の波に乗って日本でも設立されるようになった。
当初は許可制だったが07年からは登録制に変わり自由に設立できる。
全国に263社あって、運用総額は146兆円と言われている。

注)元々は投資家は自分の責任で投資を行っていた。特にバブル期には預金利息も国債利息も高く、また株式投資についても失敗することはなかった。
しかしバブル崩壊後日本は低金利になってしまい投資機会が失われ、さらにディリバティブというような商品が出てくると投資家は自分の判断で投資を行うことが難しくなった。
この状況下で投資相談の専門家としての投資顧問会社が投資家の委託を受けて資産の運用を任せられるようになった。

 実は投資顧問会社は日本では粉飾のような問題が発生しない会社だと思われていた。なぜならこの会社は指示だけをだして、その委託を受けた信託銀行が信託銀行と関係する証券会社を通じて証券の売買を行い、株式や証券等の金融商品は信託銀行が保管することになっていたからだ。
信託銀行が目を光らせているから変な取引をしたらすぐにばれる
そう金融庁は安心していた。

 その証拠に金融庁の投資顧問会社の検査は15年に1回程度がせいぜいで、このAIJについては1989年ただし活動が本格化するのは21世紀に入ってから)設立以来一度も検査が行われていない。
その間AIJは高収益を常時上げている投資顧問会社として有名になり、企業年金を主として扱う2000億規模の運用会社に成長している。

 何しろその収益実績がすさまじい。2002年が約35%2003年が約19%リーマン・ショック時の2008年が約8%で最近でも約5%の運用実績を誇っていた。
あたるところ敵なしと言うような実績だが、しかしこの数字はすべて粉飾で、会社の設立当初から運用実績はマイナスだったと言う。

 AIJはこの虚偽の数字を元に主として中小企業の年金基金の獲得にまい進し、京都府建築業年金基金トラック厚生年金基金のような中小企業の連合会の年金基金を顧客にした。
こうした年金基金は大企業のそれと違って運用をシビアにせざるえないので(しばしば自主運用で欠損が生じていたが、大企業と違って会社が補填してくれない)、どうしても高収益を上げている投資顧問会社を選びやすい。
どうか、いままでの失敗を取り戻してください、AIJさん

注)年金基金の運用は信託会社5割、投資顧問3割、生保2割で、私が勤務していた会社の年金基金は信託会社が運用していた(大企業は信託銀行に委託することが多い)。

 しかしAIJの高収益構造は昔から疑念の目で見られていた。何しろリーマン・ショックがあろうが東日本大震災があろうが常に高収益を上げ続け、一度もマイナスの収益になったことがないからだ。
その間、他の投資顧問会社+15%と▲15%のを行き来していたのだからAIJの特異性が目を引く。

 そして今回AIJ金融庁のメスが入ったのは、実は垂れ込みによる。
私も金融検査の経験があるから知っているのだが、粉飾などは外部の検査ではまったく分からない(分かるような粉飾はされていない)。
だから内部事情に詳しく実際に粉飾の一端を担った者が、何らかの理由でAIJに敵意を抱いて垂れ込みをして始めて真相が明らかになる。
AIJがなぜこれほどの粉飾を今まで隠しおおせたかと言うと、オリンパスのようにケイマン諸島にあるヘッジファンドを通じて私募債の投資信託に投資していたからだと言う。

注)私募債とは公募でなく金持ち相手の特別な投資信託。内容が公開されない。

 国内の信託銀行の手が及ばないようにケイマン諸島でしかも私募債で取引をしていたのだから、誰もその取引の実態が分からない。
金融庁の検査では年金基金の2000億のうち残っているのは200億程度で、残りはどうなったのかAIJも分からないと言う。

 
 AIJが本当に分からないとは思われないが、実際はケイマン諸島での取引で莫大な損失を計上したか、あるいは資金をネコババしているか、またはその両方だろう。

 常識としては日本の投資顧問会社が国内の株式や証券で莫大な収益を上げることはほとんどない。
私が勤務していた金融機関の子会社の投資顧問会社は従業員の給与を資本金の運用益で上げていた。
業務では収支がトントンで、給与も出ないので親会社からの資本金の運用益が唯一の収入源だったからだ。

 日本国内にはほとんど収益源がないので、世界に出て競争しなければならないが、そこにはアメリカイギリスシンガポールに地盤を持つ手ごわい投資顧問会社がおり、とても太刀打ちできない。
AIJも世界での戦いに負け続けていたというのが実態ではなかろうか。

 なおその後明らかになった事実をもとに年金基金の対応方法について記事を記載してあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-7113.html

また日本の金融機関に関する記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat45467292/index.html

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