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(24.2.14) NHKスペシャル ここまで来た うつ病療法

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 今回のNKHスペシャルは「ここまで来た。うつ病療法」と言う番組だった。
何しろ日本には約100万人うつ病患者がいて、毎日の生活に支障をきたしていると言う。
最近は抗うつ剤の投与で症状が改善すると聞いていたので問題が解決していたのかと思っていたが、実際は抗うつ剤が効く患者は3分の2程度で、残りの3分の1は薬での改善が見られないと言う。
また抗うつ剤はひどい副作用があり吐き気等にも悩まされているらしい。

 この直らないうつ病に対して実に効果的な治療がアメリカで開発されていると言う。
脳科学による最新治療で、うつ病を脳の病気だと定義して、脳のどの部分を活性化すれば、あるいは活性化させなければうつ病が改善するかを研究していた。

注)うつ病を心の病気と全体的に捕らえるのではなく、脳のある特定部分の働きが阻害されている病気と定義するもの。

 脳科学ではうつ病は脳の脳幹部分にあるへんとう体異常に興奮して制御できなくなった症状を言うのだそうだ。
へんとう体とは最近よく聞く言葉で、前回のためしてガッテン不眠ストレス撃退法)でも取り上げていた。

 へんとう体はいわば本能に属していて、不安や恐怖や悲しみを感ずる場所だと言う。
いわば危険信号をキャッチする場所で、これが正常に働かなければ人類そのものが滅亡していただろう。

 しかし一方でこのへんとう体が働き過ぎると、今度は恐れが極度に高じてきて家から一歩も外に出られなくなってしまうような症状が出る。
そんなことになったら昔だったらえさも捕らえられない。
それでは生存できないので人類は恐れの内容を分析してそれが逃げなくてはならない恐れか、それとも単なる恐怖感に過ぎないかを区分してへんとう体を制御する機能を身に着けてきた。

 それが前頭葉の側面にあるDLPFC(背外側前頭前野)と言う部分で、いわば本能を理性で抑えている部分と言える。
このDLPFCの働きが弱ると本能部分がモロに出てしまうのだが、脳を診断するとDLPFCの血流が極端に悪くなっていることが分かる。
それなら何とかしてDLPFCを活性化させればいいじゃないか」とアメリカの研究者が気がついた。

注)なおためしてガッテンで紹介された物事を客観的に評価する場所(客観視君)は、背内側前頭前野だった。どうやらこのあたりの機能が理性的判断をつかさどっているらしい。

 アメリカで現在行われている方法はTMS(経頭蓋磁気刺激)と言う方法で、すでに400の医療機関で実施されていると言う。
この方法は毎日磁気をDLPFCに40分程度当てて、DLPFCの血流を活性化させる方法で、抗うつ剤が効かなかった患者が劇的に回復していた。
テレビに出てきた老年の男性はただ泣くことしかしていなかったが、この治療をうけて数ヶ月で奥さんと楽しく買い物をしており、今年は海外旅行に行くとまで言っていた。

 このTMSは回復困難なうつ病患者にとって実に朗報だが、ただし全員が回復するのではなく約7割程度重症のうつ病患者が回復するのだという。
アメリカではさらに効果的な治療法が開発されており、脳の内部の25野といわれる部分に電極を差し込んでこの場所を活性化すると、へんとう体の活動が抑えられ、一方でDLPFCが活性化されるという。

 どうやら25野へんとう体DLPFCをつなぐハブのような場所で、ここの神経回路を活性化すればDLPFCへんとう体の動きを適度に制御してくれるらしい。
こちらの治癒率は回復困難なうつ患者の75%が回復するというからTMSより少し治癒率が高い。

注)なおTMSと25野に電極を差し込む治療法は日本ではまだ承認されていないと言う。

 しかしこの番組を見ていて、アメリカとは実にプラグマティックな国だと感心してしまった。
本能部分をつかさどっているへんとう体の暴走は、理性や判断をつかさどっているDLPFC物理的に刺激したり、電極で活性化すればうつ病は治るというのだから、なんとも分かりやすい対処方法だ。

 こうした医学の先端分野はほとんどアメリカの独壇場だが、及ばずながら日本でもうつ病診断を光トポグラフィーという方法で、DLPFCの電波をキャッチしてうつ病診断を行う方法が開発されていた。
実はうつ病には基本的な問題があって、うつ病の診断を医者が問診によって行ってきたために、うつ病とよく似た症状の他の病気(躁うつ病や認知症)との診断がうまくなされていないのだと言う。

 実際問題としてはうつ病と診断された人の約40%は躁うつ病等で、当然投与する薬が異なる。
日本ではまず本当にうつ病かそれとも他の病気かどうかをこの光トポグラフィーの波形を見て物理的に判断すると言う手法の開発が進んでいた。

 また軽度のうつ病に対しては「認知行動療法」と言う心理学的方法が有効だそうで、物事を悲観的に考えずにありのままの実体を認識させる方法だと言う。
失敗ばかりに目をやって「俺の人生は不幸の連続だった」なんて考えずに、成功体験を思い浮かべてDLPFCの働きを強化させる方法だ。

 DLPFCの脳波を測定しながら楽しい経験を思い浮かべることで、そうするとDLPFCが活性化されていく様子がグラフで表されていた。患者はこのグラフを見ながら何を思い浮かべればDLPFCが活性化するか確認できるのだと言う。
前回ためしてガッテンで紹介していた、悪い記憶を木の葉に浮かべて流してしまうと言う方法はこれで、軽いうつ病はこれで十分治るのだという。

注)「ためしてガッテン」不眠ストレス撃退法 「客観視くんがんばれ」は以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/24114-fa83.html

 現在の脳科学の最前線では、うつ病と躁うつ病を脳波の測定で区分し、さらにうつ病を3段階に分類して、軽度のうつ病は心理療法、中程度は薬物療法、そして重度のうつ病には物理療法が施されていることが分かった。
脳を物理的に分析する方法は実に興味深く、今回の番組はまた知識がひとつ増えたような感じがした。

 なお、脳の働きについては私が毎日見ている梅爺さんのブログが継続して取り上げているので、興味のある方はこのブログを読まれることを勧める。
http://umejii.cocolog-nifty.com/blog/

 

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