(24.2.24) ためしてガッテン 特発性正常圧水頭症は完治する。30万人の認知症患者への福音
11年11月、NHKスペシャルで「認知症を治せ」と言う番組を放送したが、今回はその「ためしてガッテン」版だった。一般に認知症といわれているものの中身は一種類ではなく、最後は物事の認識ができなくなる症状だとしても原因はさまざまだと言う。
注)NHKスペシャル「認知症を治せ」は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/22113-nhk-ab05.html
認知症とは以下のような病気の総称になっている(以下は「認知症を治せ」の番組で紹介された数字)。
① アルツハイマー病 56%
② レビー小体型認知症 17%
③ 脳血管性認知症 10%
④ 前頭側頭葉変性症 7%
⑤ 特発性正常圧水頭症 5%
⑥ その他 5%
この中でアルツハイマー型認知症が最も有名で認知症の約5割はこれだが、それ以外に特発性正常圧水頭症と称する認知症があり、認知症と思われている患者208万人のうち30万人相当(約15%)が、この特発性正常圧水頭症なのだそうだ。
そしてここが最も問題なのだが、特発性正常圧水頭症と診断されれば治る病気なのだが、そうされずにアルツハイマー型認知症として放置されている場合(アルツハイマー型は直らないと思われている)がほとんどなのだと言う。
注)「ためしてガッテン」では特発性正常圧水頭症の割合が15%になるが(NHKスペシャルでは5%)、これはどこまでを認知症とするかで統計数字の分母がさまざまあるからだと思われる。
特発性正常圧水頭症とは聞きなれない病気だ。水頭症は子供がかかる病気で、昔は福助頭(福助たびのマークの福ちゃんのこと)などといっていたが、大人がかかると特発性正常圧水頭症というのだそうだ。
人間の脳や骨髄は豆腐と同じでふわふわしているので、これを守るために脳や骨髄は水の中に浮いている状態になっている。この水を脳脊髄液というがほとんど水と変わりがない。
この脳脊髄液は脳室といわれる脳の真ん中辺りの部位で作られるのだが、この脳室内の脳脊髄液が異常に作り出されて脳室が膨れ上がり、内部から脳を圧迫すると、この特発性正常圧水頭症になると言う。
症状としては以下のとおりだそうだ。
① 物忘れがひどくなる。
② 歩行が困難になって歩きが鈍くなり足がほとんど上がらなくなり、またガニマタで歩幅が狭くなる。
これは脳室の膨張によって脳の運動連合野と言う部分の働きが悪くなっているのだから、脳室や脊髄から水を抜き取れば症状は劇的に回復する。
放送ではほとんど歩行が困難で会話も不可能だった女性が背中から脳脊髄液を抜いただけで、歩行も会話も回復していた。
ただし脳脊髄液は常時過剰に作り出されているので、最終的には手術によってこの脳骨髄液の量を調節することが必要になる。
この病気の原因は水分が過剰になって内側から脳の他の部分を圧迫し認知症の症状を呈しているのだが、これとよく似たメカニズムで脳に血がたまってそれが拡大し脳を圧迫しても同じように認知症と似た症状が出ると言う。
これは頭を打ったときに現れる症状で老人特有のものだそうだ。
若いうちは脳を守っている蜘蛛膜や硬膜が丈夫でぴったりとくっついているのだが、老人になると脳が萎縮してしまってその結果蜘蛛膜と硬膜もたるみができて間に隙間ができてくるのだそうだ。
そうした状況下で頭を打つと蜘蛛膜が破れて硬膜との間に脳脊髄液が漏れ出してくる。するとそれを吸収しようと血管がその脳脊髄液の周りを取り囲むのだが、老人は血管そのものが弱いから今度は血管が切れて血が流れ出してしまう。
こうして蜘蛛膜と硬膜の間が血液と脳脊髄液が一杯になり、脳を外側から圧迫するので認知症と同様の症状が出てくる。
この場合はすぐに手術が必要になる。
認知症はアルツハイマー病のように脳細胞の異常で発生することもあれば、特発性正常圧水頭症のように脳骨髄液が過剰に放出されて脳を圧迫して起こる場合があるということのようだ。
後者は物理的な原因だから手術でいかようにも回復するという結論だった。
多くの人が特発性正常圧水頭症であるにもかかわらず、アルツハイマー型と診断されている場合が多いので、ぜひ専門医の診断を仰ぐことが必要だと番組で強調していた。
なお、認知症関連の記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/nhk_4/index.html
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コメント
「突発性正常圧水頭症」ではなく「特発性正常圧水頭症」のようです。 「特発性」とは原因がよくわからないという意味だそうです。
(山崎)ご指摘ありがとうございます。修正いたします。
投稿: リージン | 2012年2月25日 (土) 15時27分