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(24.2.29)NHK ヒューマン第4集 そしてお金が生まれた

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 お金ほど不思議なものはない。高校生の時、社会科の授業で「紙幣はそれ自体としては何の価値もない」と説明されたときほど驚いたことはなかった。
私はこの紙切れに価値があると思っていたからだ。
たしかに紙幣を印刷する費用は数十円だから原価としては数十円に過ぎない。
それが1万円札として使用できるメカニズムが当時はまったく分からなかった。
では数十円の紙切れがなぜ1万円としての価値があるんだ」途方にくれたものだ。

 人類が貨幣を発明したのはいまから6000年前で、シリアのチグリス・ユーフラテス川上流地点だと言う。
そこにはテル・グラフという1万人規模の都市が存在していたが、お金は一定の大きさの壷に入れられた小麦だったと言う。
初期の貨幣はその地域の最も重要な産物が貨幣になったわけだ。
小麦とか米とか羊とか塩である。

注)ワールド・ウェーブ・トゥナイトを見ていたら北朝鮮では韓国のチョコパイが貨幣になっていると放送されていた。ケソン工業団地(土地と労働力は北朝鮮が提供し、資本は韓国が提供している)では3時のおやつにチョコパイを配ったところ、北朝鮮の労働者はそれを食べずに持ち帰り、米1kgと交換していた。北朝鮮では北朝鮮の通貨ではなくチョコパイが通貨になっていた。

 このあたりまではよく理解できる。最も価値のあるものでないと他の品物との交換ができないから交換価値を有しない。
しかしこの小麦には交換価値はあったとしても決定的な弱点があった。蓄積をしていると劣化をしてしまうのだ。
お前の小麦は1年前の小麦だから今年の小麦の半値だ」なんてなってしまうので価値を蓄積する道具としてはまったく適さない。

 そこで蓄積手段としても最適なものとしてギリシャのアテネではBC6世紀銀貨が貨幣となった。銀貨なら腐らないから富の蓄積手段になるし、また少量でも価値は大きかったので運搬しやすいと言うことだから経済圏を拡大するのに好都合だ。
こうしてアテネは周辺の経済圏を含めて25万人の大都市になった。

注)貨幣は交換価値だけでなく保存と運搬に適したものが結果的に選ばれる。

 人間はこうして貨幣を介在して物の交換をするようになったのだが、この交換をするという行為は人間特有のものだというのには驚いた。
たとえばチンパンジーは自分の今持っているバナナと相手の持っている葡萄の実を絶対に交換しない。
相手のものがほしければ腕ずくでも取るが、交換しないのは相手のチンパンジーをまったく信用していないからだと実験をした学者が説明していた。

 人間も初めてあった相手を信用するわけではないが、アテネ政府発行の銀貨は信用するのでこの銀貨を介在して交換に応じることになる。
交換可能であれば分業ができるからますます分業は進んで、その結果経済力が飛躍的に伸びることになる。

注)もし通貨がないと人は自給自足の生活を余儀なくされる。

 当初の銀貨はほぼ100%の銀の含有量を含んであり、それ自体で交換価値を有していたが、そのうちに銀の含有量を減少させても流通することに気づくことになった
たとえば古代ローマでは紀元元年には98%の銀の含有率が紀元250年には50%270年には2%になっているので、こうなると銀貨とはとても言えず今の紙幣とまったく変わりがない。

 なぜ2%の含有量の銀貨が流通するかと言うと、この銀貨をもっていけば最終的にはローマ帝国がその額面にふさわしい小麦やサービスを支払ってくれるからである。
銀貨そのものの価値ではなくローマ帝国の支払い能力を信用していることになる
現在のドルもユーロも円も国家(EUは連合体)の支払い能力を信用して流通しているのだから、反対にその支払い能力に赤ランプがともると急速に紙幣の価値がなくなる。

注)私がインフレターゲット論のようなインフレ政策を嫌うのは、それが政府の信用をなくすことになるからだ。

 今回のヒューマンは人間は互いに信用するゆえに貨幣を交換手段として利用することに気づき、分業体制を確立したと言う趣旨である。
この人間の他人を信用すると言う性質は深くDNAに根ざしたものだそうで、競争して抜きん出ようとするばかりでなく、あまりに人間間の差が生ずるとそれを調整しようと言う行動に出ると言う。

注)これも心理学者が実験で、自分一人が金持ちになることを喜ぶばかりでなく、同僚が同時に金持ちになることを喜ぶ脳の働きがあることを証明していた

 平等と競争は永遠のテーマだが、人間が人間として存在していくにはその絶妙のバランスのうちに生きていくことが必要らしい。
とても興味深い番組だった。

なお、ヒューマンシリーズは以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat47616674/index.html

 


 

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コメント

紙幣の価値は政府の信用ではなく、長期的かつ歴史的な時間軸を考慮した、
その国の総合的な国力によるもの、政府があふぉでもその国なら世代を超えても返す能力が
あるだろうという事。そうでなければ現在の円の価値は説明がつかないし、人間とは時間軸で生きれる動物ですよ。
歴史が裏付ける信用力が莫大だからこそ先進国ならぬきんでた信用でインフレターゲットは成立するし、実際してます。

投稿: A | 2015年8月19日 (水) 06時21分

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