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(24.1.4) 日本の医療の現状と成長産業としての役割




 私のように普段医者には患者としてしか接していないものから見ると、日本の医療問題というのはわかりにくい。
一番わかりにくいのは日本では医者が不足しているのかそれとも過剰なのかさっぱりわからないことだ。

 ながらく日本では医師は過剰だといわれてきた。このあたりは医師会のギルド体質があって、平成9年からは明確に医師・歯科医師の抑制策がとられてきた。
この状況がいっぺんに変わったのが平成15年から導入された新臨床研修医制度である。

 それまではインターン医師は医局実際はその医局のボスである大学教授)の支配下にあり、大学病院で研修しその後地方の病院等に派遣されていたが、新制度導入でそうした縛りが効かなくなった。
研修は学生が望む場所であればどこでもよくなり、また配属される診療科も自由に選べるようになったため、「大学病院で奴隷のようにこき使われるのはいやだ」という学生が多くなり、また「産婦人科や小児科や脳外科は勤務がきつすぎるので割りに合わない」と敬遠されだした。

注)当時医局制度は奴隷制度だとのキャンペーンがマスコミを中心にされていた。

 このため医局が強権でバランスをとっていた医師の適正配分が崩れて自由競争下におかれるようになったため、過疎の病院や割に合わない産婦人科などはたちまちのうちに医師不足に陥ったのである。
現在はこうした状況下にあり、絶対数としては医者はいるのだが偏在が激しいというのが実態だと私は思っている。

注)ただし厚生労働省は2008年(平成20年)以降医師は絶対数が不足しているという立場をとっている。

 厚生労働省の調査では私の住んでいる千葉県は意外にも医師数が少ない県で、最悪は埼玉県、次が茨城県で、千葉県ワースト3位ということになっている。
この数字はどう見ても実感とは乖離している。
私の住んでいるおゆみ野などは町を歩けば医者に当たるぐらいで、病院にいくのにも「どの医者が評判がいい?」なんて聞きまくってからいくくらいだから、患者側に選択権がある。

 知り合いの歯科医師が「最近は歯科医が増えすぎて病院経営も大変なんだ。倒産している病院もあるよ」といっていたくらいだからこの不足と過剰問題はどのような立場(地域、診療科、大学病院、役所等)で発言するかで異なっているようだ。

 実は私にもこの問題については意見があって、日本ではさらに多くの優秀な医師を育て上げることが急務だと思っている。
それは日本が完全に閉塞感に陥り、輸出産業が海外に出てしまった後の成長産業がまったく見当たらないからだ。
そうした中で医療費は毎年確実に2~3%増加している。自動車や家電産業は毎年縮小しているから、医療は日本における唯一といっていいほどの成長産業だといえる。

注)医療費の増加を成長産業だという視点で捕らえる人はなく、通常は国庫負担の増大問題として認識される。

 
日本の生きる道は唯一残されたこの成長産業を磨きをかけ医療大国になることだと思う最大の理由が日本の優秀な学生がすべて医学部に進んでいるからだ。

 学生側から見るとこれほど投資効率のいい職業はなく、「絶対にくいっぱぐれがなく、地位と名誉は思いのままだ」という職業はそうはない。
そんなわけで日本の人的資源はほとんど医学部に吸収されているのだが、残念ながら国内だけの競争にとどまり世界レベルでの競争力はほとんどない

 たとえばノーベル賞受賞者16名国籍の関係があって数え方で人数が異なる)を見ても、受賞者は理学部工学部出身者で占められ、医学賞利根川進氏のたった一人だ。
これは「頭がいい人が医学部に進む」という現実とまったく合わない。

 実際は唯一の人的資源が眠っている。
現在世界の医療はアメリカが引っ張っていて多くの金持ちのアラブ人やアジア人がアメリカで治療を受けている。
金持ちの病人にとっては費用はどうでもよく、最高度の医療で病気を回復させてくれることを願っているのだから、最高のお客様だ。

 私はこうした患者を日本で治療を受けさすようにして外貨を稼ぐのが一番だと確信しているのだが、信じられないことに医師会は絶対反対で、今回のTPP参加においても「日本の世界に誇る医療保険制度が崩壊するので反対だ」と言っていた。

注)金持ちの外国人が多く日本にやってくると日本人の診療に支障が出るというのがその論理。

 だが考えても見てほしい。日本でもっとも優秀な人材を投入している医療の分野で「世界と競争することができない」といっては、私のような医学部以外の出身者は立つ瀬がない。
日本は輸出産業で食ってきた国なのにそれがなくなって貿易収支が赤字11年度)に転落し今後とも期待できない。
残った競争力が期待できる分野は医療以外に見つけることができないではないか。

 これからは医療業務といったサービス収支を増やさない限り日本に未来はないと腹をくくるべきだと私は思っている。
医師会は個人的利益ではなく日本のために貢献すべきだ。

なお経済成長に関する記事は以下にまとめてあります。http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43696146/index.html


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コメント

いつも拝見しております。私もTPPをきっかけに医師会の主張に接し、何度も読み返してみたもののほとんど納得できなかったクチなのですが、NATROMさんのはてな日記でこの件が取り上げられていましたので、ご参考になればとコメントします。

日本医師会が混合診療解禁に反対する理由
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20111202#p1

混合診療解禁で保険診療が縮小されるのはガチ
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20071115#p1

NATROMさんはエセ科学批判の立場で発言を続けていらっしゃり、個人的には「基本的に発言を信用できる人」なのですが、この件については正直に言って自分の知識・理解が不十分で、賛成・反対を述べる域に達しません。

(山崎)資料提供ありがとうございます。ブログを書くときの参考にさせていただきます。

投稿: minitsu | 2012年1月 4日 (水) 23時17分

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