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(24.1.6) 日本経済の復活はインドネシアにある。 世界はどう動く NHKの視点



 NHKが4日に放送したワールド・ウェーブ・トゥナイトの「世界はどう動く」はとても興味深い番組だった。
アメリカ・中国の政治分析は当然なのだが、2012年にもっとも注目すべき新興国として紹介されたのがインドネシアであったのには驚いた。

 インドネシアは中国や韓国とは異なりとても親日的な国であり、特に戦後のインドネシア独立戦争オランダからの独立戦争で、終戦で日本軍の軍政が終わるとすぐさまオランダがインドネシアを再植民地化したことに対する独立戦争)に旧日本軍の兵士がスカルノ側について戦った経緯がある。
その後も日本のODAの対象国のトップはインドネシアだったのだから、日本とは浅からぬ結びつきの国だ。

注)ODAの推移は以下参照:
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/0950.html

 しかしインドネシアの経済はかつては中国やタイなどと比べるとお世辞にも好調とは言えず、また民族問題もあり20世紀を通じて停滞していた。
そのインドネシア経済がテイクオフを始めたのが21世紀に入ってからで、ここ数年は6%前後の経済成長が続いている。
インドネシアの強みは人口が2億4千万人と圧倒的に多く国内消費市場に期待できること、また金、スズ、石油、天然ガスの資源国であり、適切な政治運営と外国資本の導入が図れれば経済大国になれる条件がそろっていることにある。

 今回のNHKの番組では、インドネシアは中間層が多く消費が現在爆発的に拡大しており、海外からの資本もラッシュのように押し寄せて経済が順調に拡大していると説明していた。

 またインドネシア政府自身も中間層の育成に熱心で、最低賃金を引き上げたり公共インフラの整備を積極的に行って一人当りGDPで年間5000ドル38万円)以上に引き上げを図ってきたという。

 日本人の一人当たりGDPは11年度46000ドル約350万)だから、大雑把に言って日本の10分の1の所得層がインドネシアでは中間層と呼ばれている。
いくらなんでもこの水準を中間層と呼ぶのは言い過ぎじゃないか、日本だと生活保護受給者より低いじゃないか・・・」と思ったが、このレベルの人々がおよそ8千万人いて家電製品を買いまくっているのだそうだ。

 このインドネシアで言う中間層の購買意欲はわれわれ日本人が1960年代の高度成長期に持っていた熱気と同じものを持っていた。
何が一番ほしいですか
電気洗濯機です
私はテレビです
日本では絶対に聞かれなくなった言葉だ。

 日本企業の花王がインドネシアに進出して洗剤を現地生産している例が紹介されていたが、洗濯機の普及によりここ3年間の販売量が毎年10%ずつ増加しているという。
日本ではここ20年にわたってまったく洗剤の需要は伸びておらず、バブル期に比較すると減っているくらいだから、毎年10%成長は驚異的だ

注)日本国内の洗剤の需要動向は以下参照
http://jsda.org/w/00_jsda/5toukei_b.html

 また公共インフラ道路、鉄道、通信。河川等)の整備は今始まったばかりで、この需要は無尽蔵にある。
タイの洪水で明らかになったように新興国のネックは公共インフラが未整備なことで、河川などは容易に氾濫してしまう。
インドネシア政府がこうした部門に積極的に乗り出せば建設業で多くの雇用が創設され、さらに中間層が増えるといった高度成長期の日本と同様のパターンを描くことができる。

注)先進国と新興国の最大の相違はこの公共インフラの整備状況だと私は思っている。日本では八っ場ダムに見られるように無用の長物を作っており維持費がかかって経済を失速させるが、新興国では本当に必要なものを作っているので経済発展に役立つ。

 インドネシアの政策担当者が「インドネシアはいづれアジアで(日本を抜かし)2番目の経済大国になる」とコメントしたが、確かにこのままの推移をたどればそれは可能かもしれない。
だがインドネシア経済にとっての一番の懸念材料は外国資本の動向で、大雑把に言って直接投資が3分の1、株式投資と債券投資3分の2を占めている。
このうち株式投資と債券投資は世界経済の動向によって容易に逃げ出す可能性があるので、1997年アジア危機の再来の可能性もある(それを恐れインドネシア政府は短期資金の流動性を制限している

注)外国投資の推移は以下参照
http://www.toshin-sc.com/rsrc/pdf/manage/new/031_20110531_01.pdf

 人口2億4千万でほぼ日本の2倍、最近の政治は安定しており政府が公共インフラの整備に熱心で国民が働き者ならば、(急激な資本の流失さえなければ)かつての日本と同様に高度成長が続くことが期待できそうだ。
日本経済は国内ではまったく消費は伸びず、長期低迷に陥っており需要は完全に頭打ちだが、親日的で経済発展が著しいインドネシアの活力を取り込んで日本も発展しようというのが、この番組の趣旨のようだ。

 ほぼ1年前に放送されたNHKスペシャル 「灼熱アジア 巨大イスラム市場をねらえ」では日本のみずほコーポレートバンク三井物産の現地化の苦闘を描いていたが、いまやインドネシア市場は完全にテイクオフの段階に来た。
たった1年だがその間インドネシア経済は更なる発展を遂げたと心底驚いてしまった。

注)「灼熱アジア」は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/221119-nhk.html

 

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