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(24.1.19) プーチンになれないハンガリーのオルバン首相 EUの鼻つまみ者

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 苦境にあえぐEUにとってまた頭の痛い問題が発生している。
EU の一員ハンガリーのオルバン首相強権政治が限度を越え、ついにEUバローゾ委員長の堪忍袋の緒が切れたからだ。
中央銀行や裁判官の独立を侵害する法律はEUの基本条約(リスボン条約)に違反しており、報道の自由についても問題がある」と警告した。

 現在のオルバン政権は10年4月の選挙で3分の2を超える大勝利を収めたのだが、その主張は「ハンガリーはEUの言うことを聞かない」と言うものだった。
ハンガリーはEUの中でも極度に弱い経済力だったが、08年まではEUの一員として海外からの投資で順調な経済発展をしていた。それが08年のリーマンショックですべてが暗転してしまい、GDPは減少し通貨フォリントの価値はピーク時からほぼ半減している。

 それまでハンガリー人はユーロで借金をしまくっては住宅投資にいそしんできたが、フォリントがほぼ半減してしまったため、返済金額がほぼ倍増してしまった。
アメリカのサブプライムローン問題と同様に、多くの国民が返済不能に陥って家を手放し7人に1人の割合で破産者になった。

注)ユーロの貸出しレートがフォリントのレートよりはるかに低かったため、国民はユーロ建てで借金をしていた。

 オルバン首相はこうした苦境を独裁権力の強化で乗り切ろうとし、言うことを聞かない中央銀行の幹部や裁判官を次々に首にして、自分の息のかかった官僚で経済運営をすることにした。
もちろんメディアへの規制も強化して、政府のプロパガンダ組織に変えようとしたわけだ(そうした法案を次々に通している)。

 オルバン首相は自分がプーチン首相になればこの経済苦境を乗り切れると判断したようだが、残念ながらそうは問屋がおろさなかった。
プーチン率いるロシアは世界最大の資源大国で石油と天然ガスを抑えれば国政の運営ができる。
しかしハンガリーは自身で生き残るすべは何もない

注)ハンガリーはギリシャと同程度の経済規模で人口もほとんど同じ(1000万人)。本来ならEUに対する影響力は微々たるものだが、ドイツやオーストリア等からの借金経営だったのでハンガリーが倒産するとドイツ等の金融機関に多大の損失を与える。

 外国資本に対する特別税を制定したり(国民には増税しないと約束していた)、民営化した年金基金を再国有化してその資金の流用を図ったりしたが(日本の埋蔵金と同じ)、経済はますます苦境に陥るばかりだ。
国債の発行をしようとしても、国債の評価は投機的だから市場から足元を見られて10年もの国債の利回りは9%を越えてしまい、ギリシャの次ぐらいの位置づけだ。

注)なおハンガリーはIMFからの融資を受けているのでIMFの指示を聞かなければならない立場だが、それも聞かない。

 仕方なしに再びIMFEUに支援を要請してもIMFもEUもオルバン政権のプーチン体質を怒っているのでおいそれと支援に乗り出すはずがない。
ユーロ圏ではギリシャ問題が火を吹いているが、EU圏まで目を広げればこのハンガリー問題がもっとも焦眉の急を要する。

 EUはEU の基本である財政赤字をGDPの3%以内にすることをハンガリーに求めているが、公務員給与の引き下げや増税をしなければならなくなり「国民に痛みを伴う改革はしない」と約束したオルバン政権のマニフェストが宙に浮いてしまう。

注)現在の財政赤字の規模は5%前後と見られているが、数字が粉飾されているので正確なことはわからない。

 ハンガリーは通貨フォリントの価格引下げで経済運営をしようとしているものの、引き下げをすればするほど国内物価が上昇して国民生活が苦境に陥っている。
EUはギリシャとともにハンガリーと言うどうにも対応ができない問題児を域内に抱え更なる苦境に陥った。

なおオルバン政権の無能さについては以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/2269-c2cb.html

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